《勇者になれなかった俺は異世界で》洗脳済み勇者との戦い

「行くぞ」

「あっ、ちょっと待ってください――」

アサフさんは俺に用があって此処に來たみたいだが、俺はポチによって強制的に連れていかれ、

結局なにも話せないまま商店街の人混みの中にってしまった。

正直な所、あんな洗脳済み集団と何を話せばよいのか分からなかった為助かった。

下手な會話をすれば全て神に伝えられるかも知れない。

「ポチ、どうした?何か用事でもあった?」

「いや、そういう訳では無いんだ……只、あいつ等が近付くとイライラするんだ。

あの気配、無に殺したくなってしまう――ッ!」

「だ、大丈夫か?」

ポチは今までに見たことの無い兇暴な顔つきになっていた。

人間の顔だがまるで獣の様に唸り鋭い眼つきになり、

今にも標的がいるのであれば飛びついて殺してしまいそうなそんな顔だ。

「あの勇者、前會った時は何とも無かったが……今日はダメだ。

次會ったら本當に制できないかもしれん」

「そ、そうか。じゃあ宿に戻るとするか」

「ああ、すまないな」

前回と今回で違う點は洗脳されていると言う事だ。

気配と言うのは恐らく洗脳が関係しているのだろう。

もし、商店街で再びあの洗脳済み達にあってしまうとポチが暴れて大変な事になってしまうため

急いで宿に戻るのであった。

「多分、だけどポチがイライラする原因は神が影響していると思うんだ」

「神?ヘリム?」

「ん~確かにヘリムはイライラするな。うん、良く分かる。

だけど、今回のは違う。この世界の神だ。

勇者は神に洗脳されていたからその気配がポチにとって耐え難かったんだろうね」

「む、そうなのか……」

「この世界の神って碌な奴居ないからね。その気持ちは分かるよ」

特にあの青髪ショタ野郎は絶対に許せない。

他の神は知らないが、どうせ皆くそったればかりだ。

「これからどうすれば良い?」

「ん~そうだな~」

今後勇者達と會う事が厳しくなってしまった。

外出する際にもいちいち気を配って気配をじたらすぐに離する必要がある為、非常に面倒だ。

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かと言って、會わせてしまえば忽ち勇者は殺されてしまうだろうし……

「もうし待てば解決すると思う。だからそれまでは大人しくしてようか」

「依頼を募集したやつか?」

「ああ、その通り。上手い事行けば洗脳も楽々解ける!

既に下準備は出來ているから後は人が來るのを待つのみだ」

「早くしてほしいものだ」

ポチは暫くお留守番。その間俺は個人で依頼をけてさっさと実力を認めてもらう。

し可哀想な気がするが、ポチには大人しくしてもらわないと。

帰ってくるときお土産を沢山買ってやろう。

「なぁ、ソラよ」

「ん?」

「萬が一だ。萬が一、勇者共が此処にやってきたらどうする?」

そんな事は無いと思うが、可能はゼロではない。

「そうなったら、力で解決しようか。

下準備は無駄になってしまうが、結構楽しい経験出來ると思うぞ。」

あの三人の勇者たちは普通に強い。

まだ長途中だが、それでも十分に戦える強さはある。

実戦経験を積めば魔王とも互角に戦うことが出來るだろう。

あくまで三人が力を合わせればだが。

「ふっ、楽しそうだ」

「だろ?」

・・・・

昨日そんな計畫を考えたのにも関わらず、それは無駄になってしまった。

本當は嬉しい事なのだがポチの一緒に依頼をけれる日が遠くなってしまうのだ。

まぁ、こっちも早く解決した方がポチの為にもなるから良いのだが……

つまり、何が起きたのかと言うと依頼をけてくれる人が現れたのだ。

依頼主ソラ

依頼

高位の狀態異常を解くことが出來る者を募集

報酬

働きに応じて

最低でも金貨は保証

こんな簡単に書かれている依頼でもけてくれる人はいるのだ。優しい世界!

