《勇者になれなかった俺は異世界で》霊王

魔眼さんとの會話を終えた後はみんなの下に戻りぐっすりと眠った。

あまり興が収まるような容ではなかったのだが、

話し疲れてしまったのか思った以上にぐっすりと眠る事が出來た。

「おはようございます」

「ん、おはよう」

「うむ」

目を覚ましてからは皆素早い行だ。支度を済ませて、軽く朝食をお腹にれたら出発だ。

「さてさて、あの魔の次は一どんな魔が待ちけているのやら、楽しみだな」

「次はソラだけで戦ってみるか?」

次の階層に向けて歩いているとポチがそんなことを言ってきた。

魔眼さんの主導権を取られた狀態での戦闘力を試したいと思っていた為丁度良い提案だ。

「ああ、じゃあ次の魔は俺一人で倒すとする。二人は後方でもしもの時の為に待機しておいてくれ」

「はい、わかりました。お気をつけて」

「ソラの戦い振りを見せてもらうとするか」

50層があれほどの強敵なのだ。この先で待ちけている魔の予想は二通りある。

今まで通り弱い魔が出てくるパターンと、50層を始めとする強敵祭りが待っているかだ。

俺としては強敵相手の方が都合が良い。その方が魔眼さんの良いきが見れるからだ。

それと、魔眼さんは攻撃を一切當たらないと言って居たため、

一発でも當たれば良いだけ文句を言ってやれるので、強敵の方が良いのだ。

そんな期待をしつつ51層目に足を踏みれた――のだが、そこは50層とは全く異なった世界があった。

今までは迷宮と言う箱の中に閉じ込められている様な空間だったのだが、目の前に広がるのは世界そのものだった。

荒廃とした、世界が終焉を迎えてしまったような、そんな景が広がっている。

「これは……」

上を見上げればそこには空が広がっている。夜空にも見えるがし違うようだ。

真っ赤な巨大な月が浮かびその周辺には何かの破片が浮かんでいる。

空があると言うのがおかしいのだ。此処は迷宮のハズなのにも関わらず何故空があり月が存在しているのか。

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「なんだここは?」

「さぁ?」

周囲には崩壊した建があり蔦や草が生い茂っている。

足場はとても整備されているモノとは言えなくボコボコの道だ。

濃霧が発聲しており遠くは白く見えにくくなっている。

「隨分と変わりましたね。何だか嫌なじがします。50層よりも強い魔が出てきそうです。

負けることはないとは思いますが、ソラ、気を付けてくださいね」

「ああ、そうだな――おっと」

足を進め前進する中、途轍もなく強い気配をじ取った。

昔にじたことのある懐かしい気配だ。思わず頬が緩み笑みを浮かべてしまう。

これでこの迷宮の理不盡さに納得が行った。

「何をニヤついているのだ?」

「ふっ、し懐かしい奴がこの先に待ちけているようでな。一応仲間だ」

「ほう、それはどんな奴なのか非常に楽しみだな」

「期待はするな、がっかりするぞ」

「あはは……」

スラもこの先に待っている人の事がわかったのだろう。

ポチに対する俺の反応に苦笑いを浮かべていた。

この先にまっているはそう――

「まってたよぉ!ソラくん!!長かったぁほんとぉに長かったよぉ!」

今にも崩れそうな王座に腰を下ろしている霊王ノイだ。

相変わらずの見た目だ。唯一変わった所と言えば髪が短くなった所ぐらいだろう。

それと、黒い軍服の様なモノにを包んでいた。凄く廚二心を擽る服裝だ。良いセンスをしている。

それにしてもこの見た目で俺をソラだとみるだけで分かるとは流石、霊王だ。

「ボクはねぇ、ソラくんがぁ50層の魔を倒した後ぉ、直ぐに此処に來るかと思ってねぇ

ずっと待ってたんだよぉ?それなのにぃ、どうしてぐっすりと眠っているだいぃ!?

