《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》67 博多あるある
俺とひなたは支払いを割り勘で済ますと、博多駅へと足を向けた。
外は既に真っ暗。
スマホを強制的に電源を切られたため、時間は知らんが20時は超えているだろうな。
博多駅は駅の上に高層ビルが複數連なっている。
左からバスターミナル、博多シティ、KIDE、JPビルの順だ。
この三つだけでもかなりの敷地を使っているのだが、まだまだ合し足りないようだ。
博多駅を増築しまくる計畫があるのだとか……。
「隨分、変わったな……この街も」
ふと寂しさをじる。
「なんですか、センパイ。おっさん臭い」
おらぁ、まだそんな年じゃねぇ!
「いや、博多駅がここまで変わっていくのに……自分は変化がないと思ってな」
「……やだなぁ、センパイは十分変わってますって!」
といつつ、人の背中をバシバシと叩くひなた。
「いってぇ……なあさっき聞きかけたがひなたの家はどこだ?」
「い、今なんて言いました?」
顔を赤らめるひなた。
「え、家」
「違いますよ! その……な、なま……」
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「だから家」
「知らない!」
こいつは本當に忙しいだな。
「家は梶木かじきです」
梶木とは俺の住む真島から二駅離れた地區だ。(博多寄り)
「なるほど。俺と近いな」
「え? センパイはどこなんですか?」
「俺は真島だ」
「うわ! 自転車で行けるレベルじゃないですかぁ~」
中學生かよ。
「まあそうだな」
俺は自転車ではいかんが。
改札口を通り、列車に乗る。
列車は空席が目立つ。
二人してお見合いの形で対面式に座る。
「真島って有名な店がありますよねぇ」
「そんなんあるか?」
「えっと……BLってわかります?」
わかるよ、嫌気がさすぐらい。
「痛いBLショップがあるって三ツ橋高校では有名なんですよね。店主はガチホモで、その子供もホモガキ。それから、これは裏報ですけど……店のトイレではハッテン場にもなっているとか?」
噂に尾ひれ! 尾ひれつけ過ぎィ!
「へ、へぇ……その店の名前はなにかな?」
「確か……貴腐人」
「それ、俺のかーさんの店」
「……ウソ」
「ホント」
「「……」」
それからひなたのやつは、なにかを察したのか無言を貫いた。
『梶木~ 梶木~』
「じゃ、下りるか?」
「え、いいですよ。わざわざ下りなくても……」
「いや、夜道を子一人で歩かせるのは、俺のルールに反する」
紳士的判斷!
「そんな……いつも塾帰りとか…これぐらいの時間になるのに……ブツブツ」
なにをボソッと喋りよるか。ハッキリ言わんか。
俺とひなたは列車から下りると、梶木駅の改札口を出る。
「家は近いのか?」
「歩いて10分ぐらいです」
頬を紅く染めて、一歩後ろにさがる。
なんでこんな時は遠慮がちかね?
梶木駅も博多駅まではデカくないが、ビルと駅舎が一化しており、複數の店がある。
駅ビルを出て、『セピア通り』をしばらくまっすぐ歩く。
しすると左手に回り、『梶木キラキラ商店街』にった。
地元の真島商店街とは違い、道幅も広く、店もオサレ~なのが多い。
しかも、真島より商店街の規模がデカい。
商店街のり口から長~い道のりだ。
なので、出口がすぐには見えない。
「くっ! 真島の負けだ!」
「なにがです? 真島もいいところじゃないですか」
「嫌味に聞こえるが」
「だって同じ福岡市じゃないですか」
嘲笑すんな。
かっぺムカつく!
やはり梶木民は福岡市民としての民度が高い。
俺らが住んでいるギリギリ福岡市の真島とは大違いだ。
店もオサレ度も段違いだ。
福岡市民……いや福岡県民は地區ごとにおいて、競爭意識や地區によって差別しがちだ。
博多や天神、大名に近いほどステータスをじていいのだ。
梶木は博多からそんなに近いわけではない。
だが、昔から何かとオサレ度が高いことで有名だ。
居酒屋もレパートリー多いし、オサレな古著屋、もっちゃん饅頭とか……。
度々、ローカルテレビ局にて取材される街なのだ。
「しかし梶木もまた々と変わったな」
「いちいちおっさん臭いですよ」
梶木キラキラ商店街を抜けると、真島にもあるスーパー『ニコニコデイ 梶木店』が見えた。
「ほう、梶木にもニコニコデイが進出しているとは」
「失禮なニコニコデイぐらいありますよ!」
ぐらいとはなんだ! これだから梶木民は!
ニコニコデイの前には大型道路、國道3號線が流れている。
大型の立差點があり、橫斷歩道がないため、強制的に歩道橋をあがる。
歩道橋を渡ると、博多灣に隣接する梶木浜方面へと進む。
梶木駅と梶木浜の中間ぐらいに、ひなたの住む家があった。
比較的新しい建で、オートロック式のマンション。
しかもかなりの高層建築。
チッ! なぜ人間は空を飛べないくせに、天空へと近づきたがる?
お城が宙に浮いているとでも言いたいのか?
「あ、ここまでいいですよ♪」
「ふむ、そうか……しかし、デカいマンションだな」
「私は産まれてからずっとこのマンションですよ?」
「お値段のほどは?」
「そ、それは知らないです……パパが買ったので」
買ったってことはもうローン払いおわってんのか!?
それとも一括払いですか?
「そう言えば、有名人もたくさん住んでいるんですよ」
「は?」
「ミュージシャンとかお笑い蕓人とか……」
「どうせローカルだろ」
これ博多あるある。
「違いますってば! 東京の方々ですよ♪」
めっさ笑ってはる。
どうせ真島に蕓能人は來ませんよ!
「じゃあな」
バリムカついたので背を向ける。
「あっ、待ってください!」
呼び止められて、振り返るとひなたは手にスマホを握っていた。
「あ、あの……L●NE換しませんか?」
「ダメだ」
「……なんでですか!? アンナちゃんとは換してたじゃないですか!?」
「L●NEは既読スルーという、いじめが橫行しているのを知らんのか?」
ダメ、ゼッタイ!
「しませんよ! そんなこと……」
「まあどちらにしろ、アンナとしか連絡できないように設定している……らしい」
「はぁ!?」
ブチギレですやん。
「仕方ないだろ。特殊な取材対象でな。電話番號とメルアドなら構わんぞ?」
「今時、電話とかメルアドとか古くないですか!?」
悪かったな! 古くて!
俺は口頭で、自の連絡先をひなたに教えた。
ひなたは不満げにブツブツとぼやきながら、マンションの中にっていった。
彼が帰ったことを確認すると、やっとのことでスマホの電源をれる。
起した瞬間だった。
YUIKAちゃんの可らしい歌聲が……あ~癒されるぅ~
のも束の間。
著信名、アンナ。
忘れてた……てへぺろ☆
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