《勇者になれなかった俺は異世界で》鬼族

「珍しいね」

「ん、何がだ?」

貴族が消えるとヘリムがそんな事を呟いた。

「さっきの奴隷鬼族だね」

「おに……角生えてなかったぞ」

俺の中での鬼のイメージとしては

が大きくて凄く厳つく角が生えているじだ。

だが先ほどの奴隷は何方かと言うと

鬼を退治しに來た勇者か何かだ。

「鬼族はね、基本的にはソラ君みたいな人間の姿をしているけど、

怒ったり興したりすると角が生えてくるんだよ。

しかも角が生えた狀態は能力がずば抜けて高くなるのさ」

「なるほどね」

あのイケメンの顔に角が生える……何だか面白いな。

その能力を貴族に買われたからあんな裕福な恰好をしているのだろうか。

それとも単に優しいご主人様に拾われただけなのだろうか。

どちらにしろ、もし戦う羽目になったら角が生えてきたときは

要注意しなくてはいけない。

「終わったのじゃ~」

「お疲れさん」

ラソ、ムリヘ、チポ、ラサキエの登録を済ませ、

俺達は軽く街を観することになった。

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と言っても只出店を回ったりするだけの事だが、

アクセサリーや食べ……様々なを観たり買ったりした。

そんな中、俺はふと思いついたことをご主人様に尋ねる。

「闘技會って何時なんだ?」

「明日じゃ」

「は?」

「明日じゃ」

ははは、この婆様は何をいっているのだろうか。

昨日闘技大會があると聞き、今日登録して、明日が本番。

実にスムーズだ……一瞬ボケたかと思って聞き直してしまったではないか!

「……もっと先かと思ってた」

そんな不満をしだけ口にしながら、

俺はしでも勝率を上げるためにスキルを発させてを鍛える。

強化をし掛け重力作を自分自に掛ける。

地面と接している靴底の重力などを上手い事調節して

重力作によって地面が凹んだりはしない様になっている。

我ながらこういった細かい作が上手い。

何時かむかつく奴が居たら足の小指だけに重力を掛けて

爪を割ると言う地味な嫌がらせをしてみたい。

よし、これが當分の重力作の目標だ!

「ソラ君やる気だね~」

「やるからには本気でやりたいからな」

戦爭も近いらしいし今のうちに自分の実力を見極めておかなければ、

死ぬことは無いだろうが出來ればスムーズに済ませて

あちらの世界に戻りたいのである。

それに、本気でやらなければポチ達と當たった時に

一方的にやられるだけのサンドバッグになってしまう。

……と言うか結局勝ち抜き戦の様ななのか?

「ご主人様よ、対戦相手はどうやって決めるんだ?」

「ん、確か最初の対戦相手はランダムで決まるそうじゃ。

そこからは勝った者同士が戦い最後に勝った奴が優勝って事じゃ」

「なるほど、ありがとう」

どうやら、エキサラ達と戦うのは決定事項らしい。

いや、俺がそこまで勝ち殘れるかどうかは分からない為、決定ではないか。

取り敢えず、勝ち殘ったとしてヘリム、エキサラ、ポチの三人の

誰と當たっても勝てる気がしないのだが、勿論手加減はしてくれるのだろうな。

「久しぶりに暴れるかのう……」

「お、いいね~僕もそうしよっと」

「……」

二人は心を読んでいるかのように見事なタイミングで

俺に死刑宣告の様な発言をした。

ポチは何も言わずに歩いているが聞かなくともポチは本気で來ると分かってしまう。

ま、まぁ、実力さえ分かれば良いし?三人に負けても全然悔しくないぞ!

と自分に言い聞かせて強がってみるが、本音を言うとやるからには勝ちたい。

せめて一人だけにでも勝ちたい。

いや、何がなんでも――

「絶対に勝ってやる…あっ」

強い思いが出てしまったようで聲に出てしまい、

慌てて口を両手で塞いだが、三人が聞き逃してくれるはずはなく、

歩みを止めてニヤニヤしながら此方の方にゆっくりと振り向いた。

「……ほう、ご主人様に向かって宣戦布告かのう?」

「またソラ君の戦いが見れると思うとわくわくしちゃうね~」

「ソラよ、我に負けたら言う事を聞けよ?」

「の、む所だ!」

聲に出てしまったからには仕方が無い、

震え聲だが強がってみた。

……これは絶対後で後悔するやつだ。

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