《勇者になれなかった俺は異世界で》盜み聞き野郎
「妾は……むにゃむにゃ」
「……」
俺がエキサラから解放されたのは、
彼是、數時間後の事だった。
時計が無いので確信は出來ないが、時計があるから何となく分かる。
と言っても俺の時計は間違いなく狂ってるけどな。
エキサラは數時間ずっとぐちぐちと愚癡をこぼしながら
俺を喰い散らかし、お腹が一杯になり満足したのかまるで子供の様に
ムニャムニャと寢てしまった。
寢顔は可いんだが、
だらけなのが殘念だ。
凄く殘念だ。
そんな殘念なエキサラを見つつ、
俺は起こさない様に優しく未だに上に乗っている
エキサラをかそうと思ったが、が全くかなかった。
まだ首の効果が続いているのだ。
「はぁ。」
別に重くないけど俺の上なんかより
普通にベッドの上で寢た方が良いだろうに……
まっいっか、どうせもう寢てるんだし。
俺はそんな事を思いつつ、
けなくて何も出來ない為そのまま眠る事にした。
・・・・
「んん~~」
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朝、目を覚まし俺はを勢いよくばした。
どうやら、首の効果は切れた様だ。
今までけなかった分最高に気持ちが良い。
「おろ?」
どうやらエキサラは俺よりも早く起きた様で姿が見えない。
このになってから相當朝には強くなったんだが、
それでも俺はエキサラよりも遅く起きてしまう……流石だなエキサラ。
「んんん~!」
エキサラに改めて関心しつつ俺は再び背を思いっきりばした。
背骨からボキッという音が聞こえた気にしないでおこう。
「さて、」
顔を両手でパチンと叩き、
今日も頑張るぞと気合をれベッドから出た。
「おっと、危ない危ない。」
そのままリビングに行こうとしたが、
エキサラに喰い散らかされた俺の服は無論ボロボロになっている
と言う事を思い出し辺りを見渡し何処かに執事服が置いていないか確認した。
おっ、あったあった。
流石エキサラだ、気が利く。
し近くの床に綺麗に畳まれた執事服が置いてあった。
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俺はボロボロになった執事服をぎ、
畳んである執事服を手に取りささっと著替えた。
本當であれば著替える前にだらけになっているハズのを
綺麗にした方が良いのだろうが、嬉しいことにその必要は無い。
エキサラはかなり暴に喰らうが、意外と綺麗に喰うのだ。
人の事を喰らって綺麗も汚いもあるのかって言えば何とも言えないが、
確りとが飛び散ったら舐めとってくれるのだ。
すこーしくすぐったいが、すこーし心地良い……気がする。
著替え終わった俺は何時も通りにリビングに向った。
何時も通りに向ったのは良いが、手前まで行くと何やら話し聲が聞こえてきた。
別にエキサラの獨り言なら良かったんだが今回は違い、
聞きなれたエキサラの聲と謎の男の聲が聞こえてくるのだ。
誰だ?エキサラの友達か?
……いや、そんな訳ないか年齢的にも友達なんて居ると思えないしな
……って俺今結構酷いこと言ったな、聲にだしてなくてよかった。
ちょっと気になるから盜み聞ぎしてみるか。
普通に挨拶に行けばいいものの、
何故か盜み聞ぎをするという行に思い立った俺は
さっそく扉に耳を付け會話を盜み聞き始めた。
「嫌じゃ」
「そこを何とかっ」
盜み聞ぎを開始して早速聞こえてきたのは
不機嫌そうなエキサラの拒否の聲だった。
そしてその原因であろう人が
何やら必死になっていた。
「嫌なものは嫌じゃ。
何を言われても妾は絶対に嫌じゃ、
さっさと帰るのじゃ。」
「このまま帰ったら私の命どころか、
一國までもが危うくなりますよ。」
不機嫌そうなエキサラに帰れと言われ、
謎の男は聲を荒げて何やら凄い事を言い放った。
何だか良く話の容が分からないけど
こんな面倒な奴さっさと追っ払え!!
