《勇者になれなかった俺は異世界で》序列時代

いつの間に戻って來たのか

部屋出り口の前にジブお姉ちゃんが立っていた。

「會えるの?」

會えるってどういう事だ。

田中はまだ生きて居るって事か?

いや、生きてる訳が無い。

田中は人間だ。

世界改変から結構経ってるんだぞ、

生きて居る訳が無いだろ。

「うん、確か5年後に罪人公開會があるからその時に會えると思うよ。」

「罪人公開會?」

何だそれは……

それにしても本當に生きてたのか……田中。

「エデイルって國でね、

罪人を公衆の面前で釣り上げて、

曬しものにするんだよ。

一回だけ行った事があるんだが本當に凄かったよ~

んな種族が集まって罪人達にゴミとか投げ始めるんだもの。」

「?!」

どういう事だ?

この世界は世界改革が起きてから戦爭ばかりなんだろ?

あらゆる種族が土地、人権、富を奪い合ってる世界なんだ。

なのにんな種族が集まって罪人達にゴミとか投げ始めるだと?

どうなっているんだ?

「どういう事?あらゆる種族が

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土地、人権、富を奪い合って居るんじゃないの?」

俺は思わずジブお姉ちゃんに聞いてみる事にした。

すると、ジブお姉ちゃんは目を丸くして此方を見てきた。

そして――

「あっはははは!」

「え?」

何で笑い出すんだ?

何かおかしな事言ったか?

「いやー、ソラたんそれは本で知ったのかい?」

「う、うん。そんなじ。」

「ソラたん~それ何時の本読んだんだい?

そんな時代もう終わったよ。」

「は?」

「今は、序列の時代だよ?」

な、何を言っているんだ?

時代はもう終わった?序列の時代?

聞いていた話とは隨分と違うぞ……

俺は一何をすれば良いんだ?

何から世界を救えばいいんだ……

そもそも序列の時代って何だよ。

「ねぇ、序列の時代って?」

「もぉ、ソラたんは勉強熱心だね。

でも、ご飯が冷めちゃうから

食べながら説明してあげるね。」

「うん。」

「序列って言うのはね、簡単に言うと順位なんだよ。

1位、2位、3位~みたいに種族にも順位が付いているんだよ。

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1位がエクスマキナとか呼ばれてる良く分からない種族で、

最下位が……」

「ん?どうしたの?」

部屋の中でご飯を食べながら説明してくれていたジブお姉ちゃんだったが、

最下位の種族を何やら言うか言わないか迷っている顔をしていた。

「ああ、いや何でもないよ。

最下位が人間。

そして、人狼は8位。」

ああ、なるほど。

俺が人間だから言っていいのか迷ってたのか。

ジブお姉ちゃんは優しいな。

「土地、人権、富を得るには

自分の種族より序列の高い種族に挑む必要があるんだよ。

勝てば土地、人権、富を得られるけど負けたら逆に取られるんだよ。

今は大の種族が安定した生活を送れてるから戦爭なんて滅多に起きないんだ。」

なるほど、

それで最弱の種族の人間は負け続けて

土地、人権、富を奪われ、挙句の果て今では奴隷って事か。

時代が変わっても人間は最弱のままか。

なるほど、じゃあ俺は人間の序列を上げれば良いのか?

まぁ、これだと世界を救うと言うより人間を救うって事になってしまうが……

そう言えばヘリムが言ってたが、

この世界の人間は殆どが奴隷とか……ちょっと聞いてみるか。

「この前本で読んだんだけど、

人間って殆どが奴隷なの?」

「そ、それは……」

あー、聞いたのは失敗だったかな。

もうし考えて質問すればよかったな。

「わ、分からない。」

「そっかー」

「ごめんね~、所でさ、話は戻るけど罪人公開會行きたい?」

「うん!」

田中には一度會ってみたい。

それに、只の人間である田中がどうやって大賢者に

なったのか気になるしな。

「そっか、じゃあ5年後行こうね。お姉ちゃんとの約束だ。」

「うん、約束!」

5年後か……それまでには強くなっていたいな。

せめてお父さん達の訓練に參加出來る位にはなりたい。

足が治るまでは本を読んで沢山の知識を付けて、

足が治ったら魔法と力作りをやるか。

魔法は……ルヌイ婆さんにでも教えてもらうか。

力作りは……森に行くのは危険だしな……

これは家の近くでやるか。

……何か話進めちゃったけど、

何で田中は生きてるんだ?

「ねぇ、何で田中は死んでないの?」

「ん?それはね、タナカが自分に不死の魔法を掛けたからだよ。」

「不死の魔法!?」

おいおい、そんな魔法あるのかよ!

