《勇者になれなかった俺は異世界で》洗脳解除
ソラが勢いよく飛び出して行った頃、後方に居るポチは
イライラを抑えつつも先ほどから背後からじる気配に注意を向ける。
そんな事は知らないギル君は洗脳を解く為の詠唱をしている。
しっかり『魔王を倒すのは私だ』と言うキーワードを混ぜて
ポチには到底理解できない未知の言語で詠唱を続け――それは數分間で完了した。
「ポチさん!終わりました!!あとはお二人に掛かってます!」
「そうか」
數日間でソラによって完全に人格が変わってしまったギル君が
手を頭付近に持っていき敬禮の様な行を見せたのだが、
聲を掛けられているポチは全く関心を示さずに一言だけ呟き
目を瞑り意識を背後に再集中させた。
そんなポチの姿を見てギル君は大して不満に思わず寧ろ、
こんな狀況なのに落ち著いているポチを見て憧れの眼差しを向けていた。
「ほう」
背後の気配をハッキリとじ取る事が出來、その気配から誰なのかと言う報まで
読み取る事が出來たポチはその意外な犯人に思わず聲をらした。
その犯人と言うのはソラもギルも良く知っている人だったのだ。
「おい、十秒以に右に移しろ」
「え、はい……?」
突然の事で疑問に思いつつもしっかりと制限時間以にその場から右に移すると、
ポチが言っていた十秒後に勢いよく矢が飛んで來て先ほどまでギル君が居た地面に突き刺さる。
矢はポチの方にも飛んで來たのだが、それは屆くことは無く加護の力によって音も無く破壊された。
「っ!」
きっとソラと訓練する前のギルならば驚いてもちを付き只々何も出來ずに呆然としていただろう。
だが、今のギルは違う。矢が飛んできたと思われる方向を警戒して素早く木の幹の裏にを隠す。
「ポチさん、早くを隠してください!」
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「必要ない」
ポチの事を思ってそう聲を掛けたのだが、當然ながら必要ないと言われてしまった。
そしてその數秒後に草木を掻き分け一人のが姿を現した。
「確実に仕留めたと思ったのですけど、運が良いですね」
「え……どうして?」
ギルは現れた犯人の姿を見て思わずそう尋ねていた。
「困るんですよね。折角魔王を倒してくれると言うのに邪魔をされると。
本當は私、こんなことしたくないんですよ?でも、これは私達が出した答えですので
仕方がないんです――だから、大人しく殺されてくださいね?」
「なるほどな。通りでイライラする訳だ」
「何を言っているのですか?しっかりしないとすぐに死んじゃいますよ?」
彼はそう言って勢いよく飛びかかる。標的は一番近くにいるポチだ。
付嬢である彼は十分にポチの実力は理解しているつもりなのだ。
あの程度の力なら一人でも十分倒せると。そう思い込んでいる。
仕方ない事だ。ポチはまだケルベロス討伐しか大きな依頼は達していないのだから。
冒険者をやっていた時にケルベロスなら何度も倒したことのある彼にとって
ポチは大した脅威ではなかったのだ――それが愚かすぎる過ちだと気付かずに。
彼の顔は殺意に満ち溢れた表は一瞬にして崩れ去り、をくの字に曲げその場に膝から崩れ落ちた。
「っ……」
「だから言っただろ、貴様如きに我を止められるはずがないと」
口や鼻からもを流しつつゆっくりと立ち直そうとしている付嬢の足を払い除ける。
力なく自重によってドチャと土とが混ざり合った音を鳴らし再び地面に倒れこむ。
何の遠慮もなしに頭の上に足を乗せ行を封じる。
「先に手を出して來たのは貴様だ。當然、殺されても文句はないな?」
「っあああ!」
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徐々に足に力をれ彼の頭を潰そうとした瞬間、影に隠れていたギルが慌てながら飛び出して來た。
「ち、ちょっと待って!」
「なんだ?」
「殺しちゃうんですか?」
「ああ、先に手を出して來たのはこいつの方だ。問題はないだろう?」
「そ、そうですね……でも……」
