《勇者になれなかった俺は異世界で》エキサラが拗ねそう

「何じゃ、ソラよ、良い顔つきになったのう」

「あ、それ僕も思ってた~」

翌日、朝食をみんなで食べている時に

そんな事を言われ思わず自分の顔を手でって

確認してしまう。

「そうか?」

當然の事だが、

自分で顔をってみても変わりが分からなかった。

「何か何時もよりもスッキリとしているのじゃ」

「何か良い事あったのかな?

僕の知らないところで良い事してたら

怒っちゃうよ」

確かに二人が言うように今の俺はかなり調子が良い。

何て言ったってリミッター解除しなくても

力を使えるかもしれない方法が見つかったのだから。

「ちょっと悩みが解決しそうになってるだけだ。

と言ってもまだ分からないがな」

「ふむ、なんじゃソラよ悩みがあったのかのう

妾に言ってくれれば良いのにのう……」

エキサラはし殘念そうな表を浮かべたが、

料理を口の中にれた瞬間とろける様な表に変わり、

直ぐにいつも通りのエキサラに戻った。

「悩みってまさかあのことかい?」

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ヘリムが言っている『あのこと』とは

俺が昨日相談した件の事だろう。

そう確信して無言で頷き、

「そう、何とかなりそうなんだよ」

「ええ!凄いなソラ君は……

流石僕のソラ君だ。」

そう言ってニカッと笑い、

不覚にも可いと思ってしまった。

「むぅ、妾だけ仲間外れかのう……

この前の件と言い

そろそろ本気で拗ねちゃうのじゃ」

先ほどから表がころころと変わり忙しい。

今度は頬をぷっくらと膨らませて

明らかに拗ねていると分かる。

「ごめん、ご主人様。

でも、俺の悩みはヘリムが適任だったんだよ

昔の件で悩んでいたからな」

一応エキサラもソラ=バーゼルドの事は知っている。

知っていると言ってもヘリムから聞いただけで、

そこまで詳しくは無い為エキサラに相談するよりはヘリムに

相談した方が圧倒的に良いのだ。

「むぅ、それなら仕方がないのう……

でも妾の事も頼りにしていいのじゃぞ、

妾はソラのご主人様なのじゃからのう」

分かりが良くて助かる。

まだ若干不満そうにしていたが、

料理を口にれると再び表が変わった。

「本當にどうしようもない時は頼む」

「うむ!」

エキサラには毎日料理を作ってもらったりしてるし、

何て言ったって俺の命の恩人だ。

エキサラには本當に頭が上がらない、

頼るよりは頼られたい。

「ちなみに、悩みの容は教えてくれないのかのう」

「ん、えっとな――」

説明しようとしたが、

ふと、良い事を思いついた。

「説明するよりは見てもらった方が早い、

功するかどうか分からないが

片付けが終わったらどうだ?」

「うむ、良いのう」

「僕も僕も~」

何て言ったって俺は説明が下手糞だからな。

言葉で表すよりは行で示した方が早いし

分かりやすいだろう。

だが、実際に行で示すなら危険な事がある。

「あー、でも一つだけお願いがある」

「ん、なんじゃ?」

「もし、失敗したら俺の事を殺してくれ

じゃないと迷かけるし、何より俺が苦しい」

強化が失敗したら、

俺は再びあの頭痛に襲われてのたうち回るだろう。

「むむ、妾にソラを喰らう以外の事で

殺すのかのう……すまぬがそれは無理じゃ

妾にはそんな事出來ぬ……」

本當に申し訳なく思っているのだろう、

エキサラの表は酷く落ち込んでいた。

喰らう目的なら殺しても良いのか

とつっこみたかったがやめておこう。

「それじゃ、僕に任せて。

僕もソラ君を殺すのは嫌だけど、

それがソラ君のみなら僕はそれをかなえるよ」

「ああ、頼んだぞ」

・・・・

「ふぅ」

片づけを終わらせ、

強化を早速やってみようと思ったのだが、

これからやろうとしていることは神すらも出來ないと言う

未知の事なので何があるか分からない。

そう考え一応被害が出ない様に外に移した。

外と言っても城から出て直ぐの所だ。

これから使おうとしているのは強化の為、

そこまで危険では無く、大きな被害が出るとは思わない。

流石にその為だけに森の中に行くなど

面倒臭い行はしない。

唯一心配なのが強化を使っても

俺の貧弱なが耐えられるかどうかだ。

もし耐えられなくてヘリムに迷を掛ける様なら

一度本気でを鍛えてからもう一度やってみるしかない。

強化はあくまでを強化するだけのものであって、

最強になれるという訳ではない。

強化下が弱ければ強化しても弱いままだ。

當たり前の事だが低い數値に高い數値を掛けるよりは

高い數値に高い數値を掛けた方が數値は高くなる。

それと同じく下のが弱ければ強化しても弱く、

逆に強ければ更に強くなるのだ。

例え強化が使えたとしても

それがゴールではない。

寧ろそれがスタートなのかもしれない。

「さて、そろそろ始めるか」

「うむ、楽しみに見てるのじゃ」

「萬が一の時は僕に任せてね」

ヘリムはそう笑顔で言ってくるが、

その笑顔が俺にとっては凄く不安だ。

無理をして笑っているのではないか、と。

申し訳ない。

ヘリムの為にも絶対に功させなくては。

俺は強くそう思った。

「それじゃ、行くぞ――強化リインフォースメント・ボディ」

頭の中に大量の報が痛みと共に送られて來た。

周りを置き去りにして俺の時間だけだ進んでいる様な覚に陥った。

ヘリムとエキサラは真剣な表を此方に向けて固まっており、

風の音も森の香りも全てが止まっていて

その中で唯一俺の時間だけが加速する。

荒い呼吸をしながら激痛に耐える。

視界からがなくなりモノクロの世界が広がる。

その場に倒れ込んでしまいそうだったが

俺は必死に耐えた。

自分の為にもヘリムの為にも――

徐々に視界のが戻り始め、

それに連なり世界の時間もき出した。

そして、痛みも引き始めた。

「酷い汗なのじゃ……大丈夫なのかのう」

「どうだろう、ソラ君頑張って」

二人の聲が聞こえ、

俺は激痛が消えていることに気が付き、

思わずその場に倒れ込んでしまった。

「ソラ君!」

ヘリムが心配そうに名前を呼んだ。

「ああ、大丈夫だ……功した」

「!!」

一瞬の出來事だった。

強化が発するまでの剎那が

こんなにも長くじるなんてな。

さて、次はアレを使ってみるか

強化が功したということは、

ある程度の頭痛には耐えられるということだ。

俺はのそっと立ち上がりエキサラの方を見つめ、

「何じゃ?」

強化が使えたんだ、

今の俺ならきっと使える。

「転移テレポート」

一瞬で視界に移っていたエキサラの

顔がドアップになった。

「うのわああ!お、驚いたのじゃ……」

エキサラはその場でもちをつき、

満點を上げたいぐらいのリアクションをしてくれた。

功だ、やった!」

「凄いよソラ君!!」

「ああ、やったよヘリ――ッ!?」

突然視界が歪みだしの力が抜け、

俺の意識は闇に落ちた。

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