《勇者になれなかった俺は異世界で》作戦とソラ

「という事があったんだ。」

エリルスが先程の出來事を魔王達に伝え終わると、

魔王達は思っていたより冷靜だった。

もっと慌てたりすると思ったんだがな……

何というか冷靜と言うか冷って言うか非人道的って言うか……

まぁ、そもそも魔王だけど。

「そんな事が……ですが、大魔王様その神が言っていた事が

事実とは限りません。」

グウィンが呟く様にそう言った。

確かにグウィンの言う通りだ。

この死が言っていた事は何の信憑も無い、

ましては、此奴は自分の姿を偽って俺とエリルスに接し、

エリルスを毒で暗殺しようとした。

こんな奴の話は到底信じる事は出來ない。

「いや、事実で間違い無い。

我の眼で確認済みだ。」

!?、いつの間にそんな事をしてたんだ?

しかも、我の眼で確認済みって事は……千里眼的な魔眼を使ったのか。

道理で何時もうるさいあのエリルスが

黙々と歩きながらしキョロキョロしてたわけだ。

「なっ……」

これであの神が言っていた事が事実だと分かった、

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分かってしまった。

本當は噓であってしいと心の奧底で思っていたが――

俺のせいで大勢の悪魔が犠牲になってしまったな……くそ――っ!!

自分のせいで大勢の犠牲を出してしまったと考えると自然と力がり、

握っていた拳からがたれて來た。

恐らく爪が刺さっているのだろう。

「心配しないでソラ~。

今回の件は誰もソラのせいだなんて思ってないから~

それにどっちかと言うと命令を出した我の責任だしね~。」

エリルスは何時もの気が抜け様な口調でそう言ってきた。

先程までは真面目だったが、

恐らく俺の事を勵ます為に口調を変えてくれたのだろう。

ふっ、大魔王のくせに面倒見が良いな

……いや、え?何で俺が思ってる事分かってるんだよっ!?

何だか心を見かされている様な気がして嫌だな。

まぁ、今はそんな事より――

「ありがとな。」

わざわざ勵ましてくれたんだ

一応禮は言って行かないとな。

「ん~良いよ良いよ~

じゃあ~今後の作戦を考えようか~」

切り替えが早いのは良い事なんだが、

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口調を切り替え忘れてるぞ。

……まぁ、いいか、こっちの口調の方がエリルスっぽいし。

さて、俺も切り替えないと。

「ウィルライア~何か良い案無い~?」

そう言えば、ウィルライアは主に作戦を考えている魔王だったな。

何時ものじが近所のオッサンだったからすっかり忘れていたな。

さて、何時ものウィルライアからは想像出來ないが

どんな案を出すのか楽しみだ。

「はっはは。」

しわくわくしているとウィルライアの口からは

案では無く笑が出てきた。

俺は遂に壊れたのか?

それとも魔王達には分かる暗號か何かなのか?

と思い、他の魔王達に説明を求めようとしたが

……他の魔王達も驚いた表を――いや、引いていた。

どうやらこの場にいる全員がウィルライアの笑の意味がわかっていない様だ。

ウィルライアの笑が収まり、

俺は次の言葉を待った。

そして、ウィルライアはエリルスの方を向いて

「今更何を言っているんですか大魔王様。」

そう言い、エリルスと他4名は首を傾げた。

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皆が困している中、

俺も何の事かサッパリでモヤモヤしていたので

ウィルライアに直接聞いてみる事にした。

「一どう言う意味だ?」

「相変わらずお前さんは鈍いな。

まぁ、良いだろう。

俺が言いたい事はな――」

いや、鈍いと言われても俺以外――いや、

この場にいる全員がウィルライアの言いたい事が分かってないと思うぞ。

「こうなる事は大魔王様だって予想は出來ていたはずだ。

お前さんもそうだろう?

あの言葉はそれを踏まえての言葉だったんじゃないのか?」

エリルスの方を見ると更に首を傾げていた。

これはウィルライアのハッタリか?

それに、俺が予想出來ていただと?

しかも、それを踏まえての言葉って……

俺なんか言ったかな……

あっ!!それっぽい事は言ったな、

確か『皆殺しだっ!!』的な事……確かに言ったけどさ――

「あれは、邪魔する者は全て殺すって意味で

作戦とかじゃないんだけどな。」

「「「「「「えー!?」」」」」」

「ええ!?」

何のえー!?

何だよっ!俺も思わずええって言ってしまったじゃないか。

「作戦じゃなかったの~??」

「全然違うぞ!」

「思い切った作戦で私は好きだったんだが……違ったのか。」

「ヴェラまで……おい、まさかお前達全員――??」

「「「「「「うん。」」」」」」

満場一致。

「うん。じぇねえええええ――っ!!」

何でだ!?何であの言葉を作戦だと思ったんだ!!

