《勇者になれなかった俺は異世界で》寮とソラ

食事を終え、特にやることも無かったので俺はライラを連れ理事長室に向っていた。

理由は二つある。一つはライラの事だ。

奴隷とは言っても別はだ、

流石に男子寮にがいたら々と問題になるだろうと考え、

理事長リディアに相談してみる事にしたのだ。

二つ目の理由は、俺の服を取りに行くこと、

それとネルガ王國の宿に荷を置いてきてこっちに來た(無理やり連れてこられた。)ため、その荷の件だ。

別に転移を使って取りに行っても良いが、

たいして大事なってないから別にそこまでして取りに行きたくはない。

學園の中はちょうど午後の授業が始まった時間帯だったため、

人と出會う事無くスムーズに理事長室の前まで來る事が出來た。

「主人、あれは何て読むんだ?」

ライラは不思議そうに理事長室のドアの上に書いてある文字を見つめてそう言った。

ああ、そっか。こいつは竜人獨自の言語しか理解出來ないのか

……しからかってみるか。

「あーこれはだな、

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ライラは馬鹿って読むんだ。」

「何と無禮な!木っ端みじんにしてやろうか!」

うわ、信じたよ。

馬鹿だな……

ライラはそう言いながらファイティングポーズを取った。

俺はそんなライラを見て『馬鹿め、シメシメ』と思いながら

ドアを開けようと手をばすとドアが勝手に開き、

し哀れむような表をしている理事長リディアが現れた。

「ソラ君……君は一何をしてるんだ。」

「あー、いや。

ちょっと、馬鹿をからかっていただけだ。」

ライラはファイティングポーズを止め、

俺と理事長リディアの顔を不思議そうに互に見ていた。

ああ、そっか。理解できていないのか。

いちいち言語を使い分けるのも面倒だしそのうち教えてやるか。

「で、何の用だ?」

「ああ、それは――」

俺は理事長リディアに一通り話した。

話を聞いた理事長リディアは若干悩み、

そして、

「そうだな、まずそこの奴隷ちゃんの件だが、それは出來ないな。

流石に奴隷を寮にれることは出來ない。

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まあ、ソラ君と一緒の部屋なら問題ないが……」

はあ、何と無くわかっていたけどやっぱこうなるか。

ジンは別に気にしないだろうが……仕方ないか。

「じゃあ、ライラは俺と同じ部屋で。」

「わかった。それで、ソラ君の荷の件だが、手配はしてある。

明日にはソラ君の部屋に屆くはずだ。」

「そうか。助かる。」

わざわざ手配してくれたのか、

この理事長なかなか良い奴だな。

「じゃ、用は済んだから俺達は戻るな。」

「そうか、折角來たのだからもうしゆっくりして行けば?」

「いや、遠慮しておくよ。」

ライラが騒ぎだしそうだし。

「そうか。」

用は済んだので俺はライラを連れ寮に向った。

部屋の中には當たり前だがジンの姿は無かった。

「主人、ここは?」

「ここは寮だ。この部屋には俺ともう一人いるからな、

あまり騒ぐなよ。」

「わかってるって。」

それからしばらくしてジンが部屋に帰ってきた。

ライラの事を見て驚いていたが、

俺が丁寧に説明するとすぐに打ち明けた様で二人で仲良く遊んでいた。

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良く言葉が通じないのに遊べるな……

・・・・

——グゥウ…

お腹空いたな……今日は學食に行ってみるか。

ヤミにスラ預けたままだし、學食にいてくれたらラッキーなんだけどな。

「ジン、俺學食に行ってくるわ。」

「おっ、そうか――ああ!そうだった。

俺は先輩と食事する予定なんだけど、

その先輩が是非ソラに會ってみたいって言ってるんだよなー。」

ジンはそう言いながらチラチラとこちらを見てきた。

「あっそ。ちなみに俺は行かないからな。」

「ええ!?何で!」

「面倒くさそう。」

「わかった。じゃあこうしよう。

俺が奢ってやる。」

別に金に困っているわけじゃないんだがな、

まぁ、奢ってもらえるなら良いか。

「わかった。ちなみにライラの分も奢ってくれるよな?」

「おう。當たり前だろ!

むしろライラちゃんに俺の全財産捧げても良いぜ。」

「……」

「冗談だよ!そんな目でみるな!」

「はぁ、行くぞライラ……って寢てんのか。」

俺のベッドで気持ちよさそうに寢やがって。

遊び疲れたのか。

置いていくわけには行かないし、仕方ないな學食に著くまで寢かしてやるか。

「よっ」

俺はライラの事をおんぶして學食に連れていく事にした。

こいつ俺と大同じ長のくせに軽いな、ってこんなもんなのか?

