観戦席へと向かい見やすい位置に座る。

まだ時間があるため意外と人がすくなくすんなりと

場所取りをすることが出來た。

それから暫くしてわらわらと人が雪崩れ込んで來て

あっという間に観客席は埋め盡くされてしまった。

みんな時間に余裕もって行しろよ……

通勤ラッシュの様な景を見てそんな事を思った。

俺達の様にし早い時間帯に此処に來れば

自由に席を取れると言うのに……

「もうしで始まるのじゃ……ソラよ覚悟してみるのじゃぞ」

「覚悟？」

突然覚悟しろと言われて思わず聞き返してしまったが、

確かに此処は人と人が戦い合う場であり、

ある程度の覚悟をしていなければ見る事ができないだろう。

「最初は奴隷が戦う事になっているからのう、

ちと、目に余ることがあるのじゃ」

「あー、そう言う事ね」

「無理してみる必要はないのじゃ。

無理だと思ったら直ぐ言うのじゃ」

「わかった」

ご主人様の言う通り一歩的に嬲られる奴隷の事をみてしまったら

同なのか分からないが、何故か無に許せなくなり

間違いなく手を出してしまいそうになるだろう。

「まぁ、でもね死ぬことは無いから安心しなよ」

「へぇ、そりゃ凄い事だな」

俺達には関係の無い事だがどうやら會場側の配慮として

死なない様にしてくれているらしい、魔法か何なのかは分からないが。

だが、死なないと分かった以上は多は気が楽になり見て居られるかもしれない。

……たぶん無理だと思うが。

あまりも酷い場合は本當に見るのを止めよう。

自分の試合にまで支障をきたしてしまいそうだ。

『さぁ、今回もやってまいりました闘技大會！！――』

どうやら始まったようで喧しいアナウンスが會場全に響き渡り、

観客は盛り上げり雄びを上げる者もいた。

余りにも元気の良すぎる観客たちに俺は若干引いた。

正直な事を言って俺は騒がしいのはし苦手なのだ。

かと言って靜かすぎるのも苦手だが、

何方かと言うと靜かめの方が好きだ。

その點この會場は騒がしすぎて嫌いだ。

『では、早速第一戦目に行きましょう！

――ボクサVS奴隷！！』

「「「うおおおぉおぉぉおおお！！！」」」

「奴隷って……それが名前なのか？」

盛り上がる観客とは別に俺はそんな疑問を抱いた。

「一応そうなるのう、妾にはわからないが、

名前を授かっていないか、登録の時に空白で出したかのどちらかじゃ」

名前を授かっていない。俺の場合はソラという名前があるが、

今呼ばれた奴隷と言うのは生みの親に名を貰う事無く

奴隷となったのだろう。出來れば後者であってほしい。

會場の聲量が一層増していき、ステージに二人が登場した。

がたいが凄く大きく手に金屬製の拳鍔を嵌めた大男、

首や手錠足錠を嵌めた小柄で痩せた男が現れた。

大男に対して奴隷の男は武などは一切持っていなく、

來ている服もボロボロでとても防力があるとは思えない。

この時點で俺は奴隷の主人に対して憤りを覚える。

ステージで二人が向かい合い大男ボクサが何やら口をかしている

言葉を発している様だが歓聲で何も聞き取ることが出來ない。

「何か笑ってるな」

聲は聞こえないが明らかに大笑いをしている。

「本當だね～どうせくだらない事だろうけどね」

「そうだな」

大ああいう輩は自分よりも格下の相手を馬鹿にしたり

挑発したりくだらない事をする。

今回のボクサとか言う大男もそんなところだろう。

喧しいアナウンスを合図に戦いが始まる。