《狂的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執著〜》極道の妻として⑯

ようやく気持ちを伝えることができたのに、尊からは『好きだ』という言葉はもらえなかった。

照れている素振りはあったが、はぐらかされているような気がしないでもない。

でもよく考えてみれば、それはしょうがないのかもしれない。

ずっと隠してきたのに、あっさりバレてしまい、なにもかもの予定が狂ってしまったのだ。

その狀況の変化に対応できないだけなのかもしれない。

し取りしてしまった桜のように。

それでも尊は、極まっていきなりにダイブした桜に怒聲を放ったものの、力強くしっかりと抱き留めてくれた。

今だってこうしてソファに寄り添い合うように寢転んで、桜のことを大事そうに包み込んでくれている。

こうして尊の傍にいられるだけで、凄く安心する。なにもかもがどうでもよくなってくる。

この人が傍にいてくれたら、もうなにもいらない。

もしも尊が極道者となった自分のことを気にしているのなら、全部取っ払ってあげたい。

尊が極道者であろうと、そうでなかろうと、尊は尊だ。

尊が極道者である以上、それを傍で支えてあげたい。

その覚悟ならとっくにできている。

そのことを尊にもわかっていてしい。

そうでなければ本の夫婦になんてなれないどころか、尊がいなくなってしまう。

ーーそんなの嫌だ。

尊のにぎゅっとしがみついたまま桜は思考を巡らせていた。

そこへ尊からいつもの笑み混じりの揶揄い口調が投下され桜はハッとする。

「さっきまで泣いてたクセに、えらくご機嫌だな。俺のことを可いだなんて、迷ったこと言うし」

どうやら『可い』と言われたことが面白くないらしいが、そんなことはどうでもいい。

弾かれたように顔を上げた桜は、尊になんとかこの想いを伝えようと必死に言い募る。

「だって、ずっと會いたかった初の人が尊さんで、同じようにずっと好きでいてくれてたなんて、こんなに嬉しいことはないです」

すると、この期に及んで尊はすっとぼけようとする。

「ちょっと待て。誰がずっと好きだったと言った? 俺は可い妹だとしか言ってないぞ」

ーーでもそうはさせない。今までの私とは違うんだから。

「え、でも、お祖父さまの話だと、今も昔と変わらず好いてくれてるって」

「あれは、お前の爺さんが勝手にそう思い込んでたってだけだろ」

「でも、可いとは思ってくれてたんですよね?」

「ま、まぁな。未來の結婚相手だったし、お前にも酷く懐かれてたからな。もういいだろ。こうして一緒にいられるんだし」

意気込んで尊に食い下がろうとする桜に、尊はやはりのらりくらりとわそうとする。

ーーもうこうなったら真正面からぶつかってやる。駄目でも絶対に諦めたりしないんだから。

「はい。そうですね。とっても嬉しいです。だからずっと一緒にいたいです」

想いが急くあまり真っ向から本日二度目のダイブを決行してしまう。

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