《勇者になれなかった俺は異世界で》本當のプロローグ
「……――っ!!」
何時からだろうか。
詳しくは分からないが、
俺はいつの間にかに先程とは違う空間に移していた。
訳のわからない刻印が刻まれている大きな扉があり、
その前に椅子が幾つも置いてあるがどれも壊れていた。
中心にある椅子の周りにはの池があり、
そこらじゅうに赤いフード付きローブを著ている
何者かの死が転がっていた。
中心にある椅子をよく見ると、
そこには真っ白なフリフリが付いたし派手な服裝をしているがいた。
その純白の服の彼方此方にが飛び散っていた。
そして、何よりもそのはの大きさとは
見合わない大きさの鎌を持っていた。
何だあいつ……間違いなく面倒くさい奴だとは分かるが
……俺の中では『=厄介』となっている。
その代表例がライラとかライラとライラだ。
よって、あの得の知れないもどうせ厄介だ
……はぁ、話しかけないとダメだよな。
「おい、そこの得の知れない殺人鬼。
此処はどこだ。」
俺の言葉を聞いたはをピクッとさせ、
次にプルプルと小刻みに震えだした。
あれ、怒ったか?失敗したな、
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あの鎌で襲ってきたらどうしよう……。
俺から見ると怒りを堪えて震えている様に見える。
しかも下を向いているし。
「あー、もしかして殺人鬼ってのが気にらなかった?
じゃあ――可いお嬢さん?」
の震えは更に大きくなっていった。
そして、遂には耐え切れなくなった――
「――ぷっはははははっ!!
やっぱ最高だよ。ソラ君!」
「っ!?その聲は!」
は怒っていた訳ではなく、
只笑いを堪えていたらしい。
だが、そんな事はどうでもいい。
それよりも、このの聲だ。
俺はこの聲に聞き覚えがある。
たった一二度だが、はっきり覚えている。
此奴は――
「ヘリム……なのか?」
は笑うのを止めて此方を向いてニコリと笑った。
「そうだよ!ちゃんと名前覚えていてくれたんだ!!嬉しいなぁ。」
「やっぱりそうだったのか……でも何故だ?」
「ん?」
俺は死んだはずなのに……どうして此奴がいるんだ?
まさかヘリムは死後の世界に住んでいる――流石に無いよな。
「一俺はどうなっているんだ?」
「ん~、そうだね――あっ、それよりこっち來なよ。
座って話そうよ。」
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ヘリムはそう言って隣にある椅子を自分と向かい合うように設置し、
此処に座れと手招きしてきた。
ずっと立っているのも疲れるからヘリムに言われた通りに
椅子に座ろうとそちらに向かうと、
ヘリムが途中で『あっ!』と言って、
徐に指をパチンッと鳴らした。
すると、先程までの池だった場所が一瞬で綺麗になった。
死はそのままだったが。
「どうぞっ!」
「別にそのままでも気にしなかったけどな。」
椅子に座ると、ヘリムがジロジロと顔を見て來てしウザい。
いや、結構ウザい。
「何だよ。」
「いやー、やっと手にったから嬉しくてさー。」
やっと手にった?……ああ、そういえばそんな事言ってたな。
「あっそ、そんな事してないでさっさと説明しろ殺人鬼。」
「うっはー酷いなぁ。こんな可い子に――」
「――早くしろ。」
「もぉ、仕方がないな。じゃあ――いや、ちょっと待って。
その前に言う事があった。」
「何だ?」
「――プロローグお疲れさま。」
「プロローグ?」
何を言っているんだ?
決してプロローグの意味が分からない訳ではない。
一何のプロローグだ?
「そう、プロローグ。
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僕が君を手にれる為に仕組んだプロローグ。」
「は?」
此奴が俺を手にれる為に仕組んだプロローグだと?
