《勇者になれなかった俺は異世界で》策士ポチ

『さて、やろうか』

「ああ、いいぜ。俺が強化を掛けたら勝負開始な」

『わかった』

開けた場所で互いに距離を取り向かい合い戦闘準備をする。

強化を掛けてから勝負開始と言う圧倒的に此方が有利の狀態で勝負を始められる狀況だ。

本來ならこんな事は許されないが、信頼し合っているポチだからこそ許される。

「我がは何よりもく、何よりも強く、何よりも素早く――強化!!」

『う!?ソラよどうし――っ!!』

「ふはははは、油斷するではないぞポチよ!!」

廚二全開の俺を見て頭が可笑しくなったのではないかと

思ったポチだったが、その隙が仇となる。

俺は転移を使って一瞬でポチの背後に回り込み次の攻撃に移る

「我が目よ貫け!」

目からビーム!!を出したが、間一髪で橫にはねたポチに避けられてしまった。

ビームが當たった地面はがっつり抉れ、一瞬で周囲を荒地へと化した。

ポチがまだ宙に浮いている隙にこっそりと魔眼を発させておく。

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『不意打ちとは中々やるな』

「ふっ、不意打ちされるとは鈍ったもんだな」

『ほう、我を煽ったな……っ』

煽られ怒りをわにしたポチは目にもとまらぬ速さで此方に飛んできた。

だが、それは予想済みであり対処も出來ている。

ポチの攻撃が當たる寸前で魔眼の能力が発し、

ポチのきが止まり、白い線が見えだす。

「ふっ、俺が何の対策も無しに煽るとでも思ったか?」

白い線に手を起き、時がき出す。

ポチの鋭い爪を創で現化した武で弾き、

バランスを崩したポチを重量作を掛け自由自在にる。

大げさに腕を振り地面に叩きつけたり、宙に浮かせて、再び叩きつけたり……

『くっ!!』

重力作を振り切り一度態勢を立て直すために距離を取った。

『今日のソラはいつも以上に化け染みてるな』

「だから言っただろ?今日の俺は昨日の俺とは一味違うって」

廚二を全開にして本當の自分をさらけ出すことによって

何時も以上にが軽く脳も冴えている。

『ああ、そうだな――だが!!』

真上に巨大な魔法陣が浮かび上がり莫大な魔力が放たれる。

決まったと思ったのだろう、ポチは笑みを浮かべていたが、

俺はそれを大した危機だともじることは無く棒立ちをしたままだ。

「甘い甘い、甘すぎて甘いわ!!」

『なっ!?』

完全防を発させ直撃をしても傷一つつくことは無かった。

これには流石のポチも予想はしていなかった様で、

口を開けて目の前の出來事を飲み込めずにいた。

「じゃあ、次は俺の番だなぁ」

『っ!!……まぁ、待つが良い』

次は、転移でポチの背後に回り込み重力作で一時的にきを封じ

そこにビームを打ち込んでやろうと考えていたのだが、

何やらポチからタイムが掛かった。

「ん?なんのつもりだ?」

ポチが獣から大人バージョンの姿に変した。

どういった意図で変したのか想像が付かない俺は首を傾げた。

擬人化の方が戦い易いのだろうか、二本足で手が使える様になるし。

『ちょっとソラには勝てる気がしないからな……正々堂々はもうやめだ。

ソラよ、悪く思うなよ――っ!!』

突然ポチの姿が消えて背後に途轍もない気配が現れたのをじた。

魔眼で見えていないための能力は発することは無かった。

直ぐに振り向き距離を取ろうとしたが――

「ひぃ!」

俺は途轍もなく卑劣な攻撃をされてしまい、

能力が全て解除されて、変な聲をあげてしまった。

「ほら、どうする?降參した方が良いんじゃないか?」

擬人化したポチは俺の背後に回り片手で男の急所を摑んできたのだ。

そして耳元でっぽくそう呟き、俺は膝から崩れ落ちて行く。

急所を握られたらもうおしまいだ。

例え潰されようが復活するし痛くも無いのだが、

急所を潰されるというトラウマが埋め付けられる。

そんな事されてしまえば、これからの生活に支障をきたしてしまう。

「こ、降參するから、は、離して」

「それが敗者の言葉遣いか?ん?」

ポチは意地悪そうに耳元でそう呟く。

くそっ!ポチめ、覚えとけよ!!絶対許さねえからな!!

「ひぎぃ!!」

まるで心の聲が聞こえていたかの様に、

ポチは急所を握っている手の力を込めてきた。

思わず前屈みになりけない悲鳴をらす。

「ごめんなさい、ごめんなさい!!

俺の負けです、許してくださいいい!!」

これ以上は不味いと判斷した俺はプライドを捨ててポチに謝る。

半分泣きそうになりつつも必死に謝ったことによってポチの力が抜けていく。

「ふむ、まぁ、許してやろう、ふふふふ」

こうして俺は策士ポチによる卑劣な技を前に

無殘にも敗北したのであった。

「うぅ、酷過ぎるぞポチ……あれっ」

ポチから解放されてまだひ弱になっている狀態で

歩き出そうとしたのだが、に力がらず倒れそうになった――が、

『おっと』

獣狀態に戻ったポチが倒れこむ寸前にを潛りこませて

モフモフで間一髪で俺の事を救ってくれた。

「あれ、俺どうしたんだろ」

『そりゃ、あれだけ出力気にせずに暴れてたんだ、魔力も切れるだろうな

まぁ、一番は我の全力を防いだ時に持っていかれたのだろうな』

「あははは、けないな俺」

まさかの魔力切れだと言う。

どのみちポチに急所を摑まれなくとも負けていたのか。

それにしても完全防って魔力消費凄いんだな……

それほどポチの攻撃も化け染みてるって事か。

『まぁ、今回の勝負は我の勝ちだったが、

今日は喰わずにいてやろう』

「助かる……」

久しぶりの廚二全開で力の限界が來たのだろう。

睡魔が急激に襲って來て眠りについてしまった。

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