《勇者になれなかった俺は異世界で》役に立つと言う事

「――そして、役目を終えて戻って來た僕は、

ほぼゼロに近い魔力を回復する為にずっとかずにソラ君の事を

監視してて、やっとソラ君の下まで行っても余るぐらいの魔力を回復した僕は

颯爽とソラ君の下に現れたって訳だよ。」

ベッドに橫になりながら途中で俺の方を向き

髪の先の枝をクルクルと指に巻きながらニヤニヤと話してきていた。

ヘリムがどうして俺の下へ直ぐこれなかったのかという理由を聞き、

くだらない理由なら説教してやると思っていたのだが、

案外大変な事をやってくれていたみたいで説教をする気など微塵も起きなかった。

寧ろ凄く謝してもし切れないくらいの事をヘリムはやってくれた。

俺は謝の気持ちをいっぱいに理由を詳しく話してくれた

ヘリムに橫になりながらだが、お禮を言う。

「ありがとう」

たった一言ではあったが、

俺は今までに無いほどの気持ちを込めて禮を言った。

ヘリムはその謝の気持ちが詰まった一言を聞き、

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俺の気持ちが伝わったのか、満面の笑みを浮かべて

「えへへ、その言葉を聞けただけで

僕の疲れは吹っ飛んだよ!」

ニカッと眩しい笑みを浮かべられ、

思わず俺もつられて笑みを浮かべる。

「まさかそんな事をしてくれていた何て思いもしなかった……

それに比べて俺はダメだな。何の役にも立っていない。」

ヘリムは俺やエリルス達にとって凄く役に立っている。

それに比べて俺は數年間何をしていた?

誰かの役に立っていたのか?

答えは否だ。

強くなる為の努力はしてきた。

最初の俺は攻撃すら真面に當てる事は出來なかったが

決して強いとは言えないが今では確りと戦う事は出來る。

その努力は確かに実った――だが、それが誰かの役に立ったか?

立っていない。

自分の役には立ったが誰の役にも立っていない。

そればっかりだ。

「そんな事は無いと思うよ。」

「うむ、そうじゃな。」

「え?」

「妾にとってソラは生きる希みたいなものじゃ。

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初めは興味本位で買ったのじゃが、気が付けばお主は掛け替えのない

妾の寶になっていたのじゃ。」

「僕が見ている限りだとソラ君が気付いていないだけで

結構役に立っていたと思うよ。

それにさ、役に立とうと思って役に立つ。

それじゃダメなんだよ。」

「じゃあ、どうすれば?」

「自分が正しいと思う事をやりなよ、例えそれが自分の為であっても、

きっとそれは誰かの為でもある。

現にソラ君はたった今役に立ったばかりだよ。」

ヘリムにそう言われ、俺は自分が何の役に立ったのかを

思い出そうとした――が、一何が役に立ったのか全く分からなかった。

「分からないかい?」

悩んでいる俺を見て

ヘリムはそう言ってきた。

「ああ……」

「ふふ、そりゃそうだね。

だってソラ君は思ったことを口にしただけだもんね。」

「――!」

その言葉を聞き、

俺は一何が役に立ったのかを理解した。

「そうだよ。

ソラ君が気持ちを込めて僕に禮を言ってくれただろう?

