《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザから突然のプロポーズ!?⑤

やがて上映時間となり會場の照明が落とされ、周囲から見えないのをいいことに、桜は尊のに頬をくっつけ寄り添ったままでいた。

プラネタリウムなのだから星を見るものだと思っていたのだが。

星だけではなく、幻の花を探し求めて世界各國を旅するという、花好きの桜にとって、わくわくドキドキ心躍るテーマだった。

それが幸いし、ここのところ忙しくしていたので、もしかしたら居眠りしてしまうかもしれない、という心配はなさそうだ。

上映と共に暗転した會場の一面がスクリーンのようになり、夜空にキラキラと瞬く星々が映し出された。

ナレーターの穏やかな聲と共に場面が切り替わり、あたかも自ら世界各國を旅しているような心地になってくる。

ーーふふっ 、なんだか、新婚旅行みたい。

來週には尊と正式な夫婦となるが、お互いの仕事の都合で新婚旅行の予定などはたっていない。

政略結婚なのだから、それは當然のことなのかもしれない。

でもこうして、わざわざ時間を作って連れ出してくれた。

   その気持ちだけでも嬉しいというのに、一緒に寄り添い合っていられるなんて。

ーーなんて幸せなんだろう。こんなにも幸せでいいのかなぁ。

尊のに頬を預けたままの桜がふいに尊の様子を窺うと、日頃の疲れのせいか瞼を閉ざした尊が微かに船を漕いでいるようだった。

一緒に暮らすようになってちょうど一月にあるが、尊が帰ってくるのは、いつも桜が就寢した後だというのに、起きるのも早い。

そのため、尊の寢顔などまだ一度も見たことがなかった。

加えて、転た寢するほど疲れているのに、自分のことを々と気遣ってくれているのだと思うと、堪らない気持ちになってくる。

    ーーなんだか子供みたいで可いなぁ。

    思いがけず、貴重な尊の寢顔を拝むことができた桜は、この上ない喜びを覚えていた。

    それからは、プラネタリウムなどそっちのけで、尊の寢顔ばかり眺めていた。

プラネタリウムの後には、とっぷりと日も暮れ、ネオンが煌めき始めた街並みを車でし移して、銀座にある老舗高級ホテルとして名高い『帝都ホテル』の最上階にあるお灑落なレストランへと赴いている。

プラネタリウムで上映されていた夜空を彷彿とさせるような、星空をイメージしているのだという、綺麗なプレートに注がれた旬の野菜で作られたスープを皮切りに、野菜と魚介類のサラダに、山菜や鴨のローストが添えられたパスタに高級黒和牛の創作料理、味しいスイーツなどなど盛りだくさんのコース料理を堪能しているところだ。

    これまで厳しく育てられてきた桜は、當然テーブルマナーなどは既にについている。

   なので、大人の雰囲気溢れる靜かな空間に、々気後れはしても、尊のさりげないサポートもあり、その點においては何の問題もなく、終始落ち著いて食事を楽しむことができていた。

   そんな桜から見ても心してしまうほど、さすがは今をときめくIT企業の経営者だけあり、尊のテーブルマナーもさり気ない気配りもスマートかつ完璧だ。

    立ち居振る舞いは勿論のこと、所作にしても優雅でとても洗練されている。

    おそらくここのスタッフも周りの客も誰一人、尊が極道者だなんて思いもしないだろう。

「どうした?  口に合わないか? 」

「とんでもない。どのお料理も蕓品のようでとっても綺麗で、食べてしまうのが勿なくて」

    本當は見惚れていたのと、一緒に居られるのが嬉しくて、がいっぱいなだけなのだが。そんなこと言えないし、バレる訳にはいかない。

「ふっ、そんなこと言って眺めてばかりいたら、不味くて食が進まないのかとシェフが勘違いして泣くぞ?」

「そ、それもそうですね」

「ああ。もし酒が飲めるなら、これならアルコール度數もそれほど高くないし飲んでみるといい」

「シャンパン……ですか?」

「いや、スパークリングワインだ」

「じゃあしだけ」

さっきまでとは違ったに苛まれつつも食事の合間に尊と談笑を混じえていたのだが、桜にはもう一つ気になることがあった。

それは、この一月の間、時折ヤスやヒサから聞かされてきた尊のの上のことだ。

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