《勇者になれなかった俺は異世界で》ポチ

「隨分と長い散歩だったね。」

城にると早々にヘリムが現れた。

「まぁな」

「んん、僕風呂ってたからソラ君が

何をしてたのか見てなかったけど、

なんだか獣臭いよ?」

俺のに顔をに近付け、

犬の様に鼻をスンスンとさせ服の臭いを嗅ぎながら

そう言って來た。

獣と言えばやっぱり狼しかないよね。

し近付いただけでそんな臭うものなのか。

「ちょっと、獣から人を助けてただけだ。」

「ええ!ソラ君散歩とか言って人助けて來たの!?

しかも獣からって凄いね、流石ソラ君だ。」

「はは、まぁな……」

人を助けたの事実だが、

正確には獣と契約して逃がしてもらったんだけどな。

幸いヘリムは見て無かったらしいから此処は緒にしておこう。

ヘリムに契約の事バレたら速攻あの狼が殺されるだろう。

俺としては毎日このと引き換えに

モフモフできるから出來れば殺してほしくない。

エキサラにバレると……うん、々と面倒臭そうだ。

すっごく不機嫌になって一日中拷問されそうだ。

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「そう言えばヘリム風呂にってたって言ったけど

この城に風呂なんてあるのか?」

獣臭いなんて言われたら、

そりゃ風呂にりたくなりますよ。

「うん、あるよ~

えっとね、廚房ある場所分かるでしょ?

廚房の部屋を無視してそのまま進んだら

ちょっと大き目な扉があるから、そこにると風呂だよ。」

「なるほど、ありがとな。

ゆっくりと疲れを癒して來るよ。」

「うん、いってらっしゃ~い」

ヘリムに手を振られ見送られ、

俺は風呂に向った。

そういえば、エキサラの姿見てないな……

此処はあるあるの風呂に言ったら

ラッキースケベ☆なんて展開が――

「ふぅ、」

そんな事は無く、

無事誰も居ない風呂にる事が出來た。

やはり大きい城な事あって、風呂も中々大きい。

と言ってもそこまで豪華では無い。

大きな巖で囲みをつくり、

そこにお湯を溜めているだけの風呂だった。

湯加減は丁度良く心地よい。

「ん~、今日は々とあり過ぎたな……流石に限界。」

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引っ越しして村まで行って、

リッチに殺されて人を助けて狼と契約して。

今日だけで一か月分位の事をやったと思う。

「あぁ、やっばい眠くなってきた。」

そう言えば風呂で眠くなるのって

良く分からないけど睡眠じゃなくて失神だ。

なんて事聞いた事あるな……上がろう。

流石に風呂で失神なんてしたくない為、

俺はさっさと上がった。

寢室の場所が分からなく、城の中をブラブラと歩き回ってると、

エキサラと出くわした。

「む、帰ってきてたのかのう。」

「ああ、さっきまで風呂ってた。」

「むむむ、妾より先にるとはずるいのじゃ。」

何がずるいんだ。

先にっても後にっても変わらない気がするんだが……

「まぁ良い。で、ソラは今何をしてるのじゃ?」

「んと、寢室を探してる最中。」

「寢室なら此処をまっすぐ言って奧から三番目の部屋じゃ。」

指をさしながらそう教えてくれた。

部屋が沢山あるため非常に分かりにくい。

「ありがと、俺はちょっと疲れたから先に寢かせてもらう。」

「うむ、ゆっくり休むのじゃ。」

俺はエキサラに言われた通り奧から三番目の部屋に向った。

部屋の中には巨大なベッドがポツリと置いてあるだけだった。

「一何人で寢ようとしてるんだよ。」

そんな事を呟きながら俺はベッドの中央に寢っ転がり、

目を閉じた。

相當疲れていたお蔭で目を瞑ってから直ぐに寢れ、

何時もよりもぐっすりと眠る事が出來た。

目を覚ますと何時も通りの景が広がっていた。

俺を挾むようにしてヘリムとエキサラが気持ち良さそうに寢て居る。

何時もなら俺が一番最後に起きるのだが、

早めに寢たせいか、今日は俺が一番早く起きた様だ。

二人を起こさない様にゆっくりとベッドから出る。

「んん~~っ」

部屋から出て大きく背をばす。

ぐっすりと眠っていたので何時もより手足などの筋が収し、

ばすと凄く気持ちが良い。

「さて、」

十分にび終り、俺は何をしようか考え始めた。

エキサラ達の代わりに朝ご飯を作ると言うのが一瞬出たが、

食料を持っているのはエキサラなので卻下。

朝から魔法の練習などやる気が起きず、

せっかく早起きしたのだから朝の散歩に行くことにした。

早速外に出て昨日と同じ一本道を歩いた。

夜とはまた違ったじが味わえて新鮮だ。

昨日とは違いの臭いなど一切してこない。

てっきり死とかあのままだったから

臭ってくるものかと思っていたのだが……

とかが食べて処理したのかな?

そんな事を考えながら歩き回り、

ある程度進んだら折り返し城に向って歩く。

そんなじで何事も無く無事、朝の散歩は終わった。

城に戻りエキサラ達が起きてから暫くして朝食を食べ、

魔力作の練習をして、

「次はリミッター解除……」

リミッター解除する為には自分の他に誰かが居ないと出來ないので、

暇そうに城の中をぶらぶらしてるヘリムの事を捕まえて來た。

「ヘリム、俺の事を殺す気で戦ってくれないか?」

「何だい行きり……そんな事出來る訳ないでしょ?

