《勇者になれなかった俺は異世界で》魔王城とソラ達

「……んん」

目が覚めると俺は真っ白な空間にいた。

この空間に來るのは別に初めてでは無かったが俺はし違和じていた。

何時もの事ならエリルスが近くにいて話しかけて來るのだが、

今回は近くにエリルスの姿は無く、何処を見渡しても、

何もない只々真っ白い空間が広がっていた。

エリルスは居ないが確かに此処は俺の夢の中だ。

この何もない真っ白な空間、何の音も聞こえてこない靜寂な空間。

間違いなくエリルスが俺の夢の中にり込んでくる時に現れる空間だ。

でも、今回はそのエリルスの姿が無い……

この空間は誰かが俺の夢の中にり込んでくる時にしか現れないはずだ

……じゃあ一――

「――誰だ?」

「ん?僕の事かい?」

突然、誰も居ないはずの空間に聲が木霊した。

っ!?誰の聲だ!?

……年、いや、の聲か?

俺はそう思いながら誰も居なかったはずのこの空間を再び見渡した。

「あー、探しても無駄だよ。」

「どういう事だ?」

謎の聲が言った通り周りを見渡しても誰の姿も無かった。

探しても無駄。

意味は分かる、

だが、どういう事だ?聲はするのに姿が見えない

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……新手のモンスターか?

「ん~、そうだなー簡単に説明するとね、

ソラ君が今・居るその世界と僕が居る世界は違うんだよ。

今・はね。」

「世界が違う?」

「うん、そうだよ。僕は別の世界からソラ君の夢にり込んだんだよ。

僕の力ではは無理でも魂ならソラ君の夢に潛する事が出來るんだ。」

別の世界……つまり此処とは違うまた別の異世界か。

そんな所があったんだな。

……その異世界についても気になるが、そもそも此奴は誰だ?

何で俺の名前を知っている?

何の目的で夢にり込んだんだ?

俺の頭の中で々な疑問が飛びっていた。

俺はその疑問を一つずつ解決して行こうと思い、

謎の聲に質問する事にした。

「その異世界について々と気になる事もあるが、

そもそもお前は誰だ?」

「おっと、こりゃ失禮。僕の名前はヘリム。

別の世界の神様をやっているだ。」

異世界の神か。

何と言うか、異世界の神にはし偏見を持っているんだよな……俺。

「んで、その神が何で俺の事を知っているんだ?」

「いいね~その相手の正を知っても尚態度を変えない所!

僕は好きだな~。」

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「そんな事は聞いてねえから。

さっさと答えろ、余りイラつかせないでくれ。」

「んーごめんね。ソラ君の事はずっと見ていたからね~

ソラ君が異世界に転移する時からずっとね。」

転移する時からずっと?

……俺はこの見ず知らず謎の神にずっと見られていたのか?怖いな。

「何が目的なんだよ覗き野郎。」

「野郎だなんて酷いな~僕は立派なだよ。

……目的はね、ソラ君の事を手にれたいんだよ。

最初見た時から僕は君の事を気にって仕方ないんだよ。」

そんな見ず知らずの変態に気にられる事なんてした覚え無いんだけど

……怖い。

「おっと、そろそろ時間切れかー殘念だな~。

ねぇ、ソラ君一つだけ質問して良い?」

やっと帰るのか。

質問か、まぁ、さっきからこっちばかり質問していたしな一つ位良いか。

「何だよ変態。」

「ソラ君は僕の事をどう思う?」

「……聲の名前しか知らないのにどうやって判斷しろと?」

「ん~そうだな~じゃあ今から手短に僕の事を説明するね。

僕は気にったら何が何でもそれを自分のにしたい格でね。

その為ならどんな殘酷な事でもする神さ。

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あーでも、ソラ君のを手にれたらとっても大切に扱うから安心してね!」

うわぁ、嫌われる奴じゃん。

でもまぁ自分に正直な奴は

「嫌いじゃない。」

「そっか!よかった~じゃあ、また。

次會う時は僕の姿が見える所で――そう遠くは無いよ。」

・・

「……ふぁああ」

「主人、おはよう。」

「おはようございます。」

「ますた、おはよ。」

「おはよぉ」

俺が欠をしながら起きると、

既に全員起きていた様で皆が挨拶をしてきた。

「……ああ、おはよ。」

俺は普通に挨拶を返したがし考え事をしていた。

……ヘリムだっけ?アイツが最後に言っていたことがし気掛かりだ

『次會う時は僕の姿が見える所で――そう遠くは無いよ。』

か、どういう事なんだ?

「ソラどうかしましたか?