冒険者ギルドのカウンターの奧にある待合室で自分で出した依頼の紙を見ながらそんな事を思った。

「ユリさんユリさん」

「なんですか?」

待合室には俺とユリさんがいる。もうししたら依頼をけてくれた人が來るらしい。

高位の狀態異常を解く事が出來るのかどうか確かめる為にポチが必要なのだが、

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殘念ながらポチはお留守番なのだ。出來るのならば場所を変えて宿にしたいのだが。

「ポチがちょっと宿から出れない狀態なんだよね

だから、出來たら場所を移したいなって思うんだけど」

「ん~そうですか。一応可能ですが相手の返事を聞かないといけないですよ。

それと、依頼関係はギルド関係者がいないとダメなので私も同伴しますがよろしいですか?」

「うん、大丈夫!」

無事怒ったら恐ろしいユリさんの許可を取る事が出來た。

後は依頼をけてくれた人を待つのみだ。

「そういえば、昨日アサフさんの様子がおかしかったのですが、

ソラ君何か知っていたりしませんよね?」

「おかしかったの?」

「はい、勇者さん達を連れてきたのにも驚きましたが、

その後に高難易度の依頼をけようとしたんですよ。幾ら勇者とはいえ、

冒険者ギルドに登録もせずに最低ランクSの依頼をけるのは許されない事です。

そんなことぐらい分かっているはずなのですが……昨日は諦めて帰っていきましたけど、

何かアサフさんなのに彼ではない様にじたんです」

「何か焦ってるのかな?」

「そう見えましたね。急いでレベルを上げたいとも言ってましたし」

「そっか、きっと魔王を倒したくて仕方ないんだよ」

(神様が)魔王を倒したくて仕方がないんだよ。

「そうなんでしょうか……なんか嫌な予がします」

その嫌な予は當たっている。流石付嬢だ。

冒険者のそういった変化が分かると言う事は日ごろからしっかりと

相手の事を思って接していると言う事だ。

――コンコンコン

「あっ、來ましたね。っていいですよー」

やっと到著した様だ。どんな人なのかワクワクしながら扉が開かれるのを待ち、

ついに開かれその容姿が明らかになる――

「なんだよ、依頼主って子どもかよ。折角良い仕事だと思ったのにがっかりだぜ」

見た目は俺よりも長は高く、割とガッチリとした

それでもやはりい。綺麗な瞳をしてい顔つきとか聲変わりしていないところとか。

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こんな子供が高位の狀態異常を解けるのだろうか。

不安になった俺は魔眼を発させる。

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ギル

Lv24

力:50

魔力:10,500

攻撃力:1

力:3

素早さ:100

運:30

回復ヒールLvMAX

狀態異常耐LvMAX

解毒LvMAX

狀態異常回復LvMAX

魔力回復LvMAX

攻撃力上昇LvMAX

力上昇LvMAX

説明はいらないでしょう。頭の可笑しい子です。

恐らく親か師匠が凄い方なのでしょうね。この若さでこれほどのスキルは凄いです。

頭の可笑しい子が頭の可笑しい子の依頼をけちゃいました。

ははははあははぁ、どうなることやら

==================================

かなり偏っているが、かなりの力があるようだ。

