《勇者になれなかった俺は異世界で》アマゾネス

「ポチさんやい、明日からどうする?」

ケルベロス報酬のお蔭で大金持ちになった為、

今まで泊まっていたし高めの宿よりも高級な場所に泊まり、

ポチには葉わないがもっふもっふのベットの上でゴロゴロしながらそう尋ねた。

何をどうするのかと言うと、それは依頼関係の事だ。

俺とポチのランクはDになっている。

本來ならもっと上のランクに行けるのだが、これは俺の所為の様だ。

此処までは全部ポチのお蔭で上がっている為、何もしていなく

実力が分からないからD以上ランクを上げるのは危険だと言う判斷だ。

此処から上に行きたければこれまでの様に二人で依頼を達する訳には行かない。

個人で依頼をけて達する必要がある。

個人と言ってもポチ以外の人と共に行っても良いらしい。

取り敢えず數回依頼をけてどれ程の実力があるのかを示せば再びポチと依頼をける事も可能だ。

「別に我はランクなどどうでも良いのだが」

「ん~やるからには上に行きたいな~」

全くランクには興味を示さないポチに対して、

俺はしだけ興味があった為、ちらちらとポチの事を見ながらそう言ってみた。

するとポチは何時もの様に鼻で笑い

「行きたいのだな。なら別行をするしかないな。

別に數回程度なら許すぞ」

「ははぁ、ありがとうございます!」

この前あんな事があった為、てっきり絶対に離さない的な事を言われるとばかり思っていたのだが、

全くの逆ですんなりと許しが出てしまった。

「その代り泊まりは許さんぞ」

「うん、大丈夫。ささっと終わらせて帰ってくるからな」

「もし、そんな事があれば、次はあの程度では済ませないからな」

「……はい」

あの程度で済まさない……考えただけで思わず震え上がってしまう。

そんな恐ろしい事だけはなんとしてでも避けなければならないので

何があっても日帰りで帰ってくると心に刻み込む。

翌日、ポチとは別行で俺は冒険者ギルドに向かった。

中にると早速掲示板の前に行き見合った依頼が無いか探す。

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スライム討伐や薬草採取や護衛、そんなレベルの低いものは卻下だ。

出來るだけレベルが高い方が良い。その方が実力を証明するのにも良い。

「あ、まだある」

昨日俺が出した依頼はまだ誰もけてくれていない様で

他の依頼の紙に混ざってこっそりとられていた。

まぁ、そんな一日で人が來てくれるとは思っていないかったけど。

視線をその隣の紙に移すとそこには迷宮探索と書かれており、

最低でもSランクが必要だとか。

一瞬これにしようかと思ったのだが、流石に最低ランクがSだと

付嬢に弾かれるし依頼主にも良い顔はされないだろうからやめて置く。

更に視線をずらすと――山賊討伐と言うものがあった。

ランク制限は書かれておらず容は場所のみで報酬が山賊の持ちらしい。

大してレベルは高くないと思うのだが、一人で山賊を壊滅させてしまえば

かなりの実力があるとみなされるだろう。

「これに決めた!」

そう言って大ジャンプを決めて紙を空中で摑み落下する勢いで掲示板から剝がす。

そのまま怯むことなくユリさんが待つカウンターに向かい、紙を提出する。

「おはようございます。ソラ君」

「おはよ」

「今日は一人で依頼をけるのですね――って、山賊討伐ですか!?」

「うん」

「うん。じゃありませんよ!これは余りにも危険すぎます!

良いですか、この依頼はですね――」

たかが山賊討伐で何をぎゃーぎゃー言っているのかと思ったのだが、

話を聞くところ、この依頼は何か月も前からり出されており、

何人も討伐に向かったのだが、誰一人帰ってきていないらしい。

つまり、これを達すればかなりの実力が認められると言う事だ!

「じゃあける!」

「はあぁあああ!?話聞いてましたか!!!」

「うん、聞いてた。だからける」

「ソラ君!君は――」

「どうかしましたか?付嬢さん」

ユリさんが興してカウンターからを投げだそうとしてた時に

爽やかフェイスの長の男が話しにって來た。

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「アサフさん……っ!そうだ!アサフさんにお願いがあります――!」

そこからは俺が出る隙は一切與えられなく、完全に置いて行かれ、

話はどんどん進んでいき――

「よろしくお願いしますね、ソラ君」

「は、はい……」

このアサフと言うSランク冒険者と共に山賊討伐に出る事になってしまった。

これでは俺の実力を示せないではないか……斷るにも斷れない所まで進んでいるため

何も言えずに只々流されるがままだ。

「アサフさんが一緒なら安心ですね。では、ソラ君気を付けて行ってきなさい!」

「はーい」

くそったれ!!とびたいところだが、大人しく良い子を演じて――

「よろしく!えーと……アサフさん!」

「ええ、よろしくお願いします。ソラ君」

目的地に向かう途中、アサフさんに々とお話を聞いた所、

久しぶりにリーン王國に帰ってきて冒険者ギルドに顔を出したら

ユリさんが興しているのを見つけ何があったのかと気になり話にって來たらしい。

今日は特にやることも無かったので丁度良い暇つぶしになるようだ。

俺としては有難迷な話なのだが……こうなってしまった以上は、

全力で今を楽しんでみよう。それによく考えてみれば

Sランクと言う最高の監視役がいるのだから実力を示すにはとても良い。

山賊がどれ程の強さなのか分からないが、警戒する必要はないだろう。

「あそこの山の中ですね」

テクテクと歩くこと數時間、目的地の山が見えて來たようでアサフさんが指を指して教えてくれた。

なんの変哲もない普通の山にしか見えないのだが、

あそこの中には兇悪な山賊たちがうじゃうじゃいると言う。

何人もの冒険者が餌食になっていると言う報があった為、多の強さは期待できる。

「それにしても、どうしてソラ君は冒険者になったんだい?

