《勇者になれなかった俺は異世界で》ロケットペンダント

スライムを軽く屠ったポチと俺は

特にやる事も無いため再び寢室に戻ってきた。

ふと、思い出しポケットからロケットペンダントを

取り出して開いて中を見て、

「――っ」

俺はどうしようも無い怒りのを抱いた。

ペンダントを閉じ、力強く握りしめ再び

ポケットの中にしまい込んだ。

本當は先ほどの本來ならエルフに寄生などしない

スライムが何故エルフに寄生していたのか調べたい。

ポチが言うには誰かがエルフに無理矢理寄生させた。

どの種族の誰がそんな酷い事をしたのだろうか。

同族であるエルフがそんなことをやるとは思えない。

俺がそう思っているだけで実際は同族がやったかもしれないが、

その可能は低いだろう、そう信じたい。

どの種族が何の為にやったのだろうか。

そもそも何故この城に助けを求めて來たのだろうか。

近くにはエルフの村があると言うのに。

謎だらけだ。

分からない事は幾ら悩んでも分からないので

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ヘリム達が帰ってきたら聞いてみよう

そう思い俺は一度考えるのをやめた。

ベッドの上でポチと一緒にゴロゴロとして時間を適當に潰す。

たまにポチの事を抱き枕にしてみたりして、

時間は過ぎていった。

「なぁ、ポチって何時も何してるんだ?」

ふと、そんな事を思った。

長い間も森の中で暮らしているポチは

何時も何をして時間をつぶしているのだろうか。

もしかしたら何か良い時間の潰し方が分かるかもしれない。

『寢るか狩りをするかの何方かだな

ソラに出會う前までは

たまに、こっそりと村に行って子供とか

喰らったりしてるぞ』

「そうか……」

し聞かなければ良かったと思った。

こっそりと村に行って子供を喰らうって……

でも俺と出會った事でその被害者が減ったのか

それは本當に良かった。

「俺の事を好き勝手に喰らって良いから

もう村とかに行くなよ?」

『ああ、分かっているさ

ソラより量と質が良い奴は他に居ないからな』

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本當に分かっているのだろうか、し不安だ。

確かに俺の事を喰らっても直ぐ復活するから

量も質も無限だ。

だけど、俺の神面も考えてほしい。

自分が喰われるのを間近で見るのって結構

グロテスクだし恐ろしいからな。

『そろそろあの二人が返ってくるぞ』

ポチが気配をじ取ったらしい。

あの二人というのはヘリムとエキサラの事。

「そっか、何も異変は無いよな?」

『ああ、何も無いぞ』

「良かった」

あの二人に限って無いと思うが、

先ほどのエルフの様に寄生されていたら……

まぁ、絶対に無いだろうが。

『出迎えに行くか?』

「いや、安靜にしてないと行けないから

このまま一緒に寢てるぞ」

『そうか』

安靜にしてないといけない。

本音を言うと出迎えるのが面倒臭い。

実を言うと先ほどのスライムがエルフの中から

出てくる瞬間を目の當たりにして

しだが気分が良くないのだ。

というから黒いがドバドバと。

出來れば今後一切ああいう事は起きないでほしい。

トラウマになりかねないぞあれは。

「帰ったのじゃー!」

ヘリム達が無事城ったようだ。

寢室に居ても聞こえてくるエキサラの聲。

は小っちゃいのに良くもこんな大聲が出せるな。

『元気が良いな』

「そうだな、うるさいぐらい――」

「ただいまなのじゃ、ソラよ!安靜にしてたかのう!!」

凄いテンションで勢いよく

寢室に転がり込んできたエキサラは

変なポーズを取りながらそう言ってきた。

「見ての通り」

「うむ、それは良かったのじゃって、

ポチも一緒にいたのかのう」

「ソラ君は大人しくしていたかい?」

後からってきたヘリムが

ポチの事をみてそう言った。

「そっか、良かった良かった。

ソラ君はやんちゃだからちょっと心配だったよ」

俺の事を何だと思っているのだろうか。

やんちゃとか初めていわれたぞ。

「二人ともおかえり、俺は確りと大人しくしてたぞ。

し予想外の事も起きたりしたけどな」

「予想外の事?何かあったのかのう?」

「ああ、一生もののトラウマに

なりかねない出來事があったぞ」

飛び出してきたのが黒いスライムで良かった。

あれが臓とかだったら絶対にトラウマになってた。

「なになに、気になるなー

僕たちも伝えたい事があるけど

ソラ君から話してくれても良いんだよ?」

口ではそういっているヘリムであったが、

目線がチラチラと此方に向き、

明らかに先に話してしそうだ。

ヘリム達が伝えたい事があるのならば、

別に俺の話は後でも良かったが、

聞きたそうなので先に話すことにした。

「実はな、先ほど――」

俺は先ほど経験した容を詳しく話した。

何時もなら面倒くさがって簡単に話すところだが、

今回ばかりはそうはいかない。

目の前で助けを求めながら死んでしまった

エルフの苦しそうな顔が脳裏に焼き付いている。

最後の力を振り絞ってだしたであろう

悲鳴の様な助けの聲を覚えている。

俺はこの記憶を忘れない。

忘れる事が出來ない。

寧ろあんな衝撃的な事を目の當たりにして

忘れるという方が無理だ。

別に知り合いだったという訳ではない。

だが、俺はあの男エルフからけ取ってしまった。

見てしまったんだ、あんな見てしまったら

黙っていられるわけがないだろ。

男エルフからけ取った

ロケットペンダントの中には、

らしい金髪のい顔のエルフが

幸せそうに笑いながら男のエルフと一緒に寫っていた。

最期に見た男エルフの顔は

彼方此方が欠損していて正確な顔は

分からないが、確信出來る。

これはあの男エルフの子だと。

その寫真を見た瞬間、

俺はどうしようも無い怒りを抱いた。

これからも幸せに暮らしていくはずだった

と男エルフの幸せを奪った奴が

どうしても許せない憎い。

このをどこにぶつけたら良いか。

そんなのは考えなくても分かっている。

あのスライム?違うだろ。

スライムを無理矢理寄生させた犯人だ。

俺はそいつが凄く憎い。

この世界では俺が知らないだけでそれが日常の様に

起こっているのかも知れない。

だが、それを見てしまった以上は黙っている訳には行かない。

世界を救うんだろ?