「こんにちは、依頼をけて頂きありがとうございます。

早速本題にりたいところですが、々と事があって一人此処に來ることが出來ない狀態で、

宜しければ場所を移したいと思っているのですが、いかがでしょうか」

相手も子供だが此方も子供の容姿をしているため、舐められない様に子供らしさは殘しつつ

適當に大人らしい事を口にしてみた。

魔眼で彼の実力は分かっているのだが、一応確かめておかなければ行けない。

本番になって効きませんでしたなんてあり得ない話だ。

「あ、ああ、良いぞ」

見た目に反した事を発言された為驚いてしまったのだろう。

揺しつつ承諾してくれた。

それからユリさんも同伴しポチがお留守番している宿にやってきた。

しっかりと付のおばちゃんには事を話してから二人を連れて行く。

「ポチさんやい、依頼をけてくれた人を連れてきたぞ」

「む、もう來たのか。もっと掛かると思っていたぞ」

「ど、どうも……」

「こんにちは、ポチさん」

俺と會った時とは全く違う反応を示す年。

ポチは全く関心が無いようで彼の方を見向きもしなかったが、

付嬢の聲には反応し、あからさまに嫌そうな顔をしていた。

そんなポチと同じベッドに座り、二人にはもう片方のベッドに腰を下ろしてもらい、

二人ずつ向き合う形になって座った。

「じゃあ、まずは自己紹介から始めるね。

俺はソラ。今回依頼を出した本人、よろしくね」

「我はポチだ」

簡単に自己紹介をしていくのだが、流石はポチ。本當に簡単に済ませてしまった。

次は順番的に付嬢なのだが、彼は「私はギルドの決まりとして付いてきているだけなので」

と言って自己紹介をする事は無かった。

「俺はギル!師匠に金を稼いで來いって言われたから

手っ取り早く稼げそうなこの依頼をけた」

魔眼さんが言っていた様にやはり優秀な師匠が居る様だ。

ギルにとってはこの依頼は都合が良すぎるぐらいピッタリなお仕事だ。

狀態異常を解くだけで暫く遊んで暮らせるだけの金が手にるのだ。

俺だったら一瞬で喰いついちゃうね。

「しっかりと報酬は渡すから心配しないでね。

じゃあ、早速――君の力を疑う訳ではないんだけどね、今からポチが俺に狀態異常を掛ける。

それを解いて見せてくれないかな?功したらしだけお金を上げよう」

流石に言葉だけで報酬を約束するのには信憑に欠ける。

ましてやこっちは子供の容姿をしているのだから。

その為、しでも信じさせるために何か功した時にしずつお金を上げて行く。

こんな子供でもお金は持っているのだぞ!と信じさせるのだ。

「わかった!そんなの簡単だぜ!」

「じゃ、ポチあの指のやつお願い」

「うむ」

ポチが指を嵌めて此方を呪う準備をする。

れただけで呪いが完了すると言う理不盡な指だ。

どんな呪いなのかは分からないが、ポチがひかれるのだから相応の力はめているのだろう。

これで効果が弱かったら泣けてくるぞ……

「行くぞ」

「おう、來い!」

ポチの手がゆっくりと俺の肩にれた――その瞬間、全が燃えるように熱くなり

本當なら今すぐにでも服をぎ捨てて水でも浴びたい気分になるのだろう。

だが、殘念ながらポチが作ってくれた執事服は加護の影響でそういった事にも対応しており、

一気にを冷やしてくれた。次に起こったのがの至る所からが溢れ出てくる。

正確には皮が破けだした。

おうおうおう、結構やばい呪いじゃねえか!!

これ普通の人だったらすぐ死んじゃうよ!?

