《勇者になれなかった俺は異世界で》過去の傷

「お、ソラが生きておるのじゃ」

「あ、本當だ~」

「おいおい、朝から変な事言うな。

俺が死んでいたとでも思っていたのか?」

本日初めて二人に會って飛んできたのはそんな聲だった。

何があって俺が死んだと思われていたのだろうか。

そんな疑問を口にしながらいつも通りの席にポチに運んでもらう。

「昨日寢室に來なかったからのう。まぁ、ちと空き部屋を覗いたら

気持ちよさそうに寢ている奴がいたがのう」

「相手がポチじゃなかったら間違いなく死んでたね。相手が」

「あぁ、そういう事」

どうやら俺がポチやエキサラ、ヘリム以外と寢て居たら

その相手が死んでしまうらしい、頭の可笑しい二人にやられるのだ。

これからはそのことをに刻んで生きて行こう。

と言っても俺が寢るとしたらヤミ達以外だと誰も居ないと思うのだが、

ちなみに俺がヤミ達と寢るときは流石のヘリムやご主人様だろうが、

邪魔をするなら多は怒るぞ。

「この後、昨日の件でアルデンに向かうのじゃが、

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どうせなら皆で行くかのう?」

「いいね~」

料理を口に運ぶのをいったん止めた

二人の視線が俺に突き刺さる。

完全に拒否できない狀況を作り出されてしまった。

まぁ、どのみち暇なので付いていくつもりだったが。

「俺も行くよ」

『なら、當然我も良くぞ』

「ポチも行くそうだ、それと闘技大會ポチも參加する」

「うむ、全員じゃな。片付けが終わったら早速出発じゃ――と、その前にじゃ」

「「ん?」」

エキサラが何か言いたい事がある様だ。

俺達は首を軽く傾げる。

「これからの事を考えるとのう、

あまり、顔や実名を曬すのは良くないと思ってのう」

「ふむ」

確かに闘技場で本気を出すとすると

目立ってしまうのは逃れられない事だろう。

変に目を付けられない様にするためにもエキサラが言うように

実名や顔を隠すのは得策と言えるだろう。

的にはどうするの?」

「仮面を付けるのじゃ、名前は適當に妾が付けるのじゃ」

「なるほど」

「いいね~」

仮面で顔を隠すのはし悪目立ちしそうだが

まぁ、顔を隠す方法と言ったらそれ位しか思いつかないので

仕方が無いだろう。

エキサラのネーミングセンスがどんなものかは分からないが

何だか凄く心配だ。いっそ俺が付けた方が良い様な……

「ちなみに、仮面ってどんなじのやつなんだい?」

「ん、普通のじゃ目のと鼻のが開いてるぐらいの仮面じゃ」

「シンプルで良いね」

仮面を付けた三人と擬人化したポチが

揃って歩いたりしていると非常に狂気をじる。

傍から見ると凄く怪しい集団にみえるだろう。

『そもそも子どもが闘技場に行く時點でおかしいだろ』

「子ども言うな、本當はもうしかっこよくて背が大きいんだぞ!」

『ふんっ』

この世界に來る前の姿を軽く説明すると

信じていないのかポチに鼻で笑われてしまった。

本當だもん、もっと長あってイケメン……は言いすぎかもしれないけど

もっと長あったんだよ!!

「ソラ君はどっちかと言うと可い顔つきだけど

頑張ってカッコよく見せようとしてる可い男の子だったよ」

「そ、そんな風に思ってたのか!?」

更に追い打ちを掛けるかのようにヘリムの一言が飛んできた。

自分では一切恰好を付けているなんて事は――無いと言いたいのだが、

振り返ってみると……

『これが、選ばれし者に與えられる訓練と言う奴か』

し遠い場所に向かうだけの事だが、

そんな事を何の恥じらいも無く呟いてる年が一人。

「うっ!」

『目覚めよ我が力よ、契約に基づき命じる!

漆黒の炎を纏いて奴を喰らい盡くせ!

さぁ、己が無力を知れ!――闇魔法ッ!』

一つのスキルを発するだけで意味の分からないことを言って

変なポーズをとっている年が一人……

「うはっ!」

「ソラは何をしているのじゃ?」

「きっと過去の自分と戦っているのさ、

こういう時はそっとして溫かい目で見守るのが一番だよ」

俺が過去の事を思い出して恥ずかしさのあまり

自らダメージを喰らっていると傍からそんな聲が聞こえて來た。

『――我が剣に宿え!闇魔法ダークネス・ソーサリー』

剣に魔法を付與するだけの事……

「うぅうう!」

く、くそう!なんで俺はこんなことばかり口走っていたんだ!!

確かに、あの時の俺は廚二だったけど!

……今でもたまにそういった臺詞を口走りたくなる時はあるけども、

流石にこれは痛すぎるぞ、俺!!!

今度からはもうし痛くない様な言葉を選ぼう。

次があるかどうかはわからないけど。

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