《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》ヤクザと激甘新婚生活!?⑥

まさかそんなことを訊かれるとは思いもしなかったために、桜はなんとも間抜けな聲を出してしまう。

「え?」

「『え?』じゃない。いいから言ってみろッ!」

だが間髪いれず、尊に鬼のような形相で鼻息荒く追い立てるようにして問いただされ、桜は答えるしかなかった。

「あっ、はい。高校の頃にが下品だ……って言われて……」

尊の追及に弾かれるようにして返事を返し答えていくうち、薫に言われた際のが呼び起こされる。いたたまれなくなってしまった桜の聲も徐々に弱々しいものになっていく。

対して尊は、桜の言葉を聞いた瞬間、桜を抱く腕にプルプルと力を込め、至極忌々しそうに怒聲を響かせた。

「あの、思春期の子供相手にそんなことをいうとはデリカシーの欠片もないなッ!」

    どうやら桜に対して怒っている訳ではなく、酷いことを言った相手に憤っているようだ。

そしてその相手が誰であるかの見當もついているような口ぶりである。

尊の反応にどうしたものかと思いつつも、自分のことのように怒ってくれている尊の言が嬉しくもあった。

にあたたかなものが満ちてきて、辛いなどもうどこかに吹き飛んでしまったかのような心地がする。

桜が人知れず喜びを噛みしめていると、まだ怒りを抑えられないといった様子の尊から再び問い返された。

「他にはなんと言われた?」

「へ?」

もうすっかり違うところに意識が向いてしまってた桜は、素っ頓狂な聲しか出ない。

そこへ尊はさっき同様、尚も厳しく追及してくる。

「『へ』じゃない。継母だからって庇う必要なんてない。事と次第によっちゃ、この俺が葬り去ってやるから、さっさと答えろッ!」

その言葉には、騒なものが混じっており、桜は驚きのあまり一瞬唖然となる。

ーー葬り去ってやるって。まさか、殺しちゃうってこと?

だがすぐに一大事だと気づいた桜は、尊のことを阻止しようと大慌てで聲を放つ。

同じく、自分の問いに答えようとしない桜に痺れを切らしたらしい尊もまた、桜のことを追及しようと行に移す。

「いくら酷いことを言われたからって、殺すなんて駄目ですッ!」

「お前が許しても俺は許さないからな。妻であるお前を傷つけられて黙ってられるかッ!」

その結果、桜と尊の聲とが同時にハモってしまうこととなった。

尊は桜のを組み敷いて見下ろしており、桜は尊の顔を見上げるという勢となっている。

互いに言い切った直後、尊からの言葉を脳で反芻している桜の元に、一瞬だけハッとした様子を見せた尊から優しい聲音が屆いたときには、尊によって桜のは再びぎゅっと抱きすくめられていた。

「怖がらせて悪かった。葬り去るって言ったのは、社會的地位を奪うってことだ。実際に殺す訳じゃないから安心しろ」

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