「ひっ」

「ポチさん!!何をしたんですか!?」

ギル君は此方を見て凄い形相になっていた。

流石のベテラン付嬢でも凄く取りしている。

「二人とも落ち著いて。大丈夫だから。

ギル君、君の力でこの呪いを解除してくれないかな?」

エキサラ様のお蔭で直ぐに修復されて行くため全然大丈夫なのだが、

からを出している人から聲を掛けられ混している様だ。

「ぎ、ギル君。早くソラ君を助けて!」

「は、はい!」

ユリさんの発言でやっと我に返りき出した年。

生まれたての小鹿の様に全がプルプルと震えているが、

それでもしっかりとスキルを発している。

掌をこちらに向け魔法陣が形されていく、発までし時間が掛かるようだ。

「治れぇええええ――っ!」

優しいに全が包み込まれの中から呪いが抜けて行く――

が収まり、そこにはだらけの俺がいるのだろうが、それも直ぐに収まるだろう。

ポチが掛けてくれている加護の影響でや服についてたが見る見るうちに蒸発していく。

「ギル君凄いね。力は本だ。はい、これ金貨ね」

未だに唖然としている二人を置いてポケットから金貨を取り出してギル君に差し出す。

「あ、あぁ……」

金貨をけ取ろうと手がびてきたのだが、それは屆くことは無く、

彼は気を失ってしまった。

「あらぁ……」

「貴方たちは一何者なんですか……」

気を失ったギル君をベッドに寢かせながらユリさんは怪訝そうな表をした。

何者なのか、正直に言って自分でも何者なのか分からなくなってきている。

生きているのかも分からないしまだ人間でいられているのかも分からない。

だが、それでも俺は俺だ。今ここに居て空気を吸い言葉を発しどうでも良い事ばかり考えているのは

紛れも無く俺自だ。

「何者って言われても正しい答えを出すことはできない。

只、いま此処に居るのだから生きている人間なんだろね」

「……そうですか、なら良いです」

答えになっていない凄く曖昧な答えでも納得してくれたようだったが、

ユリさんはでも――と前置きをして言葉を付け加えた。

「もし、貴方たちが敵になる時が來るのならば私は全力で止めさせて頂きます」

「ふっ、貴様如きが葉うはずがないだろう」

そんな事は無い。と言いたい所なのだが何があるか分からない。

ユリさんは此方の事を倒すではなく止めると言う。そういった所からも優しさが伝わってくる。

道を外してしまったら止めてくれる、それはとても助かる事だ。

ありがとう。と言おうとしたのだが、ポチが先に口を出してしまった。

「ええ、分かっていますよ。ですが、二人を擔當した付嬢としての責任があるのです

私の犠牲でしでも止まって考え直してくれたら嬉しいです」

「大丈夫だ。敵になったりなんてしないよ……ただ、俺が守るべき者たちに手を出すのならば

その時はたとえ相手がユリさんでも手加減はしない」

付嬢としての責任ってなに!?そんな決まりギルドにあったの!?

やばいやばい、そんな重たい責任があるなら絶対に敵にならないぞ!

「ふふ、その言葉忘れませんからね」

それからギル君が起きるまで話を進めるに進めない為、

目が覚めるまでユリさんの下らない世間話や他の付嬢や冒険者の愚癡などをたっぷりときかされた。

分かって居た事だが、この付嬢やはり腹黒い。

「ん……あれ確か……」

「おはよ~ギル君」

「うわぁ――ってなんともない?」

目を覚ましたギル君に聲を掛けただけなのに化けでも見たかのように驚かれてしまった。

確かに俺の周りは化けばかりだが俺はまだ化けではないぞ。

全く、失禮な子供だな!

