とっても濃で刺激的すぎる尊との初夜を過ごした桜は、二十年間生きてきたなかで、こんなにも気怠い朝を過ごしたことがあっただろうかというほどの倦怠と疲労、筋痛のようなの痛みを味わうこととなった。

當然、をかすことさえできず、一日中ベッドの上で過ごす羽目にも。

そんな桜のことを意外にも甲斐甲斐しく世話を焼いてくれたのは夫である尊だ。

いつものように尊の腕のなかで目覚めた桜は、昨夜のあれこれを想起し、真っ赤に悶えていた。

これまたいつものように、既に目を覚ましていたらしい尊に、意地悪な言葉で揶揄われてしまうだろうと思い構えていたのだが……。

  開口一番、柄にもなく、神妙な面持ちの尊から、とてもバツ悪そうにしながら。

『桜、昨夜は酒がっていたとはいえ、我を忘れて、を気遣ってやれず、悪かった』

そう言って謝罪されてしまった桜は、驚きのあまり唖然とさせられた。

尊曰く、『政略結婚とは言え本の夫婦になったんだ。周囲の目を欺くためにも、を経験したことのないお前のためにも、本の妻のように大事にして、目一杯甘やかしてやる』ということであるらしい。

こんなことをずっと続けられては、本當にされていると勘違いしてしまいそうだが、そうとも言えず、桜は納得するしかなかった。

その後も、生まれたばかりの子鹿のように腳腰立たずに寢込んでいた桜のを々と気遣ってくれていた。

既には綺麗に清拭されていて、真新しいバスローブに著替えさせてくれてもいて。

あんなに凄いことをしておいて、今更と思われるかもしれないが、想像してしまった桜はとんでもない恥に襲われ悶えに悶えさせられた。

桜は終始真っ赤になってあわあわしっぱなしだったが、尊はどこか愉しげに、食事やトイレにお風呂といった様々な介助を、さも當然のことのようにやってのけたのである。

その姿は、まさに新妻の世話を焼く夫そのもので、どこから見ても本の新婚夫婦のようだった。