「おお!?ずるいぞソラ!俺にもおんぶさせろよ!」

「うるせえですよ。変態先輩。」

「うわ、ひどい。」

・・

學食に著き、俺はヤミが居ないか確認したが學食にはいなかった。

居なかったが、その代わりに周りからの視線を凄くじる。

何か凄い見られているな……

まぁ、こいつを背負っているから仕方ないか。

それに前の事もあるしな。

「で、その先輩は?」

「3階で待っているはず。」

俺はジンの後に著いていき、階段を上った。

2階はそのままスルーして3階に著いた。

3年達も俺の事を見て來るかと思ったが、

流石、3年達だ。

まったくこちらを見てこない。

「おーい!ジン君!」

ジンは名前を呼ばれ、名前を呼んだ人のもとに向った。

ジンについていくとそこには、

のショートヘアで眼鏡を掛けた小柄ながいた。

「テス先輩、連れてきましたよ。」

「おお、君がソラ君か!ささっ座ってくれ。」

「どうも。」

・・

話を聞くと、この先輩はただ俺に會ってみたかったらしい。

本當にそれだけだった。

まあ、俺としては會うだけでご飯を奢ってくれたので得した気分だが。

ちなみに、ライラは叩き起こしても全然起きなかったので夕食は抜きだ。

寮に戻り、俺はライラの事をベッドに戻し風呂にりたいなと思い、

場所をジンに聞いた。

場所は寮を出てし歩くと大きな黒い建があるらしく、

その中が風呂らしい。

溫泉ってやつだ。しかも、混浴もあるらしい。

「ちなみに、いつまで開いてる?」

「基本的にずっと空いてるぞ~。」

ずっとか、あまり左腕とかの事を知られたくないから夜中にるか。

「俺は今行くけどソラはどうする?」

「あー、俺は夜中る派なんだ。」

「なんだよそれ。まっ、人それぞれだしな。

あ、それと混浴はいいぞ~」

「顔が歪んでるぞ、変態先輩。」

「うへへへ」

ジンが部屋から出て行き、

俺は特にすることも無く橫になろうかと思ったが

ベッドにはライラが寢て居る事を思い出した。

いっそ、水でも掛けて起こしてやろうか

……それにしてもこいつ凄く気持ちよさそうに寢てるな。

まぁ、それもそうか。

こいつは今まであの檻の中の冷たくてい地面で寢てたんだもんな、

今日ぐらい寢かせてやるか……って何でこいつのために……はぁ。

つか、こいつらかそうだな……ってみるか。

――プニプニ

「んぅん……」

うわ、らかい頬だ。やばい、病みつきになりそう。

――プニプニ

……って傍から見ればただの変態じゃねえか!。

「はぁ。」

それから俺は何もやる事が無かったのでボケーとして夜中になるのを待った。

ジンは風呂から戻ってくると宿題をして早々と寢てしまった。

夜中になり殆どの生徒が寢靜まった頃、俺は風呂から上がったら

制服から今日理事長室から取ってきた服に著替えようと考え、

前ヤミが選んでくれた悪趣味な服を持って風呂に向った。

やっぱ、制服よりもこっちの服の方が落ち著くよな。

そんな事を思いながら、ジンに説明された通りに寮からし歩くと黒い建があった。

中は當たり前だが、男と分かれていた。

早速俺は中にり服をぎ始めた。

勿論、男専用の所でだ。

幾ら人が居ないからって所にるほど俺は変態ではない。

制服を全てぎ、風呂に向った。

真ん中に大きな円狀の風呂があるだけのシンプルな所だった。

俺は別に風呂にれればどんな所でも良かったので大して気にせずにった。

「ふぅ~」

こんな広いのに誰も居ないって何か新鮮だな。

そういえば、混浴があるっていってたけど……。

俺は周りを見渡すと端の方にドアがあった。

あのドアの先が混浴で良さそうだな。

混浴って事はここよりもっと広いはずだよな。

よし、行ってみるか。

ドアを開けるとそこには、

々な大きさの巖で囲まれたとても大きな風呂があった。

俺は予想より大きな風呂に興しながらお湯に浸かった。

「おぉ、」

ふと、空を見上げると天井が無く、

そこには無數の星がっていた。

おれが住んでいた所より綺麗だな……。

――バサッ

「っ!?」

俺が星を見ながら幸せな気分でお湯に浸かっていると突然何かか羽ばたいたかの様な音が聞こえた。

何だ?鳥か?

