《勇者になれなかった俺は異世界で》村へ

準備と言っても大して何かを用意する

という訳ではない。

唯一やることは村に住んでいるエルフ達を

この城まで避難させることぐらいだ。

エルフの中にも戦える者はいるだろうが、

エキサラやヘリム、ポチが一緒に戦うとなると

巻き込んでしまう可能がある。

勿論、俺も巻き込まれる危険があるが

巻き込まれても死ぬだけであって大したことない。

俺にとっては大したことないが、

エルフ達にとって死ぬということは終わるということだ。

戦って死ぬならまだしも、

巻き込まれて死ぬなんて免だろう。

城に避難させる事は恐らく難しい事ではないだろう。

エルフだって負けたくはないだろう、

だったら素直に此方に従うべきだ。

賢い奴がいればスムーズに話は進むだろう。

萬が一話が通じなかったとしたら、

それは仕方がない。

エキサラ達には巻き込まない様に戦ってもらうしか無い。

今回ばかりは見捨てるという選択肢はないのだから。

「來ても明日だろうのう、

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一応村にも結界を張って來ているのじゃ、

何かあれば直ぐに分かるからのう、

今日は取り敢えず明日の為に休むとするかのう」

「そうだね、僕は賛だよ」

「俺も賛

もし、今夜せめて來たとしても

結界があるのならば取り敢えず安心出來る。

結界を信じて今日はゆっくりと休むべきだろう。

今日の俺はずっと休んでいた気がするが。

ポチは頷き肯定していた。

・・・・

その日は何も起きず新たな朝を迎えた。

ゆっくりと休んだおかげでの狀態はバッチリだ。

朝食を確りと取り、エネルギーを蓄える。

食事が終わり各自準備を始めた。

エキサラは特に無し、ヘリムも同じく。

俺は一応ストレッチをしてを解す。

ポチは後ろ足で耳を掻いたりしているので

特に準備はなさそうだ。

「よし、」

ストレッチを終え、

俺たちは村に向かって歩きだした。

ポケットからロケットペンダントを取り出し、

改めて覚悟を決める。

村に著くと當然の事だろうが騒がしい。

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戦爭が起きて何時この村が教われても可笑しくない狀況で

のんびりとしている方が異常だろう。

武裝したエルフもチラホラと見える。

「村長と話をしてくるのかのう、

ここで待つのじゃぞ」

「一応僕も行こうかな、

説得出來なかったら村長の頭の中をちょこっと弄ろうかな」

さらっと恐ろしい事を言うよなこの神様。

寧ろ悪魔と名乗っていても不思議じゃない。

「行ってらっしゃい」

「大人しくしてるのじゃ」

「行ってきまーす」

二人の背中を見屆けると、

俺は先ほどから注がれている視線を

確認するために周りを見渡した。

「まぁ、そうだよな……」

『ん?』

先ほどからの視線は俺に向けられていたものではなく。

俺の隣にいるポチに向けられているものだった。

怯えた様な視線や興味津々という視線も幾つか。

仕方が無いだろう。

なんて言ったてもふもふで可らしい生きがいるのだから。

と言うのは冗談で普通狼の様な獣が村に來ていたら

だれでも驚くし怯えるだろう。

それがましてやフェンリルなのだから。

「ポチの姿をみて皆驚いてるなって」

『そうなのか、どうでもいいことだ』

「まぁ、そうだよな」

見られているからといって

何かが減るわけでもないし、

別にこのまま放置しても問題はないだろう。

周りからの目を無視しながら

エキサラ達の帰りを待つこと結構な時間が流れた。

この村に住んでいるエルフの命運を掛けた話し合いだ。

當然そう簡単には進むとは思っていない。

先ほどヘリムはいざとなったら頭の中を弄ると言っていたが、

流石のヘリムでも今回限りはそう簡単には行に移さないだろう。

