《勇者になれなかった俺は異世界で》城へ

ポチの聲に反応し後ろをチラリとみてみると、

そこには、上半だけ起き上がらせ

片手で目をっている彼の姿があった。

寢起きでまだ脳が活化していないのだろう、

ボーとした表で周りを見渡していた。

「ポチ、あっちに連れて行ってくれ」

『うむ』

一切指を指したりという素振りはしなかったのだが、

ポチにはそんなの必要なく言葉だけで伝わったようだ。

「ちょっと、話をしてくる」

「いってらっしゃいなのじゃ~」

一応エキサラにも一言殘し、

俺はポチの上に乗りながら彼の下へ向かった。

此方に気が付いた彼がゆっくりと此方を向くと、

目を何度もパチクリとし驚愕の表を浮かべた。

目線からすると、まず魔の死を見て驚いているのと、

ポチとエキサラが戻って來ているという事に驚いているのと、

最後に俺が生きているという事に驚いているのだろう。

の目線は彼方此方にき非常に忙しい。

にとってはいい刺激になっただろう、

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で脳が活化した様で先ほどまでの

眠そうな表は消えていた。

「き、君が倒したのよね?」

「うん、そうだ」

「本當に……」

震えた聲でそう呟き、

がうるんだ瞳で今にも泣きそうな顔で此方を見つめてきた。

そんな表で見つめられ何か不味い事でもしたのかと不安になる。

「どうした?」

「……ありがとうね」

此方が禮を言いたかったのだが、

逆に禮を言われてしまい更に戸ってしまう。

何故、俺が禮を言われてるんだよ。

寧ろ謝したいのはこっちだぞ。

「俺の方こそ禮を言わせてくれ、

お前の力が無ければそう簡単には勝てなかった、ありがとな」

「確かに私の力もあるかもしれないけど、

魔獣を倒せる程の実力は君のだよ、本當にすごいわね君は」

「魔獣?」

とは違うのか?

それとも単に言い方が複數あるだけなのか?