だったらエルフの一人や二人

救う事など容易い事のハズだ。

俺が――いや、俺一人では無理だ。

ヘリムやエキサラやポチの力が必ず必要だ。

皆ならきっと協力してくれるはずだ。

俺達が――

必ずお前の仇を取ってやる。

お前はそれをんでいた訳ではないかもしれない。

お前は俺にこのペンダントを投げてしまったんだ。

捨てた以上はお前に文句は言わせない。

これをどうするかは拾った俺の勝手だ。

只の自己満足だ。だが、それでも良い。

そして、このペンダントを持つべき者に返す。

「そんなことがあったんだね、

ごめんよソラ君。僕が見ていなかったから

怖い思いをさせてしまったね」

ヘリムが悪いなど微塵も思っていなかったが、

何か責任をじているのだろう、

凄く申し訳なさそうな聲で頭を下げてきた。

「いや、ヘリムは何も悪くない、

悪いのは男エルフにスライムを寄生させた奴だ」

ヘリムに頭を上げさせた。

「でも、僕が見て居れば――」

「しつこいぞ、ヘリムは悪くない――」

何度も謝ろうとしてくるヘリムに

し強めでそう言ったが、

同時に俺は良い事を思いついた。

「ヘリムの気が済まないのならば、

俺と一緒に仇を取らないか?」

さりげなくないが、

自然の流れであまり違和は生まれないだろう。

我ながら良いい方だと思う

「勿論!やらせてもらうよ!」

顔がパァと晴れて凄く嬉しそうにそう言った。

これでヘリムの協力は得た。

後はエキサラとポチだ。

「ありがとう、

ご主人様とポチも一緒に來てくれないか?」

「主人の妾が行くのは當然じゃ」

『暴れられるなら付いていくぞ』

しは考える間があるかと思ったが、

二人とも即答してくれた。

これで戦力的には十分だ。

しかし、仇を取るにしても犯人が全くと

言っていいほどわからない。

「まずは犯人を捜さないとな」

「そうじゃな、じゃが、

ソラの話を聞く限り、

これから話そうとしている

容と関係がありそうじゃのう」

「本當か!?是非聞かせてくれ」

「うむ」

まさかのエキサラが話す容と

俺の衝撃的な験談が関係あるとは

思ってもみなかった。

だが、これで犯人の手掛かりが何かつかめるかもしれない。

そう思い、俺は何時も以上に真剣に

エキサラの話を聞き始めた。

「妾たちが村に行き挨拶を済ますとのう、

村長からこんな話を聞いたのじゃ」

序列10位のエルフが15位の人獣に戦爭を

仕掛けられているらしい。

ここの村は小さいためまだ何の被害も出ていないが、

大きなエルフの集落などでは既にかなりの被害が出ているらしい。

本來であれば序列10位のエルフが15位の人狼に

負けるなんて事はあり得ない。

だが、現狀は殆どの集落などが人獣に敗れている。

その理由は簡単で人獣は同盟を組んでいたのだ。

族フェアリー妖だがそんなに可い生きではない。

小さい者もいるが大きい者は

人間の大人ぐらいのサイズにまでなる。

そして、この種族の特徴は魔を使役でき

る事が出來るという事。

そんな妖族と同盟を結んだ人獣は

次々と集落などを襲いエルフを殺したり捕まえたりしているという。

ここの村が襲われるのも時間の問題だろう。

「こんな所じゃ」

「……妖族」

俺はエキサラの話に出てきた妖族という

種族に反応した。

「うむ、恐らくそやつらの仕業だろうのう」

俺の中で倒すべき相手が確定した。

族、姿など一度も見たことは無いが、

俺は妖族に激しい殺気を抱いた。

「……勿論、あそこの村の事は救うだろうな?」

見たこともない種族を探すなど大変な事だ。

だが、エルフが狙いなら絶対にあの村に現れる。

だったら、そこで迎え撃とうじゃないか。

仇も取ってエルフも守り抜いてやる。

「うむ、當たり前じゃ。

この城にすんでいる以上、

妾は領主みたいなものじゃ」

「盛り上がってきたところだけどさ

何で男エルフこの城に來たんだろうね」

ヘリムの質問の答えは簡単だ。

族は村を楽に襲うために領主が住んでいるであろう

この城を先に片付けようと思ったのだろう。

誰でも村の近くに大きな城が建ってれば、

そこに領主がいると思うだろう。

領主がやられれば後は簡単だ。

まぁ、予想だが。

そもそもエキサラって領主になったのか?

「この城に領主が住んでると思ったのじゃろうな

既に場所はバレていてアクションは起きたのじゃ、

そろそろ攻めて來てもおかしくはないじゃろう」

エキサラも同じ考えのようだ。

「なるほど。

それじゃ準備しておかないとね」

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