ギルにとっては此処數日でかなり親しくなった仲であり、
今この目の前で起こっている狀況を認めたくはない様で、
どうにか平和的に解決は出來ないだろうかと頭を悩ませていた。
そんな彼を見てポチは面倒くさそうに口を開く。
「……そうだな。じゃあ、お前、こいつの洗脳を解除してみろ」
「え?洗脳?ど、どういうことですか!?」
「なんだ気付いていないのか。こいつはあの勇者たちと同じ洗脳されているぞ。
何時からなのかは知らないが、お前の糞みたいな訓練中に我がイライラしていたのはこいつのせいだ」
「え、どうして……でも、洗脳を解除するには――」
洗脳を解除する為には々と面倒な手段が必要だ。
當然その準備などできているハズもない。
「そうか、なら殺す」
「ま、待って!やってみる……やらないと行けないんだ……
絶対に功させて見せますから……」
「ほう、では見せてみろ」
そう口では言っているポチだったが、意識は完全に別の方に向いており、
正直なところ、この付嬢がどうなろうとどうでも良いのであった。
それとは真逆にギルは付嬢の命を救うためにかなり集中している。
彼が使える洗脳解除スキルでは到底不可能な事だが、彼にはスキルの才能がある。
額に汗を添わせ、瞬きすらせずに充した目の彼は慎重にスキルの使用を開始する。
「さて、そろそろか」
ソラが戦っている方向を見てポチがそう呟き、掌を上空に向けて魔法を発させる。
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加護も合わせ、魔法陣が何重にも浮かび上がり彼がんでいる最高の呪いを放つ――
幾つもの骸が浮かび上がりそれは迷うことなくソラが戦っている勇者たちの方に向かって行く。
ポチが放ったのはかなり強力な呪い――なのだが、手加減を加えてあるため、
失明、吐き気、両手足麻痺、酔い、攻撃力低下、防力低下、魔力低下、混、腹痛、
弱化……程度の狀態異常で済む。
・・・・・
「苦痛は快へペインプレジャー、被壁マゾヒストウォール!」
いきなり勇者マコトがおかしなことをび出し、頭がおかしくなったのかと思ったが、
思い出してみればそんなスキルがあったなーと頭の隅から蘇ってきた。
これで勇者マコトは一部がもっこりと活化する代わりに防力が凄く上がったと言う訳だ。
彼を護るような形で半明の緑の巨大な盾がグルリと発生している。
「二人とも後ろに」
防力が一番戦いマコトが前にでてその後ろにタツノスケ、最後にシズカだ。
「――」
シズカが何やらぶつぶつと呟き始めた。恐らく何らかの詠唱をしているのだろう。
そんな事しなくても良いのに……って確かアイツのスキルってやばくなかったか?
……たぶんポチがいるから大丈夫だと思うがギル君が巻き込まれたりしないだろうか……
「せいやっ!」
一応不安だったため俺は直ぐに行に移し、一番邪魔な盾役をしているマコトを
吹き飛ばそうとしたのだが、予想以上に盾が強く今まで斬れなかったモノはなかった
現化された短剣でも弾かれてしまった。
切り裂く事は葉わなかったが確実にダメージを與える事が出來た様で
半明の盾がさらに薄くなり消えかかっていた。
「本當に勇者ってのは異常すぎんだろ。
下半もカッチカッチで盾もカッチカッチとか、本當に勘弁してほしい」
あと數回斬りかかれば確実に突破できるのだが、
そんな事している間にシズカのスキルが発されてしまうかもしれないので
此処は手っ取り早く――
「地面にそのカッチカッチのモノっとけ」
重力作《グラビティ・コントロール》でドカーンと勢いよく地面に叩きつけると同時に
彼の盾はパリンと音を立てて割れていった。
最初からこうしていれば良かったとし反省だ。
  本當はもっとじっくりと戦い実力を確かめて行きたかったのだが、
流石にギル君の命が掛かっているかも知れない狀況となれば
そんな事言ってられないため全員重力作《グラビティ・コントロール》で地面に沈めた。
「殘念だけど、仕方ないかなぁ」
そんな事を呟きながらシズカの下へと向かい詠唱が中斷されている事を確認してから