僕がソラ君を傷つける何てあり得ない事だからね、

それが例えソラ君自の願いでも僕は葉えられない。」

えぇ……そんなぁ。

そこを何とかと言いたい所だが、

頼む容も容なので無理強いはしない。

「そっか、わかった。

ごめんな、変な事頼もうとして」

「僕のほうこそごめんね。」

そういってヘリムは城の中へと帰って行った。

どうしたものか、エキサラに頼むと言うのもあるが、

この前の件があるから非常に頼みにくい、と言うより俺が嫌だ。

……そうだ、あの狼なら――!

俺は昨日契約した狼ならを渡せば何とかやってくれそう

と思い狼に頼んでみる事にした。

そして夕飯を済ませ、俺は二人に散歩してくると言って外に出た。

あまり怪しまれない様に自然なじで言ったので恐らく何ともないだろう。

夜の一本道を進んで行き昨日の記憶を辿って

狼との約束の場所を目指す。

昨日と同じ森の開けた所に出た。

やはり昨日あった死は無くなっていた。

『おぉ、來たか』

に直接聲を送って來た主の姿を探す、

すると、森のなかからヌルリと出て來た。

『それで、我のは持ってきたのか?』

「ああ、勿論。」

そう言って俺は両手を広げた。

「俺自がお前のだ。

好きなだけ食べて良いぞ、あ、でも服勿ないな……」

『貴様、本當に良いのか?

それでも昨日の契約の意味がないじゃないか』

はわからないが、首を傾げながらそう言った。

當然の反応だけど……首傾げる仕草可いな。

「あー、心配無用。

俺は死なないから大丈夫。」

『本當か?』

「ああ、本當だ。昨日あのにも

言ってただろ俺は死なねえって」

俺はそう言いながら腕まくりをして

になった腕を狼に向けた。

しぶきを上げて勢いよく腕を喰いちぎられた。

丁度腕まくりをしてた肘から先がバックリとなくなっていた。

痛みはじなかったがあまりにも遠慮のなさにし驚いた。

遠慮するなと言ったのは俺だけど……

喰いちぎられた肘から先は直ぐに復活し、

それを見た狼は目を丸くして驚いていた。

『き、貴様、本當に人間なのか?』

「俺が人間じゃなかったら何に見えると言うんだ。」

俺は復活した腕をぶるぶると振って、

なんともないアピールをした。

エルフの様に耳が長いわけでもないし、

悪魔の様な翼が生えているわけでもない。

見た目はごく普通で奴隷の首を付けてる人間だ。

『確かに味は人間のだ……』

大きな口を閉じながらモグモグとかし、

俺の腕をよく味わっているようだ。

俺は何だか複雑な気持ちに襲われた。

「ほれ、好きなだけ喰っていいぞ~

その代わりって言ったら変だけどちょっと頼みがあるんだが」

腕を差し出し俺は晝間に考え付いた事を狼に頼もうとした。

狼は遠慮なく俺の腕を喰いちぎり脳に聲を送ってくる。

『貴様と一緒にいたらは無限に食べれそうだ、

頼みぐらい聞いてやるぞ。』

「おお、ありがと。」

俺は心の中でガッツポーズを決め、

早速容を説明する。

「俺が強くなるための手伝いをしてしい」

『手伝いか、的には?』

「俺はいまリミッター解除を使いこなせる様になりたいんだ。

だから、狼さんには俺を殺す気で戦ってほしい。」

『リミッター解除を使いこなしたい……か、面白い事を考えるものだ

まぁ、手伝ってる。あと我は狼じゃなくてフェンリルだ。

別にさんとかつけなくて良いからな』

「ありがとうフェンリル。」

フェンリルって大きな狼の事じゃないのか?

そこら辺詳しくないから良くわからないけど、

フェンリルは狼とは違うということでいいだよな。

『それで、何時手伝えばいいんだ?』

「俺は何時でも空いてるから、

フェンリルの空いてる時間に手伝ってほしい」

『そうか、では明日の朝から夜までだ』

「あ、朝から夜……」

てっきり俺は手伝ってくれても數時間程度だと思っていたが、

フェンリルの口からは丸一日も手伝ってやると言う

驚くような事が発せられ俺は驚いたがそれ以上に嬉しかった。

こんなモフモフしているフェンリルと一日中

一緒にいられる。

それはどう考えても最高じゃあないか。

『何だ、不満か?』

「いや、全然むしろ大満足だ」

『我は貴様のを食べれるのならば何時だって力を貸してやろう

ところで貴様の名は?』

俺がの一部を削ればフェンリルは力を貸してくれる。

仲間と言っていいのだろうか、俺は強力な力を持った仲間ができた。

いずれか世界を救うのを手伝ってもらおう。

「俺の名前はソラだ。年は永遠の3歳」

『ソラか。我の名前は無い。

ソラが呼びやすい呼び名で呼んでくれ。ちなみに年は覚えてない』

「それじゃ……ポチで」

一度は付けてみたかった名前だ。

狼って犬みたいだから問題ないよね?

『ポチか、何だか弱そうな名だ……

まぁ、ソラが良いのなら今日から我の名はポチだ。』

「ああ、よろしくなポチ。」

「ほれ、試しにがぶりと喰らってみ、

痛みには慣れてるから遠慮しなくても良いぞ。」

『貴様、本當に子どもなのか?

……まぁ良い、後悔するなよ――』

そう言って大きな口を開けて勢い良く俺の腕に喰らい付いた。

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