《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》
一ツ橋高校の事務所にたどり著くとノックを2回ほどする。
奧から「れ」との聲が聞こえる。
「失禮します」
事務所のカウンターの後ろで、宗像先生は一人背中を向けて座っていた。
ボロくて汚いマグカップでコーヒーを啜りながら、レポートに目を通している。
「おう、新宮か? なんだ、わからないことでもあったか?」
イスを回した宗像先生はこれまた風紀しまくりな格好をしていた。
全チェックのボディコン、元ザックリ、座っているのでパンツもモロ見え。
紫のレースか……。
「わからない? ……このアホな問題がですか?」
リュックから昨晩書き上げたレポートを宗像先生の機に放り捨てる。
「ふむ……おお、お前頭いいな! 全問正解だ、よくできました♪」
なんだろう、褒められているのに、この屈辱は。
「あのですね……ラジオで答え、丸分かりなんですよ。ただ、教師が言ったことを空欄に埋めるだけの作業じゃないですか? バカにしているんですか?」
Advertisement
そう言うと、宗像先生は鬼の形相で立ち上がった。
ピンヒールをはいているせいもあって、男の俺が見上げてしまう。しかもこの人、元々がにしては背が高いし……。
「新宮……お前。文句だけ言いに、わざわざこの私へと會いにきたのか!」
こわっ! 生徒を恫喝している教師とか、今時いるんすね。
「そ、そうですよ。こんなんじゃ、卒業とか楽勝すぎるでしょ。通う意味あるんですか?」
「何が言いたい?」
彼の目はどんどん険しくなる一方だ。
「こんなレベルで高校卒業とかありえんでしょ? それに先生は“レポートを寫すな”と強調されていたでしょ? 寫すまでもないって言いたいんですよ!」
宗像先生は俺の問いに睨みを聞かせると、何を思ったのか、棚から汚いマグカップを取り出す。
その汚いマグカップでコーヒー飲ますの? やめて、俺いらないよ?
「新宮……本校で一番、大切なものは何だと思う?」
「ん~、勉強?」
「ばかもん」
宗像先生は棚から賞味期限のシールも曖昧なインスタントコーヒーを取り出すと、お湯を注ぐ。
うわっ! 腐ってないの?
「ほら、座れ」
そう言うと事務所奧のソファーに通される。
どうやらここが、生徒と會話する場所らしい。
得のしれないコーヒーを機に置くと、先生はドスンと反対のソファーに座る。
パンモロってレベルじゃねーぞ。
「いいか、お前のはじめての授業は“継続”だ」
「は、はぁ……」
これって絶対授業とか言いつつ、説教にるパターンだろ。
「あのな、全員が全員、ラジオを聞ける環境も多くない」
今時、ラジオなんてどこでもあるだろ!
「新宮、お前は恵まれた環境で育っているだろ?」
恵まれた? 俺が? 小學生でドロップアウトしたこの俺が!?
「そうは思いませんが……」
「まあ聞け。お前みたいな親さんが二人そろって健在なのが當たり前……ってのが恵まれているんだ」
「でも、だからって……こんな小學生でも解けるような、(というか、ただ書くだけ)問題で卒業させるとか……」
「だからお前は自を社會人とかいうのだろ? お前自が特別な存在であって、『俺はあんな不良どもと違う。これでレポート寫すとかどんだけバカなんだ』とかな」
いやそこまでひどいことは考えてませんが。
「まあ俺の言いたいことはだいだいあってます」
「いいか、お前のようにちゃんと義務教育をけてきたものばかりではないのだ。だからあいつらには……ラジオがないと知識がないのだよ」
ん? それってどこの國。
「この日本でそんなスラム街があるんですか?」
「馬鹿者!!!」
その時ばかりは俺も背筋がピンッと立つ。
「吠えるなよ、若造が! お前のように恵まれた環境でぬくぬくと育ったやつには言われたくないんだよ!」
「う……」
「新宮、お前は不良たちを目の敵にしているが、ちゃんとあいつらと正面から向き合ったことはあるか?」
なんでそんなことをしないといけないんだ、あいつらは犯罪者予備軍だろ! あ、オタクもか。
「この俺がですか? あんなめっちゃグレーゾーンなやつらと仲良くできるわけないじゃないですか? それこそ、喫煙だってするし、下手したら無免許に前科だってあるかもしれない連中でしょ?」