彼の重力作だけを解いた。
「くっ……強い」
「ふっ、俺からしてみればお前らもかなり強いぞ。
あと數年もすれば軽くに魔王を倒せるようになるだろうな」
最強の盾、攻撃、防に優れている者、最強の遠距離スキル所持者。
この三人がしっかりと育っていくのならば軽く魔王たちを超えるだろう。
まぁ、そうなるにはまずは洗脳を解いてやらないとな。
そろそろポチさんが――おっ、きたきた。
背後から途轍もない魔力の放出をじ、同時に禍々しい何かが飛んできた。
見なくても分かるが、これは完全にやばいやつだ。
「な、なんですか……」
彼も見ればわかったのだろう。あれはやばいやつだと。
見る見るうちに顔が悪くなって汗も大量に溢れ出している。
「何だろうなぁ」
「狀態異常耐魔王を倒すのは私だ――っあぁああああっあああ!」
まんまとキーワードを発した事によりギル君の狀態異常解除が発し、
彼を中心に眩いが放たれ彼たちから黒いが抜けて行くのを確認した。
恐らくあれが洗脳の元だったのだろう。これで目的は達したのだが、
シズカの狀態異常耐のスキルレベルでは発したところで
ポチの呪いに葉うはずも無く、禍々しい魔力の塊に呑まれてしまった。
――失明、吐き気、両手足麻痺、酔い、攻撃力低下、防力低下、魔力低下、混、腹痛、
弱化……かなりえげつないですね。
「ポチさんやい、手加減……したのかな?」
「ぁぁ……ソ、ラ君」
「おうおう、喋るな喋るな。寢ているが良い」
気を失う寸前だったのだろう、眠る様に気を失ったのを確認し、
彼の事をひょいと持ち上げて後方のギルとポチの下へ向かった。
「ただいま――ってこれは一……」
「おかえりなさい……」
勢いよく戻ってきたのは良いものの、目の前には良く知った顔が増えていた。
平然としているポチ、汗ダラダラで明らかに憔悴しながらもおかえりと言って來るギル君。
「これってユリさん?」
「そのような名前だったか。何時もの付嬢で間違いない」
「……こうなった理由を聞かせてくれ」
結構仲良くしていた相手だったため、なぜこんなぼこぼこの狀態で転がっているのか……
ポチの事だから何かあっての行なのだろう。
「先にこいつが襲ってきたのだ。理由を聞く前に殺したから知らぬが、
取り敢えず洗脳の影響で魔王討伐一直線の勇者たちの邪魔をしてほしくなかったらしいぞ。
私達、とか気になる言葉も発していたな」
「……ユリさんも洗脳されていたのか。ごめん気付かなかった。
で、洗脳は解除できたのか?」
「ああ、この鬼がやり遂げたみたいだ。しだけだがやるようだな」
「ええ!?ギル君が!?ど、どうやって!?」
本來ならキーワードが必要なハズだが、付嬢がそんなモノ準備しているはずがない。
「頑張りましたよ……スキルを新たに生み出したなんて……きっと師匠に叱られるんだろうなぁ……」
見たじだけでも疲れて切っている彼は、死んだ魚の目をしてブツブツとつぶやいていた。
どうやらギルがスキルを生み出した様だ。狀態異常耐なども必要としない。
こっちもこっちで大変なことをしていたのにも関わらず、しっかりと仕事はこなしている。
才能はあると思っていたが、ここまでとはな、さすがだ。
正直にまだ事は良く分からないが、
どうやら神の他にも何やら面倒な奴らが居る様だ。
何時の日か戦う日が來るのだろうか……その時は、絶対に容赦はしない。
「ギル君、お疲れさま。無事洗脳は解けたよありがとう
一仕事終えたばかりで悪いんだけど、この子の呪い解除してくれないかな?」
「はい!わかりました!!」
「なんだ、手加減してやったのに耐えられなかったのか」
「ポチさんやい、次からはスライムを相手にすると思って手加減してくれよ。
もちろん、こっちの世界でのスライムだからな」
流石に言い過ぎかもしれないが、ポチには言い過ぎ程度が丁度良いのだ。
どうせスライム相手と言ってもやり過ぎてしまうのだから。
「呪いの解除終わりました!」
「うむ、ご苦労。じゃあちょっと元の場所に戻してくるからし待ってってくれ」
再びシズカのを持ち上げてスイスイと移して先ほどの位置に戻した。