「ああ、君のお蔭でね」

「そうか、良かった……あっ、金貨!」

「ああ、はいはいどうぞ」

この鬼、お金の事を気にしやがった。まぁ、最初から上げるつもりだったから別に良いが、

気絶しておいて直ぐにその発言が出來るとはこの子は絶対大になるぞ。

「それじゃあ、今回の依頼について話すね――簡単に言うと勇者達を救う事が目的」

「ゆ、勇者?勇者ってあの勇者の事か?」

彼の言うあの勇者と言うのはどの勇者の事を指しているのか分からないが、

此処は此方の都合の良い様に真の勇者達のことを指している事にしよう。

付嬢は表しだけかしたがそれ以外の反応は示さなかった。

あまり會話には介したら駄目だというギルドの決まりでもあるのだろうか。

「ああ、多分その勇者だ」

「勇者……でも何を救うんだ?勇者は魔王を倒してこの世界を救ってくれるんだろ?」

正確に言うと、今でもそれは変わってはいない。

だが、そこには彼らの意思など存在していないのだ。

意思が存在して魔王を倒したい!と莫迦みたいな事を言っていたのならば俺も救おうとなんてしない。

「そうなんだけどね、実は彼らは洗脳されているんだ。ちなみにアサフさんも」

「洗脳!?」

「ちょっとソラ君!?どういうことですか?」

あっ、話にって來た。

流石に洗脳とまでなると放っておくわけにはいかない様だ。

「どういう事って言われてもそのままだよ。勇者とアサフさんは洗脳されている。

だから依頼をだしたんだ。高位の狀態異常を解くことが出來る者を。

ギル君、洗脳解けそうかい?」

「洗脳……一度だけ師匠に教えてもらったけど、かなり難しいぞ」

洗脳を解く方法はエリルスの記憶の中にもあったので知っている。

まず解くには當然だが狀態異常解除のスキルが必須だ。

普通狀態異常ならばそのスキルを習得するだけで解く事が可能なのだが、

洗脳の場合はキーワードが必要になるのだ。

予め此方でキーワードのとなる言葉をスキルを発する際に思い浮かべ

それと一言一句同じ言葉を洗脳されている側が発しなければ行かないのだ。

つまり、狀態異常耐を持っていなかったりレベルが低かったら救う事は出來ないのだ。

洗脳されている側がキーワードと同じ言葉を発すれば効果は発し、

周囲1キロ圏にいる者の洗脳を解くことが可能。

「知ってる。一応手は打ってある。あとは彼次第だ」

狀態異常耐を取った方が良いと助言はしておいた。

俺が出來るのはそこまでだった。後は彼がどういたのか――ってあれ?

この前洗脳されている事を確認した時に狀態異常耐の呼び名見ておけばよかった!!

魔眼さんも何で表示してくれてなかったんだ!!くそう!

「彼次第って……洗脳されているんだろ?なら可能は――」

「ゼロではない。しでも可能があるならそれに掛ける。

もし失敗した時でも報酬はあげるから心配はしないでね」

「……俺も出來るだけ頑張る」

「うん、ありがとう。じゃあ早速――」

ギル君が納得したところで次のステップに移する。

それは――

「君の事を鍛えようか!」

=================================

ギル

Lv24

力:50

魔力:10,500

攻撃力:1

力:3

素早さ:100

運:30

回復ヒールLvMAX

狀態異常耐LvMAX

解毒LvMAX

狀態異常回復LvMAX

魔力回復LvMAX

攻撃力上昇LvMAX

力上昇LvMAX

==================================

力50、攻撃力1……弱すぎるのだ。

こんなのスライムに當たりされたら骨がぼきぼきになってしまう。

・・・・

依頼関係の手続きは全てユリさんに任せてギル君をつれリーン王國付近の草原に來ていた。

此処ではスライムやゴブリンと言った初心者でも楽々倒せるレベルの魔がいる場所だ。

この程度ならばスキル以外が最弱と言っても過言ではないギル君でも問題ないだろう。

まさかこの世界のスライム相手に苦戦するなんて事はないだろう。

「さぁ、ギル君あのスライムを倒してみるんだ!」

「た、倒すってどうやってだよ!?」

「え」

おかしい、俺はこの子が何を言っているのか理解できない。

スライムを倒すのに方法なんて必要なのか?

「普通に斬りかかれば倒せる」

「普通ってその普通が分からないんだよ!大もないんだぞ?」

「あっ、忘れてたごめん」

すっかり忘れていた。確かに武が無ければ戦いようがない。

何時も通り短剣を現化させてギル君に渡す。

「……」

け取りスライムの方を向き構えるのだが、張してしまっている様で

暫く無言で見つめ合いながら唾をゴクリンと飲み込んでいた。

スライム相手に何を張しているのか、そう思ったのだが、これが初戦闘ならばそれは仕方がない事だ。

そもそも優秀な師匠がいるくせに何故此処までダメダメなのか。

そこが疑問だ。一この子の師匠はどんな人なのだろうか。

「……無理だ!」

「なんで!?」

「だって、もし反撃されたらどうするんだよ!痛いだろ!?死んじゃうぞ!?」

「いやいや……大丈夫だって――じゃあ一回だけ俺がやるから真似してみて」

全然戦ってくれないギル君の為に一度お手本を見せることにした。

當然、スキルは何も発せずに短剣だけで戦ってみせる。

スライムに近付いてギル君の目でも追える様にゆっくりと短剣を弱點目がけて突き刺す。

一撃でスライムを倒し、コア事破壊してしまった為、魔石のみがそこに殘った。

「こんなじ」

「う、うん……よし、やるぞ!」

凄く簡単に倒せてしまったからだろうか、ギル君からはやる気が溢れ出ている。

その調子で自分の手でスライムを倒すんだ!