俺の持論に宗像先生の眉間にはめっちゃしわが寄っている。
しかも的になっているせいか、足を開いてガニになっており、おパンツどころの騒ぎではなくなっている。
「だからどうした?」
「……俺は真面目でやってますし、事を白黒ハッキリさせない分なので奴らとは相容れない立場といいますか……」
「それだけか?」
「はい……」
宗像先生は不味そうなコーヒーをがぶ飲みすると、ため息をついた。
「お前、親がいない子供のことを考えたことあるか?」
「それは……なかったです」
「いいか、あいつらだって最初からワルだったわけではない。お前と一緒で何かにぶつかって挫折したにすぎない」
「……」
「もし本校がなくなってみろ? あいつらはどうなる? 行き場を失い、更生するチャンスも持てないだろ?」
「そんなのは甘えでしょ? 己を高めればいいだけであって……」
俺がそういうと宗像先生は、自の頭を暴にグシャグシャとかく。
「はぁ……ああ言えばこう言うな、お前は。『日葵ひまり』も偉い逸材をおくってきたもんだ……」
日葵というのは俺の擔當編集のロリババアだ。
「あのな……中卒だと、取れない資格や賃金だって差がでるんだ」
「それがなんですか?」
「お前のように親さんも健在で実家暮らしなやつはヤンキーにはない。片親か家族として機能していない家庭が多い」
「……」
「學した理由が“給料アップ”という不純な機であろうといいじゃないか。それがきっかけであいつらが犯罪に走ることなく、立派に卒業できたら私は嬉しい。まあ十代で家庭を持っているヤンキーは好かん! だが……それはお前も同じだぞ、新宮」
なにが? 俺は奧さんいないですよ? アラサーのひがみはやめてくださいな。
「あいつらとは……違います」
「私から見れば、全く変わらん。だからしはお前のその……なんだ? 優しさをあいつらにもわけてやってくれないか?」
そう言うと宗像先生は俺に優しく微笑みかける。
「俺がですか?」
「ああ、お前は私が一番期待しているルーキーだ。歪んだお前ならあいつらとも仲良くやれそうだ。しかもお前には出席番號一番としてリーダーシップを発揮してもらわないとな☆」
「はあ!? なんで俺が一番なんですか?」
「あれ? 知らなかったのか? 出席番號は願書が理された順番、先著順で決まる。お前が今年一番に出したから、出席番號も同様だ」
謀ったな! あんのクソ編集めが!
「そう……ですか。でも、俺はリーダーなんてまっぴらごめんです!」
俺がそう言うと宗像先生は巨大なメロンを投げ売りして笑う。
「だぁはははっははは!」
下品な笑い方だ。そんなんだから嫁の貰い手がないのだ。
「私にはそうは見えんぞ! お前の格はかなりお節介なやつだからな!」
「なっ!」
先生は立ち上がると、俺にそっと近づく。
「お前も……苦労したんだな」
そっと宗像先生が俺を優しく抱きしめる。
先生のふくよかな谷間に顔を埋めると、心臓の音が聞こえる。
わぁい! バーブー!
「な、なにを!」
「照れるな。お前がそうやって、壁にぶつかるたび、私が抱きしめてやる。誰かと比較するな。そんなに自分を責めるな」
おっぱいで息ができない。窒息死そう……。
「は、離してください!」
俺は突き飛ばすように、宗像先生の腕を離す。
「どうした? 貞を捨てさせてあげてもいいのに……私はこう見えてテクはもっているつもりだが……」
キモいわ! 俺はあいにく巨が大嫌いなんだよ!
「お、俺をおちょくっているんですか!?」
「いいやぁ」
そう言う先生の笑みはとても大人っぽく、危険な匂いがする。とても甘く、毒々しい。
「俺は……今までだって、一人でやれてきたんだ!」
「だからなんだ?」
「……だから俺をそんな憐れむような眼で、見ないでください!」
そう言い殘すと、宗像先生に背を向けた。
逃げるように、事務所の扉に手を掛けた瞬間。
「新宮!」
振り返ると、先生はまた優しく微笑む。
「な、なんですか!?」
「忘れだ」と言って、俺に投げキッスを放り投げる。
やめろぉぉぉぉ!!!
いろんな意味でメンタルがボロボロになる。
俺は先生の振る舞いを無視して、事務所を後にする。
「くっそぉぉぉ! あんのアバズレ教師めが!」
このあと口直しにアイドル聲優の『YUIKA』ちゃんのPVをめちゃくちゃ見まくった!
