《勇者になれなかった俺は異世界で》救出
「もう、何なのよ!」
ソラとポチが冒険者ギルドから出て行った後、レディアの聲が室に響き渡った。
その大きさに酒場で騒いでいた屈強な戦士たちも思わず黙ってしまう。
彼は気が荒くはないのだが、ずっと探していた父親の手がかりを見つけ、
つい、周りを見れなくなってしまっていたのだ。
大聲を出したことにより、発散され落ち著きを取り戻した彼は落ち著いた様子で失禮と頭を下げた。
そして彼はカウンターに行き、付嬢に聲を掛ける。
「依頼を出したいのだけど」
「い、依頼ですか……やめといた方が良いと思います」
この闇霊人《ダークエルフ》と彼は親しい仲であるため、
レディアがあの迷宮に行こうとしているのを察して止めた方が良いと警告をした。
「これは私としての言葉です。レディア、貴は確かに強くなりました。
ですが、あの迷宮だけは駄目です。貴をオウーヌさんと同じ目には――」
オウーヌ。レディアの父親が迷宮の調査に向かい、行方不明となった日から
レディアは強くなろうと毎日必死に訓練し、確かに強くなった。
付嬢であるセツは友人として時間があればともに訓練をしていたため、
彼の長を一番良く知っている人なのだ。
そして、彼もまた、父親が行方不明になっている一人なのだ。
「分かってる。分かってるけど、あんな子どもとなんも鍛えてなさそうなが行っているんです。
幾ら依頼をけていると言っても私は見逃せません。
それに、あの依頼を出したのは私なのですから責任があります」
「でも!」
「大丈夫です。あの二人を保護したら戻ってきますので、
出様にり口に待機させる人員を募集する依頼を出したいんです」
必死になってレディアの事をとめようとするのだが、
彼はそれでも行くと言う。
こうなるとレディアは止まらない。ということを知っているセツは諦め、依頼を許可することにした。
「わかりました……ですが、もし、この依頼で誰かが命を落とすようなことがあれば、
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その時は貴の責任だと思ってくださいね――私も依頼を許可したとしてそれなりの罰をけますが」
「ありがとう、セツ」
依頼を出す。と言っても他の依頼の様に掲示板などにり付けて居ては、
時間が掛かり、間に合わなくなるかもしれない。
その為、彼は依頼を書いた紙を片手に酒場の方に行き、大聲でぶ。
「この中に私の依頼をけてくれる者はいないですか!
報酬はかなり弾みます。迷宮のり口に待機して時間になったらロープを投げれるだけの作業です!
誰か――」
「俺で良ければ一緒に行くぜ」
そう言って挙手して立ち上がったのは、ソラ達と數回話をしたことがある。
あの外見の割には凄い優しいお兄さんだった。
「是非!お願いします!」
「ああ、任せろ」
ポチとレディアのやり取りも聞いていた彼は、ソラ達に迷宮の位置を教えたのは俺だと
し責任をじていたのだ。
「他にいませんか?」
一人では萬が一の時に対応できない為、せめてあと一人しいと考えるレディアだったが、
酒場は靜まりだれも目を合わせようとしなかった。
それも仕方がない。Sランクの冒険者が數名行方不明になった場所に行く依頼なのだ。
いくらり口で待機と言われても怖いものは怖いのだ。
だが、そんな中、酒場ではなくり口の方から二人のが駆け寄ってきた。
「はい!」
「はい!私たちで良かったら行きたい!!」
その二人は顔も長も程同じの雙子のだ。
桃でふわふわとしているショートヘアで綺麗な瞳をしている二人組だ。
唯一の差は瞳のが若干違っているというところだ。
一人が薄い茶、もう一人は赤っぽいをしている。
「是非!」
そんな子供相手でも今はうれしい。
迷宮の探索となれば拒否していたところだが、り口で待機するだけのため、
子供だろうが関係ないのだ。無事與えられた仕事さえこなしてくれれば。
こういった依頼は大人よりも子供の方が良いのだ。