真似をしてゆっくりとスライムに近付いていき――

「やっ!」

短剣でスライムを真っ二つに切り裂いた。

當然、スライムは消滅し傷ついた魔石が落ちたのだが、し思う點があった。

……これ現化させた武でやったら何の特訓にもならないのんじゃね?

自慢ではないが、俺が現化させた武の切れ味はすんごいのだ。

そんな武で戦っていればどんな敵でも何の抵抗も無く斬れてしまうので

ギル君の特訓にはあまり良くないのではないだろうか。

今日はもう仕方がないが明日からはそこらへんで買った武を使わせよう。

「良くやったね!その調子!!」

「や、やった!初めて魔倒した!!」

本當にこの子の師匠はどんな人なのか、今まで魔を倒さずに此処まで育て上げたのは

正直に言って凄いしその育てかたも気になる。

を倒さずにレベルを上げる方法……ステータスにかなり偏りが生じるが、

戦う事の出來ない者からしてみればとても助かるのではないだろうか。

「さぁ、次はゴブリンだ!」

「え」

そこからはもう大変だった。人型の魔に変わった瞬間何も出來なくなってしまったギル君。

お手本を見せてもスライムの様には行かず全くいてくれなかったのだ。

そこで俺は良く聞くゴブリンの悪行をギル君にみっちりと教え込んだ。

すると、彼は許せない!とまんまと乗せられて必死にゴブリンを倒したのだ。

そこから冗談でゴブリンの巣があるんだけどなぁっと言ってみたら――なんと滅ぼす!と言い

一人で突っ走ってしまい――當然、ギル君はあっと言う間にゴブリンに囲まれてピンチになり

後方からこっそりと援護し――なんとかゴブリンの巣も無事壊滅させることが出來た。

々とおかしな子だが、ひょっとすると彼は単純で扱いやすいあほの子なのかもしれない。

そんな事を続けて約三日で彼のレベルは上がり――

=================================

ギル

Lv30

力:1,050

魔力:16,000

攻撃力:170

力:45

素早さ:100

運:30

回復ヒールLvMAX

狀態異常耐LvMAX

解毒LvMAX

狀態異常回復LvMAX

魔力回復LvMAX

攻撃力上昇LvMAX

力上昇LvMAX

LvMAX

この子本當に何者なんでしょうね。覚えたばかりの剣がもうMAXですよ。

もしかして勇者の子だったりして……まぁ、そんな訳ないですが

==================================

俺の頑張りで此処まで長してくれた。

魔眼さんの言う様に確かに勇者並みの長だ。

これで多の攻撃なら一度喰らっても耐えられる。

さぁ、依頼を達してもらおうか。

ギル君の訓練を終えた翌日、俺たちは森の中をこっそりと歩いていた。

正確には勇者達の事を尾行をしているのだ。

出來るだけ早めの方が良いと思っていたが、訓練を終えた翌日に絶好のチャンスが訪れたのだ。

現在勇者達は護衛にアサフさん、他三人の護衛を連れて森の中を歩いている。

洗脳を解く為には相手――彼にスキルを使わせなければいけない。

その為には絶対に戦闘は避けて通れない道だ。

街中ではかなりの被害を出してしまう為、こうして人気のない場所に行くのを待っていたのだ。

……と言っても今日はたまたま勇者達が外に行くのを見かけたから急いでギル君を呼んできただけだが。

作戦は、基本的に戦うのは俺の仕事で後衛で隠れながらギル君が洗脳を解くスキルを唱える。

と言うじだ。後衛でも安全とは限らない。流石にギル君に怪我をさせるわけにはいかないので

何時暴れ出してもおかしない狀態のポチを無理やり連れてきているのだ。

ばれない様に息を潛めてこっそりと尾行して行くと、ひらけた場所で休憩するらしく、

護衛の人以外は腰を下ろし軽く飲みを飲んだりと休憩しだした。

「あ」

気配などでばれたくないので結構離れた位置で魔眼を発させ、確かめ忘れていた事を確認する。

=================================

ミズノ シズカ(洗脳)