お前達魔王と大魔王様だろ!?

もっとマシな作戦考えろよ!!

「違ったのか……だが、そんな事はどうでも良い。

俺が言いたい事はな、何があっても全力で倒す。

同志の敵を、そして、仲間ソラの為に――話を聞く限り、

幸い相手は大魔王様が復活している事は知らない様だしな。」

どうでも良いのか……にしても全力で倒す、か。

神共の実力は知らないがこっちにはエリルスがいる。

確かに神共にとってエリルスの存在は想定外だろう。

それに、神共は魔王の誰かを暗殺に功したと思い込んで

此方の戦力を甘く見ているはずだ。

全力で戦えば勝てる――かもな。

「ん~!!良い作戦だね~!!

よし~その作戦で行こう~!!」

本當に良いのかよっ!?

隨分とあっさり決めちゃうんだな

……負けそうだ……

・・・・

作戦が決まり、エリルスは何時でも仕掛けられてもいい様に

魔王達総員で魔王城の周囲に結界を作る様にと命じ、

そこで會議は終わった。

結界か。偵察していた悪魔がやられてしまった以上神共が何時攻撃を仕掛けてくるのか分からない。だから結界を作って、神共がやってきたらその結界で足止めして、その間に準備を整えるって事か。

「なるほど――とっ。」

會議が終わり魔王達は早速結界を張るべく部屋からゾロゾロと

出て行っていた。

それを見て俺もさっさと部屋に戻ってゆっくりしようと思い、

立ち上がり魔王達が出終わってあと數センチで閉まりそうな

扉に向かって歩き出した。

「あ~ソラ~ちょっと話がある~」

だが、未だに席に座って髪をクルクルと指で巻いている

エリルスによって止められてしまった。

「何だ?」

「えっとね~悪い意味で取らないでしいんだけどね~

えっとね~その~」

ええいっ!!ハッキリ言えよ!

何なんだ?エリルスらしくないな。

「あのね~ソラの友達の〜結達の事なんだけど~

今回の戦いは降りてもらえないかな~って~」

「何故だ?」

「正直に言うけど~今回の戦いは本気出さないと負けそうなんだよね~

だから、結達は足手纏いと言うか~ね~?」

エリルスが本気を出さないと勝てない……

この前エリルスと戦ったけどあの時のエリルスは

全然本気を出していなかったが、

それでもかなり強かった――

「なるほどな、エリルスの言いたい事は良く分かる。」

確かにエリルスが本気を出すとなれば結達は足手纏いになる。

エリルスは「分かってくれるの~!」と言い、

し安心した様で息をフゥ~と吐いた。

しかし、俺はそんなエリルスの事を見ながら、だが――と続ける。

「あいつ等に足手纏いだから戦うな何て言っても、

聞く耳を持たないと思うぞ。」

どうせ何を言っても戦うと言ってきかないだろう。

だが、まぁ、俺的にもあいつ等に死なれたら……

「そんなぁ~」

「まっ、これ以上の犠牲は出したくないしな、

戦わせないのは無理だと思うが、

後衛位には出來そうだから、説得してみるな。」

「ん~!!ありがとね~」

「おう、じゃあ、行ってくる。」

部屋を出て真っ直ぐに結達が居るであろう魔王城の外に向かった。

「――ハァッ、トウッ!!」

案の定、魔王城の外には訓練中の結達達がいた

。誰もが必死になって武を振ったり、

スキルを発させたり々と頑張っていた。

「ますた、おかえり。」

皆の頑張りに関心していると、

此方に気がついたヤミが近寄り、話しかけて來た。

「おう、ただいま。早速で悪いんだが、

今から話すことをライラ達に伝えといてくれないか?」

「わかった」

「じゃあ、簡単に話すぞ。

悪魔の全部隊が全滅したから恐らく辛い戦いになる。

それと、何時でも戦える様に準備しておけ。」

「それだけ?」

「ああ、頼んだぞ。」

「うん」

ヤミがライラ達に伝えに行くのを確認し、

俺は結達の方へと歩き出した。

「よぉ、訓練中で悪いがちょっと話を――いや、頼みを聞いてくれないか。」

「はい?」「ん?」

結達は手を止めて此方まで歩み寄って來てくれた。

「よし、単刀直に言おう。

お前達、今回の戦いは後衛にまわってくれないか?