國が危うくなるとか言ってるし絶対に面倒だ。
帰れ帰れ。
「だから何なのじゃ。」
「は?」
「お主や國が危うくなるからどうしたのじゃ?
妾には関係ない事じゃ。
勝手に滅びるなりすれば良いのじゃ。」
おお、良いぞ!
その通りだもっと言ってやれ!!
「あ、貴様はっ!
貴の命で數百萬の命が救えるというのに、
數百萬の命を見捨てるんですか!」
「うむ、そんな見ず知らずの奴等の命なんて如何でも良いのじゃ。
妾は妾の命と妾の可い奴隷の命さえ在れば満足なのじゃ。」
おお……何か照れるな。
ありがとう。
「な……貴様は異常だ。」
「そうかのう?
まぁ、どうでも良いのじゃ。
ほれ、さっさと帰るのじゃ。」
「……分かりました。
ですが、お気を付けください。
私の主あるじは必ず貴様を手にれようとするでしょう。」
エキサラを手にれようとするって……
相當なもの好きさんだなその主。
っと、早く隠れないとそろそろ危ないな。
扉に足音が近付いて來て、
俺は急いで扉から離れ、急いで近くのトイレにり込んだ。
扉が開き、閉まり、
また開き
――バタン
と、扉が閉まった音がして
俺は玄関の扉が閉まった音だろうと判斷し、
トイレから出た。
判斷は正しかったようで、
謎の男の姿は見えなかった。
ふぅ、帰ったか。
じゃリビングに行くとするか。
先程盜み聞ぎしていた事何て無かった様に
何時も通りにリビングにると、
椅子に座ったエキサラが
何やら睨んできていた。
「……どした。」
「ソラよ、どうしてってこなかったのじゃ?」
「え……」
バレてた。
そうだよな、冷靜に考えればエキサラにバレないで盜み聞ぎ何て無理だよな。
だって、エキサラだし。
「り難かった……からかな。」
「はぁ、あそこでソラがってきてたらのう、
妾ももうしガツンと言ってやれたのじゃがのう……」
「どういう事?」
俺がって行ったら何か変わってたのか?
そうは思えないんだが。
「ソラが來たらのう、
妾の夫じゃ!と言ってあの男を追っ払おうと思っていたのじゃ。」
うわ、それ俺の見た目的に無理があるだろ。
まだ3歳のままだぞ……ってエキサラも同じくらいか。
つか、俺を夫にしたとしても、
それがどうして男を追っ払う事に繋がるんだ?
アレか?俺の実力行使で……ってそんな事出來ないよ俺、弱いし。
「それは損した気分だ。
でも何故俺を夫にするんだ?
さっきの會話と何か関係があるのか?」
「うむ、ソラが盜み聞ぎを開始する前にのう、
あの男はこの妾に
『私の主と結婚してしいのです。』
とか言ってきたのじゃ。」
「なるほど。」
さっきの手にれるってのはこういう意味だったのか。
それにしても、エキサラと結婚って……
「そんな見ず知らずの男と結婚する何て免じゃ。」
「ん?その言い方からすると
ご主人様は相手の事を知らないのか?」
「うむ、まったく知らないのじゃ。
どこで妾の事を知ったのかも、
どうして此処が分かったのかも。」
「それって……」
エキサラに一目ぼれして、
頑張って此処を特定したのか。
何処のだれかは分からないが、良くやるな。
「妾は貌に魅力された哀れな男じゃな。」
「ははは」
「何じゃその乾いた笑いはのう」
「え、あ、いや……そんな事より朝ご飯食べようか。」
「うむ、誤魔化しよって……」
・・・・
今日も今日とて俺は筋トレをする。
この生活にも慣れたで寧ろ毎日筋トレをしないとがウズウズとしてくる。
この前まではたった一人で寂しく筋トレをしていたが最近は違う。
俺がエキサラと言うご主人様ロリババアを殺してから、
エキサラは筋トレを邪魔してくるようになったのだ。
邪魔と言うよりアシスタントと言った方が正しいかもしれない。
俺が腕立て伏せを始めるとエキサラはがら空きになった背中に乗って來る。
本當であれば乗られた方が辛くなってより良い筋トレになるのだが、
