《勇者になれなかった俺は異世界で》勝利への道は明確へと
話し聲が聞こえる方向へ行くとやはりそこにいたのはロウォイだった。
鉄格子を間に挾み、何やら會話をしているようだ。
聞こうと思えば聞けるのだが、久しぶりの再會に水を差すような事はしない。
話し聲が止むのを待っていると、何やらポチの心から結構やばい報が読み取れた。
ここから數時間程で著く所でヘリムとエキサラが暴れているらしく、
たった今途轍もない気配が天から出現したそうだ。
……それって間違いなく神様なんだろうな
『そうだな、こっちを後回しにして向かうか?』
一瞬それもありだなと思ったのだが、ロウォイの言葉を思い出し卻下する。
俺でなくては救う事が出來ない的な事を言っていたな……
本當かどうか分からないが、俺は行くべきだろう。
力を取り戻してもらったと言う巨大な借りもあるわけだし。
『ふむ、そうか。なら急ぐぞ』
神様が出現したとなれば急がないと行けない。
俺が倒さなければ意味がないのだ。
久しぶりの再會に水を差して悪いのだが仕方があるまい。
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まだ話し聲は続いているのだが、俺とポチは急ぎ足で牢屋の前まで移する。
こちらに気が付いたのだろう話し聲が止み、二人の視線が刺さる。
あれが大賢者田中だろう。
牢屋の中には両手両足が拘束され壁に打ち付けられている
髪のと髭が凄く長い男が居た。
「悪い、遅れた」
「全然大丈夫ですよ。あ、この方が先ほど話していたソラ様です」
「どうも、大賢者田中さんとは々と語り合いたかったのだが、
殘念ながら急用ができてしまってな」
「君が日本人のソラ君か。私も々と話し合いたいのだが、
急いでいる様なら仕方がない」
てっきりもっと見た目同様にボソボソと喋ってくるのかと思いきや、
ハキハキと太い聲を発していた。
「何時か話せる日が來ると良いな……早速だが此処を破壊するぞ」
大賢者の目が俺ではなく下にいるポチに向いていることからやはりモフモフが好きなのだろう。
本當に時間があれば一緒にポチをモフりあいながら語り合いたいものだ。
「ソラ君の実力はロウォイから聞いたが、本當に破壊できるのか?」
俺は大賢者田中の言葉に疑問を浮かべる。
たかが牢屋如きを壊せないとでも言うのだろうか?
見た目が子供だからと舐めているのではないか?
『莫迦者。この牢屋含めこの建は霊の加護が掛かっているんだ。
魔法無効、理無効、他加護無効』
は?そんなの破壊できないじゃないか!!
どうやって破壊しろと言うのだ。
ロウォイは何故俺だったら救い出せるなどと言ったんだ?
『慌てるなソラよ。お前は魔法以外に使えるだろう?
寧ろ魔法よりもそっちの方が得意だろ』
「あ、そうか!」
魔法、理、加護が効かないのならばそれ以外の攻撃を與えれば良いのだ。
この世界にはあって向こうの世界にはなかったスキルが俺にはある。
ポチのお蔭でその答えを見つけ、思わず聲に出してしまい、
大賢者田中は首を傾げていた。
「では行くぞ。ロウォイ離れていてくれ」
ロウォイを遠ざけた俺はポチに結界をってもらいスキル発を
丁度良さげな威力で牢屋目がけて放った。
激しい音と衝撃が伝わってくる。音から判斷してもこれは功したと言って間違いないだろう。
恐らく中にいた大賢者田中も巻き込まれているだろうが、
あの人は不老不死らしいので問題はなかろう。
視界が開け、目の前には破壊された牢屋とだらけの田中がいた。
発に巻き込まれたおかげで壁から拘束が抜けており、
もう自由にき回れるようだ。
「これは驚いたな、まさか本當に破壊してくれるとはな……
何時かこの禮を――」
大賢者田中が何かを言おうとしていたのだが、
ポチはそれを聞く前に出発してしまい、何だか非常に申し訳ない気持ちになる。
だが、ロウォイとの約束、借りは返したのでこれでもうこの世界で
やり殘している事はなにも無い。
後は神様が倒すだけだ。やっとそれで帰れるんだ…………
『何だ、まだ倒せるか不安なのか』
「まぁね」
いくらポチに大丈夫だと言われようが、相手は神様なのだ。
近付けば近付いていく程倒せるかどうか不安がわいてくる。
『はぁ、仕方がないな。あいつの弱點を教えてやろう。
あいつの弱點はこの世界の力をすべて無効化できるという事だ』
「……」
ポチからその言葉を聞いた瞬間、俺は自分でも分かるぐらい不気味な笑みを浮かべていた。
神の奧義でもあろうその無効化は俺からしてみれば最大の弱點になっているのだから。
今までは不安だった勝利への道は明確なものへと変わった瞬間だった。
『さっさと終わらせてソラの世界に連れていってくれよ?』
「ああ、任せろ、三分で終わらしてやる」
三分間待ってやる?そんな甘い事は言わない。
俺は三分間で全てを終わらせてやるよ。
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