意味が分からない。
「まぁ、詳しい事はこれから説明するよ。
じゃあ、まず最初に今のソラ君の狀態からね。」
本當に説明してくれるんだろうな……この前逃げられたからな
……警戒しておくか。
「今のソラ君の狀態は、
簡単に言うと魂かな。」
「そうか。」
「あれ?反応薄いね。」
「ああ、何となく分かってたからな。」
「ふーん、でね、さっきまでソラ君の魂は
ふ~らふ~らと彷徨っていたんだよ。」
あー、なるほど。
だからさっきまで、
魂だけが抜けて空中でゆらゆらと浮いているかのようなじがしてたのか。
納得出來る。
「そこで!この僕がソラ君の魂をひょいと此処まで導いたんだよ。
ちなみに、此処はソラ君が前にいた世界とは違うと言うか同じと言うか
……まぁ、中途半端な場所なんだよ。」
だからヘリムの姿が見えるのか。
「あっ、ちなみに、そこに転がっているゴミ共は死神さん達だよ。
僕の邪魔をしたからそうなっちゃったんだよ。
可哀そうだよね。」
「他人事みたいに言うな。
お前がやったんだろ。」
「えへへ~、でね、僕はソラ君の魂を無事手にれて、
今に至るんだよ。」
「魂をお前が?」
「そうだよ、今の僕はそこに転がっている死神の代わりだからね。
だから、ソラ君の魂は僕の。」
死神の代わりか……これから一俺の魂はどうなってしまうのだろうか。
「で、お前は俺の魂を手にれてどうしたいんだ?」
「ふふふ~それはお楽しみだよ
――さぁて、ここでソラ君に問題だよ!」
「何だよ唐突だな。」
「ふっふっふ~、では第一問!」
ヘリムは楽しそうに人差し指を立ててそう言ってきた
「ソラ君はあのショタ神と出會った時の事を覚えているかい?」
出會った時……
「ああ、覚えてるよ。
あの野郎俺にスキルを授けなかった――っ!!」
「うんうん、じゃあ、ショタ神はどうして
ソラ君にスキルを授けなかったんでしょうか。」
?
そんなの決まっている。
「あいつが俺の心を読んだからだろ?
あの時俺は心の中であいつの悪口言ってたし。」
「ざ~んね~~ん!不正解だよ。」
ヘリムは楽しそうに両腕をクロスさせバツ印を作ってそう言った。
「は?違うのか?」
「違うよ~答えは次の問題に答えてからね!
じゃあ、第二問!!
大魔王エリルスの封印はどうして解けたのでしょうか。」
確か、エリルスの記憶によれば――
「封印が弱まって、
自力で解いたからだろ。」
「ぶっぶ~ハズレ~」
「はぁ?意味わからんぞ。」
「全くダメですね~では、答えを教えてあげましょうか。」
うわぁ、此奴うざっ。
つか、何で違うんだ?
しっかりエリルスの記憶を辿ったのに……
「まずは、第一問の答えから――あー、
やっぱり答えを言っちゃったらつまらないからヒントにするね。」
「は?お前ふざ――」
「ヒント、ショタ神は心が読めるんだったらどうして、
あの大魔王エリルスの一撃を回避する事が出來なかったんだろうね。」
「!!」
確かに……心が読めるんだったらエリルスの死発は回避出來たはずだ。
なのにあいつは回避しなかった。
まさか、本當は心なんて読めないのか?
だったらどうして俺の心の中で思っている事が分かったんだ?
「……」
「ん~分からないかー仕方ない、答えを教えよう。」
暫く悩んでいる俺を見かねてヘリムはそう言った。
「答えは簡単、ショタ神は心何か読めない。
じゃあ、どうしてソラ君の心の中で思っている事が
分かった様な態度を取ったんだろう?
それはね、第三者がショタ神に伝えたからなんだよ?」
「――どういう事だ?第三者って……」
あの場には俺とショタ神しか居なかったハズ――いや、待てよ、
姿が見えなかったがもう一人いた――いたはずだ。
「まさかっ!」
「――そう、僕がショタ神に言ったんだよ。
ソラ君には聞こえない様にショタ神の頭の中に直接ね。」
此奴が……でも此奴はどうやって俺の思っている事を知ったんだ?