エキサラの場合凄く軽く、何か乗っているなぐらいの覚しかないのだ。
腹筋の時は俺の足を押さえてくれるようになった。
今まではおさえ無しや、家の隙間につま先をれて腹筋していた為
これは正直に言って助かる。
助かるのだが――俺の膝と膝の間に顔を置いて、
頭を上げるたびに口を尖らせてキスしようとしてくる。
俺はそれを避ける為若干仰け反りながら腹筋をする。
これも意外ときつくなんだかんだ言って何時もの腹筋よりは良い気がする。
家の周りを軽く走る時は、此方を見ながら凄い速さで俺の事を追い抜き
憎たらしい顔をしながら「くははははは!」と笑いながら何週も回って來る。
その憎たらしい顔を見るとムカつき、
俺は必死にエキサラに追いつこうとするが全くと言っていいほど距離がまらない。
それどころか、段々週差を付けられて行く。
力が無くなっても直ぐに復活する為、
力は問題ないのだが、足が思うようにいてくれない。
俺は何時かエキサラを抜いてやる。
という目標を掲げ今日も今日とて走る。
魔法の練習の時は、これと言って何もしてこない。
俺が魔法を使っている姿をし離れた所に座りながら、
ニマニマと笑いながら見て來るだけだ。
たまにその笑みが憎たらしくなり、
手がったふりをして魔法をぶつけたくなるが、
頑張ってその衝を抑える。
そんなじで數日が経ち、
俺は悩んでいた。
それは――
「全然魔法が上手く使えねぇ!!」
結構魔法の練習をしているのだが、
全く度も上がらないし、スペルも結構忘れたりする。
正直に言って前に使えそうな魔法のスペルを覚えたが、
そのスペル何てこれっぽちも思い出す事が出來ない。
仕方ないので覚えてるスペルで魔法を発しているのだが……
「うむ、仕方ない事じゃ。」
「は?」
今日もニマニマと笑みを浮かべ見ていたエキサラが
そんな事を言い出した。
どういう事だ?
仕方が無い?まさか俺には魔法の才能が無いとか言うんじゃないだろうな。
「どういう事?」
「うむ、今までずっと見てきたがソラには無駄が多い、多すぎるのじゃ。」
「無駄だと?」
一どこに無駄があると言うんだ。
確かにたまにスペルを忘れたりするが、それだけじゃないか。
多すぎるって流石に言いすぎだろ。
そんな事を思っている俺とは裏腹にエキサラは
ニマニマと笑みを浮かべたまま立ち上がり此方に近付きながら、
「ソラは魔法とは何だと思っているのじゃ?」
と問いかけてきた。
「そりゃ、こうスペルを唱えてバアーっと放つみたいな?」
「うむ、意味が分からないのじゃ。」
うへ、自分なりに上手く表現出來たと思ったんだけどな……
やっぱ生まれ変わっても説明は苦手だな。
「魔法と言うのは簡単に行ってしまえばのう、
魔力を現化しているだけなのじゃ。
どんな魔法を使いたいかのかイメージし、
そのイメージ通りに魔力をり現化するのじゃ。
要するにイメージが大切なのじゃよ。
ソラが何時も唱えているスペルとかいうやつなんていらないのじゃ。」
イメージか……つかスペルは要らないってあの本に書かれていた事は
噓だったのかよ!
「こんな風にのう。」
「うおっ!」
目の前に來たエキサラがスペルを唱えず、
掌の上に黒い球を出現させた。
前にも見たが、
本當にスペル要らないだな……
「凄いな。」
「そうかのう?もっと尊敬しても良いのじゃぞ。」
「俺でも出來るかな。」
「ソラなら直ぐ出來る様になるのじゃ。
それと、魔法は一つに絞って練習した方が良いのじゃ。
その一つの魔法を極める事ができたら次の魔法に行くと良いのじゃ。
ちなみに妾はもう既に100近くの魔法を極めているのじゃ。」
「うわ、凄いな。」
「じゃが、実際使うのは一つや二つの魔法だけじゃ。」
なるほどね、取り敢えず俺も一つだけに絞ってみるとするか。
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