僕がその位の歳だった時は家でゴロゴロしていたよ」

「ん~なんでだろう。夢があるからなー」

別に冒険者に夢などを見ていないのだが、子どもらしい回答をしておく。

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本當は分証を作る為に冒険者ギルドに登録してお金を稼ぐ為だ。

「夢か、いいね!でも、無理は絶対に駄目ですよ。

死んでしまったら夢も何も無くなりますからね」

「うん、分かってるよ!」

一度死を験してそれは痛い程分かっている。

何もかもが消えるのはもう嫌だ。だから俺は強くなる。

もう何も失わない様に誰も悲しませない様に。

「ちなみに、ソラ君はどの程度戦えますか?」

「最近戦ってなかったから分からないけど、山賊位なら問題ないと思う。多分……」

山賊?そんなの苦戦するまでもない……とか言ってボコボコにされたらどうしよう。

一応保険を掛けて置こう。

「何かあったらアサフさん助けてね!」

「ええ、勿論。ソラ君に何かあったらユリさんに何されるか分からないですからね」

どうやらアサフさんもあのお説教お姉さんの恐ろしさをしっている様だ。

Sランクの人でも恐怖心を抱くとは……本當に逆らってはいけない人なのだろう。

「あははは……あの人本當に怖い」

「ん、ソラ君もユリさんの名前知っているんだね」

「うん、この前教えてもらった……お説教の後に」

「ああ……それは……大変だったね」

やはりこの人もあの説教を験している様だ。

これから戦うと言うのに全くのない會話をしていると森の目の前までたどり著いていた。

近付いてみてもごく普通の森だ。中からは魔や蟲の鳴き聲が聞こえて來る。

草葉がれる音、風の音……本當に山賊などいるのだろうか。

「ん~どうしようか」

「?何か問題でもあったの?」

目的地が目の前だと言うのにも関わらず、何か悩んでいる様子だ。

Sランクにしか分からない問題でも発生しているのだろうか。

何も問題點を見つけられずに困っていると――

――グゥウゥウウ

と、アサフさんの腹の蟲が鳴った。

問題解決――どうやらお腹が空いている様だ。時間も丁度晝頃だ。

「お腹空いたね。此処で何か食べよ!」

昔、雑誌か何かで、相手のお腹が鳴った時の対処方が書かれていたのを思い出した。

聞いていない振りや笑ったりするのは相手からしてみれば恥ずかしいらしく、

此方もお腹が空いた事をアピールするのが良いらしい。

「ははは、そうですね。此処で済ませてしまいしょうか」

「でも、何も持って來てないよ?」

「大丈夫です。僕が今此処で作って見せます」

「おぉ、楽しみ!」

敵地の目の前だが、そんな事は関係ない。腹が減ってはなんとやらだ。

アサフさんは時空を歪ませそこに手を突っ込んで々なものを取り出した。

やら野菜やら……鍋やら包丁やら……この人は本気で作るつもりだ。

「ソラ君はそこで座っていてくださいね」

「はい」

普段からこういった事をしているのだろう。手慣れたきで薪を集めて火を付けて

食材を切って鍋にれて――本格的に料理をしている。

俺はそんな景をボケ~と座りながら見ていると――

「ん?」

ベロリと右の頬が何かったモノがれてきた。

何かと思い右を向いてみると、そこには巨大な獣の口があった。

今の子供のなら軽く一口で食べられてしまうほどの大きさだ。

一瞬、驚いたが巨大な獣は何時も近くにいて見慣れているので直ぐに冷靜になり

その獣の事を観察する。

ポチには到底葉わないがモフモフのが生えている白いゴリラがそこには居た。

ゴリラと言ってもだけで顔は何故か狼の様なものだ。

今まで見た事も無い魔だ。

大きな瞳でこちらの事をジーとみてくる。敵意があればとっくに食べられている為、

このゴリラ擬きさんは何らかの敵意ではない興味をこちらに抱いている様だ。

「こんにちは」

取り敢えず挨拶をしてみる

すると、何故かその場に犬の様に伏せ、巨大な顔が真橫に座り込んだ。

そして俺は何も迷う事は無く本能のままにそのモフモフの顔をナデナデし始める――

顔はポチと同じ形なのでまさか気持ちの良いツボも同じなのではないかと思い、

ポチが好きな所をナデナデしてあげると気持ちよさそうに目を細め顔を預けてきた。

自分よりも大きな顔が真橫にあると言う異様な景だが、もふもふなので恐怖心は無い。

むしろ、幸せな気持ちだ。ポチよりもだが十分にもふもふだ。

「どこから來たんだろう」

モフモフに包まれながらそんな事を呟いた。

恐らくこの森の中からやってきたのだろうが、もしこんな魔が森にすみ著いているとなると

山賊たちなど尾を巻いて逃げ出しているに違いない。

それにしても何しに來たのだろうか。敵意は全くなさそうだし……料理の匂いに釣られてきたのかな?

それから暫くナデナデしていると、料理が完した様でアサフさんが皿に盛り付け

此方に向かって來た――

「ソラ君出來ました――っててててててえええ!?」

この可らしい魔を見て驚いた様で口を大きく広げ、思わず料理を手から放してしまったのだが、

流石はSランク冒険者だ。落ちる前に素早くキャッチし料理は無事だ。

相変わらず口は開いたままだが。

「そ、ソラ君!?何処から拾って來たんですか!?」

「んとね、なんか気が付いたら居たよ」

こんなおっきいの俺が拾ってこれる訳ないだろ!