……あのーソラ?……ソラ!」

「!!どうした?」

「……何か悩み事ですか?」

俺は一瞬、本當の事を話そうと思ったが、

何だか面倒くさい事になりそうだと思い、誤魔化すことにした。

「いや、し寢ぼけてただけだ。」

「はぁ、まったく。

ソラは本當に朝が弱いですよね。」

「まぁな。」

「ますた、はやくじゅんびしないと」

「え?」

ヤミに言われて気付いたが、既にライラ達は出掛ける準備を終えていた。

何か何時もより気合ってるな

……それもそうか、今日から魔王城に行ってししたら戦爭

……俺がマイペースすぎるだけだな。

「主人よ、他の者も準備が終わっているぞ。」

他の者……結達の事かな?

あいつ等も準備終わってるのか、俺もさっさと準備しないとな。

・・

「よし、準備終わった!行くぞ」

準備を終え、俺はライラ達と一緒に外に出た。

外には既に準備を終えたゴリラ達が退屈そうに待っていた。

「ごめん、遅れた。」

俺は一言謝ってゴリラ達の所へ行った。

ゴリラ達は遅いぞ!とか々と言ってきていたが俺はそれを聞き流した。

「よし、全員揃ってるな。今から魔王城に転移する。

一応聞くが、準備は良いか?」

俺がそう聞くと皆首を縦にこくこくと振った。

「じゃあ行くぞ。」

転移を使い皆を魔王城の口の前に転移した。

本當は魔王城の中に転移しようと思ったが、

結達はまだ魔王達に慣れていないからいきなり合わせると

パニックになりそうだなと考え、

口の前に転移する事にした。

「ここが魔王城……兄ちゃん本當に大丈夫なのか?」

何を気にしているんだが……

「大丈夫だろ、だぶん。」

「たぶん!?

おいおい、兄ちゃん!」

「ソラさん!?

たぶんって何ですか?」

「落ち著け。大丈夫だから。

まぁ、取り敢えず魔王達に挨拶しに行くぞ。」

俺はそう言って魔王城の中にりその後を結達が追ってってきた。

そして結達は魔王城の裝を見てポカーンと口を開けて驚いていた。

「これが魔王城か……」

「何と言うか、想像と違いますね。」

確かにその通りだ。俺も初めて魔王城に來た時は驚いた。

魔王城と言ったらもっと汚くて、

や骸骨がたくさんある所だと思っていたが、

実際の魔王城はその逆でや骸骨などは無い。

それどころかホコリすら無く、

あまりにも綺麗すぎたからだ。

恐らく、結達も同じ事を思っているのだろう。

それからも結達は魔王城の中を進むたびに驚いたりしていた。

そんな結達とは別に俺の中では一つ疑問に思う所があった。

……全然悪魔と會わない。

まさか悪魔達を一ヵ所に集めて何かしているのか?

エリルスは全戦力とか言ってたし訓練でもしてんのかな?

そんな事を思っていると長い通路の先に人影が見えた。

その人影を良く見ると此方に近づいて來ていた。

あれは……シルエット的にヴェラか!

「おーい、ヴェラ!」

俺が聲を掛けるとヴェラも此方に気が付いた様で軽く手を振ってくれた。

結達はそんなヴェラの姿を見てしオドオドとしていた。

そして、ヴェラとの距離が數Mに近付いた頃

オドオドしていたかおるが聲を掛けてきた。

「お、おい、ソラ。あいつは大丈夫なのか?」

「だから大丈夫だって。

あいつはヴェラって言う魔王の一人だ。」

俺の言葉を聞いたかおる達は顔を真っ青にし、

その場からかなくなってしまった。

「……おい。何ふざけてるんだよ。」

「ふ、ふざけてねえよ!

そ、ソラ、ほ、本當に大丈夫なのか?」

「だから大丈夫だって

……お前等も大丈夫だから普通にしろよ。」

「魔王が目の前にいるのに普通にしていられるソラさんがおかしんですよ!」

「そ、そうだぞ兄ちゃん!