これはあくまでエルフ達の問題である。

俺は別に目的があるから良いのだが、

エキサラは正直に言って無関係だ。

領主とか言っていたが、

それが本當に正式なものであれば関係あるのだが、

実際の所は分からない。

兎も角、今回の問題はエルフ達からすれば、

俺たちは全くの部外邪だ。

ああだこうだ言う資格は無い。

ヘリムもそれぐらいは分かっているはずだ。

「はうわぁああ~」

流石に暇になってきた俺は

周りの目など一切気にせずに大きく口を開け、

両腕を天高くばし結構な大きさで欠をした。

エルフ達の目が一瞬俺の方を向いたが、

それが欠だとしると、興味を無くしたようで

再びポチの事を々な目で見始めた。

『眠たいのか?』

を見かねてポチがそう尋ねてきた。

暇になると眠くなくてもどうしても欠が出るときがある。

今回もそれで、眠いがという訳ではないが、

が勝手に欠をしてしまったのだ。

だが、正直な所しだけ眠たい。

しな」

『そうか、ならば』

ポチはし丸め橫になり始めた。

いた事によってエルフ達が構えたが、

當然だがポチは危害を加える気など微塵もない。

「ポチも眠たいのか?」

『別に眠くないぞ、

ソラの為に橫になってやったのだ』

顔を此方に向けてそう言われ

俺の中のポチへの好度は頂點に達しそうになった。

「ありがとな、それじゃ遠慮なく」

『ああ』

遠慮なくポチの前足を枕代わりにして橫になり、

お腹のをモフモフしながら頬をだらしなく緩めた。

本當ならポチのお腹を枕にするという形が良いのだが、

生憎まだ長が小さい為ポチのお腹に頭を乗っけると

凄くに負擔がかかる姿勢になってしまう為、

今は前足枕で我慢だ。

俺がポチを枕にして橫になった事で

エルフ達に変化が起きた。

橫目で確認しか限りでは先ほどの目つきよりも

若干怯えのが消えたような目つきに変わっていた。

「まぁ、誰もがこのモフモフみたら

穏かな気持ちになるだろうな……」

『何のことだ?』

「獨り言だ、気にするな」

気が付けばポチを監視する目はなくなっていた。

皆家の中にって行ったり

數はないがエルフ同士で會話をしていた。

しは警戒しなくなってくれた事に安心し俺は目を瞑った。

『おい、ソラ。餌が來たぞ』

「ん、ん?」

目を瞑りしウトウトとしていると

ポチがそう言われ思い瞼を上げると、

そこには小さなエルフが立っていた。

の薄著を著こみ白く綺麗な瞳をしたエルフだ。

細く小さな腕の先でぎゅっと小さな二つの手で、

大切そうにバスケットを握っていた。

餌が來たぞってポチの奴……

「ん、何か用か?」

「あ、あの、その……」

聲を聞くまで別が何方なのか分からなかったが、

ショタボイスを聞きおとこの娘だと分かった。

もじもじとハッキリしないその姿を見て、

俺は苛立ちよりもほっこりとした気分になった。

「そう怖がるな、この獣は勝手に喰らったりしないから」

「あの、これけ取ってください」

「ありがとな」

「ひっ!」

おとこの娘がバスケットを突き出してきたので

それをけ取るため起き上がろうとしたが、

何故かポチが首をばし口でバスケットをけ取った。

小さな悲鳴がれたが、おとこの娘は泣くことはなかった。

寧ろ目をキラキラと輝かしていた。

『ほれ』

「お、おお、ありがと」

咥えたバスケットを優しく地面に置き、

ポチが変わりに取ってくれたのか、

と理解して禮を言ってから布を取りバスケットの中を見た。

すると、中には鮮やかな木の実達がっていた。

「おお、木の実か」

『ほぉ、々あるな、その青いのくれ』

「ほいよ」

ポチがんだ青でトマトの様な木の実を

手でポチの口元まで運ぶと吸い込まれる様に

木の実が消えた。

『悪くないな』

「そっか」

「あ、あの獣さんの言葉分かるんですか?」

「まぁな、ちなみに味しいって言ってるぞ」

