《勇者になれなかった俺は異世界で》警告とソラ

ノイと別れてから、特に誰とも會わないまま

無駄に豪華な部屋まで辿り著いた。

心の中でやっとゆっくり出來ると喜びながら俺は扉を開けた。

「おっ……おお?」

俺は部屋の中に誰も居ない自由だ!!と一瞬思い、

思わず聲を出してしまったが、

よーくベッドの上を見ると、

何やら布団の中で何者かがモゾモゾといていた。

うわっ、何んかいるよ……どーせ、この時間にベッドにいる奴って

アイツしか居ないだろうけど……

と言うよりアイツは布団の中で何をしているんだ?

寢てるって訳では無さそうだよな、

あんなにモゾモゾしてるって事は……

つまり、アレか。

まぁ、アイツがナニをしていようとどうでもいい事だが。

疲れたな、し寢ようか。

俺はそう思い、出來るだけ邪魔をしないように靜かに歩き、

こっそりと大きなベッドの中に潛り込んだ。

し、モゾモゾが伝わって來て落ち著けないな……

俺が心の中でそんな事を思っていると

突然モゾモゾがピタリと止まった。

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お?止まったな。

これで落ち著いて寢れるな。

「し、主人よ…主人よぉ!!

何時からそこに居た!?」

眠りにつこうと思い再び目を瞑ったが、

慌てた様子のライラによって阻止された。

「うるさいな……お前が天國に行くし前位からだ。」

「な……見ていたのか?」

「見てねえよ、これでも俺はプライベートを覗いたりする趣味はないぞ。」

「そうか……誰にも言うなよ?」

「ああ。用はそれだけか?

俺は眠いんだ……おやすみ」

「ああ、おやすみ……。」

「……」

アレをしていたライラの橫で眠りについたはずだったが、

俺はまた、いや何度目かは知らないが、また真っ白な空間に居た。

俺はエリルスなのか?と言おうとしたが、

何処にもエリルスの姿が見當たらなかったので言葉を飲み込んだ。

「へ、ヘリウムだっけ?何の用だ」

この空間、即ち俺の夢の中にはエリルスか

ヘリ何チャラしかってこられない。

この場にエリルスの姿が見えない以上、

この空間を作ったのはヘリしかいない。

俺はそう思い、名前を読んでみた。

「ヘリウムじゃないよ!!ヘ・リ・ムだよ!」

案の定、ヘリムの聲が返ってきた。

あー、ヘリムだったか……そう言えば此奴、

前會った時に『次會う時は僕の姿が見える所で』

って言ってなかったか?

姿なんて見えないんだが。

「おい、お前の姿が見えないがどういう事だ。」

「いや~ごめんね……つい待ちきれなくなってさ

ソラと話したくて來ちゃった!」

な~にが來ちゃった!だよ。気悪いな。

と言うより、待ちきれなくなってってどういう事だ?

前も『次は僕の姿が見える所』って言っていたけど、

此奴は何を言っているんだ?

未來人か何かか?……一応神だっけ?

「なぁ、お前の言っている事の意味が良く分からないんだが。」

「え?例えばどんな所かな」

「待ちきれなくなって、とか、

次會う時は僕の姿が見える所で、とか。」

「あーそれね!僕は未來と言うか――いや、

これは直ぐに分かる事だから今は教えない。」

「は?どういう――」

「それよりさ、今日はソラに伝えたい事があるんだよね~」

ヘリムを俺の言葉を遮るようにそう言った。

俺は凄くイラついたが、一旦落ち著き、

ヘリムの話が終わってから再び聞こうと考え

取り敢えず話を聞くことにした。

「……何だ?」

「前さ、ライラだっけ?

あの子にスキルを伝承するとか何とか話してたよねー」

「それがどうした?てか何で知ってるんだよ!」

「だーかーらー!前に言ったでしょ、

ずっと見てるって。」

あー、確かそんな事言っていた様な気がするな。

……確かそれで俺は覗き野郎って呼んでたっけ

「ああ、そうだったな覗き野郎。」

「だから僕は野郎じゃないって……まぁ、いいよ。

でね、スキルを伝承するなら明日にでもした方が良いよ。」

「明日だと?何故だ?」

「んとね~これはあくまで僕の予想なんだけどね、

明後日神達が攻めて來ると思うんだよ。

僕は余りネタバレ・・・・しない主義だから詳しくは言わないけど、

萬が一の事を考えて――ね?」

ネタバレ?何のことだ……それに明後日だと?

……此奴を信じる必要は無い、

だけど、確かに萬が一の事があるかもしれない……此奴の言う事をきくのは

嫌だがヤミの為だ、仕方ない。

「お前の事は信用していないが、

一応警告としてけ取っておく。」

「そっか!良かった。信用してくれないのは悲しいけど……」

「話は終わったな?じゃあ次は俺の質問を――」

「おっと、そろそろ行かないと!

じゃあ次こそは僕の姿が見える所で!

じゃあ!!――」

「くそ!待て!!」

ヘリムは再び俺の言葉を遮り、

そう言って何処かへ行ってしまった。

姿は見えないが、確かにこの場から消えたという事が何となく分かった。

そして、俺の視界が徐々に暗くなり――

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