俺は魔獣という単語に疑問を持ち彼に問いかけた。

「まさか、あれが何かも知らないで戦っていたの?」

「ああ」

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信じられないという様な表で此方を

見てくる彼から思わず目線を逸らしてしまう。

何、その一般常識を知らない人を見る様な目は……

確かにこの世界について知らない事だらけだけどさ、

そんな目で見つめないでくれよ

「噓でしょ……本當に君は何者なのよ。

見た目も凄いいのに大人より強いし

それなのに何も知らないって……」

「それは――」

確かにその通りだ。

見た目は三歳児位止まっているが、中は十代後半だ。

言葉遣いもきも三歳児とは程遠い存在だろう。

を知っているヘリム達なら問題ないだろうが、

何も知らない人から俺の事を見れば間違いなく疑問を抱くだろう。

「のうのう、捕虜の分際でちと詮索し過ぎじゃないかのう」

なんと答えるべき迷っていると

背後からのそのそと現れたエキサラに助けられた。

ちょっと言い方がきついかもしれないが

エキサラなりに俺に気を使ってくれたのだろう。

ありがとう。

「……」

てっきり何か言い返すのかと思ったが、

はエキサラの事を見てシュンと小さくなってしまった。

仲間を壊滅させられたのだから無理も無いだろうが、

の事を見てエキサラもエキサラでし落ち込んでしまった様だ。

肩を落としてガックシとしているご主人様を見て、

みたいで可いと思ってしまった。

「はぁ……」

ポチの上に居る為エキサラよりも高い位置にいる俺は、

そんなエキサラの事をめるように頭をポンポンと叩き、

本來の目的に移行する。

「これから捕虜のお前達には付いて來てもらう。

素直に従えば手を出したりはしない」

目が覚めた彼に確りと禮を言う事が出來た為、

もうこの場に留まる必要はない。

「ポチ、城まで頼む」

『任せろ』

「ご主人様も元気出せよ、折角の可い顔が臺無しだぞ」

「っ!!」

俺は確りこの前の事を覚えている。

エキサラに可い犬みたいだと言ったら

都合の良いところだけ切り抜き可いしか

聞こえていなかったエキサラの事を。

つまり、落ち込んだ時にご主人様は可いと言えばこの通り、

「くはははは!そうじゃ妾は可いのじゃ

ほれ、行くのじゃ!」

思った通り元気を取り戻したエキサラは、

を堂々と張り鼻のを大きくして歩き出した。

それに続きポチも歩き出し、自的に俺もき出す。

「おい、お前」

未だにシュンと小さくなっている彼に聲を掛けた。

別にめたりはしない、只命令をするだけだ。

「え、私?」

まさか呼ばれるとは思っていなかったのだろう。

目線に気が付き慌てた様子だ。

「ああ、お前だ。他の捕虜達を確りと連れて來てくれ。

俺のいう事より仲間のお前が言う事の方が良いだろ?」

敵に命令されてくよりかは

味方に言われてく方がまだましだろう。

親に宿題しろと言われたらやる気がなくなる。

それと同じようなじだ。

「わ、分かったわ!任せなさいよ!」

は元気よく立ち上がり縛られている捕虜達の方へと向かい、

何やら必死に手をかしたりして説得している様だ。

何の討論も始まらずに捕虜達は全員立ち上がり、

を先頭に此方に向かって歩き出してきた。

ゆっくりと森の中を進み、

たまに後ろを振り返り確り付いて來ているか確認する。

「ぬう?」

村に著くと、そこには既に城から帰ってきたエルフ達が

何やら中央に集まっていた。

「隨分と早いのう、戦士ども意外と行が早いのう」

「いや、戦士じゃないだろう。

ヘリムが俺達の事を覗いて安全になったからすぐ村に返したんだろうな」

「なるほどのう」

取り敢えずエルフ達が無事でよかった。

ヘリム、頑張ったんだな。

そんな事を思いながら俺達は村の中央に向かった。

村の中央では何やらエルフ達が話し合いをしており、

此方の存在にさえ気が付いていない様だ。

「何をしておるのじゃ?」

「こ、これはエキサラ様……」

聲を掛けられやっと気が付いた様で、

ビクリとを震わせ驚いた様だ。

「……」

エルフ達は皆エキサラと目を合わせようとせず、

下ばかり見ていた。

村長までもが下を向いて沈黙している。

「むぅ?」

そんな景を見て俺は察した。

エルフの戦士達から話を聞いたのだろう、

皆の表はどこか怯えていつ様にじる。

エキサラにその事を伝えたらまた凹む可能が高いため、

どうにか誤魔化すそうと試みる。

「あー、ご主人様?

今は捕虜達もいる事だし、さっさと城に帰らないか?」

「うむ、そうじゃのう。戻るのじゃ」

何とか誤魔化せたようだ。

先ほど同様にを張って堂々と歩き始めてくれた。

ポチの上に乗りながら進んでいると、

小さな男の娘が家の影から此方を見ているのに気が付いた。

「あれは、確か」

何かの木の実をくれたおとこの娘か。

そういえばあの木の実がったバスケット事エキサラに

預けたが果たして無事なのだろうか……

そんな事を思いながらおとこの娘に手を振った。

すると、元気よく手を振り返してくれて

なんとも言えない穏かな気持ちになった。

「良い子だな~」

『む、我の事か?』

ボソリと呟くとポチが勘違いしてしまった。

決してポチが良い子ではないと言う訳ではないが、否定する。

「いや、違うぞ、あの子」

し頭をかし周りを見渡し、

『ああ、木の実か』

おとこの娘を発見した様だ。

だが、言い方がまるであの子が木の実みたいになっているが、

そこにはれないで置くことにした。

ヘリムの価値観でさえかなり恐ろしい為、

ポチの価値観にれるのがかなり怖いからだ。

『帰ったら食べさせてくれるんだろうな?』

「ああ……無事だったらね」

『どういう意味だ?』

「そのままの意味さ、木の実が無事だったらね」

エキサラの事だから無事だとは思うが、

が手元にない以上保険を掛けとかないと。

『良くわからないが、分かったぞ。

それと、ソラの事も食べさせろよ?』

「あぁー、うん、元気あったらな」

最近食べられていなかった為

そんな約束すっかりと忘れていた。

だが、約束は約束だ。

元気があれば……

「なぁ、ポチ」

『なんだ?』

城まではもうし時間が掛かるため、

俺はエキサラに提案された魔法について

ポチと話し合う事にした。

「騎乗って魔法の事だけどさポチはどう思う?」

魔力をポチと繋げるという事は

間違いなくポチにも迷を掛けることになる。

練習する時もポチと一緒じゃなければ出來ないだろう。

その為、予めポチの了承を取らなくては行けない。

『何とも思わないぞ』

「本當か?練習にも付き合ってもらわないと行けないし

ポチには絶対迷をかけるんだぞ?」

『我は、ほぼ毎日暇だからな。

そんなつまらない日々に刺激を與えてくれるなら

何でも喜んで付き合おう、それにソラといたら退屈しないしな』

「ポチっ!お前って奴は~」

ポチから了承が取れ、

思わずポチの背中に顔を沈めウリウリとりつけ

嬉しさをポチに伝える。

『そんなに喜ぶことか?』

「毎日このモフモフを堪能できるんだぞ、

この幸せが分かるか?否、分からないだろう!!」

『そんなに我のが好きなのか……

嬉しいがそこまで言われると若干引くぞ』

「ポチ自も結構好きだけどな」

ポチのが毎日堪能できると言うより、

正直な所ポチの返答が嬉しく、

同時に無に恥ずかしくなり顔を沈めたのだ。

『前にも同じ様な會話をしたと思うが……

我もソラの事好きだぞ』

ポチから無事了承を取れ、俺は再び覚悟を決めた。

「この件が解決したら頑張らないとな

よろしくなポチ」

『ああ』

騎乗の練習よりも先にロケットペンダントの件を解決しなくてはいけない。

々と面倒な道だが一度やると決めたからには

やりとげなければいけない。

必ずこのロケットペンダントは持つべき者に屆ける。

「そろそろ著くのじゃ~」

どうやらそろそろ著くらしい。

ポチのに顔をうずくめている為、

前が見えなく確認することは出來ないが、意外と早い。

これから尋問か、やったことないけどうまくいくかな……

そんな不安を抱きながら城へと向かっていく。

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