それを聞いた僕は本當に疲れが吹っ飛んだよ、

大変だったけどやって良かったなって思えたよ。」

只、思っていた事を口にしただけだったが、

それはヘリムにとって役に立っていた。

ヘリムの言う通りだ。

自分の思う通りの行をすれば

きっと誰かの為にもなる。

「そっか……」

気持ちが大分楽になった。

自分は知らぬ間に誰かの役に立っていた。

何も無いと思っていたこの數年。

そう思っていたのは俺だけだった。

「それじゃ、そろそろ次の話をしようか。

何か聞きたい事あるかい?」

「あるのじゃ!ソラの過去をもっと詳しく教えてくれないかのう。」

「うん、いいよ!」

・・・・

「でね――」

「ほうほう、なるほどのう!」

二人が何やら盛り上がっている中、

俺はヘリムに聞きたい事が山ほどあり、

それを全部質問するのは流石にヘリムが可哀そうだし俺も大変だ。

俺は本當に聞きたい事だけをまとめる。

まず一つ目、世界を救えとは的に何から救えば良いのか。

今まで取り敢えず人間を救おうとしていたが、

これはあくまで俺が考えた救いであって、

人間を救う事が世界を救うと言う事にはならない。

何から世界を救えと言うのか。

これが分からなければ何も始まらない。

二つ目、リミッターを解除した時に

何故ソラ=バーゼルドの時のスキルを使えたのか。

した原因はほぼリミッター解除が原因と言ってもいいだろう。

しかし、どうして使えもしないスキルを使う事が出來たのか。

ましてはこの世界にはスキルは存在しないはずなのに。

三つ目、ヘリムが初めに言っていた世界と実際の世界は

々と違っていると言う事。

正直に言ってこれは質問しなくても良いと思っている。

ヘリムの事だから自分の玩を探している間に

気が付けば歴史をいていたのだろう。

これは余裕があれば聞くとするか。

取り敢えず今すぐ聞きたい事はこの二つかな。

「それでね――」

「そろそろ良いかな?」

楽しそうに二人だけで話されて

はぶかれ結構な時間が経っても一向に話が終わらない為、

俺は無理矢理ヘリムの言葉を遮って會話にした。

「むぅ、ソラよ今良い所なのじゃ。」

「知りません」

「そうだよ、ソラ君。

今ねお風呂のシーンの話を――」

「要りません。」

「むぅ……分かったよ、ご主人様と後でじっくりと話すよ。

それで何だい?」

やれやれと肩をすくめながらグルリとエキサラの方を向いていた

俺の方に向けて來た。

「質問が二つある。」

「なんだい?」

「なにかのう。」

エキサラには質問無いんだが……

とか言ったらきっといじけるだろうな。

後が怖い怖い。

「一つ目、俺は一なにから世界を救えば良いんだ?」

「あれぇ、前説明しなかった?」

きょとんとした顔でそんな事を言われ、

ふざけてるのかと思ったが、表からして

冗談で言っているのでは無いと判斷した。

「知らん。それか俺が忘れたんだな、

もう一度説明してくれると嬉しい。」

「えっとね、神様を倒して歴史をかしてほしいんだよ。

良く分からないけど今って何か序列がどうたらこうたらの時代でしょ?

