そんな日々を経て現在。

以前よりも家事にも協力的になって、完璧なスパダリぶりを発揮してくれている尊のサポートのおで、とても幸せで充実したマタニティライフを満喫させてもらっている。

櫂に除籍を言い渡されたあの日。極道の世界か引退した尊はどうしているかというと。

T＆Kシステムズの経営者として以前よりも一層力的に仕事をしている。

といっても、定時である十八時きっかりにオフィスを出て帰宅するのは十九時。それからは疲れた顔も見せず家事をしてくれている。

けれどし困ったこともあった。

それは近頃やたらと重の桜のことを気遣う余り、以前にも増して神経質になってしまっているということだ。

晝間の妊婦健康診斷では、擔當醫である年配の醫師から、安定期に突したことから、夫婦生活を再開してもいいというお許しが出され、そのことを尊に話しているところであるのだが……。

「桜、本當に大丈夫なのか？」

話した途端に、尊は難を示し始めた。

重ののことを気遣ってくれるのは有難いことだが、妊娠して以來ご無沙汰だったし、尊とのこういう時間も大事にしたいと思っている桜にとって、渋る尊のことをどうやってその気にさせようかとあれこれ策を講じて臨んでいるのだ。

これしきのことで諦めるわけにはいかない。

「はい。擔當醫の先生も、あんまり過激なことをしない限りは大丈夫だって言ってましたよ」

「なんだ、その、『あんまり過激なことをしない限りは』っていうのは。的にどんなことだ？」

「どんなことって……言われても。あっ、これ見ればわかるんじゃないですか？　今日、買ってきたんです。ひよこっこクラブ」

「どれどれ……。へぇ、スローセックスでお腹の赤ちゃんにも、お母さんにも負擔なく、夫婦の絆を深めるために。で、避妊はした方がいいんだなぁ。ふんふん。で、首への強い刺激は、子宮の収をーー」

「あっ、あの、尊さん。別に音読しなくてもいいですからッ！」

「そんなに真っ赤になって、なにを照れてるんだ？　桜は」

ーーもう、わかってるクセに。意地悪なんだから。そういうところも好きだけど。

「こーら、そんなに怒ると胎教にも悪いし。可い顔が臺無しだぞ。桜」

「……あっ、……ふぅ……んっ」

夜も更け、寢室のベッドに隣り合って寄り添いあい、わいわい言い合っているうちに、尊のことをなんとかその気にさせることに功した桜は、尊との甘やかなキスへとを投じた。

尊との甘やかなキスに酔い癡れていた桜が完全にけきった頃には、につけていたパジャマは取り払われていた。

妊娠しお腹が膨らんできたこともあり、自分からその気にさせたクセに、今さらながらにそのことが気になってくる。

桜はそうっと羽布団を引き寄せを覆い隠す。

実は、購したひよこっこクラブの新米ママのお悩み相談室というコーナーで、妊娠・出産をきっかけに、夫が妻のことをではなく、母親としてしか見られなくなったことで、セックスレスになってしまった。という記事を目にしてしまったからだ。

型のことを気にしていたはずが、素早く服をぎ捨てた、匂い立つような圧倒的な香を纏う尊の鍛えられた蕓品のようなと、描かれた刺青に魅られていた。

だがそれだけではない。

妊娠前、尊に幾度となく翻弄された、甘やかで濃厚なひとときを思い出し、を高鳴らせ、火照ったが甘く疼くという、はしたない反応を示している。

そのことを尊に悟られまいとしたところで、結局は尊のペースに乗せられて、なにもかもを曬してしまうこととなるのだけれど。

＊

「それにしても心外だな。俺のを舐めんなよ。桜の見かけがどんなに変わろうが、俺の気持ちは変わらない。一生し抜いてやるから安心しろ」

し拗ねた表の尊に頬を両手で捉えられ、言い聞かすように優しい臺詞が降らされた。

返答の代わりに、素直に頷いてみせた桜のはあたたかなもので満たされていく。

そんな桜の元に、尊から獨占剝き出しの狂気めいた臺詞が降らされたことで、桜のも心も歓喜に打ち震える。

「その代わり、浮気なんかしてみろ。地獄の底まで追いかけてやるからな」

「はい」

嬉しさを通り越して夢心地の桜は、なんの躊躇もなく即答していた。

尊は素直な桜のことを満足そうに見遣ると。

「なら、遠慮は無用だな。俺がどんなに桜のことをしているかを今からたっぷりと教えてやる。いいな？」

これまで幾度となく耳にしてきた尊の傲慢ともとれるの言葉に、桜が素直にコクンと顎を引いたことにより、甘い甘い夢のようなひとときが幕を開けた。

それはこれまでのものとは違い、重の桜のを労るような、とても優しくて焦れったくももどかしいものだった。