いや、鳥にしては隨分と大きな音だったよな。

気になります、俺。

何の音か気になり音がした方に泳いでいった。

「――っ!」

するとそこには、し暗い赤の髪で片目を隠していて、

するどい眼つきで真っ黒な角と翼を生やしたがいた。

真っ黒な角と翼、すなわち悪魔だ。

なんだ、悪魔か。

もっと面白い事かと思ったけど、

がっかりだ……帰ろ。

と思い先ほどいた所まで泳いで帰ろうとしたが、

悪魔がこちらの存在に気付いた様で凄い速さで近づいて來た。

「っな!……んんん!」

俺は突然、悪魔が飛んできて驚き、

聲を上げそうになったが悪魔の手で口を塞がれた。

何してんのこの子!?と思っていると、

悪魔がこちらを凄く睨みながら口を開いた。

「ここで死ぬか、俺の正を誰にも言わないと誓えうか、どっちだ。」

俺ッ子か。それより、口を塞がれてるのにどうやって答えろって言うんだ。

「前者なら首を縦に一回、後者なら首を縦に二回振れ。」

コクコク。

俺はこんな所で死にたくなかったので後者を選び、首を縦に二回振った。

「そうか。」

悪魔はそう言って口から手をはなしてくれた。

「そんな簡単に信用してもいいのか?」

ちょっと簡単に信用しすぎだろ。

「もし、お前が俺の正を言いふらしたらこの學園を滅ぼす。」

怖っ!怖いよこの子、大魔王のエリルスより怖いよ。

でもな、別に俺はこの學園が滅びても構わないんだけどな。

それにしても、何でこいつは悪魔って事を隠したいんだ?

「なぁ、何でそんなに正を隠したがるんだ?」

「は?」

悪魔はまるで馬鹿を見るかのような目でこちらを見てきた。

「おいおい、そんな目で見ても俺は喜んだりしないぞ?

俺はどっちかと言うとSよりだからな。」

「……本當に何も知らないんだな。」

「え?」

悪魔は若干面倒くさそうな顔をしつつも詳しく教えてくれた。

簡単に言うと、殆どの種族は悪魔と対立していて、

もし悪魔を見つけたら、『悪魔だ殺せ!』ってなるらしい。

そういえばエリルスの記憶の中にそんな事があったような気がする。

「そうなんだー教えてくれてありがとう(棒)」

「何で棒読みなんだ……

まぁ、良い。それと、あまり俺には関わるな。」

「あっそ。ところで名前聞いてもいいか?」

「関わるなと……まぁいい。

俺の名前はアイ=ノールディだ。」

アイか……兇暴そうな奴だけど可い名前だな。

「俺はソラだ。」

流石に悪魔にバーゼルドと名乗ったら不味いだろう……。

「……ところでソラ、一つだけ頼みがある。」

何だこいつは、関わるなって言ってたくせに自分から関わってくるのか。

まぁ、いいけど。

「なんだ?」

「その左腕をってもいいか?」

「別にいいぞ。」

「そうか!」

アイは俺の左腕にくっ付き々と観察しながらったり突っ突きたりしてきた。

「これは誰に作ってもらったんだ?」

「それは――」

ヴェラと言おうとしたが、

こいつがヴェラの事を知っているかもしれない、

いや、ヴェラも魔王だから名前ぐらい知ってるよな、

と思い、誤魔化すことにした。

「知り合いの知り合いに作ってもらった。」

噓はついてない。エリルス知り合いの知り合いのヴェラ。

「そうか、今度よかったら紹介してくれ。」

「ああ、今度會ったら言っとくよ。」

アイはその後もしばらく左腕を観察して、

たまにが當たり俺は結構デカいな……と思ったりしていたが、

その事はだ。

・・

「ふぅ、満足した。じゃあ今度紹介してくれよ。」

「ああ。」

そういってアイは真っ黒な角と翼をスキルを使い隠し、上がっていった。

その後、俺もし溫まってから上がった。

・・・・

「ふぁ~」

風呂から上がり部屋に戻り、

寢ようとベッドに向ったが俺はライラが寢て居る事をすっかり忘れていた。

はぁ、仕方ない今日は床で寢るか……

「って、うぁっ!」

俺は突然ライラに引っ張られベッドに引き寄せら、

そのまま抱き枕の様にされた。

やべ、力強すぎ。

てかこいつ、何してんだよ。

寢ぼけてんのか?

「んぅん……」

うわ、完全に寢ぼけてやがる。

まぁ、床で寢るよりはマシか。

俺はそう思い眠りについた。

「ソ……ラ……ソラ……ソラ!」

うっせえ……。俺はそう思いながら微かに目を開けると、

ひらすら白い空間が広がっていた。

「なんのようだ、エリルス。また顔を見に來たのか?」

「ん~それもあるけど~。今回は伝える事があるんだよ~」

「何だ?」

「今ソラって~ショリディア學園にいるんだよね~?」

「そうだ。って何で知ってんだ?」

「それは~大魔王様だからだよ~」

「……で、用は?」

「えっとね~、

ヴェラがね『あいつ、ちゃんと使いこなせてるか心配だ。』

とか言ってそっちに向ったよ~。

あの子以外と優しんだよ~

ちなみに到著は明日だと思うよ~。

じゃあそれだけだから~

ばいばい~」

「は?ちょっと待て!」

俺はそうんだが、恐らくエリルスには聞こえてなかっただろう。

使いこなせてるかって恐らくこの左の事だよな……使いこなすってなんだ?

それより、魔王が直接來るって大丈夫なのかよ。

……幾らなんでも急すぎるだろ。

そんな事を思いつつ再び目を瞑った。

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