「気が付いたら……危険ではないので――いや、敵意があればとっくに僕が気が付いているはず……」

何やら一人でぶつぶつと言い始めたアサフさん。

こんなに可い魔を目の前にして理を失ってしまったのだろうか。

でたかったらのままにでれば良いのに……

「取り敢えず敵意はなさそうですね。それにしてもソラ君はじませんね」

敵意が無い事が分かった様で恐る恐るこちらに近づいて來た。

「似たような友達がいるからね~」

「と、友達ですか!?……やはり世界は広いのですね」

似たような友達。勿論ポチの事を指しているのだが、

ポチの場合はこんなに大人しくは無い。もっと兇暴で――おっと、加護の力だとか言って

遠くから心の中を読まれている可能があるのでやめておこう。

「おぉ、おいしそう!」

アサフさんから料理をけ取る。

スープの様だが、中にはたくさんの食材がっており非常に良いに匂いがする。

「いただきます」

早速スプーンですくい一口。

様々な野菜の味が口の中に広がりとても味しい。

は非常にらかく口の中で転がすだけで崩れて行く。

味しい!!」

「それは良かったです。まだまだ作ってありますので一杯食べてくださいね」

「やった!」

おかわりがあるとのことなのでガブガブと勢いよく食べていると、

右側からジーと押しつぶされそうな程の視線をじる。

振り返ってみるとそこには當然、あの魔が此方――正確には皿を見ていた。

やはりと言うべきは、目的はアサフさんが作ってくれた料理の様だ。

「アサフさん、この子にもし分けても良いですか?」

「この子って……まだまだあるので全然構いませんよ。

あっ、なら大きめな皿が必要ですね。これを使ってください」

この人、凄く優しい。

大きめの皿を取り出して、わざわざスープを注ぎに言ってくれた。

見た目もイケメンで中もイケメン……さぞかしモテるのだろう。

こういったイケメンは許せる。

スープを注いで來てくれたアサフさんが魔の顔に近づくと――

何故か唸り聲を上げ始めた。

「ん、どうしたの?」

「……やっぱりわかるんですかね。此処に置いておくので後は頼んでも良いですか?」

「う、うん」

何が分かると言うのだろうか。し気になったが今は魔の方を優先したいので

し離れた位置に置いてある大きな皿を取って魔の口の近くに置いて上げた。

すると、大きな舌でぺろぺろとし始めた。

てっきりもっとガッツクかと思っていたのだが、見た目に寄らず小口の様だ。

「さて、行きますか!」

「そうだね!」

食事と片付けを終えやっと目の前の目的地にっていく。

先ほどの魔は用事が済んだので何処かへ行くと思い來や、後ろからついてきて――

「うわぁ!?」

俺のをひょいと大きな手で鷲摑みにして肩に乗っけられた。

突然の事で驚いたのだが、それよりも肩の座り心地の良さにも驚いた。

「隨分と仲が良いですね」

「何か仲良くなっちゃった」

アサフさんか先導してくれてその後を魔に乗った俺が行く。

こんなに大きければ直ぐに山賊に見つかってしまいそうなのだが、

果たして大丈夫なのだろうか。

「ソラ君、伏せてください――見つけました」

「え、伏せておくれ」

アサフさんが山賊を見つけた様で俺に伏せろと言って來る。

伏せるべきなのはこの魔の方だろう。

し離れた位置には集落があり山賊と思われる者達が普通に暮らしていた。

かなり規模が大きく人數もそれに比例しているのだろう。

山賊と言われれば兇悪な顔つきの山賊たちを連想するのだが、

いま目に映っているのは全員筋質ののみだ。

子供もちらほらと居るのだが、全員だ。

何処を見渡しても男の姿が見えないのだ。

しかいないね」

「ええ、妙ですね――ですが、のみなら制圧しやすくて助かります」

どうやらアサフさんは相手の別がだからと言って手加減するタイプではない様だ。

平等に扱うイケメン。もっと好が持てそうだ。

に手を添えたアサフさんを見て此方の戦闘準備をしようと思った次の瞬間――

「アサフさん――っ!」

「くっ!」

突如上空から一人のがアサフ目がけて落下してきた。

その手には剣が握られており間一髪で避けた彼の橫すれすれの地面に突き刺さった。

一応警戒はしていたが、此処まで接近されるまで気が付かなかった。

こいつはかなり強い……

「ちっ、外したか。まぁ、良い――ん、ゴウ此処にいたのか」

腹筋がバキバキに割れ腕も腳もムキムキで服裝は大切な部分か隠れているだけで

出がかなり多い水著の様だ。び切った紙は後ろで止められていて

ポニーテイルになっている。顔は山賊とは思えない程綺麗だが、

此方を見るその眼はまるで獣の様だ。

「珍しいな我々以外に心を許すなんて……ふむ、そうだな、それに免じて命は取らないでやろう

味そ――違う、子どもいる様だからな」

一瞬、エキサラやポチが言いそうな事が聞こえた様な気がするが気のせいだろう。

絶対に気のせいだと思いたい。それにしてもこの子のお蔭で命拾いしたな。

恐らく、このはアサフさんよりも強い。この場で下手にけば確実に殺されるだろう。

「さぁ、に著けているモノを全て置いて――」

さんが要求を言う前にアサフさんがスキルを発しようとしたようで

魔力が集まるのをじた――當然彼がそれを見逃すはずも無く

地面に突き刺さっていた剣を素早く抜き彼の首元に剣先を突き付けた。

「余計な真似をするな」

