「――ぁ」

気を失ってからどれぐらいの時間が経ったのだろうか。

目を開けると太の眩しいが闇を照らし、

何度も瞬きをして目をならす。

日は暮れておらず、どうやらそこまで長い事

眠っていたわけではないと判斷できる。

外に居るのにも関わらず

ふわふわなベッドで寢ている様な不思議な覚。

再び目を瞑り寢返りをして頬ずりをしてしまう程の

気持ちよさだ。

「もふもふ…………！？」

頬ずりをしながら目を開くと

そこには白銀のが何本も生えているのが映った。

『起きたかソラ』

「もふもふすると思ったらポチだったのか」

『ああ、來てみれば丁度倒れる瞬間だったのでな、

急いでクッションになってやったのさ』

「そうなのか、ありがとな……

って、まさかそれからずっとこのまま？」

ポチは俺のを包み込むように丸くなっていた。

気絶する前の記憶に間違いが無ければ、

今の俺は気絶する前と同じ位置にいる。

『ああ』

「うわ、なんかごめんな。

すっごい大変だったろ」

『そうでもない。我もし眠っていたからな』

俺は起き上がろうとしたが、

もふもふのが絡みつき俺を放してくれなかった。

いや、俺が離れたくなかった。

「もう暫くこうしてても良いか？」

『ああ、別に構わないぞ。

ソラは本當に我のが好きなんだな』

「あれ、知ってたの？」

今までポチと接する際に

バレない様にサラッともふもふのを楽しんでいた

つもりだったのだが、

どうやらポチには気づかれていたらしい。

『ああ』

「そっか……ごめんな」

犬や貓たちはでられて嬉しそうにしてくれるが、

実際の所フェンリルはどうなのだろうか、

気高い生きってじがしてをられるのを嫌っている

そんなイメージが俺の中ではあり、

申し訳なさそうに謝った。

『いや、別にってくれても良いんだぞ

次からやるならコソコソしないで

もっと大膽にるんだな』

「え、良いの！？」

思ってもみなかった事を言われ、

俺は驚きの聲を上げた。

『ああ』

やったね！と心の中でガッツポーズをした。

これで毎日、四六時中遠慮なくモフモフを出來る訳だ。

そう思ったらやる気が満ち溢れてくる。

「よし、やる気出來てきたぞお！

訓練再開――」

「こらこら、駄目に決まっておるのじゃ」

城の扉からご主人様登場。

バスケットを腕に掛けて俺とポチに近づいてきた。

「ええ……駄目なのか」

「當たり前なのじゃ。

ソラは倒れたのじゃぞ、

せめて今日ぐらいは安靜にしとくのじゃ」

折角やる気が満ち溢れて來て、

今なら何でも出來そう。

そんな気分なのに訓練をしないなんてもったいない。

「ええ、でも――」

「駄目じゃ！」

「っ……」

エキサラが真剣な眼差しで俺の方をみて

そう怒鳴った。

普段怒鳴らないエキサラ強く言われてしまい

俺は黙り込んでしまった。

「心配なのじゃ……

幾ら妾の力がソラにあるからと言ってものう、

心配なものは心配なのじゃ。

ソラは妾にとって大切な存在じゃ、

欠かせない存在なのじゃ。

そんな存在に目の前で倒れられて、妾は、妾は……」

「ごめん、なさい……ご主人様」

今にも泣き出しそうなエキサラに

俺は何て聲を掛けたら良いのか分からず

必死になって言葉を探したが、

聲に出たのは謝罪の言葉だった。

涙目のエキサラの姿を見て俺は包帯野郎の言葉を思い出した。

『もう誰も悲しまない様に強くなれ』

そんな事は分かっていたハズだ。

駄目だな、俺。

分かっていたのにも関わらず

早速悲しまさせてしまった。

「本當にごめん……

もうご主人様を悲しまさせる事はしない。

約束する」

「本當かのう？」

「ああ……絶対にだ」

もう悲しまさせてしまったけど、

それはまだ取り返せる過ちだ。

「約束なのじゃ」

「ああ」

「これを食べるのじゃ」

涙聲でエキサラは腕に掛けていた

バスケットを渡してきた。

「これは？」

「ソラは晝、食べてないのじゃ

お腹空いてると思ってのう、作ってきたのじゃ」

「おお、ありがとう！」

バスケットにっていたのは

サンドイッチだった。

俺はポチと一緒に味しく頂いた。

・・・・

「挨拶にいくのじゃ」

「いいね～」

翌日、朝食を頂いているとエキサラがそんな事を言い出した。

挨拶とは近くにある小さな村に引っ越してきました

的な挨拶をしに行くのだ。

俺自すっかり忘れていたけど

確か爺と一緒に行ったとき再び來るって言ってた様な……

その爺の姿をここ最近みていないのだが、

一どこにいったのだろうか。

「爺はいないのか？」

「爺はちょっと用事があるからのう、

暫くは會えないのじゃ」

「そうなのか」

まぁ、用事じゃなかったら何なのかって話だよな。

何の用事かは気になるけど

エキサラが用事と言ったのだから

