《勇者になれなかった俺は異世界で》認めない

瓦礫が飛んでくるなど考えもしないだろう。

當然、この世界のトップの彼もそんな事は思ってみなかった。

神々から能力を奪いこの世界で最強とも言える座に辿り著いた彼は

今回の戦いも當然ながら余裕で何の手ごたえもじずに自分が勝利する事を確信していた。

力を求め弱者は強者のしたに付くが下剋上のチャンスは弱者にもある。

そんな世界を創りたいと言う理想を自らが最強となりトップに君臨することで実現し、

逆らう者は時には殺し、顔見知りならばけを掛け命までは奪わなかった。

何処かで爭い事が起きれば観察し、規模が大きければ自らが戦場に赴き思う存分に暴れる。

態々序列をつけたのは種族同士で爭わせる為だ。

何時かこの最強の座を掛けて勝負を仕掛けてくる者が現れるのを楽しみに。

彼は単に、勝負が好きなだけであり何時か自分を超える存在と戦いたいだけなのだ。

神々から力を奪い強くなりすぎた彼はそう思うようになり、戦場に足を運び強者を探し出した。

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本當の強者とは魔法など使わなくとも勇敢に立ち上がり挑んでくるものだ。

そのため彼はまず戦場に赴くと魔法や加護を無効化する魔法を放つ。

そこから強者を選定する為に神としての力を解放し重圧を掛けて行く。

弱者は糸も容易く潰れ、中途半端なものはけなくなり、強者だけがその中でける。

今まで幾人かける存在を見てきたが其れもくのがやっとだった。

満足に戦えるものと出會う事は出來なかった。

今回の戦いは今まで類をみない程に大規模なものでその中でも

謎の二人の並みならぬ力をじ急いで戦場に赴きいつも通りに魔法を発させた。

だが、結果はいつもと何ら変わらず、中途半端な者ばかりだった。

ける者たちがいるらしいのだが歯向かう程の力は持ち合わせていない様で

地面に倒れこんだままだ。

此処に來るまでじていた強大な力は気の所為だったのだろうか――

「ガッカリだ――っ!?」

彼がそう口にしたと同時に、突如兇悪ともいえる程の存在が現れた。

それに気が付いた時には既に遅く、瓦礫が風を切り裂き――

「っ!!」

急いでを翻して瓦礫を避けようとするが、完全には避けきれず

彼の翼を幾つもの瓦礫が貫き神の座から皆と同じ土俵に落とす。

あらゆる攻撃を無効化しているはずなのにも関わらず――いったい何が起こったんだ。

自然と瓦礫が飛んでくるなどと言う可能など無い。

誰かが人為的に――誰が――どうやって?

その応えは目の前にあった。

鬼。まず初めに出てきた想がそれだった。

だが、今目の前にいる鬼がただものではないと言う事は分かっている。

魔法も加護も使えないこの戦場で不思議なオーラをに纏っている。

「貴様何者――っあぁああ!」

翼を貫通した瓦礫が再び彼を襲い始めた。

魔法を使い急いでその瓦礫を破壊したが全てを破壊することは葉わず、

複數の瓦礫がを貫き致命傷を與えた。

一時的な処置だが魔法で傷口を塞ぎを起こして目の前の年の方を向き構えた。

「なんだその力は!?何故魔法を使えるんだ!?」

「――」

年――ソラは彼の言葉に耳を貸すことは無い。

今から死ぬものに何を言っても無駄とかそういう訳では無いのだ。

単に幾ら勝てると言われても相手は神の為、油斷することは出來ない――

ソラは目の前の敵を倒すと言う事で頭の中が一杯でそれどころではないのだ。

「答えろ――っ!?」

目の前に真っ赤に燃え盛る火の球が現れ、神がそれを何か理解するよりも早く

その球は盛大に弾け衝撃と共に辺りが炎の海と化す。

即座に防魔法を展開させるのだがソラの放ったスキルを防ぐ事は葉わず、

一瞬にしてそれは突破されを焦がしていく。

い鱗に覆われているのだがそれが仇となり鱗が熱せられてジワジワと

部を焼いていく。苦痛のび聲が聞こえて來る。

あらゆる魔法で炎を消そうとするのだが、なかなか消えることは無い。

水を掛けようが風を吹かせようが蓋をしようが――魔法がスキルを消すことは不可能なのだ。

「な、んだ、この力はぁああ!?」

スキルの存在を知らない神にとってはソラの繰り出してくる技は未知そのものだ。

幾ら他の神々の力を奪い最強の座を手にれようが幾らあらゆる攻撃を無効化しようが

この世界の理から外れているソラには全てが無意味で――関係のない事なのだ。

「くそがぁあああ!」

鋭い爪を暴に振り風を切り裂きソラの目がけて飛んでいく。

手加減なしの全力の攻撃だ。あれに當たれば確実に死んでしまうだろう

だが、ソラは一切避けようとも防ごうともせずに

「絶対防プロテクト」

どんな攻撃でも一度だけ無効化する。

一見、神の持つ無効化の下位互換の様にもみえるのだが、

ソラが持つ絶対防は神のものとは違いどんな攻撃でも無効化できるのだ。

それがスキルでも魔法でも加護でも何でもだ。

「なっ!?」

を焼かれながらも放った全力の攻撃をけても尚無傷に立っている年の姿を見て

神は目を見開き、あり得ないと口にした。

「あり得ないあり得ない!何故だ何故魔法を使える!?何故魔法が當たらない!!

貴様は何者なん――っ……」

ソラの眼が始め――その景を見た神は全てを悟った。

彼こそが本當の強者であり最強の座がふさわしい存在だと。

どう足掻こうがかなう事が出來ない存在だと。

眼から放たれた線が迫りくる中、彼の目にはソラが神でも悪魔でもない

只の化けにしか見えなかった。

(ふざけるな……あんな化け認めない……)

線にを包まれ消滅していく中、彼はそう思った。

こうして最初で最後の目的があっさりと達したのであった。

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