《勇者になれなかった俺は異世界で》対戦相手

時はあっという間に過ぎて行き

十分な準備をする間もなく闘技大會の當日になってしまった。

城に帰りやった事は、仮面の改良ぐらいしかない。

仮面を付けながら喋っていると聲が通りにくいしじめじめして

気持ちが悪くなるの為、ご主人様に頼んで口の部分だけ開けてもらったのだ。

それ以外の事は特にしないで、寢て

いつも通りの朝を迎え何の変わりも無い食事をし、

散歩でも行くかの様に軽い足取りで會場へと向かう。

ちなみに、軽い足取りなのは俺を除くエキサラ、ヘリム、ポチだけだ。

俺は々と考えてしまい重たい足取りなのだが、

ポチに運ばれているためそんなのはお構いなしに軽く進んでしまう。

ちなみに、ポチが擬人化狀態のままでどうやって運ばれているかは、負んぶでだ。

俺があまりにも重い足取りだった為、

ポチがひょいと持ち上げて背中に回され負んぶされたのだ。

意外と乗り心地は悪くは無い。

會場に著くと既に大勢の參加者や観戦者達で混雑していた。

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そんな中一際人々が集まっている場所があり何やら盛り上がっている様だ。

「なんだろ」

し興味が沸きそちらの方向へ行こうと促してみるが、

ヘリムとエキサラはし困ったような顔をして此方を見て來た。

「別に行っても良いのじゃが……」

「お勧めはしないよ」

二人の曖昧な発言に首を傾げる。

どういう事なのだろうか、この二人がこのような答えを出すという事は

行かない方が良いのだろうが、気になってしまう。

「ソラよ、我はあそこで何が起こっているのかは

正確に分かる訳ではないが、きっと見たら気分が悪くなるぞ。

それと、我は連れて行くつもりはないからな」

「そっか……うん、皆がそういうなら止めておく、

試合前だし出來る限り萬全な調で挑みたいしな」

流石に全員に止められてしまっては諦めるしかない。

それに、改めて良く耳を澄ませば「もっとやれ」「いいぞ!」

だの野次の聲が聞こえてくる。

誰と誰が喧嘩をしているのかは知らないが、

喧嘩ならどうでも良いのである。

「そういえば対戦相手ってもう決まったのか?」

「そのはずじゃのう」

「確か昨日の付の場所に張り出されているはずだよ」

「いこっか」

気を取り直してコロッセオ擬きの中へと足を踏みれる。

中には外の様にうじゃうじゃと人が集まっていない事に驚きだ。

皆あの喧嘩?に引かれているのだろうか。

ヘリムが言っていた通り昨日簡易版の付場があった場所の壁に

大きめな白い紙が張り出されており、

そこには手書きでトーナメント表が書かれていた。

すいすいと人にぶつかる事無くスムーズに

トーナメント表の前まで移する。

「ん~と、あったあった」

ヘリムが早速見つけたようで指を指していた。

そこにはムリヘとヘリムの名前が書かれており、

その橫にはゴージョと書かれていた。

ゴージョと言うのが対戦者の名前だろう。

「あったのじゃ」

次はご主人様が見つけたようでちっちゃな背を頑張ってばして

腕をプルプルさせながら指を指していた。

そこにはラサキエとアロサンと書かれいた。

「我のもあったぞ」

チポとアチ。

なんだかどちらも可らしい響きの名前だ。

三人の対戦者の名前が分かったが、名前だけでは

どんな人なのかは全く分からない。

まぁ、當然と言ったら當然なのだが……

殘るは俺だけか、さてどこにあるかな。

違う、違う、違う

左から順に自分の名前(偽名)ラソがあるかどうか見て行く、

そして真ん中に差し掛かった時、

「っ――あっ……た」

自分の偽名を見つけて何だか嬉しくなってしまったのだが、

そのは直ぐに消え失せる。

トーナメント表に書かれていたのは、偽名であるラソとジブ、

と書かれていたのだ。

偶然かも知れないが俺は何故か冷や汗をかいていた。

もし、本當に俺の知っているジブお姉ちゃんだとすれば、

どうすれば――いや、たまたま名前が一緒と言うだけかもしれない。

まだ決めつけるのはよくないな。

「ソラ君、どうしたの?」

「いや、何でもない。ちょっと張しただけだ」

一応ヘリムもジブお姉ちゃんの事は知っているはずだが、

この反応からすると興味が無いか名前など憶えていないかだ。

「よし、皆対戦相手が分かった事だし、次は対戦順見てみよ~」

「そうじゃのう」

「ああ……」

不安を抱きながらもし離れて位置にある対戦順を見に行く

途中ポチが心配そうに聲を掛けてくれたが、

ぎこちない笑顔を作って何ともないと返した。

「これじゃのう」

そこにはズラーリと対戦順が掛かれており、

ムリヘ(ヘリム)が15試合目でラサエキ(エキサラ)が17試合目、

チポ(ポチ)が13試合目でラソ(俺)は5試合目と、

なんとも言えないじになっていた。

俺を除いた三人はまだ近い位置にいるが、

何故か俺だけ一桁でしかも最初の方だ。

「これは何かの謀だな」

「まぁ、仕方が無いのじゃ」

「どういう事だ?」

めの言葉でも掛けてくれるのかと期待したのだが、

エキサラの口からは思ってもみなかった言葉が飛び出してきた。

「ソラは一応奴隷じゃからのう。

昔からこういった闘技大會ではのう、奴隷を初めの方に出させてのう

一方的にいたぶり會場を盛り上げる仕組みなのじゃ」

「へぇ……でもソラ君なら逆に相手をボコボコにして

會場を盛り上げちゃうね!」

「……そうかな」

エキサラの言葉にヘリムが反応したようにしたいのは山々なのだが、

相手が相手だ。まだ本人かどうかは分からないが……

「それじゃ出番まで観戦でもするかのう」

「いいね~」

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