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大人は汚い考えを持っているが、子どもはまだ汚れていない為、
お菓子などを先にあげて、ちゃんとできたら沢山報酬を上げると言い聞かせると、
純粋な子供は必死に頑張ってくれるのだ。
人數が集まり、彼たちはさっそく水の迷宮へと向かうのであった。
そんなことになっているとは知る由もないソラとポチは、
迷宮の最奧で何時もの様に戦っているのであった。
「では、ジアさん、ルルさん、ソナさんは此処で待機していて下さい」
水の迷宮にった直ぐの所に、空いたの前でレディアはそう三人に言った。
ジアというのは怖そうなお兄さんの事で、ルルとソナはこの雙子のの子の名前だ。
薄茶の瞳をした方がルル、赤っぽい瞳をしているのがソナだ。
此処に來る道中、軽く自己紹介をしていた。
ここからは危険で本當に帰ってこれるのかわからない為、
レディアは覚悟を決めるために何度も深呼吸をしていたのだが
ジアが武の素振りを始め、気がそれてしまった。
「レディアさん、俺も中にるぜ」
彼の口からそう飛び出し、レディアは思わず目を見開きジアの元へ駆け寄ってしまった。
一瞬怒鳴りそうになったが、直ぐに冷靜を取りもどし落ち著いた様子で聲を出す。
「ジアさん、何を言っているのですか?此処からは本當に危険で――」
「ああ、十分知っている。だからこそ俺も行くと言っている。
あのちびっこがこの中にっているというならそれは俺の責任だ。
それに、そんな危険な所にを一人で行かせる訳にはいかないだろ?」
彼もこの水の都にかなり長い間居るため、ここから先がどれほど危険なのかは重々理解している。
そんな危険を知っていたのにも関わらずソラ達に注意することが出來なかった。
それが彼にとって凄く心殘りなのだ。
(もし、俺が注意していればあのちびっこは此処にらなかったかもしれない)
だが、現実は何時も――いや、彼らは何時も非常だ。たとえジアが注意したところで
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ポチとソラの二人はそんなの聞く耳すら持たなかっただろう。
どのみちあの二人はこの先に行く運命だったのだ。
だが、そんな莫迦二人組の事を詳しくしらない彼はそう後悔しているのであった。
「駄目です!貴方は此処でこの二人を護っていてください!」
魔で現れず幾ら安全な場所とはいえ、完全に安全とは言えない。
この世界にも腐った人間たちは山ほどいるのだから。
そんなことは起きないだろうが、保険だ。
「え~私たちは大丈夫だよ?」
「問題ない、レディアが思っている以上に私たちは強い」
「なっ!」
「ほらな、こう言ってる事だし、な?」
雙子のが言っていることは間違いではないのだが、
彼らの実力を知らないレディアからしてみれば子どもの発言だ。
「ほら、見て、私たちのペットだよ」
「ひっ!」
「おおう、これは……なんというか珍しいな!」
全く信用していないレディアの姿を見て雙子のは時空を歪め
ペットと稱した化けを取り出した。
それは骸。骸骨に白髪の紙が生え下半は零化しているものだった。
そんな禍々しいモノをだされ、レディアは思わず小さな悲鳴を上げ、
ジアも若干引いてきた。
そんな二人とは裏腹にたちはその骸骨の頭をでている。
「ジアが行かないなら、私たちが行っちゃうよ?」
「っ!わ、わかりました!ジアさんの同行を許可します」
このたちなら本當に行きかねないと判斷したレディアはジアの同行を許可した。
許可された彼は大きくガッツポーズを決めていた。
「では、ルルさんとソナさんは今から二時間後にこのロープを投げれてください。
もし、それから一時間経っても反応がない場合は直ぐに冒険者ギルドに帰り
そのことを伝えてください」
本當ならば數分後にはロープを引き上げてほしいところだ。
もし、ロープを使って魔が地上に出てきてしまっては大変なことになる。
一時間でも非常に危険だが、これが妥協時間だ。
