《【コミカライズ】寵紳士 ~今夜、獻的なエリート上司に迫られる~》「今夜は優しくできそうにない」2
◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝、雪乃は一度自宅アパートへ戻った。
お灑落をするために十分な道を持ってきておらず、自宅の化粧品やヘアーアイロンを使うためである。
一緒に來てくれるという晴久の申し出は斷った。
きちんと気合いをれてお灑落をするのは友人の結婚式のときくらいで、慣れないことには時間がかかる。
慌てながら準備をする様子を彼には見せたくなかったのだ。
服は著る機會のなかった白のワンピースに、こちらも使っていなかったアイスブルーのノーカラーコート。
今の季節にも、彼の名前にもよく合う。
巻き髪にしても良かったが、あまり変わりすぎても恥ずかしいため先を側に揃える程度に整えた。
出來上がった自分を鏡で見て、雪乃はほんのりと赤くなる。
お灑落自が久しぶりなのもあるが、ここ數日でしだけ綺麗になっている気がした。
ツヤもいいし、笑顔が自然に見える。
もしそうだとしたらそれは毎日あの晴久にされているからだろうと考えると、夜の熱的な彼を思い出し、雪乃は頬を押さえた。
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(私、こんなに幸せでいいのかな……)
十年間、手にらなかった幸せを一気に手にれ、しかも相手は運命的とも言えるほどに理想の人。大人の階段も登ってしまった。
これからデートに出かける自分は、今までとはまるで別人のようにじた。
雪乃が準備ができた旨の連絡をれると、晴久はすぐに迎えに來た。
「晴久さん、お待たせしまし、た……」
エントランスで落ち合うと、雪乃は現れた晴久に目を奪われた。
(格好いい……!)
黒いジャケット姿のシンプルな私服をスマートに著こなしていて、端正な顔を際立たせている。
スーツのときは後ろに流していた髪を今日の彼は前に流しており、いつもより若々しく見えた。
上司というイメージが強かったが、今は人として隣を歩くのだと思うと、これからデートだという実が湧いてくる。
しかし舞い上がりそうになっているのは晴久も同じだった。
「どうしよう。すごいかわいいな、雪乃……」
可憐に仕上がっている雪乃を前に、肩を抱くのも躊躇するほど。
「そんな……!  晴久さんの方が素敵で、まぶしくて直視できないです」
まぶしい、というジェスチャーをした雪乃のおかげでほんのし張がほぐれていく。
思いきって袖にれてきた彼に応え、晴久はその手を握った。
この日、どこへ行きたい、という晴久の問いに対して雪乃がリクエストしたのは、「王道のデートコース」。
人らしいことをなにもしたことがない彼は、とにかく好きな人とデートができるだけで満足だった。
ざっくりとしたリクエストだが、なにをしても正解となることに晴久も肩の荷が下りており、同様にワクワクしている。
まずは、人気のイタリアンのお店へ。
ベネチアをイメージした裝で、外のテラスには小さな噴水がある。
せっかくだからとテラス席を選び、雪乃は鮭のクリームソース、晴久はボロネーゼを注文した。
食べながら、これからの予定を本格的に話し合うことに。
「暗いところが苦手だと、もしかして映畫館とか行ったことない?」
「そうですね……高校生のときに友達と行ったきりです」
それどころか暗いと水族館や博館、遊園地でもお化け屋敷やダークな乗りは絶対ダメ。
もしやデートできる場所はないのでは……と不安になり、晴久の表をうかがった。
「今日は?  暗いところには行かずに買いとかテーマパークに行ってもいいし、あえて映畫とか暗い場所に挑戦してもいいよ。今日は俺がいるから、手を繋いでてあげるし」
「え!  本當ですか!」
ひとつの案として言っただけなのだが、彼の食い付きは予想以上だった。
雪乃は映畫館に食い付いたのではなく、晴久が手を繋いでいてくれることに食い付いたのだが、彼はそれを悟られないようすぐに「映畫に行ってみたいです」と言い直す。
「いいよ。調べる」
すでにボロネーゼを食べ終えていた晴久は、テーブルの上でスマホの畫面を作し始めた。
(優しいなぁ、晴久さん)
その間に、雪乃はゆっくりとパスタの続きを食べる。
「何でもやってる。どれがいい?」
シアターの公式サイトから、上映スケジュール一覧を雪乃に見せた。
コメディ、アクション、SF、ラブストーリー、ホラーなど、休日の今日は富に上映予定が詰まっている。
「ラブストーリーでもいいよ。観たいんじゃない?」
迷っている雪乃に、晴久は笑顔で提案した。
「……なんで分かったんですか?」
気になっていたものを真っ先に當てられ、雪乃はパスタを飲み込んで赤くなる。
「王道がいいんだろう?」
「晴久さんは?」
「俺も真っ赤になってる雪乃が見たいから、ラブストーリーがいいな」
「語じゃ赤くなりません!」
説得力がないほどすでに赤い顔をしながら、雪乃は晴久に抗議した。
(じゃあなになら赤くなるのかな?)
彼をいじめるのはやめ、心の聲はにしまっておく。
エスコートに徹するという目的を持っていた晴久だが、彼とは特別気を遣わなくても會話のペースが合い、そばにいるだけで楽しかった。
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