Lv26

力:32,000

魔力:40,000

攻撃力:1,100

力:3,500

素早さ:550

運:70

言語理解Lv3

ある程度の言語なら理解でき、読み書き出來る。

Lv7

ぶんぶん剣を振り回せる。

眠りを妨げる者は――スリープヒンダァマッサークルLvMAX

邪魔する者は――。

眠たいネムタイLvMAX

常に眠たい代わりに魔力が常時回復していく。

真の勇者LvMAX

勇者の中の勇者。強いですよ。

狀態異常耐魔王を倒すのは私だLv3

狀態異常に陥っても意識はある。

ほーらちゃんと呼び名まで表示してあげましたよ~これで文句なしですね。

やはりこの勇者出來るですね!さぁ、後は此方の仕事です!

==================================

「よしっ!」

俺は思わずガッツポーズを取った。もちろん聲は抑えている。

これで下準備は完璧だ。後は俺が思う存分――って待てよ、俺がどんだけ頑張っても

狀態異常耐を発してくれなきゃダメなんだよな……俺狀態異常系のスキル持ってないんだけど――

ダメじゃん!!

「ポチ……その、お願いがあるんだけど」

此処まで來て完全に抜けていた……非常に申し訳ない気持ちになりつつも

何時も頼りなるポチにお願いしてみる事にした。

「何だ」

「その、良いタイミングでアイツらに狀態異常系の魔法を掛けてしいんだけど……ダメかな?」

出來るだけ上目使いであざとく頼んでみた。

恐らく、こんな事しなくてもポチは快く引きけてくれるだろう。

だが、ギル君の前なのだ。こんな將來有の子の前で年上が年下に扱き使われるのは教育に悪い!

「問題ない。任せろ」

「ありがとう!!ちゃんと加減はしろよ?」

「分かっている」

本當に分かっているのだろうか、先ほどからポチに落ち著きがないのだ。

洗脳組が近くに居る為、イライラしているのは仕方がないのだが、

そのイライラが発して狀態異常(即死)とか意味の分からない事やられたら溜まったものではない。

萬が一の時に備えて方法にも注意を向けて置こう。

「さ、気を取り直して最終確認だ。ギル君!君のやる事はなんだ!?」

「はい!俺がやるべきことは狀態異常解除を使い彼らの洗脳を解くことです!」

たった數日間の付き合いだが、訓練を通して此処まで仲良くなったのだ。

し厳しくし過ぎた影響もあるかも知れないのだが、

相手もまんざらではなさそうなので良しとしよう。

「そうだ!キーワードを言ってみろ!」

「魔王を倒すのは私だ!です!」

「完璧だ!では俺は行って來る――ポチ、あとは頼んだよ」

流石にポチにまでこのテンションで行くと引かれそうなので

此処はしっかりと切り替えて発言をする。

「ああ、任せろ」

しっかりと返事を聞いてから俺は勇者達の居る場所へ走り出した。

久しぶりに全力で戦う。そう決めた俺はポチ達からし離れた位置で

自分のテンションを上げる作業を始めた。

「魔眼さん、もう一度発しなおすね」

――はぁ、どうせ変な事考えているんですね。良いですよ。さっさと済ませてください

日に日に口が悪くなっている魔眼さんの言葉が地面に掘って現れた。

変な事と言われるのは心外だ。これからやる事は俺が一番気持ちよく戦えて

最大限に力を発揮するための準備だと言うのに。

まぁ、魔眼さんの許可が取れた事だし早速やるか――

「魔眼《フルヴュー・アイズ》発――っ!!」

何だか魔眼さんの事を呼び名付きで発したのは結構久しぶりな気がする。

そんな事を思いながら片目に手をやり意味の分からない懐かしいポーズを決めて発する。

――恥ずかしくないんですか?