「わかった」
「待て、取り敢えず一回ってみて出られるかどうか確かめてみれば良いんじゃないか?」
「そ、そうですね!そうしましょうか!」
迷宮の中にった二人はまず、散らかった荷を見て驚愕していた。
荷の數がこれだけあるということは被害者はこれの倍はいると見積もって良い。
そしてすぐに背後からロープが飛んできた。
「來たな」
「はい」
二人は張しながらそのロープを伝って出口に向かって歩き――
「で、出れました」
「おお、本當だったようだな!」
本當に出られたことに一安心したのもつかぬ間、二人は再び迷宮の中にり込んだ。
荷をよけながら進み、奧へと進んでいく。
何処からか風が吹き込むような音が聞こえ、ジットリとしている。
壁には燈りである松明が掛けられているがそのりもぼんやりとだ。
非常に薄気味悪い場所だ。できれば長時間は居たくない所だ。
「何もいませんね……」
「警戒は怠るなよ」
「はい」
レディアは手紙に書いてあった魔を警戒しているのだが、
進んでも進んでもそれらが現れることはない。
だが――半分ほど來た時にそいつらは出現した。
「來ます!」
壁から何もの気味が悪い魔が現れた。
二人は直ぐに剣を抜き構える。
「ジアさん、こいつらは頭、四肢、心臓を一瞬で切り離さないと復活します!」
「そ、そんなにか!?流石に無理があるぞ!」
「ええ、わかってます、だから手分けをしましょうか」
「そういうのはもっと早めに言ってくれ!!!」
「ええ、すいません。私は右手右足、あた――」
「いや、俺は頭と心臓、そして左の手足をやる」
一瞬無理だと思ったジアだったが、良い案を思いついたようで一人でかなりの部位を
切り離すと宣言した。流石に無理だと言おうとしたレディアだったが、
彼は既に戦闘態勢にっており、ここで余計なことを言うのは失敗につながる可能があると
ぐっと抑えた。
「では、行きますよ!」
「ああ!」
目の前の魔に突撃し、まず先に剣が屆いたのはジアの方だった。
右側の首から郭に向け切り裂き、腹部まで來たところで一旦左にずらした。
これで頭、心臓、左腕は切り離された。そして左足を大の付けから切斷した。
最後に念のため、切り離れた頭を踏みつぶし、心臓を一突きした。
その間にレディアの剣も屆き、右肩から剣をいれ、直ぐに腕を切り落とし、
最後に足を切り落とした。
すると、魔は復活することなく消滅していった。
「で、出來ましたね」
「ああ、だが……これだけの量どうやって対処するかだな」
レディアはともかく、ジアは先ほどかなりの力を使った為、
これがあと何十回も続くと流石に無理がある。
「……やれるところまでやりましょう。もし厳しい狀況になったら私を囮にし――」
「危ない!」
彼の後ろから迫っていた魔が襲い掛かろうとした瞬間、
ジアは飛び出し代わりに攻撃をけてしまった。
一瞬にして狀態異常に掛かってしまい立っているとも困難になり倒れ込んでしまった。
「ジアさん!!」
「くっ……俺の事は置いて――」
「そんな出來ま――」
そんな彼も押し寄せる魔の波に呑まれて行った――
・・・・
「どうしようかな」
この気持ちの悪い手足の集合と戦うのは難しくはないのだが、
管で繋がれている人間たちをどうしようかと迷う。
あまり元気はないようだが、生きている様で呼吸をしている様子がうかがえる。
もしこのまま戦ってしまえば間違いなくこの人間たちを巻き込んでしまい、
確実に死なしてしまうだろう。
『なに、心配することはないさ』
「ん」
ポチの心を読み取ってみると、確かに心配はない様だ。
あの化けと人間が繋がっている管。てっきり生命維持裝置的な何かだと勘違いしていたのだが、
ポチの観察によってあれは単なる人間からあの手足へ魔力送るための裝置だという事が分かった。
つまりだ、あれを斷ち切ってしまっても問題はないのだ。
『どうした!怖気づいたか?』
「そんな見た目だから出來れば近寄りたくないなぁ、まぁ、それでもやるんだけどさ」
ポチさんやい、管の切斷だけ任せても良いか?