「……」

アサフさんも今の行で何方が上かを理解したのだろう。

大人しく武を外して地面に置き始めた。

それを確認して筋さんは指を鳴らした――すると、上空から何人もの筋さんが降って來たのだ。

そして、俺たちを囲みこみ完全に逃げ場を塞いできた。

「只の山賊ではなさそうですね。何者ですか?」

「さぁな」

「……男の姿が見えない様ですが?」

の彼方此方に隠されていた武を地面に放り投げながら次々と質問をしていく。

流石はSランク冒険者だ。全く怯んだりする様子は無い。

「男など用済みになれば殺すまでだ」

「……そうですか」

その言葉を聞き、俺は戦闘民族アマゾネスを思い出した。

たちとは若干違う點もあるのだが、やっている事は似ている。

王――恐らく目の前にいるこのがそうだろう。

そして彼の下にはたくさんのがいる。

男は用済みになれば殺し、は育て上げる。

「お前とお前、こいつを頼んだ」

が命令を出すと周りに居た筋さんたちがアサフさんの下に行き

力盡くで裝備品を剝ぎ取り始めた。

「さて、我々は相手が子どもだからと言って手加減はしない。

お前もさっさとしろ」

「……」

分かっていたが、俺もやらなくてはいけないらしい。

だが、只でぐるみを剝がれると言うのも何だか嫌なのでし意地悪をするとしよう。

俺は魔から降りて執事服の側から武を取り出す素振りをして

短剣を現化させて地面に放り投げる。

それもあらゆる場所に手を突っ込んでは同じことを繰り返し辺りを短剣だらけにしていく。

「おい、貴様どれだけ隠し持っているのだ?」

流石にこれには驚いてくれるようだ。

周りの筋さんたちも此方を興味深そうに見ている。

流石にこれ以上出すと文句を言われてしまいそうなのでここらへんでやめておこう。

最後に重力作で短剣に重力を掛けて重たくしておく。

「もうないよ」

「そうか、お前たちこれを持っていけ」

命令されたアマゾネスの様モノ達が短剣に群がり持ち上げようとするが――

ふんぬっー!と聲をあげるだけで一向に持ち上がる気配はない。

を知らない傍から見ればふざけている様にしか見えないだろう。

「何をしている?」

その様子を見てし苛立った筋王そう尋ねた。

「すいません、思った以上に重たくて――」

「退けろ」

そう言って地面に落ちている短剣を軽々と――までは行かなかったがゆっくりと持ち上げ始めた。

これには思わず俺も心の中で「ほぅ」と聲をらす。

「ふん、大したモノだな……」

そう言い短剣を眺めるのではなく――何故か此方の事を舐めまわすように見てきた。

「前言撤回だ。こいつは良い子種になりそうだ。奴隷として飼ってやろう」

「なっ、やめろ!ソラ君には手を出すな――っ!」

の発言を合図に一斉にこちらに飛びかかってくる筋さん達。

余りにも突然な事に反応が遅れてしまうったが――非常に不味い。

何故なら、これ以上接近されればの匂いが付いてしまいポチにナニをされるか分からないからだ。

それは何としてでも避けなければならないのだが――

「くっ!」

明らかに間に合わない――と思ったのだが、

『やれやれ』

そんな聲が聞こえ飛んできたアマゾネス達は吹き飛ばされて行く。

カラカラと音を鳴らし姿を現したのは――

「が、骸骨さん!?」

『全く、世話の焼けるご主人様ですね~』

目の前に現れた骸骨さんは何処か楽し気にそう言葉を発した。

予想もしていなかった展開に驚き目をパチクリとさせ呆然とする。

何故骸骨さんがこの世界にいるのかと言う疑問が真っ先に浮かんでくるのだが、

そんなの答えは一つしかない。此処にいると言う事は付いて來てしまったと言う事だ。

そもそも、骸骨さんの存在を忘れてこっちの世界にさっさと來てしまった俺が悪いのだが。

こんなこと口が裂けても言えない。もし言ったら恐らく許してはくれるだろうが、

數千単位もいる骸骨たちにネチネチと嫌がらせをされたらたまったもんではない。

「スケルトンだと?」

流石の筋王でも突然目の前に現れた骸骨さんには驚いた様で若干の同様が見られる。

アサフさんも驚いている様で上半の狀態で呆然としていた。

って服までがされるのかよ!本當にそんなことされたら不味い!

匂いが付いているとか言って今度はを作り替えられてしまう!!

「痛っ……このスケルトンがっ!」

先ほど骸骨さんに吹き飛ばされた筋さんが大変お怒りの様だ。

結果が浮き出る程、力み骸骨さん目がけて勢い良く斬りかかる。

「やめろ!」

だが、彼の一撃は屆くことは無く、代わりに王の右ストレートが彼に決まった。

グギャアと普通なら出ない様なび聲を上げて草木の中へと消えて行った筋さんを見て

この王さんは加減を知らないのか、まるでポチの様だと思ってしまう。

飛んで行った筋さんは恐らく死んでしまっただろう――と思ったのだが、

「何するんですか!?」

何事も無かったの様に平然と茂みの中から元気よく飛び出して來た。

力を加減したのか防力が凄いのか一どちらなのだろうか。

傷一つ付いていない彼を見てそう思った。

「落ち著け。あのスケルトンは只者ではない」

流石は強者だ。骸骨さんの強さを一発で見抜いた。

そう、この世界のスケルトンは最弱と言っても良いが、

向こうの世界のスケルトンは最強と言っても良いくらいだ。

『あー、良く分かったね~そうだよ只者ではない!敢えて名乗るなら――んぎぃ!

