《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》

悪魔のようなニコニコチンな説明會に呆れた俺は、自習室をあとにする。

「まったく、クソみたいな高校だ」

教室を出る際、宗像先生にトイレの場所を尋ねると、「中央玄関の隣り」だという。

この一ツ橋高校、いや三ツ橋高校の校舎は三階建て。ちょうどアルファベットでYの形をした校舎で、中央玄関を點にして、3つに分かれている。

北西が特別棟、理科室、音楽室、室、パソコン室などの実習室。

北東が部室棟、主に部活する際に利用される。

南が教室棟。平日は三ツ橋高校の生徒の教室であり、休日に俺たちがスクーリングに使う場所だ。

可も不可もないただの教室だらけの平凡な棟。

南側の教室棟は春だというのに寒くじる。スリッパを履いていても床の冷たさをじる。

中央玄関の曲がり角が、トイレだ。

だが、その前に誰か立ちふさがる。

「おい、おまえ!」

甲高い聲が俺を呼び止める。

「おまえ、さっきオレにガン飛ばしてただろ?」

そう俺に詰め寄ってきたのはさっきのヤンキーだ。

しかも『オレっ子』キャラか、濃いキャラ立ちだな。

「なんのことだ?」

「とぼけてんじゃねーよ! てめえ、式の時も教室でもオレを睨んでただろ!」

は? この娘は電波系ですか?

「いやいや、なんで俺が君を睨まないといけないんだよ? そもそも俺に何のメリットがある」

「メリット!? なんだそりゃ!」

え? 今ので伝わらない? シャンプーじゃないよ?

「だから俺は君を睨んだりしてないし、君に敵意を向けたつもりはないよ」

ヤンキー娘は「ぐぬぬ」と俺の言葉にイラついているように見えた。

まるで腹をすかせた子貓のようだな。かわいいぜ、ちくしょう。

「じゃあ……じゃあ、なんでオレの方を見てた!」

え、自意識過剰なの? そんなに自分のこと「ワタシってカワイイもん☆」とか思っちゃっている子なの?

殘念だな~ 俺、そういうの子嫌いなんだよね……。

しかし、「なぜだ?」そう言われると確かにそうだな。

ここは答えてやらねば、俺もこいつも白黒ハッキリできんよな……。

1回しか言わんからな……。

「かわいいと思ったから」

「……」

一言。

俺はある種癖を暴するかのような恥プレイを楽しむ。

ヤンキー娘は黙り込む。

顔を赤らめて、をプルプルと震わせている。

フッ、やはり俺のような天才はこんなツンデレ娘に惚れられる運命なのか。

「オレは……」

は必死に何かを言いたげそうにしている。

「は?」

「オレは……」

オレオレ詐欺にでもあったのかな。

「だからなにが言いたい?」

「オレは……オトコだぁぁぁぁぁ!」

「へ?」

剎那、彼白で細い手が拳をつくると、俺の顔面めがけて奇麗なストレートパンチをお見舞いした。

「ふんげっ!」

のパンチはその華奢な形とは思えないぐらい、強烈だった。

小さな拳からはまるでトラックが衝突してきたかのような威力だ。

俺は倒れながら人生で初めて鼻験した。いや、毆られたこともない、親父にだって!

學式と同じく、床に転がり、またケツを頭にした例の『3つん這い』になる。

ケツだけぶりぶり~♪ 誰か笑って……。

視界がグラグラと揺れる。床に座りなおすことはできたが、未だに立ち上がることはできない。

それでも、俺は憤りを堪えることができず、相手に牙を向く。

「な、なにをする! 初対面の人間に向かって!」

「うるせぇ! お、おまえがオレに……オレにか、かわいいとか言いやがるからだ!」

「かわいいと思ったことが何が悪い!」

だが本當にこいつが男だとは思えない。聲ものように甲高いし、見た目は百パーセント、だ。

そう俺だけがそう見えていたのかもしれない。

こいつはまごうことなき、男子だったのだ。

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