《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》65 修羅の國

リアルJKこと赤坂 ひなたはスマホ畫面を見つつ、をプルプルと震わせている。

古賀 アンナの自撮り寫真を見て、なぜか激怒している。

「センパイ! 一、誰なんですか!? この可の子!」

そう言って、アンナの寫真を見せつける。

俺のスマホなんだけどなぁ。

「だから言っているだろ。俺の仕事に協力してもらっている相手だ。ただの取材対象に過ぎない」

まあ事実だからな。

「取材対象にしては可くしすぎです! なんなの!? フリルだらけでピンクまみれのファッション! しかもツインテールとか、あざとすぎです!」

いや、容赦ないな……相手は男なんだから、もうちょっと優しくしようぜ?

「なあそろそろスマホ返してくれるか?」

「……」

今度は無言か。

という生きはわからんな。

「ムカつく!」

「へ?」

なにを思ったのか、赤坂は俺のスマホをポチポチといじり出した。

おいおい、人様のスマホを勝手にいじってはいけませんよ?

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「このアンナって子がセンパイの書くラブコメのヒロインなんですよね!? なら……それなら、私だって立派な取材対象ですよ!」

そう言うと、赤坂は寢ている俺のに勢いよく飛び掛かる。

「うっ!」

「これでよし!」

なにがいいの?

君の間と俺の間がリンクしているんだが?

「赤坂! なにをする!?」

「じ・ど・り♪」

「は?」

馬乗りのまま、スマホを天井に向けて、仲良くツーショット。

これが世に言う騎乗位というやつか。

しかも赤坂はバスタオル姿。

なんかピンクな接待をけていませんか?

「お、おい! お前、だろうが!」

「へ? なにを言っているんですか? 下著なら著てますよ?」

「そう言う問題じゃない!」

「ラブコメに重要なドキドキな展開ですよ♪ ヒロインが二人いても良くないですか?」

「はぁ?」

「だいたいアンナとか言う子はハーフという時點でアウトです。チートです」

人種差別すな!

「なので、この赤坂 ひなたがセンパイの経験に協力させていただきます」

「え……」

いらないってば! アンナちゃんでお腹いっぱいだもん!

「大丈夫ですよ……わ、私だってまだ経験したこと……ないですもん」

なに人にマウント取りながら、恥ずかしがっていやがるんですか?

顔を赤らめても、こっちの方が襲われているから怖いよ。

「あ、あのなぁ……」

俺が困っているのも無視して、赤坂 ひなたは話を勝手に進める。

「ので! この寫真をアンナちゃんに送信っと!」

意地悪そうな顔で微笑む赤坂。

「ちょ、ちょっ待てよ!」

「あ、もう送っちゃいました♪」

詰んだ……。

もう俺は知らん!

ピコン!

案の定、0.5秒ほどで返信が來る。

「どうぞ、センパイ♪」

スマホをやっと返す赤坂。なぜか笑顔なのが怖い。

黙ってけ取ると、通知音の嵐。

ピコン! ピコンピコン! ピコピコピコピコピコピコピコピコ……。

通知音さんが激おこぷんぷん丸じゃねーか。

『ねぇ、タッくん……さっきの寫真なに?』

『妹さん?』

『タッくん、襲われているの?』

『アンナが今から助けにいくよ!』

『今、お家を出たよ。どこにいるの!?』

おいおい、酷いことになってはるやん。

このまま放置しておけば、警察沙汰になってしまうな。

それだけは避けたい。

「赤坂、ちょっと降りてくれ。電話をしたい」

「嫌でーす。電話ならこのままでもできると思います♪」

めが、笑顔が怖いんじゃ!

「ったく、靜かにしてろよ」

「アンナちゃんに電話するんですか?」

「そうだが?」

「ならいいんです♪」

「は?」

俺は赤坂の言が気にかかったが、とりあえずアンナに電話することにした。

「もしもし、アンナか?」

『あっ! タッくん、一どうしたの!? 顔が腫れてたし、なんか知らないの子がタッくんをいじめたの!?』

よくあの一枚の寫真でそこまで報をインプットできたな……。

「いや、あの子が男に襲われていたところを俺が助けたにすぎない」

『よかったぁ……でも、タッくん……なんでの子がタッくんとベッドで仲良くしているの?』

後半、ちとミハイルくんが出てきてドスのきいた聲だった。

「な、仲良くなんかしてないぞ? あれはその……あれだ…」

『なあに?』

こ、こえええ。

「あの子が看病してくれていてな?」

『看病するのにまたがる必要あるかな☆』

こ、怖いっす!

『事はあとで聞くからその場所を教えて☆』

乗り込む気や! カチコミや、親分!

今、この二人が鉢合わせたら流もんだろ……。

「そ、それは無理だ。アンナ……」

『なんで?』

さ、サイコパスじゃん。

「セン~パイ~」

割り込む赤坂。

「し、靜かにしとけったろ!」

『誰?』

冷たーい聲。凍りつきそう。

「私、髪がびしょ濡れなんですぅ。ドライヤーかけてくれません?」

ボカン!!!

何かがブッ壊れる音がした。

「ア、アンナ? 大丈夫か?」

『……』

応答なし、通話終了したんけ?

「セン~パイ~ 早くしてください~ お風呂上がったばっかり、な・ん・だ・か・ら♪」

ドカッ! ボカッ! バキッ! グエッ!

な、何に當たっているんだ? 最後は人の聲が……。

『タッくん、アンナに何か隠し事してない?』

優しい口調だが、とても怖いです。アンナさん。

「え……」

『今後のアンナとタッくんの取材にも支障が出たら良くないでしょ? ウソをついちゃダメよ☆』

「りょ、了解……」

『だからぁ……今から會いに行っていい?』

病んでません?

「そ、それはちょっと今は無理だ。明日じゃダメか?」

『ダ・メ☆』

ひえええ!

「センパイ……もう話が長すぎ」

赤坂は俺に馬乗りのまま、両腕を組んでふんぞり返っている。

「貸して!」

「あっ! まだ話をしている最中……」

と言いかけたが時すでに遅し。

スマホをタップして、通話を強制遮斷。

そして、歌いだすアイドル聲優のYUIKAちゃん。

曲はおなじみの『幸せセンセー』。

癒されるぅ~ この修羅場だと……。

著信音をYUIKAちゃんにしていた數か月前の俺氏、グッジョブ!

「あーうるさい」

冷たい眼で俺のスマホを睨みつける。

「えい♪」

YUIKAちゃんの歌聲がブツン!と途切れる。

「おまえ……なにをした?」

「電源切っちゃいました♪ ストーカーはこうやって対処するんですよ? センパイ♪」

いや、お前の顔を鏡で確かめてみろよ。

ストーカーだろうが。

「さあ今から取材のはじまりですね♪」

か、帰りたい……。

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