回復が使える者は回復を、

攻撃しか取り柄のない脳筋野郎は

回復スキルを使える結とかの護衛をして貰いたい。」

「「「「「「はぁ!?」」」」」」

「どういう事だよ兄ちゃん!!」

「の、脳筋野郎だと……」

「何故ですか?」

「悪魔の全部隊が全滅、

よって今回の戦いはエリルス――大魔王が本気を出さないとかなりキツイ。

大魔王の力は正直に言ってバグ、チートそのものだ。

そんな化けが本気を出したら――言わなくても分かるだろ?つまりだな、

今のお前達の力では足手纏いって事だ。」

バグ、チートなんて言葉こっちの世界に來てから久し振りに使ったな。

それにしても今の言葉エリルスにきかれてたらどうしよう……

化けとか言ってしまったな……

俺がそんな事を思っている中。

一方の結達は何やら皆で顔を合わせていた。

そして、皆がコクコクと縦に首を振りーー

「そうですか……」

と、全員を代表して結がし殘念そうに言った。

「悪魔の事は驚きましたが、足手纏いと言われることは、

なんとなく予想は出來ていました。

はぁ、でも後衛ですか、

てっきり戦うなと言われるものかと思っていました。」

あれ――っ!?俺、エリルスに

『あいつ等に足手纏いだから戦うな何て言っても、

聞く耳を持たないと思うぞ』

とかし格好付けて言ったのに!!

ナンダコレ?

なんとなく予想は出來ていた?

てっきり戦うなと言われるものかと??……

何が、説得してみるな。だよ……恥ずかしい。

「……まぁ……ああ、何だ頼めるか?」

「はい、任せてください。」

結達に伝えた後、

俺はし落ち込みながらトボトボと歩きながら

無駄に豪華な部屋に向かっていた。

「あぁ!ソラくんだぁ」

うわぁ、面倒くさい奴に見つかった!!

今は會いたくなかったなぁ……

「……何だ?」

「うぅうう~?」

ノイは唸る様な聲を出して俺の顔を覗き込んできた。

「な、何だよ。」

「何かぁ落ち込んでるでしょ?」

うわっ、何で分かるんだよっ!!

顔見ただけで分かるとか……俺はそんな落ち込んでいる様な顔してるのか?

「別に大して落ち込んでない。」

「まぁ、どうでもいいけどぉ。」

どうでもいいなら初めから言うなよ。

「あっそ。んで、ようはそれだけか?」

「違うよぉ、ヤミから聞いたよぉ辛い戦いになるんだってぇ?」

お、流石がヤミだ。

こんなに早く伝えてくれるなんて優秀だな。

「ああ、その通りだ。」

「ふぅーん、ボクは全然大丈夫だけどぉ、

怖くないのぉ?」

「は?」

ノイの発言に俺は思わず即答でそう言ってしまった。

やっと、あのショタ神に復讐出來るんだ、

怖い?そんな訳が無いだろう寧ろ楽しみでワクワクしいている。

「愚問だったねぇ。」

俺が思っていることが伝わったのだろうか、

ノイはそう言ってにへらぁと笑って來た。

「何だお前、頭悪そうな顔しやがって」

「うわぁ、酷いなぁ。

こんな可にそんな事を言うなんてぇバチがあたるよぉ。」

い???ふざけんな、

お前男だろ!!……だけど可い……くそ!!

「はぁ、お前がだったら確かに可かったかもな。」

「えへへぇ、じゃあの子になってあげようかぁ?」

ええ!?霊王ってそんなこともできるのかよ

……でもなぁ――

「気持ち悪いからやめてくれ。」

俺は、ノイの男の象徴を一度見てしまっているからな……

「うぅ、酷いなぁこれでもボク傷つきやすいんだよぉ?

いじけちゃうよぉ?隠れちゃうよぉ?」

「あっそ。」

「もうし心配してくれてもいいんだよぉ」

うわぁ、こいつ面倒くせええ

……いつまでも言ってきそうだから適當に心配してやるか。

「あーノイが居なくなったら寂しいよーわー(棒)」

「ふふふふぅ!そうかいぃそうかいぃ、

やっぱりぃソラくんにはボクが必要なんだねぇ!!」

ノイは腕を組み満面の笑み浮かべそう言ってきた。

うわ、うざっ!何なんだ此奴。

俺が凄く棒読みで言ったのにも関わらず、凄い嬉しそうだし……

「お前、うざい、きもいを一周通り越して面白い奴だな。」

「でしょぉ……って誰がうざくてぇきもいぃだってぇ!?」

ノイはそう言って両腕をブンブン振り回し、

『きいい!!』と奇聲をあげながら此方に突っ込んで來た。

俺はそんなノイの頭をつかみ、これ以上近付けないようにきを止めた。

「ふっ、俺も昔そんな事をやっていたな……」

ノイの行を見て、小さい時の記憶を思い出し懐かしいなと思っていると、

ノイが腕を振るのを止め、後ろに下がり

「やっと笑ったねぇ!

ボクは満足だよぉばいばいぃ」

そう言って、何処かに行ってしまった。

笑ったと言っても鼻で笑っただけなんだが

……でもまぁ、あいつは俺が落ち込んでいる事を気に掛けて

わざわざ笑わせてくれたのか……ふっ、本當に面白い奴だな。

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