折角、最下層の手前まで階層を移させたのにぃ!酷いよぉ!」

「……相変わらずみたいだな。だが、その服裝だけは良い趣味だと褒めてやるぞ」

どうやら霊王様は50層から最下層の前の層までショートカットしてくれた様だ。

そして俺たちの事を待っていたらしいのだが、そんなこと知る由もない俺たちは一晩50層で過ごしたと。

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それでなぜ怒られなければならない、こいつが勝手にしたことだろう。

「うんうん、良いでしょ!ソラ君ならきっと好きだと思ったんだぁ……それにしてもぉ、隨分と変わったねぇ。

長も凄く小さくなってるしぃ、強さもかなり変わってるねぇ!これは戦うのが非常に楽しみだよぉ!」

長の事を言われ、俺自大して思う事はなかったが、ポチがをピクつかせたのを確認した。

仲間だという事を事前に伝えておいた事は正解だった様だ。

これが仲間ではなかったら、俺自もきっとしばかり不快な思いをしていたことだろう。

「まぁ々とあったからな、それにしてもお前は良く俺の事を見ただけでわかったな」

「まぁねぇ、ボクとぉソラ君の仲だからねぇ――さて、會話はまた後でゆっくりとぉ……早く戦おうよぉ!」

壊れかけの王座から勢いよく立ち上がり子供のように無邪気な笑みを浮かべる。

「何故お前と戦う必要が――と言うのは流石に意地悪だな。ああ、いいぞ、存分に戦おうではないか」

數年間待っていてくれたんだ。それぐらいの我儘ならいくらでも手伝ってやる。

魔眼と強化を発させる。二人を後方に下がらせる。

――まさか最初からこの迷宮で最も強い存在と戦うことになるとは正直に言って驚きです。

ですが、好都合です。彼が相手ならば本気を出してもここが壊れることはないでしょう。

それにこの戦場はとても都合が良いですからね。

「そうだな、し不安要素はあるが本気を出してみるとするか。

その方があいつも納得してくれるだろう。今日までずっと待っていてくれたんだ。存分に楽しませるさ」

頭の中に映し出される文字に返事をする。壁に映し出したり脳に直接送ってきたりと、

どういう基準なのだろうか。ただ単に近くに映し出すものがないからなのだろうか。

そんな下らない疑問が生まれるが、今は関係のないことなので頭から振り払う。

――それと、懐かしい仲間が二人、折角再會したのですから、そろそろソラ様の本を見せてはどうです?

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最近は何だか恥ずかしがっている様ですが、これは命令です。眼を飛ばされたくなければ従ってくださいね。

その方が本気を出しやすいと思いますしね。

「……橫暴だな。だが、その通りだな、何時までもこのままじゃ気持ちよく戦えないな」

ふっ、と息を吐き一度大きく深呼吸をする。特に覚悟を決めることではない。

だが、久々の廚二と言う本にさせるため々気分の切り替えが必要なのだ。

今まで恥ずかしがっていたと言うのは當たっている。

だが、それ以上に本心を言えば過去の自分と現在の自分とのケジメだった。

まぁ、その必要はもうない様だがな、俺は変わっても俺の様だ。そう認めてくれている仲間がいる。

目を瞑り、深呼吸を終えると同時にゆっくりと目を開き言葉を発する。

霊王ノイよ、貴様の力を思う存分に発揮してみせろ!