『ああ、任せろ』
この勝負は出來れば早めに決著をつけたいと思っている。
こんな奴の相手をしていては神がやられてしまう。
ポチがすべての管を切斷した時が戦いの合図としよう。
「骸骨さん、ポチが管を切斷したらあいつを取り押さえてくれ」
近くにいるであろう骸骨さんだけに聞こえるような小聲でそう命令し、
俺は戦う準備をする。向こうの世界では使うことがなかった――使えなかったあの武をつくりだす。
あの時とは比べにならないほど強くなったんだ。今なら使えるはずだ。
イメージするなら男の子ならだいたい大好きなエクスカリバーだ。
勿論鞘付きだ。前回は重さのあまり失敗してしまったが、今の俺なら大丈夫だ。
武をイメージし、極限まで重さを削り代わりに流し込む魔力を倍にする。
『そっちからこないのならば、こちらから行くぞ――!』
「……っ」
なかなか大きな武をつくっている為、くことが出來ない。
巨大な手足の塊がき出しかなりの速度で近づいてい來る。
『我は行くぞ』
すると、ポチがそういって飛び出し、化けの上下左右からびているすべての管を
川に流れる水の様にスムーズに切斷した。一切無駄なきがなくしい。
見習いたいところだ。
宙を舞っていたいくつかの人間のは地面に落ちて行ったが、そこまでの高さではない為、
ちょっとした怪我程度で済んでいるだろう。
『なに!?貴様ァ――!』
別に俺がやった訳ではないのだが、化けは怒鳴り散らし更に速度を上げてきた。
だが、何も焦る必要はないのだ。俺には強力な仲間たちがいるのだから。
『ぬぅ!?』
化けを覆い隠す勢いで數百の骸骨が姿を現しきを止めて地面に倒れさせた。
そして、それと同時にエクスカリバーの現化が終了した。
「っ」
極限まで軽くしたというのにも関わらず、持っているのがかなりきつい。
こんなことなら鞘なんて作らなければよかった。
ゆっくりとだが、鞘を外し、しい刀がになる。
「おぉ……これが、憧れの――エクスカリバー!」
『――!!』
余りにもしいため、俺は興してしまい魔力を大量に流し込み、
速攻で剣を振り下ろしてしまった。
膨大な魔力の塊が一直線に飛び、直線狀のすべてを破壊していく。
化けは勿論、骸骨さん事――そして、地面――壁までもだ。
此処で思い出してみよう。たしかあの手紙には壁を壊そうとすると、
それはすべて自分に返ってくると書かれていた。
そして、いま、俺は壁を破壊してしまった――もう、わかるな?
――パグチャッ!