こ、殺される!!」

「……はぁ。」

俺達がそんな會話をしているにヴェラとの距離がまり、

俺の目の前に來て話しかけてきた。

「こいつ等は誰だ?」

「俺の仲間だ。強さはそこそこだから結構戦力になると思う。

もしかして、連れてくるのは不味かったか?」

「いや、構わないが、一応大魔王様にも伝えた方が良いぞ。」

「ああ、わかってる。

所で全然悪魔の姿が見えないんだけど?」

「悪魔達なら今彼方此方に散らばっている仲間を集めに行っているから

ここには魔王達と大魔王様しか居ないぞ。」

「なるほど、そう言う事か。

……じゃあ俺は今からエリルスに挨拶しに行く。」

「ああ――あっ、そうだ。

ソラ、後で話がある。」

「わかった。暇になったら行くよ。」

俺はヴェラにそういってエリルスに挨拶をしに行くため魔王城を進んだ。

「こ、怖かった……ソラ、俺帰りたい。」

ヴェラと別れた後先程までガクブル震えていたトモがそう言いだした。

「お前、がたいの割にはビビりだよな。

奈央と凜を見てみろ表一つ変えてないぞ。」

「う、うう。」

「全くけねえな。」

「そうだな。」

そんな會話をしながら歩き、

俺はエリルスの居場所がわからない事に気が付き、

さっきヴェラに聞いとけば良かったなと後悔しつつも何となく

円卓のある部屋に向った。

円卓のある部屋に向い、重たい扉を何となく皆で開け、

ゴゴゴと言う騒音と共に扉が開き俺達の前には立派な円卓が映りこんだ。

俺とヤミとスラは見た事があるから驚かなかったが初めて見た結達は

唖然としていた。

ライラとゴリラは知らないが、結達は円卓何て初めて見るはずだ。

そんな結達から目を逸らしつつ、

俺は部屋の中にエリルスが居ないか見渡した……

「やっぱり、いないか。」

何となくわかっていたが、この部屋にはエリルスの姿は無かった。

仕方なく俺はエリルスの記憶を辿り、

魔王城の部屋の位置などを調べ、

一番エリルスが居そうなエリルスの自室に行くことにした。

確かエリルスの部屋は真っ白な空間で中央には

椅子が置いてあるだけの部屋だったよな

……一応自室だから居るかなと思っているんだが、

あんな何も無い部屋に居るかな?

「此処には居ない様だから、

するぞ――」

「どこに行くの~?」

「!!」

「「「「「「キャーー」」」」」」」

俺とヤミ、スラ、ライラ、ノイを除いた他の皆がいきなり

背後から聞こえた聲に悲鳴を上げた。

流石の奈央と凜もこれには驚いた様で悲鳴を上げていた。

ゴリラやかおるやトモまでもまるで子みたいな悲鳴を上げた。

俺は余りのうるささに悲鳴がおさまるまで耳を塞いだ。

――やっと悲鳴がおさまり、

耳を塞ぐのを止めたと同時に背後の聲の主、エリルスが再び喋りだした。

「もぉ~ビックリしたな~

いきなりばないでよ~」

「「「「「「……」」」」」」

次は悲鳴を上げなかった結達だったが良く見ると立ったまま気絶していた。

……はぁ、こいつ等連れてきたのは良いけど、

戦う前に死ぬんじゃないか?

そんなことを思いつつ、

俺はエリルスに話しかけた。

「ごめん、こいつ等ビビりなんだ。」

「ビビりなんだ~

我と一緒だね~所でその子達は誰なの~?」

一緒だね~ってそんな訳ないだろ。

「こいつ等は俺の仲間だ。

今は気絶してるけど力はそこそこだから戦力になると思う。迷か?」

「そっか~ソラの仲間か~

大歓迎だよ~。」

あっ、と、俺はライラとノイはまだエリルスと直接會うのは初めてだ

という事を思い出した。

「あ、えっと此奴が夢の中で言ってた霊王のノイだ。」

俺はそう言ってノイの頭に手をポンッと置いた。

「うぅ~」

「そっか君が霊王のノイかぁ~

初めまして~我は大魔王のエリルスって言うんだ~宜しくね~」

「よろしくぅ~」

「次にこっちが竜人のライラだ。」

俺はノイの頭から手を離し、

ライラの頭の上に手をポンッと置こうとしたが、

背が大同じ位なのでやり難く、仕方なく肩に手を置いた。

「ほぉ~竜人族かぁ~懐かしいな~

さっきも言ったけど~

我は大魔王のエリルスって言うんだ~

宜しくね~」

「うむ、よろしく。

一応言っておくが私は主人の奴隷だ!」

「……」

「うっ!」

俺は無言でライラに軽く腹パンした。

「へぇ~奴隷か

~中々やるね~ソラ~」

「おい、こら。

信じるな噓に決まってるだろ。」

「えへへ~」

「うへへ~」

……何だこいつ等。

何か似たもの同士ってじだな……

合わせたのは失敗だったかも。

……あっ、そうだ。

「ちなみに、こっちはスラだ。」

俺はエリルスが擬人化した狀態のスラに會うのは初めてだと思い、

ライラの肩から手を離しスラの頭に手を置いた。

「お~あのスライムちゃんがこんな人に

~可いね~」

「ありがとうございます。」

スラはとても恥ずかしそうにモジモジしながらそう言った。

「あっ~そうだ~」

「ん?何だ?」

「偵察に行ってる悪魔からの確かな報だけど~

神様達が全員集まるのは三日後で此方に來るのは五日後になりそうだよ~」

「良く分かったな……五日後か。」

それにしても神共は既に俺の居場所は摑んでいるのか?

「なぁ、神共は俺の居場所を知っているのか?」

「ん~知ってると思うよ~

確か神の中に居場所を探るスキルの持ち主が居るようだからね~」

それも、偵察に行っている悪魔からの報か。

……悪魔有能すぎ。

「そっか、じゃあ、

他の街とかが襲われる危険はないのか。」

「そうだね~」

それからしだけエリルスとくだらない世間話をした後、

気絶している結達を起こし、

エリルスから教えてもらった宿の代わりになる空いている部屋に向った。

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