この迷宮で最強のお前と世界を超越した俺との戦いだ。さぁ、最終決戦を始めようか!」

「っぁ!はあはははは!そうそれだよ!ボクはその言葉を!そのソラ君を待っていたんだぁ!!」

狂気じみた笑みを浮かべてノイを包んでいる魔力が増大する。

をピリピリと刺激する程の力に思わず笑みを浮かべてしまう。

よくもこの數年で此処まで強くなれるモノだ。

元々霊の王である彼は強いのだが、前とは比べにならない程の力をじる。

「行くよっ!ソラ君!!!」

「ああ、來い!!」

戦闘が始まった――迷宮全がメキメキと悲鳴を上げる。

全方向から音が聞こえ、それらはまるで意思があるかのように此方に向かってきた。

壁や地面、瓦礫や壊れかけの椅子などのオブジェクトが一直線に向かってくる。

急いでこの場を飛び退かなければ巻き込まれてしまう――のだが、今回は任せる。

――4方向からの同時攻撃ですか、迷宮自が攻撃手段なのは厄介ですが、

一回での攻撃がこの程度が限界ならば行けますね。

攻撃が當たる直前になり空間が捻じ曲がる。

全てのきが歪められスローモーションの世界に突する。

魔眼さんのきにを預けかす。ほぼ止まっているに近しいオブジェクトを潛り抜ける。

本當ならば反撃をしたいところだが、魔眼さんは今はまだ攻撃を仕掛ける事はしない様だ。

まずは様子を見るということだろう。

そして時は流れを取り戻す――周りから見れば一瞬の出來事。

されど此方からしてみれば長い時間がある。その差によって生じる結果。

それは計り知れない強大なモノだ。

「あれぇ?」

目の前で起こった不可解な現象に首を傾げる霊王。

――まだ報が足りません、もっと沢山攻撃をするように言ってください

「……」

魔眼さんからのご依頼だ。戦闘中にもっと攻撃してくださいなんて頼めるわけがない。

ここは”俺らしい”方法でやってみるとするか。

「ふっ、どうした霊王よ、この程度で終わりか?

貴様の攻撃など俺からしてみれば止まって見えるぞ?これがこの數年間で培った実力なのか?」

「んふぅ!……まだまだこれからだよぉ!!」

変な聲と同時に顔がニヤケた様な気がしたが、気にしてないで置こう。

無事挑発は功し、次なる攻撃を繰り出してくる。

ゴゴゴゴ!と言う轟音を立てて地面が盛り上がり巨大な柱が生される。

剎那の間に天まで屆くような大きさの柱を創り出すあたり流石だとしか言いようがない。

心している場合ではなく、既にその巨大なオブジェは此方目掛けて倒れてくる所だった。

寸前で時が遅くなりこれも軽々と避ける――のかと思ったが、魔眼さんの先には白い線があった。

その線は防兼攻撃の様な役割を果たすモノだ。

――はぁ、このまま避ければ後方にいる仲間に迷を掛けることになりますよ

そんなことも考えることが出來ない頭になってしまったのですか?