……ちょっと痛い!やめてよ!』

傍から見ればただの痛い一人芝居なのだが、事を知っている側からするとこれは

恐らく他の骸骨さんに莫迦やってないでさっさと働け!と毆られたのだろう。

『はぁ……さ~て』

大きなため息を吐いた後急に骸骨さんの雰囲気が変わったのをじた。

先ほどまでの軽いじではなく、骸骨からは魔そのものの圧をじる。

『お前たちは我々のご主人様を奴隷扱いしたな?それも奴隷と――

當然覚悟はできているんだろうな?』

「覚悟?何を言っている當たり前の事を言ったまでだ。

寧ろ殺さないだけ有り難く思え。まぁ、用が済んだらどうなるかは分からんが」

『なるほど、相當殺されたいようだな』

「ふん、お前は何か勘違いしている様だな。

確かに他のスケルトンとは違い桁ハズレの力を持っている。

正直私が戦っても勝てるか危うい。だが――私は一人ではない。

お前を殺すことなどは私の部下たちに掛かれば容易い事だ」

二人は睨みあいながら挑発をしていく。

そこに俺のる隙などある訳ないので大人しく観察している。

王の言っている事は確かにそうかも知れない。

だが、一つ間違っている事がある――それは骸骨さんも一人ではないと言う事だ。

『愚か、実に愚かだ』

「お前がな」

『我々が一人?』

その聲は目の前の骸骨さんから発せられてはいなかった。

『愚か』『我々は一人ではない』『お前たちよりも』『何倍も』『存在している』

『我々を殺す?』『不可能』『殺されるのはお前たちの方だ』『我らの主に手を出そうとした』

『その時點で』『お前たちは』『死ぬ事が確定した』『嘆いても』『もう遅い』『愚か』『愚か』……

次々と彼方此方から聲が響、同時に無數の骸骨さんたちが姿を現した。

その數は優にアマゾネス達を超え完全に彼たちは包囲されていた。

その景を目の當たりにして俺が主で良かったと思った。

もし立場が逆だったらと考えただけで鳥が立ってしまう。

『どうした?先ほどまでの威勢は何処に行った?』

「……っ」

アマゾネスの誰もがその景を目に絶していた。

あの王までもが言葉を失い手にしてた剣を手放し戦意を喪失していた。

ちなみにアサフさんは白目をむいて気を失っている。

戦意喪失しているしこれぐらいで許してあげようと思ったのだが――

「降參す――」

王が降參しようとした瞬間、骸骨さんの手がび彼の口をふさいだ。

『つまらない事言うなよ。どうせお前たちは死ぬんだから楽しませて?』

余りにも殘酷な事を言い放つ骸骨。流石の王も力が抜け小刻みに震えだしていた。

から汗が噴き出て先ほどまでの威勢のよさは何処にも見られない。

流石に可哀想に思えて來た俺は聲を掛ける事にした。

「骸骨さん。後は任せてくれないかな?」

『え~此処からが楽しい所じゃないですか~意地悪だな~』

聲を掛けると、あの軽いじに戻った骸骨さん。

なんだかんだ言ってこっちの方が話しやすい。

「今回は見逃してあげないか?傷つけられたわけじゃないし。

それに俺の目的はあくまで山賊討伐であってアマゾネスじゃない」

正確にはアマゾネスでも無いかも知れないが、

戦意喪失している相手と戦ってもむなしいだけだ。

今ならこちらの言う事を聞いてくれるだろう。大人しくこの場を去ってもらおう。

『甘いですね~まぁ、ご主人様の命令ならば仕方がないですね~撤収~』

「後で話があるからその時はよろしくね」

『はぁ~い』

そういうと骸骨さんたちは姿を消した。

「き、消えた……」

九死に一生を得た王は聲を震わせつつもそう呟いた。

周りの筋さんも靜かになっており骸骨さんたちがかなり効いた様だ。

この様子ならすんなりとこちらの要求を聞きれてくれそうだ。

力で実力を示すのも悪くはないけど、一切を流さずにこの依頼を完了すると言うのも

中々良い実力の示し方なのではないだろうか。

「うん、正確には姿が消えただけ――」

「貰った――っ!!}

此方の言葉を最後まで聞くことは無く、骸骨さんがこの場から消えたと思ったのだろう

王は今がチャンスだと言わんばかりに剣を持ちこちらに飛びかかって來た。

だが、骸骨さんはあくまで姿を消しただけであってこの場に留まっている――

つまり――彼は死ぬと言う事だ。

「ぁ――」

『本當に愚かだ』

再び姿を現した骸骨によって心臓を潰されてしまった。

正確には鋭い手に勢いよく自ら刺さって行き勝手に死んでしまった。

骸骨さんは先ほどと全く同じ位置に現れたのだが、

居ないと思い込んでいる王は一直線を突っ切り、此方にやってきたのだが、

骸骨さんと言う壁にぶつかって死んでしまった。

「可哀想に」

『本當に何であんなに愚かなんですかね~』

「まぁ、仕方がないよ」

人間、ピンチに追いやられたらしでも希があるなら飛びついてしまう。

この王も仲間を護る為に必死だったのだろう。

『殘りはどうします~?』

王を失った所為で皆戦意を喪失しており武を捨て小さくなっていた。

本當は王も殺すつもりなのなかったのだが、あれは人の話を聞かない彼が悪い。

「取り敢えず放置で」

王が居ない以上ここから立ち去れと言ってもそれを指揮する者が居ない為

只混を招くだけになってしまうだろう。

ギルドには長のみ討伐したと伝え後の事は全部任せるとしよう。

『わかりましたよ~それで、お話しって何です?』

「あー、それは宿で話す予定」

『宿ですね~あっ!そういえば宿っていえばこの前は激しかったですね~

どうでしたか?ね?教えてくださいよ!』

骸骨さんがいると言う事は勿論、あの時も一緒にいたと言う事だ。

つまり俺の恥ずかしい姿を何千もの骸骨さんたちにみられていたと言う事だ。

……恥ずかしい

「さて――お前たちの長は死んだ。これからギルドにそのことを報告に行く。

恐らくお前たちの大半は捕まえられ罰をけるか奴隷に落とされるだろう。

此処でそれを待つのも逃げるのもお前たちの自由だ――以上!ばいばい!」

『あっ、逃げた!後で聞かせてもらいますからね~』

恥ずかしさを紛らわせる為にそれっぽい事を言い殘し強化を使いアサフさんを持ち上げ

一目散にその場から立ち去った。

しっかりと去り際に沢山出してあった短剣の現化は解いてある。

アサフさんの裝備は忘れてしまったが、まぁ、仕方がないだろう。