「恥ずかしいも何も誰も見てないから良いだろ。

そもそも見られても……あれ?ちょっと恥ずかしいかも」

前まではこんなこと思わなかったのだが、歳をとってしまったからだろうか、

しだけ人前で廚二を披するのに抵抗をじるようになってしまっていた。

そこまで恥ずかしい!と言う訳では無いがほんのしだけ抵抗がある。

例えるならば見知らぬ人の事を友人と間違って聲を掛ける程度のレベルだ。

――そうですか、なら人前では余りやらないように。

ほら、今は私以外見ていませんので早く済ませてください

「あ、はい」

昔はもっと俺に敬意を払って言葉示していてくれていたはずだが、

最近はそれをじられないと言うか年上のお姉さんってじだ。

「我がは全てを弾き何よりも強く素早い最強の――強化《リインフォースメント・ボディ》!」

――全てを弾くのですか、それはそれで々と問題があると思いますよ?

即興で考えた割には結構良いじになったと自負していたのだが、

魔眼さんには刺さらなかった様で冷たい反応をされてしまった。

だが、俺はそんな事は気にしない!

こうやって自分の中を曝け出す事に最大の意味があるのだから。

「これぐらいで十分かな」

――そうですか、ならさっさと行きますよ

「……」

俺は無言で地面に現れた文字を足を使ってごしごしと消してから歩き出した。

そして徐々に加速して行き――全てを置き去りにして一瞬にして勇者達の前に移した。

「――っ!?」

「そ、ソラ君!?こんな所で何をしているんですか?」

真っ先に聲を掛けてきたのはアサフさん(洗脳済み)だ。

流石はSランク冒険者だ。驚いては居るものの怯みはしていなかった。

本當ならば話し合いをしたい所だが、今回はそうは行かない。

全力で戦って彼にスキルを発して貰わないといけないのだから。

……まぁ、本當はポチが狀態異常系の魔法を放つだけで

スキルを発してくれるだろう――だが、俺が戦ってみたいのだ!

真の勇者とはどれ程の強さを持っているのか。

ステータスの數値だけでは計り知れない事だってあるのだから。

今自分が出來る最高の短剣を現化する

「ソラ君?――っ!!」

正直に言ってアサフさんは邪魔なので速攻で片付ける。

一瞬にして彼の目の前に移し小さな長を有効活用し武を持っていない方の手で

拳を作り鳩尾目がけて全力で鎧ごと打ん毆る。

り人形の様に手足を無気力に揺らしながら勢いよく吹っ飛び

周りの木々を撒き沿いにして100m程離れた巨木にぶつかり――がめり込みつつも

そこでやっと止まった。

「貴様――っ!」

結構飛んだな~と眺めていると背後から護衛の人達が襲い掛かってくるのをじた。

だが、俺は一切見向きもせずに勇者たちの方へ歩き出す。

「ひっ、なんだこれ!?なんだこれ!!やめろ!!やめ――!!」

こうなるとは思っていたがしだけ気になり、ちらりと振り向いてみると

そこには護衛の人達が両手両足そして頭を地面に叩きつけられ、一瞬にして意識を飛ばす。

先に命までは取るなと伝えてある為、死んではいないだろう。

だが、気を失っている兵士に更に追い打ちをかけ、手足を折ったりしている様だ。

骸骨さん、容赦ない……

「さぁ、勇者達よ戦うおうじゃないか――っ」

やっと邪魔者が消えて勇者達と戦う時がやってきたと言うのに

背後からポチの魔力が発したのをじ急いで振り返ったのだが、

特に何も置くておらず直ぐに魔力も収まっていた。

「?」

何が起きたのだろうか、ポチに嫌がらせか?

「はっ!」

「おっと」

そんな事を気にしていたら急に勇者マコトが斬り掛かって來た。

中々素早く良い不意打ちだったのだが、それは俺の短剣によって糸も容易く防がれた挙句――

「なっ!?」

結構良い剣なのだろう。そんな剣が俺の短剣によってスッパリと切れてしまった。

切れた剣先が地面に落ちる瞬間に俺は次の行に出る――

    人が読んでいる<勇者になれなかった俺は異世界で>
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