《勇者になれなかった俺は異世界で》ポチ戦前
二回戦目が始まり明らかに一回戦目とは違い
レベルの高い戦いが繰り広げられていた。
試合観戦をしたい所だが俺はポチとどのように戦うかで頭の中が一杯だった。
ちらりと橫目でポチ達の事を見てみると、三人とも何も考えていないかの様に
へら~と口をあけながら試合観戦をしていた。
何も考えていないのか、実は考えているのか。
何とも言えない顔つきに若干興味をひかれるが、
それよりも今は自分のことの方が優先だ。
悩みに悩んだ末にだした答えはこれだ。
ポチには申し訳ないが、最初から俺が出せる全火力を放ち一瞬で蹴りを付ける。
ポチを倒すことが出來たならそれはもう何も言うことは無い。
逆に倒すことが出來なかったのならば、俺はまだまだ、だということだ。
今現在俺が出せる攻撃手段としては、
魔眼、強化、重力作、転移、発、絶対防、殺気、創。
魔眼、強化は戦う前からかけておき、絶対防は場合による。
の危険をじる技が來ると思ったら絶対防を掛ける。
即死級の技は絶対に當たるわけにはいかない。
試合開始と同時に重力作でポチから自由を奪う。
ついでに殺気もポチに向かって全力で放ちきを鈍らせる。
そして即、最大パワーの発を放ち更にそこに創で現化した
武たちに重力をかけて勢いよく雨のように降らせる。
し無理やりに気もするが、これが現狀俺が出せる最大火力だ。
これごときでポチがやられる可能はほんの僅かだ。
もし無事だったらそこはもう、大人しく正々堂々と戦うしかない。
理想をを言うと正々堂々と戦って実力を測りあいたいのだが、
本音を言うとポチと戦うのがかなり怖い。
「よし!」
全然覚悟は決まっていないが気持ちを切り替えた。
今回の目的は勝ち負けではなく実力を測るためなのだ。
改めてそれを自分に言い聞かせる。
『やっと決めてもらったところ悪いが、全部筒抜けだぞ』
『え、え……ポチ酷いよ』
すっかり忘れていたがポチと魔力を繋げたままだった。
騎乗を使った狀態だと互いに考えてることが伝わってくる。
つまり俺の考えていたことが全てポチに伝わっていたのだ。
『まぁ、実を言うとな我もソラと戦うのは怖いぞ』
『え、そうなんだ』
ポチがめのようにそう言ってきたが、
それは紛れもなく真実だと分かる。
『ああ、我も怖い。だからと言って怯えて手を抜いたりしては
ソラに非常に申し訳ない気持ちになる。だから我は怖くても本気で行くぞ。
それに、本當に信頼できる相手だからこそ本気で戦ってみたいんだ』
『……ポチってたまに似合わないこと言うよな。
本當にそういうところ救われる、ありがとな』
ポチが俺を信頼してくれていると同じく俺もポチの事を信頼している。
だったらもう俺がすべきことは決まっている。
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