地味にあの魔の事を気にっていた為、お持ち帰りしたかったのだが、

ポチがいる為、二匹も飼う事が出來ないため諦めて置いてきた。

「ん~」

リーン王國が近くなってきたのだが、流石に子どもが大人の事を軽々と持ち上げていたら

凄い目で見られてしまうのは目に見えている。

では、どうするべきか――そう考えて導き出した答えは暴でアサフさんに申し訳ないが、

地面に足を引きずる形でリーン王國まで運ぶことにした。

強化を使っている為、楽なのだがそれっぽい雰囲気を出すために

若干苦しそうに運んでいく。

王國の付近まで來ると此方の存在に気が付いた門兵が走って寄ってきてくれた。

「大丈夫ですか?ってアサフさん!?」

「ちょっと気絶してるみたい。後は任せて良い?」

「はい、此処まで良く運んでくれましたね。後は任せてください」

どうやらアサフさんの事を知っていた様で分を証明しなくてもすんなりと話を進んだ。

門兵にアサフさんを預けて向かうは冒険者ギルドだ。

報告をちゃちゃっと済ませてポチの下に戻らなくては怒られてしまう。

「――ってじ!」

冒険者ギルドに向かいユリさんに事を説明した。

「そうなんですか……では、今から何人かそちらに派遣したいと思うので

報酬等は明日でも構いませんか?」

「うん、大丈夫だよ」

長を倒したと言う証拠も証人も居ないので仕方ない事だ。

どうせなら首でも持って來ればよかったか――ってそんな恐ろしい事出來ないか。

何はともあれ、一応依頼は達したので宿に戻るとしよう。

「ただいま~」

「遅かったな」

宿に戻るとポチはベットの上でゴロゴロとしていた。

シーツや布団がグチャグチャになっており來ている服もれて髪もぼさぼさだ。

恐らく朝起きてから一歩も外に出ていないのだろう。

全く、誰に似たのか怠け者だ。

「ん」

ポチが寢ているベットに腰を下ろすと、まるで犬の様にこちらにすり寄って來て

顔を近づけて中の匂いをすんすんと嗅いできた。

妙にくすぐったくて思わずを捩らせてしまう。

「今日は獣臭いな」

「やっぱり」

やはりあの魔やアマゾネス達の所為で中に獣の匂いが付いてしまっているらしい。

なんとなく予想は出來ていたが、の匂いでは無くて一安心だ。

流石に獣の匂いで怒ったりはしないだろう。

「今日はね、山に行って山賊討伐をしてきたんだけど、

そこで見た事もない魔と戯れたり獣臭い戦闘民族と戦ったりしたんだ」

「ほう、通りで臭い訳だ。さっさと風呂にる事をお勧めするぞ

既に準備はしてあるからゆっくりしてくるが良い」

「おお、気が利く!ありがとな!」

流石はポチさんだ。一日中ベットの上でゴロゴロとしていた訳ではないようだ。

著替えを準備しつつ、この後の予定をポチに話す。

「ポチ、風呂からあがったら骸骨さんに関連で話があるけど良い?」

「ああ、そのことか。別に構わないぞ」

「ん、そっか良かった」

何だかポチが骸骨さんたちの事を既に知っているかのような口ぶりだった為

し気になったのだが、ポチなので知っていっても別に不思議ではない。

ゆっくりと風呂にり匂いと疲れを落としてからパジャマに著替えてポチが待つベットに向かう。

「戻ったぞ。ポチは風呂にらないのか?」

「後でゆっくりとる。先に話とやらをしようではないか」

「そっか」

いざとなれば霊さんの力で解決できるのだろうが、

それすらもしないと言う事は骸骨さんなどどうでも良いと思っているのだろう。

ポチらしい。

「骸骨さん出ておいで」

ポチのベットに腰を下ろして骸骨さんを呼ぶ。

もう片方のベットの上に姿を現した骨。宿の部屋に魔がいると言う異様な景だ。

『どもども~』

「そこに座っていいよ

早速だけど、どうして骸骨さんたちはこの世界にいるんだ?」

『どうしてってそりゃ~ご主人様から離れるわけにはいかないですからね~

例え世界を超えようが我々は付いていきますよ』

予想は出來ていたが気になっていた為一応聞いてみたのだが、

案の定、付いて來てしまったらしい。俺としては嬉しい事なのだが、

「それってヘリムは知っているのだろうか……」

ただでさえ魔力が無くてあの二人はこの世界に來れなかったのだ。

それなのにこの骸骨さん達は此方の世界に來ている。

當然、その際に魔力も掛かっている。それも數千もの數の骸骨さんだ。

「知っているぞ。こいつらが此処にいるのだから當然だ。

こいつらの存在はとっくにソラは気付いていると思ったのだが、今日気付いたのか」

『ですです~しっかりと我々が転移出來るだけの魔力も込められていましたからね~』

「そうなんだ……」

どうやら知らなかったのは俺だけの様だ。

ポチも中々に意地悪だ。骸骨さんたちが居る事を知っていたのならば

教えてくれればよかったのに……そんな事を思いつつこの世界に來てからの事を思い出してみると――

「あ、そういえば」

この前、途轍もない魔力の塊をじた時、外には一本の骨が転がっていた。

今思えば骨が勝手に消えたしそもそも骨がある事自可笑しい。

あの時はエリルスに會えてテンションが上がっていた為、特に不思議には思っていなかったが

し考えれば骸骨さんだと気が付けていたかもしれない。

「魔力を止めてくれたのも骸骨さんだったのか、ありがとな」

『あーそれ大変だったんですよ~一人の骨が欠けちゃうほど大変でしたよ!』

「そっか、大変だったな……」

一人の骨が欠けるだけであの魔力を止められると言うのは本當に大変だったと言えるのだろうか。

本當に底が知れない骸骨さん達の力……

下手したら世界征服なんて面白い事も出來てしまうかも知れない。

『それで話ってそれだけですか~?』

「ん~ああ、それと今日はありがとな。結構助かった。それだけだ」

『そういう約束ですからね。我々は我々の意思できますからね~』

「頼もしい」

大した話はしていなかったのだが、気になっている事とお禮を言えたので満足だ。

骸骨さんの姿が消えるのを見送ってからベットに橫になる。

「なぁ、ソラよ。今の話って我は必要だったのか?」

「……」

確かに言われてみれば必要ではなかった。

「一人だと心細い……から?」

「そうか……なら、これから風呂にるのだが一緒にるか?」

「眠たいので遠慮して――」

斷るつもりだったのだが、急にポチが獣の姿に戻って此方をしてきた!