それ以上詳しく聞かない。

「ソラ君も行くのかい？」

「え、當たり前じゃん」

もしかして俺だけ仲間はずれなじ？

別に一回いったから良いけど、

ちょっと寂しいぞ

「大丈夫なのかい？昨日倒れたばかりでしょ？

僕としては安靜にしててしいんだけどな」

「……」

何時もの俺ならきっと大丈夫だとか言うんだろうけど、

今の俺は昨日のエキサラの事もあって、

安易にそういう事を口に出來ない。

考えて言葉を発しなければ悲しませてしまうかも知れない。

ヘリムは俺の事を心配してくれている。

だったら此処は素直に言う事を聞くべきだろう。

一度挨拶には行ったことだし、

問題は無いだろう……寂しいからポチ呼んで一緒に寢よ。

「分かった、じゃあ今日は大人しく寢てる」

「良い子だねソラ君」

「それじゃ、妾とヘリムの二人でいってくるのじゃ

大人しくしてるのじゃぞ」

「ああ、大人しくしてる」

やばい、俺、今、超、良い子

ポチと一緒なら幾らでも大人しくしていられるな。

昨日自由にもふもふ出來る権利を得た訳だし。

朝食を終え片付けも終え、

二人は挨拶をしに村に行った。

俺はと言うとヘリム達と時間を置き、

外に出て森の中にりポチを呼んでいた。

「おーい、ポチー、出てこいー」

んでから間もなく、

ガサガサと音を立てながらポチが出てきた。

『騒がしいぞ』

「おお、ごめんごめん。

早速だけど一緒に寢ようポチ」

『どういう意味だ？』

首を傾げているポチ。

可い。

「今日は俺一人なんだよ、

大人しく留守番しとけって言われてるからさ、

一緒に城に來てくれない？

一人じゃ寂しんだよね」

『む、そうなのか、寂しいのか

なら別に行ってやっても良いぞ』

「おお、ありがと」

ポチの上に乗りながらスイスイーと

城に到著して、俺はポチを寢室に連れ込み、

一緒に寢た。

『本當に寢るだけなのか』

「ああ、モフモフ最高だ」

『なぁ、暇だぞ』

「俺は寢てるんだよ、靜かに」

ベッドの上でポチの事を抱き枕にして

気持ちよくなっていると初めは靜かに抱かれていた

ポチだったが痺れを切らしてしまったようだ。

巨大な前足で俺の頭を飛ばさない様に優しく

ポフっと置いて優しく俺の事を離そうとしてきた。

可いそして気持ちい。

球のプニプニが何とも言えない

気持ちよさだ。

『寢ていないじゃないか、噓つきなら喰うぞ』

「喰うな喰うな、後片付けが面倒だ」

此処でもし俺が喰われでもすれば、

大量のが純白のベッドを染めることになるだろう。

そうなってしまったら大変だ。

洗わなくちゃ行けないし、

洗ったとしてもの臭いが殘るかもしれないし。

「兎に角、今日は安靜にしとけって言われているから、

こうして寢て居なくちゃ行けないんだ。我慢してくれ」

『別に寢る必要はないじゃないか

しかもでてくると思ったが只抱き著いているだけだし、

貴様は何をしたいんだ』

「ポチは全然っ、分かってないな。」

『何？』

モフモフの楽しみ方はでるだけだと思っているのか、

この世界には抱き枕と言うが無いのだろうか、

モッフモッフの抱き枕を抱いてるだけで

凄く気持ち良いんだぞ

あとポチは生きてるから溫かい。

溫かい、モフモフ。

つまり最強。

「モフモフってな最強なんだよ。

でるのも良し、眺めるのも良し、

そして抱くのも良し」

『何だそれ、我には分からんな……ソラで試してみるか』

「え、ちょ――」

腕の中からモフモフのが消えた。

そして、新たに生まれたはつるつる。

ポチが獣の姿から擬人化したのだ。

『うむ、あまり気持ちよくないな、

ソラはどんなじだ？』

擬人化したの別不明なポチに頭をでられた。

俺がでるのが気持ちいって言ったから

恐らくそれを実踐しているのだろう。

……俺がモフモフだったら気持ちよかったかもな。

だが、でられている側としては悪くない気分だ。

「悪くないぞ」

『ふむ、じゃあ次は眺めてみるか』

ジーとジト目で間近で見つめられ、

非常に恥ずかしくなり思わず目を逸らしてしまう。

ポチの事を見つめていたが、

ずっとこんな気持ちだったのだろうか。

『何もじない、ソラはどうだ』

「恥ずかしいなこれ、

ごめんなポチ、あまり見つめない様にする」

『？』

恥ずかしい気持ちになるのは

俺だけだったのかもしれない、

ポチは首を傾げていた。

『最後は抱いてみるか』

ギュッと抱き著かれ何とも言えない気持ちになった。

なら嬉しいかもしれないけど、

ポチって別ないからな……何とも言えない。

『あー、溫かくて悪くないな』

「だろ、モフモフならもっと良いんだがな」

『ふむ、この姿だと直接溫が伝わって來て

中々気持ちが良いな……眠くなってきたな』

ウトウトしながらそう言いポチは眠ってしまった。