そんな順位で種族の地位が決められるのは可笑しいと思うんだよね。

と言うか僕が気にらない。だから今の神を倒して時代を変えよう。」

結局はヘリムの我がままだが、

確かにその通りだ。順位が決められ種族の地位までもが決定する。

力が無ければ當然順位は下、力が在れば當然順位は上。

例えば人狼と人間、力の差は言わなくても分かる。

種族には生まれ持った力があり自的に他種族同士の差が生まれる。

そんな世界はあまりにも不平等で殘酷すぎる。

それを高みで見ている神にも反吐が出る。

「かなり時間が掛りそうだな……。」

「うむ、大変そうじゃな……妾も手伝ってやろう。

楽しそうだしのう。」

「ありがとう、かなり大変だけどソラ君なら出來るよ。

何て言ったってあのソラ君だもの。

それに僕とご主人様も協力するんだ、出來ない訳が無いよ。」

あのソラ君ってどのソラ君だよ。

俺はそんなソラ君知らないぞ。

「そうだな……頑張る、頑張らないといけないんだ。

やってやるさ、神でも何でも掛ってきやがれ。」

「うん、いいね。」

俺は直ぐに切り替えて、

「じゃ、次の質問。ヘリムの事だから見ていたとは思うが、

リミッター解除の際俺がスキルを使えた事についてだ。」

「あーやっぱり、それ聞くよね……」

「妾も気になるのじゃ!」

何やら聞かれたくなかったような反応を見せるヘリムと

無邪気な顔をして新たな知識を求めてくるエキサラ。

「実は、僕も良く分かてないんだよね……

恐らく、ソラ君の魂はまだ覚えていたんだろうね。

リミッターを解除した際にその力が覚醒したと言うかなんと言うか……

難しいね、ごめんね、本當に分からないんだよ。」

ヘリムでも分からない事ってあるんだな、

心しつつ、同時に可能じた。

「そうか、まぁ、後々分かっていけばいいか。」

俺の魂がスキルを覚えているのならば

リミッター解除狀態を制できるならば――

道は長い、だけど希はある。

待ってろよ皆、思ったより早く戻れそうだ。

・・・・

翌日から俺は魔力作に加えリミッター解除狀態を

する練習も加える事にした。

魔力もほぼ全回復し、

痛い所など異常はどこにも無く何時も通りの調子だ。

寧ろ何時もよりが軽いじがする。

恐らく昨日は何時もよりもリラックス出來たからだろう。

「ん~~」

朝食を済ませ、昨日出來なかった片付けを率先してやり

それが済むと俺は早速練習をするため外に向い、

思いっきり背びをした。

「昨日出來た無かった分頑張らないとな。」

家からし離れ早速魔力作の練習を始めた。

の奧からぐわっと出してそれを

イメージに沿って型に流し込む……

「あれ?」

しだがイメージに沿って型に流し込むことが出來た。

時間を掛ければ確実に功する。

長している。

俺はそう確信した。

だが、しの疑問が生まれた。

前までは全然出來なかったことがどうして

こんなにもスムーズに行くのだろうか。

ヘリムかエキサラが何かしてくれたのか?

それとも今出來たのは偶然だったのか。

そんな事を考えながらも俺は魔力を型に流し込む。

イメージしたのは俺が大好きな剣

エクスカリバー。

廚二真っ盛りの時によくゲームで武の名前を

エクスカリバーにしていたもんだ。懐かしい。

しかもイメージしているのは鞘付き。

今の所順調に魔力を流し込めているが、流石に鞘までとなると大きい。

今になってし後悔している。

魔力を流し込むこと數十分――

「よし、」

イメージした型に魔力を流し込み終わり、

後は現化するところまで無事に辿りつくことが出來た。

もうしだが、此処で失敗したら全てが水の泡になる。

そう自分に言い聞かせて慎重に進める。

魔力でつくった型を現化する。

手を前に出し、意識を集中させる。

自分の手で握ってるかの様にイメージをする。

徐々に鞘からゆっくりと

の様な粒子が集まり構して行く。

そして――

「出來た!――あ」

流石に今の型では持てるはずも無く、

――ガチャン

と音を立て現化に功したエクスカリバーが

地面に叩きつけられる。

「おぉ~凄いね!」

何時の間にかに後ろで見ていた

ヘリムが拍手をしながら此方に寄って來る。

「持ってみてもいいかい?」

エクスカリバーに興味津々の様で

子供のような無邪気な目をしながら見つめている。

「いいよ。」

どうせ俺じゃ持てないし、

折角で來たんだから誰かに使ってほしかったし

ちょうどいい。

「やった、ありがとう。」

ヘリムは軽々と持ち上げ、鞘から抜かずに

暫くエクスカリバーを見つめ、

「これ、相當凄い剣なんだね。

魔剣を超えるレベルだよ。

この剣をブンブン振り回す事が出來たら凄まじい事になるだろうね。」

ヘリムの言った言葉に俺は疑問を抱いた。

「ヘリムじゃ振り回す事出來ないのか?」

「うん、この武は不思議な力で鞘から剣を抜くことが

出來なくなっているんだよ。」

「まじか……」

折角作ったエクスカリバーが使えないと言う事を知り、

俺は落ち込んだ。

「でも、きっとソラ君なら使えるようになるさ。

この武は大事に取っておこうね。」

「ああ――そうだ。」

「ん?」

「えっと、」

俺は魔力の作があまりにもスムーズに行った事を

ヘリムに詳しく話した。

「それはね、昨日ソラ君の魔力がゼロになったからだよ。

一度魔力がゼロになる覚を知れば大覚を摑めるからね。」

「そうだったのか。」

騎士のおかげだったと言う事を知り、

俺は心の中で謝した。

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