《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと政略結婚!?⑳*
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尊に翻弄されているうち、実際に尊をけれたら、一どうなってしまうのだろう。
ぼやけた頭の片隅で、そんなはしたないことを思考していた桜のは、まだ知らぬ未知への期待にふるふると打ち震える。
桜は、そんな自分のの反応に戸うと同時に、それらを尊に見抜かれるんじゃないかと気が気じゃなかった。
「キスとだけで、こんなにして。腰まで揺らして催促してくるとは、処のクセに、すっかり厭らしくなったな」
そんなタイミングでキスを中斷した尊から立て続けに指摘されてしまい。
狼狽えた桜は、見る間にカアッと全を真っ赤に染め上げてしまう。
余りの恥に耐えかね、ぶようにして反論を返したものの、その通りで、説得力なんて皆無だが。そのうち。
ーーこんな風になったのは、尊さんのせいなのに。そんな言い草あんまりだ。
尊にとって自分が、ただの政略結婚の相手でしかない上に、こんな風に扱われてしまう自分は、尊にとって好きでもなんでもない、ただの暇潰しの相手でしかないということの表れに他ならない。
そんなこと最初から百も承知だったはずだけれど自我のコントロールがきかないのだからしょうがない。
桜は盛大にむくれながらも、しでも気を抜けば、泣いてしまいそうだ。
それをぐっと堪えているところに不意打ちのように、尊から頬にチュッというリップ音と共に、ムッとした桜のことを宥めるような可らしいキスがなされ。
「そんなに怒ると、可い顔が臺無しだぞ」
驚いた桜が放心している隙を狙ったように、ご機嫌を取るような言葉まで囁かれてしまった。
ーーな、なに? 急に。さっきは意地悪なこと言ってきたのに。一どういうこと?
さっきまで泣きそうだった桜は、驚きのあまり困狀態だ。
そこにふと、ある可能が脳裏に浮上してくる。
そういえば、昨夜も、『らしい』とかなんとか言われた気がする。
ーーこれってもしかして、を褒めて自分の思い通りにするための常套句なのでは。
こういうとき男は、をその気にさせるために褒めるらしいし、きっとそうに違いない。
そう思うのに……。そんな些細な言葉であっても、尊に言われると、無に嬉しいなんてことを思ってしまう。
ーー悔しいが、きっと、これが惚れた弱みというものなんだろう。
人を好きになるということが難儀なことだということを桜が実している最中、再び尊にきがあった。
だがさっきまでの余裕ありげな態度はどこかに消え失せているように見える。
そんなことを思ってる間にも、尊はなにやら切羽詰まったように、桜に縋るようにして抱きついてきた。
そうして耳元に顔を埋めてくると、やっぱり余裕なさげな聲音で囁きかけてくる。
「怒らせておいて悪いが、余裕がない。手伝ってくれないか? 約束通り、最後まではしない」
  『最後まではしない』という言葉を耳にした途端、いよいよ尊のものにしてもらえるのだと期待に満ちていた桜のが見る間に萎んでいく。
そのせいか、処の自分とは違って、僅かに息は上がっていても尊はいつも通りに見えてくる。
きっと、それだけ尊がこういうことに慣れているからなのだろう。
いくら余裕なさげに縋ってきても、こうしてすぐに余裕を取り戻せるのも、最後までしなくても平気なのも、それだけ経験値に違いがあるということに違いない。
ーーそんなの當然だ。そもそも私には経験がないんだもん。そんな私相手では、足りないのかもしれない。
『初めては特別なものにしてやる』なんて言ってくれたけれど、言葉ではどうとでも言える。
もしかすると、処は面倒だからって、このままずっとこうやって、相手にしてもらえないのかもしれない。
ーーそんなの耐えられない。
思考がそこまで至ったとき、桜の眥からあたたかな雫がポロポロと零れ落ちる。
それと一緒に、昨日今日と二度にわたって、まともに相手をしようとしてくれない尊へ対する桜の不満が決壊するかのように溢れ出てしまう。
「どうせ私なんかオコチャマだし、相手にならないんだってことぐらいわかりますけど。どうやったら、ちゃんととして扱ってくれるんですか? 教えてください。じゃないと夫婦になんてなれません」
桜の言葉に、尊は虛を突かれたように呆然としているようだが、そんなこと知ったこっちゃない。
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