《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》70 男の娘にも

「は、っちゃったね……」

そんな床ちゃんとお友達で顔を真っ赤にさせちゃって。

これじゃミハイルのときと変わらんぜ?

無理をさせてしまって、なんだか申し訳ない。

「そうだな、まあ取材だからな」

「うん……」

俺は2回目ということもあってか割と落ち著いていた。

「まあ座ろう」

「そうだね……」

顔が引きつっとるよ? 2回目の取材がラブホとかイキスギィ~なカノジョさんだよね。

アンナをソファーに座らせると俺はリュックサックを床に置いて、一人で部屋を探索することにした。

部屋の中は豪華なシャンデリアにダブルベッドが二つ……4人でするの?

それからスロット機も2臺。大型テレビが一臺。

奧にるとなぜか風呂が二つもあった。

一つはごく普通の浴室。もう一方はガラスで室から丸見えのスケベなジャグジーだ。

ラブホ初心者がるべきところじゃなかったな……。

この部屋はきっとパーティーにでも使われる所なのでは?

一通り部屋をすると、アンナの元へ戻る。

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當の本人はガチガチに固まっており、時折「ネッキーが一匹、2匹……」などと呟く。

壊れちゃったよ。

「アンナ、大事ないか?」

「だ、大事にしてね……」

なにを言っているんだ、この子。

「いいか? アンナが行きたいというから取材として來たが、今日は何もしないぞ?」

一応、釘を打っておく。

というか、しでも安心してほしかった。

「な、なにもしないの?」

ギギギッ……と軋むような音が聞こえる。

恐らくアンナが首を回しているからだろう。

「ああ、なにもしない。だから安心しろ。俺はこう見えて紳士だ。合意のないそういう……行為は最も嫌いとする」

「タッくん……優しい」

頬を紅く染めて、彼はうっとりと俺を見つめる。

見直してくれたのはありがたいが、男二人でラブホにるのは二度とごめんだぜ。

「普通だろ? 合意なき行為は犯罪だ。俺は事をハッキリさせたい格なんだ。そんなグレーどころか真っ黒なコトは絶対にしない」

「か、かっこいい……」

「え?」

「かっこいいよ、タッくん!」

なぜか俺の両腕を摑み、微笑む。

こういう場所だぞ? ドキドキしちゃうだろ……。

その気になっちゃうから、誤解することはやめてね?

合意と見なすよ。

「と、取り合えず、メシでも食うか?」

目の前のテーブルにメニューが置いてあるのに気がつく。

「うん! アンナ、ホテルでご飯食べるのはじめて☆」

いや俺もだよ、しかもここは普通のホテルではないからね?

俺はカツカレー。アンナはパスタを選んだ。

注文を決めたので、俺がフロントに電話をかけようとしたときだった。

「ね、ねぇ……これも頼もうよ」

振り返るとアンナは頬を赤くしていた。

「なんだ?」

俺が問うと彼は黙ってラミネートされた用紙を俺に差し出す。

『コスプレ 無料貸出♪』

~これでマンネリも撃退!~

「……」

絶句する俺氏。

「か、勘違いしないで……一萬円も払ったのに何もしないのは勿ないでしょ?」

ええ!? ヤル気マンマンですか!?

「ま、待て、アンナ。どういうことだ?」

思わず生唾をゴックン。

「取材じゃない? アンナとタッくん……。だからこういうのも験しておかないと小説に書けないかなぁ? って思って。ただそれだけ、何もないからホントに」

マ、マジっすか!?

「そういうことか…それもそうだな!」

聲が裏返る。

「タッくんは何番がいい?」

ちなみにコスプレの番號のこと。

勇者タクトのターン。

選択肢は8つ。

1番喪服、2番ナース、3番セーラー服、4番婦警さん、5番レースクイーン、6番メイドさん、7番服(ブルマ)、8番スクール水著(90年度版)

いや、最後だけ限定されすぎだろ。

オーナーの趣味か?

迷う……迷っちまうぜ。

にアンナを染め上げるならどうする?

メニューと彼互に見比べる。

その回數、1秒に20回ぐらい。首が折れそう……。

今日のファッションはとてもガーリーだ。

なるべく彼のイメージは壊したくない。

喪服は絶対にないな。

ミニスカートだったため、座っていると自然と裾が上がっていた。

の細くて白のしい太ももが嫌でも目にる。

「タッくんの目、何かいやらしい……」

ジト目で呆れかえるアンナさん。

いや、ハードルあげたのご自分でしょ?

こういう時、男ってのはテンパるもんなんすよ!

「む、むぅ……どれも捨てがたい」

「フフ…おかしなタッくん☆」

嬉しそうに笑うアンナはどこか意地悪そうだ。

「俺は真剣だぞ」

マジと書いて。

「ゆっくり考えて」

「そ、そうさせてもらう!」

鼻息が荒くなる。

レースクイーンは行き過ぎだろうな。かと言って服は見てみたいが彼……いや彼の『ミハイル』さんが間からふっくらしそう、という危険を考慮しなければ。

「決めた! 6番で!」

「えっと確か…メイドさん?」

「そうだ! 俺はメイドカフェというものを知らん。だからアンナにはメイドさんになってほしい」

「いいよ☆ アンナがご奉仕してあげる☆」

アンナさん……天使じゃないですか!

こ、これは何事もなく終われるのか……?

俺は右手に拳を作ると、電話を取る。

『トゥルル……ブチッ。はい、フロントです』

「あ、あの、ろ、6番!」

『は?』

「6番でおなーしゃす!」

張で聲がブレッブレ。

そこへアンナがすっと橫から耳打ちする。

の小さな聲が俺をドキドキさせる。

「タッくん、コスプレの6番って言って」

「あ、そうだった。すいません…コスプレの6番で」

ナイスパス、アンナちゃん。

『メイドさんでよろしかったですか?』

「はい」

『では、お部屋へお持ちいたしますので、々お待ちください……』

「ふぅ……頼めたな。ありがとう、アンナ」

「ううん、私は大したことしてないよ?」

だがこのあと気づくことになる、そう肝心の晝飯を頼み忘れたことを……。

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