「お前は心が読めるのか?」
「え?そんな訳ないでしょ。
心が読めたらわざわざこんな會話何てしてないよ。
僕はただ、ソラ君表を見て居たら思っている事が
何と無く伝わって來たからそれをショタ神に伝えただけだよ。」
なんだよそれ。
表だけでそんな事伝わるのかよ。
そもそも何で此奴はそんな事をしたんだ?
「お前は何となくでそんなことをしたのか?
それがどれほど影響を與えたのかわかってーーいや、そもそも何でそんな事をしたんだ?」
「えー?何でって?もう言ったと思うけど、
僕は気にったら何が何でもそれを自分のにしたい格なんだよ。
あのままだったらソラ君は神様側に付いて
思うように王とかにられてしまっていたからね。
だから僕がソラ君を導いたんだよ。」
確かに、此奴の言っている事は間違っていない。
もしスキルを授かり、王に歯向かっても
上手いように扱われ、他のクラスメイト同様ににり人形に――
「お前の言っている事は分かったが、
俺の何処が気にったんだ?」
「ソラ君の相手が誰であっても余り態度を変えない所とか、格とか?」
「そんな事なのか?」
もっとこう、的な理由は無いのか?
こんな理由で俺は気にられたのか?
「ソラ君は知らなくて當然だけど、
他のクラスメイト達は皆、あのショタ神を見た瞬間怖気づいてたよ?
それに比べてソラ君は微だにしなかった。
それは凄く凄い事だよ。
只の人間が圧倒的な存在力を目の前にしても微だにしないなんて
異常だよ。
まぁ、僕はそういう所が大好きなんだけどね。」
皆って奈央とかも怖気づいたのかよ……し意外だ。
「そうなのか……」
「うん!じゃあ、そろそろ二問目のヒント出すね。
ヒント!大魔王エリルスの封印はどうして弱まったんだ?
しかも、ソラ君が亜空間に放り込まれるタイミングとバッチリ!!
そんなご都合主義が本當にあるのかな?」
……確かにタイミングは良かった。
さっきまでの俺なら封印されて數百年経ってるんだ、
弱まって當然だろう。
とでも言っていただろう。
でも今は――
「これもお前がやったんだろ?」
「おおっ!正解!!
いやーソラ君がボコボコにされて亜空間に放り込まれた時は焦ったよ。
まさか、あそこまでやるとはね。
僕はもうしソラ君にあの世界で學んでしかったから、
急いで亜空間に封印される大魔王エリルスの封印を弱めたんだよ。
本當にあれは疲れた、あの後數日けなかったもん。
本來ならあんな封印ぺっぺ!ってじで解けるんだけど、
流石に魂だけじゃね。」
やっぱり、こいつか。
「それはご苦労な事だ。」
々と此奴には文句を言いたいが、
捉え方を変えれば、此奴のおかげでエリルスや、
ヤミ達に出會う事が出來たんだ。
そこの所は一応謝だな。
「僕が関與したのは此処までかな、後はソラ君の事を見守って、
ソラ君の死相が見えて來たら夢にり込んで――今に至るってわけだよ。」
「そうか……って待て待て!!
死相が見えてって何だよ!
お前そんなの見えるのかよ!!」
「ふふふ、まぁね。
相手が死に近付いて來たら見えるだけだけどね。」
死に近付いたらか……
と言う事は此奴が言っていた事は本當の警告だったんだな。
……っ!そうだ。
「なぁ、ヘリム。頼みがある。」
「ん?どうしたの?」
「結達やヤミ達の死相は見えるか?」
在り合えないとは思うが、一応だ。
もし、死が近づいて來ているならヘリムには死相が見えるはずだ。
でも、本當に死相が見えて居たらどうするんだ?
……どうにも出來ないよな。
「あー、その事ならもう確認したよ。
ソラ君が心配するだろうと思って前もって見ていたんだよ。
誰一人死相が見える事は無かったよ。
あっ、あとソラ君を殺した奴はね、
かおる達によって倒されたよ。
なんと、犯人の正は王でした!!