俺はに負けてしまい再び風呂場へと向かうのであった。

やはりポチの並みにかなうものは居ない様だ。

今日であった魔も中々に良いをしていたが、改めてポチをるとその差は天と地だ。

ポチので今日一日の疲れを癒しながらゆっくりと風呂につかってからあがり、

ぐっすりとふかふかのベットで眠った。

何事も無く気持ちの良い朝を迎えちゃちゃっと著替えてポチと共に冒険者ギルドに向かう。

今日は個人で依頼をけるのではなく、昨日の依頼はどうなったのかを確かめに行くのだ。

その事はしっかりとポチにも伝えてあるため問題は無い。

冒険者ギルドにりいつも通りユリさんの下へ向かうと、此方に気が付いた様で

ニッコリと笑みを浮かべて出迎えてくれた。

「おはようございます。ソラ君、ポチさん」

「おはよ~」

挨拶をわし早速だが山賊討伐はどうなったのかを聞いてみる。

「確認に行ったところ、確かに長らしき人の死を確認しました。

その他にもその死の周りで自害したであろう複數の死も確認しました。

もっとたくさんの人が暮らしていた痕跡があったのですが、その場で発見できたのは7人の死のみ。

目を覚ましたアサフさんにも話を聞いた所、見たわけではないが、恐らくソラ君がやったんだろうね。

とのことでした。証言も一応あることですので無事依頼達です。おめでとございます!」

話を聞く限りでは大半のアマゾネス達は場所を移したようだが、

一部の恐らくだが、王の周りにいた筋さん達は王の後を追ったのだろう。

「あと、アサフさん、今度ソラ君と話したいと言ってましたよ。

今日は勇者たちとの面會があるとかで忙しいらしいです」

「ん、わかった」

てっきりアサフさんはたまたまリーン王國に來ていただけなのかと思っていたが、

実際は真の勇者達のと面會と言うSランク冒険者に似合う面倒くさそうな目的があったようだ。

そういえば神との面會はどうなったのだろうか。無事だと良いのだが……

「ちなみに、たった一つの依頼を完了したからと言ってそう簡単にはランクは上がりませんからね!」

「わかってるよーだ」

山賊討伐如きで実力が認められるとは思っていない。

あと數個何か個人で依頼をける必要があるだろう。

今日、依頼をけるとはポチに言ってなかったが許してくれるだろうか。

「ねぇ、ポチ」

「なんだ?」

「今日も個人で依頼をけても良い?」

「……直ぐに帰ってくるのだぞ」

一瞬ポチの機嫌が悪くなったのを表から察することが出來たが、お許しが出た。

昨日の様に無駄に時間の掛かるような依頼は止めて置こう。

自分で探すとどうしても難易度が高い方に行ってしまうので此処はユリさんに任せよう。

「何か良い依頼ないかな?」

「ん~そうですね……荷を運ぶ依頼なんてどうでしょうか。

日帰りで帰ってこれますし、ちょっと危ない場所ですが報酬も良いですよ」

「荷運び……」

そんなんで実力を示すことは出來ないのではないだろうかと思ったのだが、

全力で荷を運んで直ぐに戻ってくれば良いだけの話だと言う事に気が付いた。

「じゃあそれける!」

「はい、では掲示板から紙を持って來てくださいね」

「はーい――っわ!」

「もってきたぞ」

掲示板に行こうとしたのだが、既にポチが依頼の紙を持って來てくれており

非常に助かるのだが無言で背後に立って振り向いた瞬間に顔に紙を押し付けるのはやめてほしい。

「ありがとう……ポチは此処で待っててね。すぐ戻るから」

手続きを済ませて荷け取り早速依頼の場所へ向かう。

目的地はそこまで遠くないが森の中にある小屋でオークやゴブリン達が居る為、

安全とは営場所だ。門を出て門兵の姿が見えなくなるまで離れ、

俺は強化を発する。そして――疾風の如く移し一瞬にして目的地の小屋の前まで著いた。

途中で何かの魔を殺したのだろう。気が付けば手には小さな魔石が握られていた。

「すいませ~ん」

木製の家の扉をノックして中にいるであろう人を呼んでみる。

「はいはい」

中からはとても優しそうなお兄さんが出てきた。

此方の姿を見て大変驚いている様だったが聲には出さなかった。

まぁ、こんな子供が森の中にいたら普通驚くだろうな。

「これ、依頼で屆けに來たよ!」

「お、おぉ!これを待ってたんだ!ありがとう!ちょっと待ってて」

そう言って家の中から何かの模様が彫られているコインを持って來て此方に渡して來た。

これが何なのか聞く前にお兄さんは荷を早く開けたい様でとっとと家の中にっていってしまった。

ユリさんに聞けば良いか。そう思い俺は急いで來た道を戻る。

一瞬にしてリーン王國付近に到著し、強化を解除してからゆっくりと門に向かって歩き出す。

「ただいま~」

「うむ」

「!?!?!?」

冒険者ギルドにりまだ付嬢の前に居るポチにそう言うと

特に驚いた様子も無く何時も通りだったが、その後ろにいるユリさんは目をパチクリとさせ