非常に汚い音をたてて俺のと武は発してしまった様だ。
だが、すぐに復活する為、なんの問題は無いのだが、になってしまった。
だけが発したため、執事服やペンダントは無事だ。
首は謎の力で復活している。
急いでに著けて周りを見渡す。
「おうおう、隨分と汚くなったな」
大量の手足とが散らばっている。骨も散らばっているのだが、それらは再生を始めており
ポンポンと骸骨が復活していた。
「ちょっと~ひどいですよ!」
「うわ、出た」
一の骸骨が文句を言っていたと思ったら、何時もの調子の良い骸骨さんだ。
見た目が全員同じため聲をきかないと判斷できない。
「次からは一言くださいねぇ~じゃないと本気で怒っちゃいますからね~」
「はい、わかりました」
骸骨たちは不可視狀態になっていった。
骸骨さんたちが本気で怒る――想像しただけで數百回ぐらい死んでしまいそうだ。
『ソラよ、見つけたぞ』
どうやらポチが手紙を書いた主を見つけたらしい。
先ほどから転がっている人間の髪を暴に持って何をしているのかと思ったら
あの手紙の主を探していたのか。
「貴様がオウーヌで良いんだな」
「あ、ああ……お前たちは一……」
ポチが確認を取ると、この人がオウーヌさんらしい。
良く四肢が無くても生きていけるな。これはあの化けの仕業なのかもしれないな。
よくわからなかったが此処にいる人間たちから魔力を集めていたらしく、
抵抗できないにして半永久的に魔力を吸い出そうとしていたのだろう。
本當にくそみたいなことを考える。
まぁ、もう終わったことだし、兎に角此処にいる全員の息はあるようだ。安心だ。
「貴様があの糞みたいな手紙を書いたんだな」
「手紙……ああ、確かに俺が――っ!」
オウーヌさんの髪のを引っ張り持ち上げてそのまま手を離した。
當然、抵抗する手段がない彼の顔が地面にたたきつけられる。
「誰が可哀そうな奴だ。誰が大莫迦者だ!貴様、誰に向かって話を――」
抵抗できない相手を一歩的にいたぶるポチの姿を見てし心が痛んだが――
「っははは……」
何故だが鼻を出しつつもオウーヌは笑っていた。
頭を打ちすぎて何処かおかしくなってしまったのだろうか。
「何を笑っている」
「すまない、まさかこんな日が來るなんてな……」
「……何だ貴様」
痛みからだろうか、それとも喜びからだろうかオウーヌの目から涙が零れていた。
流石にこれにはポチもひいてしまいオウーヌから手を放していた。
「信じられねぇ、俺たちは助かったんだ……」
「ソラよ、こいつ壊れてしまったぞ。どうしたら良いのだ」
別に壊れてしまった訳ではないだろ。
本當に死を覚悟してあの手紙を書き殘し突撃していったんだ。
それがよくわからない俺たちによって命を救われたんだ。きっと嬉しいんだろうさ
「そんなものなのか」
「そんなもんだろ。取り敢えず、そいつが回復するまでいたぶるのはやめてやれ。
流石にその恰好で一方的にボコボコにするのは気分が悪い」
「む、そうか……そうだな。雑魚をいたぶっても楽しくないな」
「ああ、そうだそうだ」
理解してくれたようでなによりだ。
さて、これからどうしようか。この人間たちを連れて帰るにもスキルが使えないんじゃどうしようもない。
此処はやはりポチさんに頼るしかない様だ。
「ということで頼めますでしょうか」
「まぁ、良いがこいつらを一か所に集めてくれ」
「わーい、流石ポチさんだ!」
ポチに言われた通り人間たちを優しく持って一か所に集めてあげる。
途中、何度も泣きながらお禮を言われたりして悪い気分ではなかった。
「本當にお前たちは何者なんだ?」
最後にオウーヌさんの事を運ぼうとしたらそう聞かれた。
此処でいつもなら人間だとを張って言い切れるところなのだが、
この人達は俺が発して復活したところも見ているのだ。
人間と言っても絶対に通じるわけがない。
