《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》極道の妻として⑭
ようやく泣き止んだ桜がぼうっとしていると、尊がホッとしたように息をつく気配がして。
「落ち著いたか?」
視線を向けた瞬間、視線が絡まり、ふっとらかく微笑まれてしまい、が甘くざわめいた。
これしきのことでときめいている場合ではない。これから尊と本當の夫婦になるためにも、しっかり確認しておかなければいけない。
もしも尊が桜から離れようとしているのなら、なんとしてでも阻止しなければならないのだ。
桜は立て直すためにも、挑むような心持ちで尊に向き直った。
「……は、はい。混してしまい、すみませんでした」
「いや。俺こそ黙っていて悪かった。お詫びと言っちゃなんだが、気になることがあるならなんでも言ってしい。もうお前に泣かれるのはご免だからな」
「……え、あっ、はい。ありがとうございます」
「その前に、前から気になってたんだが。夫婦なんだから、敬語、やめないか?」
ところが尊の反応が予想に反していたうえに、思いがけない要求まで追加されてしまった。
ーーあれ? 思ってた展開と違う。もしかして私の考えすぎ? それとも私の注意を逸らそうとしているとか?
だとしたら、ここは毅然としなければ。
「……あっ、はい。わかりまーーって、いや、あの。急にはちょっと」
「ああ、そうだな。追々で構わない」
「はい。あっ、あの、気になること聞いてもいいんですよね?」
敬語のことはひとまず置いておいて、単刀直に切り出したことで、話題が一番気にかかっていたものへと移行していった。
「あの、お見合いの席で助けてくれたのって、偶然だったんですか?」
「結論から言えば、途中までは偶然だが途中からは違う」
桜の兄である愼と子アナの件でいていたときに、たまたま桜の見合いのことを知ったらしい。
元々、ハッピーフラワープロジェクト関連で、窓口になっている薫経由で桜に監修の依頼を打診していたのだが、よい返事がもらえなかったことで、次の一手を考えていたときだったのだという。
薫にしてみれば、実子である愼より桜が目立つのが嫌だったのと、縁談のことがあり桜を表に出すのを控えたかったのだろう。
そこで、見合い相手の父親である佐久間優太郎を利用することにしたそうだ。
それが可能だったのも、縁を切ったとは言え、を引く親族には変わりないので、極道者になった尊のことが明るみにならないように、これまでも裏で幾度となく菱沼グループがいてくれているおなのだと、忌々しげに吐していた。
「昔のこととは言え縁があって政略結婚の相手として引きあわされて、妹同然だったんだから、どんなことをしてでも助けてやりたかった。ただそれだけだ」
尊の心を思えば、なんとも複雑だが、桜のことをなんとか救い出そうとしてくれていたことが嬉しかった。
けれど尊の口から桜に対してどう思っているかについての説明がなかったことで、諸々の不安が信憑を帯びてくる。
ーーやっぱり、いずれ自分から距離をとろうとしているんだ。
やっと浮上しかけていた気持ちがズシンと沈みそうになる。
天澤家から出る以前の桜なら、ここで諦めの境地になっていたに違いない。
でも今は違う。
さっきはんな報が一気に押し寄せてきたせいで頭が混し取りしてしまったけれど、落ち込んでいても泣いていても狀況なんて変わらない。
幸せになりたければ、自分から摑み取りに行くぐらいの覚悟でないと駄目だ。
尊と再會したあの日、尊から差しのべられた手を自分の意思で摑み手繰り寄せたときのように。
ーーくよくよしている場合じゃない。メソメソ泣いていたら幸せが逃げていくだけだ。
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