チートだ、チート。

「うん、その魔法があれば歳と取らないとか……羨ましい。

10代のに戻りたいな。」

「ジブお姉ちゃんは綺麗だよ!」

「きゃああ!ソラたんは良い事言うね~」

不死の魔法か……

ますます田中に會ったみたくなったな。

・・・・

足が治るまでの間、俺はひたすら本を読み続けた。

お父さんが持って來てくれた本で知識をにつけながら、

ルヌイ婆さんに貰った本で確りと魔法の知識もに著けて行った。

お父さんが持ってきてくれた図鑑のおかげで

の魔の弱點や習が分かり、非常に役に立つ。

だが、お父さんの持ってきてくれた戦の本は余りためになれなかった。

別に容が悪いと言う訳ではない。

寧ろ確りと書かれている。

書かれているのは良いが、

全て種族がエルフなど人間以外である事が前提なのだ。

どれも人間の能力じゃ出來ない技ばかりだ。

折角持ってきてくれたお父さんには悪いが、

これは読むだけ無駄だろうな。

そう思い、俺は戦の本を袋の中に閉い、

図鑑と魔法本だけを読み進めて行った。

魔法本を読んで家の中で試そうな魔法は次々と試していった。

ただ、それだけでは余りにも數がなく、

俺は魔法本を暗記することにした。

例え魔力量が足りなくて使えない魔法でも、

何時かは使える様になる。

その時になってまた本を開いてスペルを覚えて……

何て面倒な事は嫌だから今のに全て頭に叩き込んで置こうと言う考えだ。

簡単な魔法のスペルなら短いが、

大きな魔法となってきたらかなり長く、

作文を暗記しているかの様な気分になった。

流石に暗記を続けていると頭がおかしくなりそうだったので

途中で図鑑を見て可い魔を発見し、

それを見て癒されたりしながらスペルを暗記していった。

・・・・

図鑑と魔法本を読み続けて約一か月が経ち、

俺は遂に歩ける様になった。

だが、歩ける様になったと言っても、

まだ補助なしでは辛い狀態だ。

この狀態ではまだ魔法や力作りは出來ないので

俺は仕方なくリハビリをしつつ再び本を読むことにした。

魔法本は大暗記したので、リハビリの期間は図鑑を軽く暗記する事にした。

名前、習、弱點、生息地……

々な図鑑を読み々な報を得て、

流石に全部の図鑑を暗記するのは大変だから自分なりにまとめ、

それを頭に叩き込んだ。

それから約一か月、

リハビリをしてたおかげで補助なしで歩く事が出來る様になった。

しかし、まだぎこちないじなので完治とは言えない。

完治するまでは外には出してもらえないし、

早くてもあと一か月は引きこもり生活だな。

「ソラ、ちょっといいか?」

歩ける様になり、

久しぶりにお父さんとリビングで朝食を取っていると

突然、そう聞いてきた。

「何?」

「大分遅くなったが、ソラを襲ったスライムいただろ?

そいつを森から追い払う事が決まったんだ。」

今頃かよ……

討伐するんじゃなくて追い払うか。

流石の人狼でもスライムは一筋縄では行かないのか。

「そうなんだ。」

「実はな、この後から森に行くことになってるんだ。

だから、暫く帰ってこれないが良い子にしてるんだぞ?

ゴウルが來るはずだから何かあったらゴウルに言うんだぞ。」

「隨分急なんだね。

わかった、良い子にしてるよ!」

「おう、流石俺の子だな。」

「うん!」

・・

「それじゃ、行って來る。

後は頼んだぞ、ゴウル。」

「分かりました。」

「いってらっしゃ~い」

お父さんを見送った後、

ゴウルと一緒に部屋に行き々な話をしてもらっていた。

お父さんの昔話やジブお姉ちゃんの話やルヌイ婆さんの話やら

々な話だ。

ゴウルの話し方は丁寧すぎて

し伝わりにくい所もあったが、

的な容が伝わてくるので想像しやすい。

「おっと、もうこんな時間ですね。

ご飯にしましょうか。」

「うん!」

もうそんな時間か。

話に集中しててあっと言う間だったな。

「では、私はご飯を作ってきます。」

「頑張って!」

「はい。」

んー、トイレに行きたいな。

ずっとゴウルの話聞いてて全然トイレに行く暇無かったし……

俺はトイレに行くため、

ぎこちない歩きで階段を降りてトイレに向った。

――パリンッ!

「ッ!」

何だ?あの紳士さん皿でも割っちゃったのかな?

……ビックリしたな、れるかと思った。

でも、あの紳士さんが皿を割るなんてミスしそうにないけどな……

トイレ行った後見に行ってみるか。

・・

「ふぅ。」

スッキリしたな。

さて、リビング行ってみるか。

「ゴウルさん、さっき何か割れた音――っ!」

「逃げっ――」

――ブシャーッ!

しぶきが上がり、リビングはで染まった。

一瞬の出來事だった。

それは俺がリビングに顔を出したのと同時に、

フードを被った謎の3人組がゴウルの事を殺したのだ。

二人でゴウルのきを止め、

もう一人が鋭い鎌らしきでゴウルのを切り裂いた。

「なっ……」

ゴウルは狼に変していた、それでもこの3人組に負けた

相手が3人で數に有利があるとしても、人狼の力を上回るのには相當な戦力が必要だ。

相手が人間ではないことは確実だ。

人狼の序列に近い何者かの犯行か。

何にせよ、人間である無力な俺には何もすることは出來ない。

何なんだよこいつ等……

っ!逃げなきゃ――っ!

だが、俺が行に移した頃には既にフードを被った3人組が俺の前に立っていた。

「お?子供じゃん。」

「殺しちゃうっすか?」

「いや、子供は金になる。」

「りょーかい。」

――ドスッ

凄い衝撃と共に俺の意識は途絶えた。

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