《勇者になれなかった俺は異世界で》騎士

ヘリムが風呂から上がり、

またエキサラに変な事を言われない様に颯爽と風呂にり、

直ぐに上がった。

「隨分と早かったね。」

「まぁな、々とうるさいお方がいらっしゃるのでな。」

嫌味っぽくエキサラの方を見て

ニヤニヤしながらそう言うと、

エキサラは不満そうにプクリと頬を膨らませた。

「むぅ……」

「ほら、ご主人様も風呂ってきな。」

「ふぅんじゃ、こうなったら妾が楽しんできてやるのじゃ!」

ドスンドスンと効果音が出てそうな歩き方をして

風呂場に向っていった。

おうおう、サラッと変態発言して行くんじゃないよ。

「何を楽しむんだい?」

「さぁな、なんだろうな。」

「う~、僕に隠し事するのかい?」

風呂上りの為髪のっていて、

何時ものヘリムには無いっぽさが出て居る為、

晝間なら気にしていなかったが近寄られると意識してしまう。

「ん?どうしたんだい?」

顔が赤くなっていたのか、

ヘリムがそんな事を言って顔を覗き込んできた。

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「ご主人様に直接聞いてくれ。」

そう言ってヘリムから數歩後退り

距離を取った。

「あれ?どうしたの?

まさか、僕を意識してくれてるのかい?」

「うるせ、お前がそんな恰好してるから悪いんだぞ。」

「ん?これでも結構配慮してるんだよ?」

「はっ?」

バスタオルをに巻いただけの姿のヘリムは、

クルクルと回って全を見せてきた。

これで配慮してるのかよ……

普段どんな格好してるんだこいつは。

「もうしマシな恰好は出來ないのか。」

「ん~結構マシな恰好だと思ったんだけどな……

何時もは全だから……」

「まじかよ……」

「まじだよ。」

神様なんだからもっとこう神々しい恰好と言うか……

いや、全ってよくよく考えたら一番神々しい恰好なのか……って

俺は何を考えているんだ。いかんいかん。

ヘリムと話してると調子が狂うぞ、

何だかライラの事を思い出してしまうな。

「あー、そういえば、

さっきご主人様に俺の事教えたから。」

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話題を切り替えるべく、

俺はさっきの話を持ち出した。

「むぅ、僕の居ないところで……

ソラ君から話したのかい?」

し不満そうな口調だが、

大して驚いた様子は見えなかった。

「いや、ご主人様からだったけど、

何だか勘で當てられちゃった。」

「ふーん、流石だねご主人様。」

「ああ、流石だ。

あれで俺の事を喰らわなかったら完璧なんだけどな。」

まぁ、エキサラには世話になってるから、

それに比べたら喰われるくらいやすいもんだけどな。

「でも、そのおかげでソラ君相當強くなったよね。」

ヘリムの言う強くなったと言うのは、

死ななくなったという事であって、

力が付いたと言う訳ではない。

「確かにその通りだな。

これで力が付いてたら世界を救う何て余裕なんだけどな……

流石にそこまで贅沢言ってられないよな」

「だね~力は自分で付けた方が楽しいと思うし、

もあるから僕は力は自分で付けた方が良いと思うよ。」

「やっぱそうだよな。

力は自分で付ける。よし、明日から本気だすぞ!」

「いいね、明日からは僕も付き合うよ……」

「ん、どした?」

何やら語尾が小さくなっていき、

考え事をしている様にじた。

「いやね、僕もご主人様の飲ませて貰おうかなって。」

はっ?何を言っているんだこいつは!!

只でさえ頭おかしい位の強さを持ってる神様が

死なないって最強すぎるでしょ。

「……」

「ん、どうしたんだい?

ソラ君は反対なのかい?」

「いや、反対と言うか――いや、別に良いと思う。」

ヘリムが最強になれば、

俺が世界を救う必要が無くなるんじゃないか!?