「……いや、やっぱ良い。お前たちが何者であろうと、
俺たちの命の恩人ってことは変わりないからな。ありがとう。
今度改めて禮をさせてくれ」
困っていると自ら訂正してくれた。オウーヌさん結構話が分かる人かも。
『ソラよ、何か來るぞ』
「ん」
最後の一人であるオウーヌさんを運び終わった後、ポチが何かの気配をじ取り
警戒するように伝えてきた。一応短剣を現化させ扉の方を向き待っていると――
「あれ」
道中に沸いていた気持ち悪い魔が気絶しているであろう二人を連れてきて
何かをする訳でもなく暴にこの部屋に放り投げ何事なかったかのように壁の中に消えていった。
「……レディア?」
「怖そうな顔つきのお兄さんだ」
どうやら運ばれてきたのはオウーヌさんの娘レディアと、
街中で々なことを親切に教えてくれたお兄さんだった。
何故此処にいるのかは不明だが、ついでだしこいつらも運んでしまおう
ポチ、手伝って。
裝備をに著けている二人を持ち運ぶには々力不足なので
此処はポチに手伝ってもらうことにした。
「レディアなのか?」
「そう。多分だけどオウーヌさんの事を探してほしいって依頼を出していたぞ」
「レディア……っ!」
今すぐにでも泣き出しそうな彼を見てポチに早く転移するようにお願いする。
嬉しい再開なのだろうが、そういうのは互いが目を覚めてからにしなさい。
「やるぞ」
「うん、お願い」
巨大な魔方陣が俺たちを包み込み一瞬にしてり口に移した。
流石はポチだ。さらっととんでもないことをしてみせる。
「うわ、例の人たちだ」
「本當だ。帰ってきた」
り口には見分けがつかないほど似ている雙子がロープを手にして此方を見て驚いていた。
レディアの連れだろうか、何でもよいが、此処から先はこの子たちに任せてしまおう。
俺たちは依頼が完了したことを伝えるだけだ。面倒なことはやらないぞ。
「レディアたちもいる」
「本當だ。気絶してる」
小みたいにちょこちょことき回りレディアの元へ行き、
頬を突っつきながらそんなことを発していた。
もっと別に気にすべき點があるだろうに、不思議な雙子さんたちだ。
「君たちにお願いがあるんだけど、良いかな?」
「ん~どうしよう」
「どうする?」
雙子は互いの顔を見合いながら首を傾げていた。
本當に似ていて見分けがつかないので人形さんの様にじる。
「いいよ!」
「聞いてあげる」
向かい合いながら一言も発していなかったが、何やら話がまとまったようで
無事お願いを聞いてくれることになったようだ。
「この大人たちの事任せても良いかな。レディアが起きるまでの間で良いからさ」
流石にこんな子供にこの大量の大人たちを運んでくれとまでは頼まない。
レディアたちが目を覚ますまで面倒を見ておいてほしいと頼むだけだ。
彼たちが目を覚ましたらそこからは全て大人である彼たちに任せてしまおう。
人任せにするなとか言われそうだが、そんなことは気にしない無視だ。
此処まで頑張ったのだから、あとは任せても良いだろう。うん。
「え~つまんない」
「つまんない~」
「え~じゃあ今度甘い買ってあげるからお願い~」
やはり子供は飴ちゃんなどの甘いが大好きらしい。
買ってあげると口にした瞬間、二人とも満面の笑みを浮かべて見つめあい――
「「いいよ」」
と口にしてくれた。甘いおそるべし。
「ん、ありがとう。それじゃまた」
やっふい!やっと解放されたぞ!
心の中でそうびながらルンルンと迷宮から出ていく。
意外とあの迷宮の中は窮屈で仕方がなかったのだ。
スキルが使えない、鳥が立つような嫌な雰囲気。
それらから解放されて俺は幸せだ。
「さてさて依頼の報告にいくぞ~」
「うむ」
冒険者ギルドに向かい早速カウンターに向かったのだが、
闇霊人《ダークエルフ》の付嬢さんに凄い顔をされてしまった。
「な、なんで貴方たちがいるんですか!?迷宮に行ったはずじゃ!?
