《【コミカライズ】寵紳士 ~今夜、獻的なエリート上司に迫られる~》「俺に下心がないと思う?」1
◇◇◇◇◇◇◇◇
「雪乃ちゃん、なんか良いことあった?」
いつもと変わらない和やかな総務部。
皆子は黙々と仕事をしていた雪乃を覗き込んで尋ねた。
「えっ……そう見えますか?」
眼鏡の奧で幸せそうに緩んでいる目もと、頬が上がりいつもより高い位置にあるマスク。
いつも雪乃をじっくり観察している皆子には、ほかの人には到底気付かない彼の変化をすぐにじ取れる。
「だってニヤニヤしてるもん。ほら、白狀しろー?  なにがあったんだー?」
「な、なにもないですって」
ボールペンのうしろでカチカチとちょっかいを出してくる皆子を止めながら、雪乃は首を振る。
晴久のことは誰にも話す気がなかった。
もし彼に泊めてもらっていることが誰かに知られたら、に騒がれるのが苦手な晴久に迷がかかる。
関係で苦労した経験のある彼に二度と同じ思いをしてほしくない。
(ごめんなさい、皆子さん)
皆子を疑ってはいないものの、彼のためにも報をもらすべきではない、雪乃はそう決めていた。
しかし、次に皆子から「もしかして、好きな人でもできた?」というピンポイントの質問をされると、思わず顔が赤くなる。
「あー、雪乃ちゃん図星?」
「あっ……いえ、違っーー」
「噓つくの下手!  絶対好きな人できたんじゃん!  誰!?  どこの人!?」
皆子の聲が周囲に聞かれるのを恐れ、慌てて「わー!  わー!」と自分の聲を重ねた雪乃だが、そのせいで彼の言い分が図星であると証明してしまった。
「で、誰?」
皆子に再度小聲で聞かれ、雪乃は今度こそ誤魔化しきれないと観念する。
しかしどうしても明かすことはできず、申し訳なさでうつ向いた。
「言えません。私の一方的な片思いですから……」
「えー、そうなの?  知りたかったなぁ。どうしてもダメ?」
「ごめんなさい皆子さん。いつもお話聞いてもらってるのに……」
実際はただの好奇心で聞き出しているだけだったが、健気に謝る雪乃に同ながらトキめいた皆子。
デスクの引き出しを開け、小さな缶から銀紙に包まれたチョコレートをひとつ取って雪乃のデスクへ転がした。
「いいよいいよ。男の人が苦手な雪乃ちゃんに好きな人ができたってだけで、まずは嬉しいから。それお祝いね」
「わ、ありがとうございます」
小さなチョコレートひとつで目を細めて喜ぶ雪乃を見て、皆子も頬杖をついて微笑んだ。
「雪乃ちゃんのハートを止めたんなら、さぞやいい男なんだろうなぁ」
「……はい。素敵な人です」
晴久を思い出し、さらに雪乃の頬は緩む。
雪乃を見つめながら皆子も人への片思い期間を振り返り、そういえばこんなじだったなぁとしみじみ懐かしんだ。
「雪乃ちゃんは格も良いし、顔はもちろん言うことなしなんだから。素直になれば上手くいくと思うよ。自信持って」
「……頑張ってみます!」
ガッツポーズをしてみせ、おしゃべりを終える。
晴久に恥じないようにと、さらに気合いをれて仕事を再開した。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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