よし、ヘリムよ最強になれ。

「そっか~じゃあ後でご主人様に聞いてみるね。」

「おう、頑張ってくれ。」

エキサラが全然風呂から上がってこなかった為、

俺とヘリムは先に寢る事にし寢室に向った。

バスタオル一丁のヘリムと一緒に寢るのは々と不味いので出來れば避けたかったが、

寢室にベッドが一床しか無かったため仕方がない。

俺が床で寢るという選択もあったのだが、

固い床で寢ると彼方此方痛くなるから卻下。

ヘリムには絶対にぐなよと釘を刺して置き、

俺はベッドにった。

ヘリムが妙にピッタリとくっついて來て凄く鬱陶しい。

「何だ?」

「ふふふ、男の人と寢るのは初めてだから

ワクワクしてるんだよね。しかも初めての相手がソラ君だなんて……」

ワクワクするなよ。

「そんなにワクワクしても何も起こらないから、

安心して靜かに寢ろ。」

「何も起こらないんじゃないんだよ、

僕が何か起こすんだよっ!」

意味の分からない事を言いながら腕に巻き付いて來た。

何やらバスタオルのとは程遠いスベスベのが腕を襲う。

「離れろよ――って、お前!いでるだろ!」

「えへへへ、良く分かったね流石ソラ君だ。」

「さっき、ぐなよって言ったばかりだろ!?」

「えぇ?そんな事言ってたかな?」

「鳥頭かよっ、離れろ。」

「嫌だね~」

ヘリムを無理矢理腕から離そうと腕を振ったり、

片方の手を使って離そうとしたが、

ヘリムはビクともしない。

「はぁ、」

「諦めたかい?」

「ああ、おやすみ。」

「ええ?ちょっと寢ないでよ!」

何をやっても離れないヘリムの事は諦め、

無視して寢る事にした。

「ちょっと~~~」

・・・・

無事、ヘリムを無視して寢る事が出來、

気持ちの良い朝を迎えるとが出來た。

橫には未だに腕に絡みついたヘリムがよだれを垂らして寢て居た。

布団を取ってしまったら々と危ないので、ゆっくりと腕を抜き取った。

「ふぅー。」

何とかベッドから抜け出す事が出來た俺は何時も通りにリビングに向った。

リビングには昨日風呂に行ってから一度も姿を見て居ない

エキサラの姿があった。

「おはよう。」

「うむ、おはようなのじゃ。

昨日はよくも妾を置き去りにして寢たのう……」

「いや、一応待ってたんだけどな、

あまりにも遅くてな……」

「仕方ないじゃろ……妾は楽しい事をしていただけなのじゃ。」

何が仕方ないんだ。

そして、楽しい事が何なのかが分かってしまう自分が恐ろしい。

「……ほどほどにな。」

「大丈夫じゃ、これからは妾が一番にるからのう。」

「そっか、絶対大丈夫じゃないと思うけど。信じるよ。」

まったく、朝から何て話をしているんだ。

けしからんけしからん。

――ドンドン

「ん?」

朝早いにも関わらず、家の扉が力強く叩かれた。

「こんな朝早くから迷な奴じゃのう……」

エキサラはため息を吐き、

凄く面倒くさそうにそう呟いた。

そてい、リビングの扉を指さし、

「ソラよ、行ってくるのじゃ。」

と言ってきた。

「は?何で俺が?」

「妾は怒っているのじゃ、だから行ってくるのじゃ。」

顎を使い、行け行けと言ってくるエキサラ。

そんなエキサラを見ながら俺はイライラもしたがそれ以上に、

怒ってるエキサラが出て行ったら相手が殺されちゃうと思い、

相手の事を考えて俺が行くことにした。

「じゃ、行ってくるよ。」

「うむ、気を付けるのじゃ。」

――ドンドン

「はいはいー」

リビングを出て、真っすぐ玄関に向い勢い良く扉を開けた。

「うおっ、」

扉を開けた先には、中々背の高い首から下を鉄の鎧を覆っている、

騎士の様な人が立っていた。

「貴方がエキサ――いや、違うようですね。

此処はエキサラという方の家だと把握していたのですが、

貴方は誰ですか?」

「俺はご主人様の奴隷です。

ご主人様に用があるなら呼んできますが?」

確り敬語を使って會話をする俺。

長したな、と自分自心する。

「奴隷……ですか。

呼ぶ必要はありません。

貴方でも十分です。」

「要件は?」

「私が此処に來た理由は、調査を依頼されて來ました。」

「調査?」

なんの調査だ?