え、じゃあレディア達は――っ!」
怒鳴り聲を上げび、最後は悔しそうに自分のを強く噛みしめていた。
「あいつらなら気絶していたぞ」
「は?」
レディア達は俺たちの後を追って迷宮に來ていたのだろうか。
あの雙子やお兄さんも同行しているとなると、普段から仲が良いメンバーなのか、
彼が依頼を出して集まったメンバーなのかだ。
この付嬢さんが知っているとなると、恐らく後者なのだろう。
「他にもけない人間どもを迷宮のり口に転がしておいたからあの雙子が面倒を見ているだろう」
「は?じゃあ、貴方たちはあそこから無事に帰還したという訳ですか?」
「そうだよ~だから依頼完了の報告にきた~」
信じられないといった表をしているが仕方がないだろう。
見た目はポチも俺も普通なのだから。これがもし、ムキムキの戦士だったり
しっかりとした鎧にを包んでいれば信憑は増すのだろう。
「ほ、本當ですか?」
「うん。確かめてくると良いよ」
「わかりました。これから確認に行かせるので、また後で來てください」
「わかった」
ん~失敗してしまった。こんなことになるなら行方不明者の一人や二人連れてくれば良かった。
まぁ、別に良いだけどさ。報酬の全てが気になっただけであってそこまで急ぐものではないのだから。
【完結】処刑された聖女は死霊となって舞い戻る【書籍化】
完結!!『一言あらすじ』王子に処刑された聖女は気づいたら霊魂になっていたので、聖女の力も使って進化しながら死霊生活を満喫します!まずは人型になって喋りたい。 『ちゃんとしたあらすじ』 「聖女を詐稱し王子を誑かした偽聖女を死刑に処する!!」 元孤児でありながら聖女として王宮で暮らす主人公を疎ましく思った、王子とその愛人の子爵令嬢。 彼らは聖女の立場を奪い、罪をでっち上げて主人公を処刑してしまった。 聖女の結界がなくなり、魔物の侵攻を防ぐ術を失うとは知らずに……。 一方、処刑された聖女は、気が付いたら薄暗い洞窟にいた。 しかし、身體の感覚がない。そう、彼女は淡く光る半透明の球體――ヒトダマになっていた! 魔物の一種であり、霊魂だけの存在になった彼女は、持ち前の能天気さで生き抜いていく。 魔物はレベルを上げ進化條件を満たすと違う種族に進化することができる。 「とりあえず人型になって喋れるようになりたい!」 聖女は生まれ育った孤児院に戻るため、人型を目指すことを決意。 このままでは國が魔物に滅ぼされてしまう。王子や貴族はどうでもいいけど、家族は助けたい。 自分を処刑した王子には報いを、孤児院の家族には救いを與えるため、死霊となった聖女は舞い戻る! 一二三書房サーガフォレストより一、二巻。 コミックは一巻が発売中!
8 188【書籍化】外れスキル『目覚まし』、実は封印解除の能力でした。落ちこぼれの少年は、眠りからさめた女神達と優しい最強を目指す。【コミカライズ企畫進行中】
サーガフォレスト様より、1巻が6月15日(水)に発売しました! コミカライズ企畫も進行中です! 書籍版タイトルは『神の目覚めのギャラルホルン 〜外れスキル《目覚まし》は、封印解除の能力でした〜』に改めております。 ほか、詳細はページ下から。 14歳のリオンは駆け出しの冒険者。 だが手にしたスキルは、人を起こすしか能がない『目覚まし』という外れスキル。 リオンはギルドでのけ者にされ、いじめを受ける。 妹の病気を治すため、スキルを活かし朝に人を起こす『起こし屋』としてなんとか生計を立てていた。 ある日『目覚まし』の使用回數が10000回を達成する。 するとスキルが進化し、神も精霊も古代遺物も、眠っているものならなんでも目覚めさせる『封印解除』が可能になった。 ――起こしてくれてありがとう! 復活した女神は言う。 ――信徒になるなら、妹さんの病気を治してあげよう。 女神の出した條件は、信徒としての誓いをたてること。 勢いで『優しい最強を目指す』と答えたリオンは、女神の信徒となり、亡き父のような『優しく』『強い』冒険者を目指す。 目覚めた女神、その加護で能力向上。武具に秘められた力を開放。精霊も封印解除する。 さらに一生につき1つだけ與えられると思われていたスキルは、実は神様につき1つ。 つまり神様を何人も目覚めさせれば、無數のスキルを手にできる。 神話の時代から數千年が過ぎ、多くの神々や遺物が眠りについている世界。 ユニークな神様や道具に囲まれて、王都の起こし屋に過ぎなかった少年は彼が思う最強――『優しい最強』を目指す。 ※第3章まで終了しました。 第4章は、8月9日(火)から再開いたします。
8 98【WEB版】身代わりの生贄だったはずの私、兇犬王子の愛に困惑中【書籍化】
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