これで本當に目的は達だ。此処までやったのだから勇者の面倒を見るべきだとは思うのだが、
そんな面倒な事はやらない。後はこいつら次第だ。
本當は一人だけの洗脳を解除してあとは任せるつもりだったのだが、
本當に運が良い。ギルが新たに生み出したスキルによって全員の洗脳が解除されることになった。
ここまでやったんだ。
俺的はこのまま何処かに姿を消して數年後に最強になって現れて
神々をポイポイと倒してくれるとありがたい。
「じゃあな」
目が覚めて々と話しかけられるのは非常に面倒なので、さっさとこの場から去る。
ポチの下に戻り、一応ユリさんには絶対防を掛けて木のに移させておく。
「我は何処にでもついていくぞ」
「リーン王國には帰らないんですか?」
荷を取るために一度は帰る予定だが、長期滯在するのは危険だろう。
「一応王國の兵士たちぶっ飛ばしてるからなぁ、ギル君も暫くは近付かない方が良いと思うぞ
あぁ、そうだ、これ報酬のお金ね。これで師匠も文句はないだろう」
今のリーン王國からしてみれば俺は完全なる悪なのだ。
まだ、伝わってはいないと思うが時間の問題だろう。
べつに滯在しても良いが、絶対に落ち著いた日々は送れないだろう。
ケルベロス討伐で貰った報酬のお金がっている袋を取り出して
ポイと放り投げた。慌ててキャッチするギル君だったが、予想以上の重みにバランスを崩したが、
訓練のお蔭で転ぶことは無く何とか制を立て直して改めて驚いていた。
「こ、こんなに!?」
「ああ、今回の君の働きは其れ位の価値がある」
「おい、ソラよ。全額ではないのか?良いのか?」
ポチが言う様に、あの袋には、ほぼ全額がっているのだが、
執事服のポケットには金貨が一枚だけっているため、數日間は困らない。
「ああ、どうせまた稼げば良いだけだろ?」
「まぁそうだな」
「……こんなに……ありがとうございます」
「師匠に自慢してやれ、俺は勇者を助けたんだ!って」
「多分師匠なら何の興味も示さないと思いますよ」
本當に彼の師匠とはどんな人なのか。
弟子が勇者を助けたと言っても興味すら示さないとは……
そうとうな実力者だと言う事は分かっているが、これは要注意人かもしれない。
「ん~次は何処に行こうか」
次行く場所ではリーン王國では全くできなかった報収集もしていきたいところだ。
「適當に歩いていれば何処かには著くだろう」
「お、それも良いな。冒険らしい」
今回は記憶を頼って歩くのではなく行きたい方向へとぶらぶらして
その先にある場所に行く事にしよう。
一度一瞬だけリーン王國に戻り荷を取り、ギル君と別れ俺とポチは數日間ぶらぶらと歩き続けた。
現れた魔は即座にポチによって処理され、特に問題なく進み、
今、目の前には巨大な水の王國の様な國がある。
國を囲むようにき通った川が流れており、城壁の天辺からは水が落ちてきており、
川と合流して流れて行く。城壁からチラリと頭を覗かしている城の周りからも水が噴水の様に出ている。
「涼しそうなところだな」
「どうする?何かびちょびちょになりそうなところだけど、る?」
「うむ、そろそろ風呂にりたいからな」
「なら決定だな」
此処はエリルスの記憶を辿っても全く報の無い國の為、
彼が封印されている間に出來た結構新しい國だと言う事だ。
正直に言って今までとは違う為ワクワクしている。
國にるための唯一の道は川に架かっている橋のみの様だ。
第一印象が大切なので、出來るだけ怪しまれない様に、
此処でも姉弟と言う設定で行く。仲の良い姉弟だと思われる様にしっかりと手を繋いで橋を渡る。
當然だが、門の前には門兵さんがいる。裝備は何処の國も似たようなじだ。
「は~い、止まってくださいね」
今までとは違いかたいじの門兵ではなく若干軽めの口調だ。
此方の方が話し安くて良いのだが、國に犯罪者などをれない為にいる存在と言う事を考えれば、
かたい口調の方が良いのかもしれない。
「何か分を証明できるモノありますか?」
「これか」
「おっ、ギルドカードですか。まだお若いのに冒険者とは凄い!
