《勇者になれなかった俺は異世界で》神ビィチア再び

一時間ちょっとロウォイと話していただけにも関わらず、

商店街に出ると晝間程ではないが人々で賑わっていた。

一応ポケットにお金はっているので、空いている屋臺を狙って軽く朝食をとる。

「お、ラッキー」

味しい味しい串焼きの屋臺が空いていたのを発見し、

一目散にその店に向かって串を購する。

此方の姿が子供だからと言って無下には扱わず、

しっかり一人の客と見なして接客をしてくれるので気分が良い。

これが格の悪い人の屋臺だと、子供だからと言ってものを売らなかったり、

シッシと追い払われてしまう事が多々ある。

全く、見た目で判斷するのは良くないと教わらなかったのか。

串を食べながらし商店街を歩いてみる。

「みぃ~つけた……」

「?」

ふと誰かの聲が聞こえた気がした振り返ってみるが、そこには誰の姿もなく、

只々何時もの様に人々でにぎわっているだけだった。

人混みの中でも聞こえてきたような聲を不思議に思いながらも

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再び商店街を歩きだしたのだが――

「んん――!?」

急に何者かに口をふさがれ、そのまま裏路地へと引っ張られていき、

何の準備もしていなかった俺のは糸も容易く思うがままになる。

急いでスキルを発しようとしたのだが、それは葉わなかった。

「っ――!!!」

人気のない裏路地に連れていかれ、背後から魔の手がびてくる。

その手はと男のとても大切な部分にびてきた。

痛みになれてしまったとは別に鍛えられていない部分、

そして今までにされたことの無い為、未知の快を流れる。

から力が抜けて行き、何もできずにいる俺に更に不意打ちを掛けてくる。

耳を甘噛みしてきたり舌で舐めてきたのだ。

「――!」

この前のポチと言い、こいつと言いい、改めて分かった事だが俺は急所責めにはとても弱い。

の力が抜け思わず地面に膝をついてしまうが、その責めは止まる事は無かった。

「ふふふ、可いですわね。この前は逃げられてしまいましたけど、

今回はそうはさせませんわ。と言っても逃げるなんてこと出來ないでしょうけどね」

「!」

耳元でそう囁いた聲に聞き覚えがあった。

快楽に押しつぶされそうな脳を必死に回転させて記憶を遡る。

そして一つの苦い思い出がよみがえってきた。

ヘリムとエキサラに強制的にメイドにされ、此処アルデンに行かされ――変態に出會った。

ポチのお蔭で辛うじて逃げ出すことが出來た、あの日。

そして、今俺の事を襲ってきているのは恐らくあの変態だ。

「お、おまえ、は……」

辛うじて聲を出すことが出來た。

「ふふふ、必死ですね。さて、何時になったら可い聲でないてくれるのでしょうか」

楽しそうにそう呟く彼とは裏腹に俺は涙目になっていた。

このままでは完全に敗北してしまう、俺は助けを求めた。

誰か、助けてくれ!このままでは変態にやられてしまう!!

心の聲のびは普通だれにも屆くはずはないのだが、

ヒーローは決まってその聲をどうやってか聞き取り、ピンチに駆けつける。

だが、俺の場合駆けつけてくれたのはヒーローでも誰でも無く。

一人の神様だった。

「!」

音も無く現れた彼は一瞬にして俺のを取り戻し、優しく抱擁してくれた。

何が起こったのか分からない変態は目をぱちぱちとしている。

「ヘリム……」

「はーい、ソラ君大丈夫だった?もう僕が來たから安心だよ」

ニッコリと笑顔を向けてくれるヘリム。今日ほど彼が頼もしいと思った日は無いだろう。

そしてヘリムは表を一変させ変態の事を凄い形相で睨みつける。

「良くも僕のソラ君に手を出してくれたね……

この前は見逃してやったが、今回はそうは行かない。

覚悟はできているんだろうな?神ビィチア」

「あらあら、ヘリムじゃないですか……帰ってきていたんですか」

口調では平然を裝っているが、彼きは明らかに鈍っており、

しずつだが後ろに後退っている。

それにしてもこの変態って神様だったのかよ!

「……ああ、そうだった。お前にはまだやってもらう事があるんだった」

魔法を発し、何時でもお前を殺せると見せびらかしヘリムはそう言った。

ビィチアはその言葉を聞き、安心したようだったが、彼の足は未だに震えていた。

「戦爭が起きることは知っているよな?」

「ええ、勿論」

「お前はそこで死んでもらう。

まぁ、簡単に言うと壁になってもらう。分かったな?」

「……はい」

どれほどの力の差があるのだろうか。

神であるビィチアが何も言う事が出來ず只々ヘリムの言う事に従っている。

幾ら力が半分になっているとはいえ、此処まで怯えるものなのだろうか。

これは過去に何かあったに違いない。

「それと、次、僕のソラ君に何かしたら――お前の周りもすべて消す」

「――!」

ヘリムはそう捨て臺詞を吐いた後、俺を抱いたまま裏路地から姿を消した。

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