「可いなポチ」

俺は擬人化したポチに抱き著かれたまま

ポチの後を追うように眠りについた。

「……ん」

目が覚めると目の前には可らしい顔。

寢息もクゥークゥーと可らしい、

何か良い夢でも見てるのだろうか口をもぐもぐとさせて

笑みを浮かべたりする。

非常に可い。

だが、完全にの子にも見えるがの子ではない。

では男の子だと言うのか？答えは否だ。

男でもでも無いのが目の前で眠っているポチなのだ。

いや、この言い方だと何か誤解を生んでしまうかもしれない、

一応言いなおして置こう、ポチには別が無いのだ。

顔つきは何方かと言うとの子、口調は男の子より。

何も知らない人が擬人化したポチに言い寄られたらイチコロだろう。

勿論、ポチの別の事をしっている

俺だったらイチコロはされない。

無論、ポチの事を的に見ることも

絶対に無いと言い切れる。

例え、今の狀況みたいに全の狀態で

無謀に寢ていたとしてもだ。

何て言ったってポチにはも無ければ男も無いからだ。

おっと、今の言い方だとまた誤解されるかもしれない。

一応言っておこう、俺は男なんかに興味はないからな。

因みに、ポチは擬人化するときは必ず全の狀態だ。

流石にがないからと言っても全は々と不味いので、

何度も服を著ることを進めているのだが、

ポチ曰く、暑苦しいだの服が破けるから面倒だの……

前者は服の種類にもよるだろうが、

後者の方は納得できる。

擬人化のポチが服を著ていてそのまま獣の姿に戻ると

勿論、服はビリビリのボロボロだ。

服をげば解決だが、流石に面倒だろう。

俺自信面倒事が嫌いだからその気持ちは分からなくはない。

城の中なら全でも別にいいんだけど

流石に外に出掛けるときは無理にでも服を著させないとな。

「ん……あぁ」

どうやら別不明のポチさんが目を覚ました様だ。

ジト目で俺の顔を見ながら何度も何度も瞬きをしている。

そんな仕草も可い……って俺ロリコンになりかけてないか？

落ち著け、落ち著け、ポチはフェンリルだ。

つまり俺は獣好き、ケモナー……ちょっと違うか。

「……何を考えている」

「ちょっと俺の趣味に関わる重大な事を

考えていた所だ、気にするな。」

「ソラの趣味か……し気になるな、教えろ」

「教えな――いったい！！」

気に喰わなかったのだろうか、

ポチは俺の事を抱いている腕に力をれて、

かなり強めに絞めてきた。

フェンリルであるポチの力は馬鹿げている。

し力をれただけでも俺は絞殺されてしまうだろう。

もしかしたら寢ている間に寢ぼけて……

そう考えるとかなり恐ろしいな。

よかった生きてて。

「痛い痛いと言うか苦しいから！」

痛みには慣れているが、

やはり苦しいのはまだ慣れていないため非常に辛い。

々な所がポチのスベスベ素のと腕に圧迫され、

悲鳴を上げて段々息が出來なくなっていく。

こんな狀況でもこれだ擬人化しているポチではなく、

獣の姿のポチならどんなに気持ちが良い事か、

そんな事を思っていしまう俺は

もうケモナーになりかけているのかもしれない。

「ほ、んとに、くるし」

「ふん」

「ハァアアァアア、助かった……」

俺の苦しみが伝わったのだろうか、

ポチは鼻をならし力を緩めてくれた。

やっと呼吸が出來るようになった俺は

凄い勢いで吸った。

「ほら、話すんだよ」

「……」

凄く上から目線で言われ、

非常に言いたくない。

だが、此処で言わなかったらまた締め付けの刑だろう。

獣の姿なら大歓迎だが、擬人化の締め付けは嫌だ。

「どうした、また苦しめるぞ」

「わかった、話す

ポチってその姿の時は何時も全だろ？」

「ああ、そうだな」

「ポチが服を著たがらない理由は知っているから

無理に著せようとはしない」

「まぁ、當然だな」

何が當然なんだ、この出獣が

「だけど、もしその姿の狀態で

外に出掛ける様な事があるなら無理矢理にでも

服を著せないと行けないなって事を考えてた」

「そうか、考えといてやる――って、

それソラの趣味と関係あるのか？」

あるよ、大ありだよ。

そもそもの切っ掛けはポチが全で寢ているから

々と心の中で語ってしまったのだ。

おで俺はロリコンやらケモナーになりかけてるよ

「関係あるぞ、ああ、凄く」

「そうか、あまり信じたくはないが、

今は信じておくことにしよう。

安靜にしなくては行けない狀態のソラを追い詰めて

何か起きてしまったら我が悪い事になってしまうからな」

「はは、ありがと」

一俺はどれほど貧弱だと思われているのだ。

まぁ、貧弱だけどさ

「このだと寢起きが何だか気持ち悪いな

風呂だ、風呂、行くぞソラ」

「いいね、俺もりたいと思ってたところだ」

流石に抱き合いながら寢たら汗かきまくるだろう。

実際凄く熱かったし。