はいはい!これでも十分ですよ――って、君も冒険者なのか!?」
「うん」
ポチがギルドカードを提示したため俺も門兵の人に見せると驚かれてしまった。
Dランクなので大した事はないと思うのだが、やはり見た目の問題なのだろう。
「いや~最近の子は凄いなぁ。ちょっと待っててね」
門兵はギルドカードを持って小部屋の中にっていってしまった。
それから數秒で門兵は戻って來てギルドカードを返してくれた。
「お二人とも犯罪歴は無いようですね。どうぞ、水の都アヴェルアイにようこそ!」
「うむ」
どうやら、あの小部屋で犯罪歴の有無を確認していた様だ。
意外としっかりしており安心だ。案の定、此処は水の都らしい。
至る所に噴水や小さな観賞用の池の様なものがあり、非常に涼し気な國だ。
國民たちも心なしかが潤っているように見える。
「何か凄い所だな」
「そうだな、これが全部溫泉だったら最高だ」
「溫泉ね、探せばありそうだよな」
意外と溫泉好きなポチさん。恐らくエキサラの城が原因だろう。
殘念ながらエリルスの記憶には溫泉の國など存在していない。
だが、だからと言って無いとは限らない。
この水の國の様にエリルスが知らないだけかも知れないのだから。
可能はある。そのうち探してみよう。俺自も非常に興味がある。
「取り敢えず宿探そうか」
「ああ」
冒険者ギルドに行って依頼をけてお金を稼ぐまでは、贅沢な宿には泊まれないが、
最低限しっかりとしたお風呂が付いていれば満足だ。
「すいません!」
「おう?なんだちびっ子」
取り敢えず適當に聲を掛けて宿の位置を聞いてみることにした。
筋で服がはじけそうな程ムキムキで顔がものすごく怖いお兄さんに聲を掛けてしまったのだが、
見た目によらず優しくて安心した。怖い男の人でちびっ子と言ってくれる人は大良い人だ。
「風呂付の宿ってない?」
「ん、風呂付の宿かぁ、ならパロウってところがお勧めだぞ。
この先に噴水があるからそこを右に曲がれば著くぞ」
「ん!ありがとう!行ってみるね!」
「おう、行って來い!」
お兄さんに言われた通りに進み噴水の所で右に曲がると
確か居パロウと看板の宿屋があった。外見は立派な石煉瓦造りだ。
これなら恐らく裝も立派だろうし安心だ。
「此処で良い?」
「ああ、問題ない」
「それじゃ、部屋取りは任せたよ」
「ああ」
中がボロボロと言うギャップなどは無く、普通に立派な造りで良い匂いがする。
カウンターに行き、ポチに付をしてもらう。
「はい、いらっしゃ~い」
「取り敢えず一日、二人で一人部屋」
てっきりおばちゃんがやっているのかと思ったが、カウンターにいるのは
ポチ(大人の姿の容姿)と大して変わらない若さのだった。
「はい。わかりました~ちなみに料金は一人分で良いですよ」
「ほう、何故だ?」
「だって、部屋を一つ貸すだけなんだから一人分で十分でしょ」
「そうか」
々と抜けているお姉さんの様な気がするが、安く済むならそれに越したことは無い。
これで宿をは取れたので次は冒険者ギルドに向かう事にした。
宿屋のお姉さんに冒険者ギルドの位置を聞いてから、宿を飛び出した。
冒険者ギルドに向かうだけで二桁の噴水を見た気がする。
どんだけ噴水があるのだろうか。全て數えてみるのも良い暇つぶしになるかもしれない。
冒険者ギルドの中はリーン王國と大差ない。流石に噴水は設置していないか。
し期待してしまっていた……
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8 70彼女が俺を好きすぎてヤバい
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