《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》極道の妻として⑪

今回、祖父の家を訪ねることになったのは、新婚旅行で箱に行くと聞きつけた弦一郎の『孫娘夫婦と顔を見て話がしたい』という願いからだった。

桜にしてみれば、寄りのなかったい自分を引き取ってくれた弦一郎のことを安心させてあげたいという気持ちもあったのだ。

それがまさか、こんなことになろうとは夢にも思わなかった。

つい數時間前、弦一郎と尊から聞かされた衝撃的な事実に、桜は未だ夢のなかをふわふわと彷徨ってでもいるかのような心境だ。

尊が元々は桜の政略結婚の相手だったというのだから、そりゃ無理もないだろう。

ふたりの話では、桜がまだ小學生に上がる前、尊が高校生になったばかりの頃に、政略結婚の相手として引きあわされていたらしい。

一番驚かされたのは、尊が日本最大の財閥系企業グループとして知られる、あの『菱沼ひしぬまグループ』の曹司だったということだ。

だが尊が大學學を控えていた時期、當時社長の職に就いていた父と後妻とを突然の事故で失ってしまうと同時に曹司としての立場も失ってしまうことになる。

なぜなら尊は父が人に産ませた子供だったからだ。

ならばどうして曹司として引き取られたのかというと。

それはまだ三十歳と若かった父が病気で男としての機能を失ったために前妻との折り合いが悪くなり離婚した。

その際、後継者問題で周囲からの軋轢に堪えかねた父が自らの保のために、病気で母を亡くし祖父母に育てられていた、まだ小學生低學年だった尊のことを引き取ったからであったらしい。

その後、父が再婚し、弦一郎の姪である絹代が尊の継母となり、実の子供のように、また尊のことを後継者としか見ていなかった父以上に可がってくれていたそうだ。

それが両親が突然の事故で亡くなったことで、父の弟であり當時の副社長だった叔父や親族らに、妾腹の子だった尊は掌を返したように疎んじられるようになったことで、尊自らが相続を放棄し、縁を切る見返りとして一千萬の小切手を渡されたことで事実上天涯孤獨のとなったのだという。

ちなみに、尊の祖父母もとうに亡くなっているらしく、『九條』という姓も実の母のものであるようで、弦一郎も調べるまではわからなかったようだ。

  

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