《気になるあの子はヤンキー(♂)だが、裝するとめっちゃタイプでグイグイくる!!!》74 にんにくは必須

「ヘイ! ラーメン、バリカタお待ち!」

俺とアンナはカウンターの席に座り、仲良く橫並びしていた。

スマホを見れば時刻は『15:02』。

ちょうどお晝の賑わいが済んだ時間だ。

は俺とアンナしかいなかった。

大將はなんだか嬉しそうに俺たちを見つめる。

「うわぁ! 味しそう!」

手を叩いて喜ぶアンナ。

目をキラキラと輝かせて子供のようだ。

まあ15歳だから子供っちゃ子供だよな。

「だろ?」

俺が作ったわけでもないのに、なぜか店を紹介した俺が自慢げに語る。

「「いただきまーす」」

聲を揃えて、いざ実食!

アンナはショルダーバッグからシュシュを取り出すと、長い髪を首元で一つに結った。

ラーメンを食べる態勢、萬全だな。

「スルスル……んぐっんぐっ……ゴックン! はぁはぁ……おいし☆」

相変わらずのいやらしい租借音だな。

それを初めて見た大將も思わず、生唾を飲む。

アンナを見る目がいやらしい。

「うまそうに食べるねぇ、アンナちゃん」

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味しいという基準間違えてません? 大將。

「だって味しいんですもん。アンナ、味しいものを食べているときが一番幸せ☆」

そう言って頬をさする。

よっぽど気にったようだ。よかったね、大將。

「嬉しいこと言っちゃってくれるねぇ。んなら、餃子を焼いてあげるよ」

「え、いいですよ……」

「気にすんな、アンナちゃん。うちの店初めてだろ? なら餃子も食べていってほしいんだよ。これはおいちゃんからのプレゼント」

そう言って勝手に餃子を焼きだす大將。

なんか勝手に話が盛り上がっているな。

俺はそんな中、無言でラーメンをすする。

「ん?」

あることに気がついた。

ちょい待て。

昨日、ひなたと來た時、俺は金払って餃子注文したぞ?

のひなたは有料で、男のアンナは無料ってか。

というか、長年通っている俺ですらそんなサービスけたことねーぞ!

俺はむしゃくしゃして、カウンターの上に置いてあった小さな容を手に取る。

生おろしにんにくがたくさん詰められているものだ。

やはりラーメンにはこれがなきゃな!

躊躇なくにんにくをどんぶりの中にぶち込む。

それに気がついたアンナが口を開いた。

「ねぇ、タッくん。それってなあに?」

「これか? にんにくだよ」

「にんにく?」

「ああ、これをれるとれないとでは、ラーメンの味が『ダンチ』だ」

思わずキメ顔してみる。

「へぇ……」

アンナは咥え箸しながら俺がラーメンをうまそうにすするところを見つめる。

「タッくん、アンナにもれてみて」

「マジか?」

俺は驚きを隠せなかった。

なぜならば、今のアンナはの設定だからだ。

昨晩、正真正銘の、ひなたが「にんにくは臭うから」と嫌がっていた。

口臭を気にしてのことだ。

なのに、アンナは平然とそれを俺に頼んだのだ。

「だって、味しくなるんでしょ?」

キョトンとした顔で首をかしげる。

「そ、それはそうだが、にんにくをれるとだな……口が臭くなるからな」

俺が言いづらそうに答えると、アンナは高笑いした。

「アハハハ!」

「な、なにがおかしいんだ?」

「だって……そんなのどんな料理だって同じでしょ?」

「え?」

「カレーだってそうだし、チャーハンとか、パスタとか、いろんな料理に使われているし、にんにくがっていた方がおいしいよ?」

「それはそうだが……」

清々しいほどに嬉しい回答だった。

男の俺からしたらな。

「ひょっとして、昨日のひなたちゃんはにんにくを気にしてたの?」

うっ、鋭い。

ひなたの話題になると目が怖いんだよ、アンナさん。

「ま、まあ……」

さっきお風呂ったばっかなのに、またわき汗が噴き出てきたよ。

「ねぇ、タッくん」

「ん?」

「アンナと……ひなたちゃんを一緒にしないで」

箸を止めて、俺にの向きを変える。

すると俺の手を優しく両手で握った。

「あのね、アンナはタッくんが好きなものは全部好き☆ それにタッくんと同じ目線で、なるべく同じ気持ちでいたいの……だから他のの子とは違うよ」

瞳はし潤っていた。

涙を堪えているようにも見える。

よっぽど、昨晩のひなたの件が悲しかったのだろうか?

罪悪が押し潰れそうだった。

「そうか……じゃあ、にんにくはいっぱいれてもいいのか?」

「もちろん☆ アンナ、味しいものは絶対にためらわないよ!」

その自信に満ち溢れた顔、素敵です。

というか、たまにイケメン面になるんだよな。

俺は要通り、アンナのラーメンにたっぷりにんにくをれてあげた。

それをアンナは「まじぇまじぇ」する。

へぇ、やるじゃん。

「うう……いい彼を連れてきたじゃねーか、琢人くん」

気がつくと大將は廚房の中で泣きながら、餃子を焼いていた。

「た、大將?」

「あの年がら年中、映畫バカの琢人くんが……こんな人で優しいの子と付き合うなんて…おいちゃんも泣いちゃうよ」

サラッと酷いこというなよ!

俺が可哀そうなやつに聞こえるじゃねーか。

「大將さんたら、彼……だなんて☆ アンナとタッくんはまだそんな仲じゃないのに……」

いいながらめっさ嬉しそうやん。

両手で顔をおさえて、左右にブンブン頭を振るアンナさん。

心! アンナ様がご心じゃあ!

「っしゃあ! 替え玉もサービスばい!」

「そんな、悪いですよ」

ていうか、昨日は?

昨晩のもサービスにしとけよ、大將。

アンナってズルくね?

「いや、あの暗オタクの琢人くんがこんないい子を連れてきたんだ。今日はお祝いだよ!」

てめぇ、俺をどんな人間として認識してたんだよ! ぶち殺すぞ!

「良かったね、タッくん☆」

なにが?

ねぇ、俺の存在ってここまで悲しい存在だったの?

まあアンナが嬉しそうにラーメンを食べているから、お釣りが返ってくるレベルなんだが。

俺たちはその後、腹いっぱいラーメンと餃子を楽しんだ。

なぜだろう、ひなたと食べた時より、すごく楽しく味しくじた。

ひなたといた時は気ばかり使っていた気がする。

でも男のアンナといるときは息がぴったりというか、話があうんだよな。

、俺に合わせてくれるんだろうが。

でも、アンナの致命傷なところは怒ると鬼になる……ところだな。

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