こんな森の中に何か気になる事でもあるのか。

「先日、とある貴族がこの森にったのを最後に、

行方不明になったのです。」

そういった騎士の目は鋭く、此方を見定めている様だった。

行方不明になった貴族。

俺には心當たりがある、あり過ぎる位だ。

先日エキサラ目當てで此処に大勢でやってきて

一瞬でヘリムに滅ぼされた貴族。

忘れては居なかったが俺は、

「そうなんですか、殘念ながら何も知りません。」

面倒ごとは避けたかったので

噓を付くことにした。

このまま帰ってくれれば良いのに、

そう思ったが、騎士の目は鋭く俺の目を見つめて、

ニッコリと笑い、

「っ!」

何時鞘から抜いたのかすら分からない、

ほんの剎那の間で騎士は鞘から剣を抜き、

俺の首につきつけていた。

「噓はいけませんよ。」

見えなかった……こいつ強いな。

戦っても勝ち目は無い。

だが、勝てはしないけど負けはしない。

「噓を付くときには必ず何処かに違和が現れるのです。

仕草、聲、目線……これらから噓を見破る事なんて容易い事です。

ほら、正直に言った方がのためですよ。」

騎士の目は冷たく、

完全に敵意をむきだしにし、

下手な回答をすれば即殺されると言うのが伝わって來る。

くそっ、面倒だ。

戦っても良いがかなりの時間が掛る事になる。

此処は素直にエキサラやヘリムに助けを求めるか?

「はぁ、仕方がありませんね。

非常に殘念です。」

剣を引いてくれかと思ったが、

それは違く、勢いを付けた剣が俺の首を目がけて

振り下ろされた。

俺は反的に後ろに飛び退く、

振り下ろされた剣は執事服を掠ったが、

間一髪の所で避ける事出來、無傷だ。

だが、飛び退いた先には――

「ねぇ、キミどういうつもりだい?」

そこには、バスタオルを纏った

ヘリムが俺の事を抱きかかる様に

け止めてくれていた。

「キミ、僕のソラ君に何をしようとしたんだい?」

ヘリムの目は騎士の事を真っすぐ見ており、

その目は鋭く、冷たく、騎士の事を睨みつけていた。

昨夜のヘリムからは想像も出來ない程の目つきだ。

「貴がエキサラですか?」

「ねぇ、聞こえなかった?

僕のソラ君に何をしようとしたんだい?」

ゾクリと、悍ましい程の殺気が背後から流れ出し、

騎士に向けられた殺気だと言う事は分かっているが、

直線上に居る俺までも殺気に曬され震いをする。

「なるほど、此処は私が先に答えるべきですね。

そこの奴隷が私に噓を付き一向に真実を語ろうとしなかったので

殺してやろうと思っただけですよ。」

「そう……キミ、僕のソラ君を殺そうとしたんだ。

そうかい……」

「はい、では此方の質問に答えてください。」

「そうかい、そうかい……」

ヘリムはまるで何かに憑りつかれたかの様に、

ブツブツと同じことを呟いている。

どうしたんだ、一……

「あの、早く答えてくれませんか?

それか、その奴隷を私に寄越してください。

早く殺したいので。」

「そうかい、そうかい……」

突然、ヘリムの殺気が無になり、

呪文のような呟きも消え、

「ヘリム?」

心配になった俺はそう聲を掛けた瞬間、

途轍もない殺気が溢れだし――

「じゃあ、殺されも仕方ないよね?」

「何を言って――」

「――っ!」

一瞬の出來事だった。

黒い鎌の様なが視界に一瞬だけ映り、

次の瞬間には騎士の頭が宙に舞い、

地面に頭が落ちると同時に置き去りにされたの首から

真っ赤な噴水が飛び出した。

「うっ……」

目の當たりにした景に

吐き気が込み上げてきた。

流石にこれは耐が付いてない

今の俺には辛いな。

「おっと、ソラ君ごめんね。

ついつい、やっちゃったよ。

大丈夫、大丈夫。」

そう言いながら頭に手を乗っけて

優しくでてくるヘリム。

でられればでられるほど

不思議と吐き気が収まってくる。

何かの魔法でも使ってくれてるのか?

まぁ、何にしろ助かる。

「死が僕が処理消して置くから、

ソラ君は先に戻りなよ。」

「分かった。ありがとな。」

ヘリムは返事の代わりに満面の笑みを浮かべ、

俺は見てドキリとし、慌ててリビングに戻った。

「隨分と騒がしかったのう

何かあったのかのう?」

リビングには呑気に飲みを飲むエキサラが

あまり関心なさそうにそう聞いてきた。

騒がしかったらしは様子を見に來たりしろよ……

おかげで大変な目にあったぞ。

「行方不明になった貴族を探しに來た騎士に

軽く殺されそうになっている所に、

神様が現れて俺を救ってくれましたとさ。」

「なんと、そんな事が起きていたのかのう……

朝から災難じゃったのう……。」

「あそこでご主人間が出て行ったら

きっとこんな事にはならなかっただろうな。」

きっと、一瞬で終わっていただろうな。

騎士が。

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