島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪
罪を著せられ島流しされたアニエスは、幼馴染で初戀の相手である島の領主、ジェラール王子とすれ違いの日々を過ごす。しかし思ったよりも緩い監視と特別待遇、そしてあたたかい島民に囲まれて、囚人島でも自由気ままに生きていく。 『王都よりよっぽどいいっ!』 アニエスはそう感じていた。……が、やがて運命が動き出す。
8 78高校ラブコメから始める社長育成計畫。
コミュニケーションの苦手な人に贈る、新・世渡りバイブル!?--- ヤンキーではないが問題児、人と関わるのが苦手な高校二年生。 そんな百瀬ゆうまが『金』『女』『名譽』全てを手に入れたいと、よこしまな気持ちで進路を決めるのだが—— 片想い相手の上原エリカや親友の箕面を巻き込み、ゆうまの人生は大きく動いていく。 笑いと涙、友情と戀愛……成長を描いたドラマチック高校青春ラブコメディ。 ※まだまだ若輩者の作者ですが一応とある企業の代表取締役をしておりまして、その経営や他社へのコンサル業務などで得た失敗や成功の経験、また実在する先生方々の取材等から許可を得て、何かお役に立てればと書いてみました。……とはいえあくまでラブコメ、趣味で書いたものなので娯楽としてまったりと読んでくだされば嬉しいです。(2018年2月~第三章まで掲載していたものを話數を再編し掲載しなおしています)
8 159あえて鈍感のふりをしてみた
お父さんが新しいお母さんと再婚することになった! それと同時にアメリカ留學していた裕太は日本に帰ることに そして、ものすごく可愛い妹が一人できるみたい かなり俺のことを好意的に見てるみたいだけど、これってもしかして鈍感なふりをしたらいっぱい甘えてくれるとか? ありえるよね!よし、そうしよう! 軽音要素多めです。苦手な人はブラウザバック。 ちなみに筆者はバレー部です笑 初投稿なのでミスなど指摘してくれるとありがたいです かなり誤字あるみたいですすみません! 指摘され次第すぐに直します! コメントも待ってます! ツイッターアカウント作りました!フォローしてちょ @yamataro_364 DMやリプも受け付けてます 表紙描いてくれる人募集中!! 740フォロー、640いいね、ありがとう!!! 投稿再開!!
8 124王子様は悪徳令嬢を溺愛する!
「スミマセンお嬢さん」 ぶつかって來た彼は、そう言って笑った。 女遊びにイジメは見て見ぬ振り、こんな調子じゃ結婚したらなおさらでしょう。 アリエノールは國王に宣言した。 「たとえ、これから良家からの縁談が無くなったとしても、私はこの馬鹿王子との縁談を破棄させて頂きとうございます」 謎の留學生マリク。彼は一體何者なの!?
8 165付き合ってから結婚するまで
少し前に間違って消してしまった「付き合ってから結婚するまで」シリーズを1から書き直してみました。 毎週土曜日更新。 主人公五十嵐優人と、幼なじみでヒロインの工藤陽菜が付き合い、結婚するまでのストーリーとなっております。 また、結婚してからのストーリーも「付き合って結婚した後」として、連載中です。
8 162【連載版】落ちこぼれ令嬢は、公爵閣下からの溺愛に気付かない〜婚約者に指名されたのは才色兼備の姉ではなく、私でした〜
アイルノーツ侯爵家の落ちこぼれ。 才色兼備の姉と異なり、平凡な才能しか持ち得なかったノアは、屋敷の內外でそう呼ばれていた。だが、彼女には唯一とも言える特別な能力があり、それ故に屋敷の中で孤立していても何とか逞しく生きていた。 そんなノアはある日、父からの命で姉と共にエスターク公爵家が主催するパーティーに參加する事となる。 自分は姉の引き立て役として同行させられるのだと理解しながらも斷れる筈もなく渋々ノアは參加する事に。 最初から最後まで出來る限り目立たないように過ごそうとするノアであったが、パーティーの最中に彼女の特別な能力が一人の男性に露見してしまう事となってしまう。 これは、姉の引き立て役でしかなかった落ちこぼれのノアが、紆余曲折あって公爵閣下の婚約者にと指名され、時に溺愛をされつつ幸せになる物語。
8 104