言われてみて改めて気が付いたが、

ポチは今俺の頭の中に話しかけて來ているだけであって、

言葉を発している訳ではない、

聲が聞こえているのは俺だけであって周りの皆には聞こえていない。

つまり、先ほどからのポチとの會話は

旗から見るとただの獨り言に聞こえていたのだ。

恥ずかしい

「本當ですか!!良かった!!」

おとこの娘は目をキラキラと輝かせ、

何やら凄く嬉しそうだった。

「この木の実は君が採ってきたのか?」

「はい!!」

「おぉ、凄いな、俺も後でおいしく頂くよ

改めてありがとな」

「はい!はい!はい!!」

そういっておとこの娘はスキップをしながら

俺達から離れて行った。

それにしても俺ぐらいの長なのに確りしてるな。

もしかしてああ見えて結構年上だったりな

「ポチ、まだ食うか?」

『いや、後にしとく』

「分かった」

バスケットに再び布をかぶせた。

そして、領土良く家から出てくるエキサラ達の姿が目にった。

起き上がろうと思ったが、

このモフモフを全じでしまったら

中々抜け出すことは困難だ。

し、ほんのしだけ努力したが起き上がることは葉わなかった。

やはり人間はモフモフには抗えない。

モフモフ恐るべし。

「おかえり」

「ただいまー」

「うむ、ただいまなのじゃ」

戻ってきた二人に聲を掛けると、

ヘリムはいつも通りニコニコとしながら返してくれたが、

どうにもエキサラの表が何時もよりも暗い。

これは失敗したのかと思ったが、

まだ判斷するには早いと思い直接エキサラに聞いてみることにした。

「どうだった?」

「うむ、何とか話は通じたのじゃがのう、

エルフ達の戦士が數名殘る事になったのじゃ」

「なるほど」

エルフ達の中にも人間と同じく戦士がいるらしく、

エキサラの話を聞いても尚、村に殘って戦うと。

別に不思議な事ではない。

自分の里を誰かに任せるより

自分たちの里は自分達で守りたいものだ。

エルフの戦士が數名殘って共に戦っても

そこまで大したことではない。

俺はそう思っていたのだが、

どうもエキサラの表が浮かばない。

「別に良いんじゃないか?」

「むぅ、殺してしまうかもしれないのじゃ……」

「あー……」

その問題があった。

エルフの戦士たちは戦って死ぬならまだしも、

味方の攻撃に巻き込まれて死ぬのは本では無いだろう。

「まぁ、どうにかなるんじゃないかな

後衛にまわってもらうとかさ々あるだろ」

「うまく行くと良いのじゃがのう……」

「まぁ、戦爭になれば多の犠牲は仕方が無いかもな」

「作戦練れば大丈夫じゃないかな、

僕にとってはソラ君が最優先だからどうでもいい事だけどね」

「それじゃ!作戦を練るのじゃ!!」

エキサラの顔がパァっと明るくなったが

それを見た俺は「作戦練らないつもりだったのかよ」

と心の中で靜かに突っ込みをいれた。

「よし、それじゃ戦士達を呼んでくるのじゃ~」

エキサラはヘリムと共に再び家の中に消えていった。

再びポチと二人きりになってしまった俺は

先ほどの様にふかふかを味わいながら目を瞑った。

『ソラよ』

「ん~」

『獣の臭いが強くなってきてる。

まだまだ距離はあるが一応報告しとくぞ』

「おお、そうか、ありがとな」

ポチが言う獣の臭いとは間違いなく人獣の事だ。

まだまだ距離があるとは言っていたが油斷は出來ない。

ポチがじ取れるほど近くまでやってきている。

『夜には來るだろうな』

「今晩か」

果たしてこれから作戦を練っていて間に合うのだろうか、

エキサラとヘリムとポチの力があれば作戦などいらないが、

俺とエルフの戦士に取っては作戦はとても大切だ。

エルフ同様に俺も味方の攻撃に巻き込まれるのは免だ。

そんな不安を抱きながらエキサラ達の帰りを待った。

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