わぁ、ビックリ。」
「そ、そうか。」
良かった。
誰一人死相が見えて居なくて良かった。
王が犯人だなんて驚いたけど、
かおる達がしっかり倒してくれたんだな。
全然、あの王だとは思わなかったな、
口調全然違ったし。
本當は俺が復讐して殺す予定だったけど……
はぁ、結局あのショタ神も王も自分の手で殺すことは出來なかったな
……でも、まぁ、これで良いんだ。
俺の目的は皆が果たしてくれた。
もうあの世界に思い殘す事は――無くもない。
本音を言うとヤミ達ともうし一緒に居たかった。
そう言えば、ライラって俺の事家族に紹介したかったんだっけ
……あって見たかったな。
一アイツの親はどんな格なんだろうな……
「悲しそうだね。
そんな悲しい顔しないでよ。
ソラ君はまた戻れるよ、皆の元に。」
「え?」
どういう事だ?
俺は死んだはずだろ?
「まぁ、すぐには無理だけどね。
でも、例え何十年何百年経ってもあの子達は死にはしないよ。
結達は加護が付いて、壽命で死ぬ事は無いし。
ヤミ、ライラ、ノイは言うまでも無いし、
スラはスライムだから壽命は無いし。」
「本當か?」
また會えるのか?
會えるなら會いたい。
例え何十年、何百年経とうとも。
「本當だよ。」
「どうすれば良いんだ?」
「簡単さ、僕が住んでいる世界に來てよ。
その世界を救ってくれよ。
そしたら、僕の全力を持って君をヤミ達の元へ戻してあげよう。」
「世界を救う……俺が?」
「そう、ソラ君が。
僕の住んでいる世界はちょっと大変でね。
ソラ君だったら救えると僕は思う。」
「大変って一どんな?」
「し長くなるけど説明しよう。
昔々、ファルウエと言う世界に沢山の種族が仲良く暮らしてました。
時には喧嘩なども起きたけど、直ぐに仲直りし、
協力し合い中々良い関係を築き上げて行きました。
誰もが幸せに暮らした。
しかし、そんな中、ファルウエの神様が言いました。
(ちなみに僕じゃないからね。)
『この世界は平和すぎる、これではつまらない。
よって、我は宣言する。
これからは土地、人権、富……全ては力によって決まるものとする。』
と、これに賛する者も反対する者もいた。
しかし、反対する者は神の圧倒的な力によって賛さざる負えなくなり、
結局は全種族が賛する事になってしまった。
そして、力の無い種族は瞬く間にやられて行き――」
「――長い。」
流石に長すぎだろ。
聞いているだけでイライラしてくるぞ。
「えー、じゃあ簡単に言うよ。力が全ての世界。」
「そうか、分かりやすくていいな。」
「ソラ君にはこの世界を救ってしいんだよ。
勿論僕も一緒に手伝うけどさ。」
「この世界を救えば戻れるんだろ?
だった答えは決まってる。」
「ふふ~流石ソラ君!僕のお気にり!!
あっ、そうだ、先に行っておくけど人間は一番最弱の種族だからね。
今は殆どの人間が奴隷になってるよ。
あと、ファルウエでは
ソラ君のスキルもステータスも初期の狀態になるからね。」
初期の狀態か。
當たり前って言えば當たり前だよな。
世界が違うし。
だったら、最弱からスタートか。
でも、それもそれで――
「最弱ね……良いじゃん面白そうだ。
最強も良いが、最弱から始めるのも悪くない。」
「うんうん。僕と一緒に頑張ろう!」
「おう。」
「ソラ君にはあの世界プロローグで築き上げた戦とか々あるし、
直ぐに強くなれるよ。」
「ああ、直ぐに世界を救ってやるよ。」
さっさと救って帰ってやる――っ!!
ってプロローグってそういう事なのか。
何か後付け臭いな……まぁ、あまり気にしないでおこう。
「じゃあ、早速行こうか。」
「ああ。」
「プロローグは此処までだよ。
本當にお疲れ様。
此処からはニューゲームだ。
お互い協力し合って楽しもうよ!
じゃあ、また直ぐに會おう――」
――ジュウウッ
俺とヘリムは突然現れた魔法陣の中に吸い込まれるように消えていった。
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