「……」

非常に頭にくる発言だが、確かにこれ程巨大なモノが倒れるとすると、

後方にいるスラに被害が及ぶ事ぐらいし考えればわかる。

確かに考えなさすぎなのかもしれない。これからの課題としていこう。

目線の先にある白い線にれると、が勝手にき出す。

てっきり途中で折ってしまうのかと思ったのだが、魔眼が導きだした答えは違っていた。

非常にゆっくりと迫りくる柱に掌を付ける。そして柱の重力を作する。

あとは能力で強化された力を使い軌道を大きくずらしてから重力を戻す。

この作により後方にいるスラの安全は保障された。

時が日常を取り戻し再び不可解な行を目の當りにしたノイは再び首を傾げる。

「なんでぇ、どうしてぇ?」

「単純な事だ。貴様の攻撃は俺に屆くことすら葉わない。

それと、後方にいるスラに被害が及ぶ攻撃はやめろ。

それともそこまで考えが及ばない程頭が殘念になってしまったのか?」

さらりと先ほど魔眼さんに言われ頭にきた言葉をノイに向かって解き放つ。

「んっ……ふぅ、言ってくれるねぇ、ボク怒ったよぉ!」

怒ったと言いながら霊王が繰り出してくる攻撃はそこまで変化がなかった。

4方向からの攻撃や、2方向、1方向と言った迷宮と霊王という権限を利用した戦いだ。

いずれの攻撃も魔眼さんの力によって軽く避けることが可能で退屈なモノだった。

攻撃を避けながら魔眼さんの言葉が映し出される。

――分析が完了しました。奴の攻撃はかなり大まかに見て二通りです。

一つは4方向からの同時攻撃、これが最も魔力を消費しているのでしょう。

他の攻撃とは段違いの破壊力と魔力をじました。次に2から1方向の攻撃です。

數がない分魔力を集中させている攻撃の様ですが、良く観察すると、

4方向の時とは魔力消費量が明らかに低くなっています。

これらの攻撃を組み合わせて使うことによって魔力を効率よく回しているのでしょう。

現在の彼の魔力はほぼ全回復しています。4方向攻撃の際は減りましたが、

2方向の際は魔力が自然に回復する量の方が上回っている様でした。

これらの報からこの攻撃の後は何が來るかはもう理解できますね?

この攻撃、つまり1方向からの攻撃の次、4方向が來るという事だ。

こんな単純な順番で攻撃を仕掛けてくるとは、本當に愚かな霊王だ。

こんなにも単純なパターンだが、摑んだからには反撃と行こうか。

「もぉ、避け過ぎだよぉ!!!」

「ふっ、そうか、避け過ぎか。ではそろそろ反撃と行こうか!」

――やりたいようにやってください。私が向いた方に重力を掛けるだけで良いです。

それ以外は思う存分に暴れなさい。

魔眼さんの許しが下りると同時に思いっきり踏み込み地面を蹴り上げた。

一瞬にして距離をめるが相手は霊王だ。しっかりとこの速度にも対応してくる。

四方向からの攻撃、その魔力をじ取ると同時に魔眼さんの視線がまだ発していない、

オブジェクトの方を見る。咄嗟に重力作を思いっきり掛け攻撃の阻害を試みる。

本當に剎那だ。次々と視線が切り替わり4方向全てに重力作を使い攻撃を封じた。

「うそぉ!?っ!!」

短剣の剣先が屆く寸々に霊王との僅かな隙間に一瞬にして壁が生じた。

迷宮を自在に造り替えられると言うのは非常に厄介なモノだ。

このまま行けば確実にぶつかり、この攻撃は屆くことはない。

そう思ったのだが、突然、眼が熱く燃えるような覚に陥る――

そして――ドゴオオォォォォォォンッッ!!!と音を立てて壁が砕け散る。

破壊を行ったのは紛れもなく俺自だ。正確には魔眼さんによって使用された、

名付けて目からビーム攻撃の結果がこれだ。

自分の眼から飛び出したモノだが心かなり驚きつつも、攻撃を続行する。

砕け行く壁の奧にノイの姿をしっかりと捉え、剣先心臓目掛けて突き刺す――

「ガハッ――」

しっかりと短剣はノイの心臓へと突き刺さり、彼から聲がれる。

両手が力なく下がり頭もガクンと下を向いた――が、

「……ボクがぁ、心臓を刺された如きでやられると思ったぁ?!殘念でしたぁ!