金魚の様に口をパクパクとさせていた。

かなり早く戻ってこれたと自分でも思うが、そこまで驚かれるとし傷つく。

「ソラ君?君は何をしに戻ってきたのかな?」

「ん?何って依頼完了に來たんだよ?」

この付嬢さんは何を言っているのだろうか。依頼をけて戻っていたのならば

依頼を完了しにきたに決まっているだろう。

「は?冗談を言わないでください。これでも私は忙しいのですよ?」

……見た目が子どもだからだろうか。冗談だと思われて全く相手にされない。

悲しいが見た目はどうしよも無いので気にしない……ぐすん。

「冗談じゃないよ。ほら、これ」

そう言って先ほど貰った何かが彫られているコインをカウンターに置いて見せた。

するとユリさんは再び目をぱちぱちとさせたり目をこすったりしていた。

一応証拠品になっているのだろうか。貰っておいて良かった。

「た、確かにこれは本ですね……ポチさん、ソラ君は本當に行ったのでしょうか」

何故かポチにそう尋ねるユリさん。素直に信じてくれない様だ。

ポチもまさか振られるとは思ってもいなかったのだろう。若干の戸いが見えた。

「當たり前だ。ソラは我よりも凄いからな」

「そ、そうですか……依頼完了です。おめでとうございます。

ですが、私はまだ認めませんからね!せめてあと二、三回は一人で依頼をけてください!」

「はーい」

取り敢えず依頼は完了になったらしい。一件落著だ。

それにしてもあと三回も依頼をけなくてはいけないのか……面倒だ。

今日中にささっと終わらせてしまおうか?

「行くぞ、ソラ」

「え、うん」

報酬を貰い次なる依頼を探そうとしたらポチに腕を引っ張られてしまった。

今日の予定は何もないはずなのだが、一どこに行くのだろうか。

ポチに引っ張られるがままに扉の近くまでに行った瞬間――

「あ、ソラ君、此処に居たんだね」

現れたのはアサフさんとその後ろに三人の真の勇者の姿があった。

何故ここに居るのかと言う疑問が生まれたが、それよりも気になる事があったので魔眼を発させた。

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ミズノ シズカ(洗脳)

Lv10

力:15,000

魔力:20,000

攻撃力:400

力:1,500

素早さ:550

運:70

言語理解Lv1

しの言語なら理解でき、読み書き出來る。

Lv5

剣を振り回せる。

眠りを妨げる者は――LvMAX

邪魔する者は――。

眠たいLvMAX

常に眠たい代わりに魔力が常時回復していく。

真の勇者LvMAX

勇者の中の勇者。強いですよ。

狀態異常耐Lv3

狀態異常に陥っても意識はある。

あらぁ、洗脳ですって。全くこの世界の神は屑しかいませんね!

この調子だとほかの二人も洗脳済みでしょうね。と言うか洗脳されているので

見なくても良いですよ

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「……」

やはり、と言うべきか。神との面會などろくな事が無い。

俺が言った通りに狀態異常耐を取ったようだが流石に神相手だと耐えれなかったらしい。

意識はあるようだが、は言う事を効かない狀態なのだろう。

焦る必要はない。分かっていた事だ。それにもう手は打ってある。後は時が來るのを待つだけだ。

「どうも、アサフさん。は大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。昨日はすいませんでした。

本來であれば僕が護るべき立場だったのに逆に護られてしまいましたね……けないです」

「仕方がないよ、気絶しちゃったんだもの」

そんな會話をしながらこっそりとアサフさんのステータスも覗いてみると――

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アサフ・モデガナ(洗脳)

Lv89

力:350,000

魔力:220,000

攻撃力:1,500

力:3,000

素早さ:909

運:30

LvMAX

剣を振り回せる。

壁LvMAX

いです。

不死の闘LvMAX

一日に一回力がなくなっても生き返り數秒間無敵!

ゾンビかな?

騎士の誓いLv30

パートナーの近くに居ると防力が上がるらしい。

あら、この人も洗脳済みですね。あはははははは、ださいですね~

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「……」

本當に不愉快だ。

昨日會ったばかりの人間だが、それでも同じ食事をした仲間だ。

助ける義理など存在しないが、非常に不愉快だ。

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