負けたのはソラ君の方なんだよぉ!!」

ガバッとだらしなく下がっていた手が力強く俺のを摑み拘束する。

前を向いた彼の表は心底楽しんでいると言う事が伝わってくるほどの狂ったような笑みだ。

力を込めて拘束からの出を試みるが、くことはなかった。

手のみの拘束だと言うのに抜け出せない。単純にこれは力の差というものだろう。

基礎能力が違うのだ。これは今までの課題でもあり今後の課題でもある。

――背後から巨大な魔力反応確認。どうやらこれで勝った気でいるようですね。

愚かと言いますかなんとも可哀そうな方ですね。此処は私たちも使えるモノを使うとしましょう。

相手が迷宮そのものならば此方はそれに対抗できる戦力をぶつけるまでです。

良い出番が來ましたよ骸骨達、全力で守ってください。

完全に後ろを取られきを封じられたと言うのに、魔眼さんの態度は変わらない。

「えぇ!?ちょっとなにそれぇ!そんなの知らないよぉ!!」

背後で更なる脅威の存在をじ取る。魔眼さんの指示によって骸骨さんたちがそこに姿を現したのだ。

霊王がどんな攻撃を仕掛けようとしていたのかは分からないが、

骸骨さんほぼ全員の力の前では流石に迷宮とは言えその壁を突破することはできない。

ノイの表がみるみるに変わっていくが、それはどこか楽し気な表にも見えた。

「ふっははははは!どうした霊王よ!あれも俺の力の一つだ!何を呆けている?

次の行に移らないと負けるのはお前の方だぞ?」

一応一対一という戦いだが、決して俺はズルをしている訳ではない。

骸骨さんたちは確かにそれぞれ意思を持った存在だが、此方が支持を出せば間違いなくその通りにく。

これは実質俺の力と言っても過言ではない。

「本當にソラ君は面白い人だよぉ……あの時のようにソラ君はぁ

當たり前の様にボクから勝利を奪っていくんだぁ……でもねぇ、まだだよぉ?

この數年間でボクは更なる力を手にれたんだ――」

――右手にほぼ全ての魔力を確認、今すぐに離れることを推奨。

この迷宮全てに影響を及ぼす力だと推測します。

って、そうでした力のない誰かさんはけないのでしたね。仕方がありません。

し気が引けますがどうせ大丈夫でしょう。骸骨の出番ですよ。

「ぅ!」

何が起こるのか、そう考えた時には既に事はいてしまっていた。

骸骨さんの一人が隣に來たかと思うと手刀を使いいともたやすくノイの腕を切り落としてしまった。

力がっていた腕が制を失い地面に転がる。鮮のシャワーが降り注ぐが、此方が汚れることはない。

ふらふらとよろめきつつも霊王は距離を取った。

「全く酷いなぁ、魔力がすっからかんだよぉ」

そんな臺詞を吐きながら彼の右腕は再生する。肩から先がスライムの様に溶け始め、

腕を構していき、數秒後には元通りになっていた。

良く見慣れたと言うか、使い慣れた能力だ。

「何をしようとしていたのかは知らないが、阻止された時點でお前の力不足だ」

骸骨さんと魔眼さんが居なければ何もできなかったと言う事実は緒だ。

「……はぁ、僕の負けだねぇ」

頬を膨らませ明らかに納得が行っていないと言う顔をしているが、負けを宣言した。

正直に言ってまだ戦い足りないと言うのは此方も同じ気持ちだ。

「良いのか?まだ戦い足りないのではないか?」

「うん、まぁそうなんだけどぉ、魔力がなくなちゃったしぃ、

よくよく考えればさっき使おうとした技はぁ、ソラ君に使うべきモノじゃなかったよぉ、

アレは敵に使うべき力だからねぇ、助かったよぉ。その點も含めぇ今回はぁ僕の負けぇ」

し申し訳なさそうな表を浮かべ聲のトーンが下がった。

どうやらその場の勢いで本當にとんでもない攻撃を仕掛けようとしていた様だ。

魔眼さんと骸骨さんの連攜によりそれは阻止されたが結果的には俺の事もノイの事も救ったようだ。

「そうか、それで納得するならば俺はそれで構わない。その力とやらは今度見せてもらうとしよう。

それほど言うのだから期待して良いのだろうな?霊王ノイよ」

「ふふ、當たり前じゃぁないかぁ!期待してくれていいよぉ!」

期待をしている旨を伝えるだけで表が明るくなった。

相変わらず単純な奴だ。

「それにしても、お前と堂々と戦ったのはこれが初めてだよな。

迷宮事態が攻撃手段とはなかなか驚かされたぞ。流石だな霊王よ。

これからはその力を存分に見せてはくれないか?」

「ふふふぅ、良いよぉ、ボクはぁソラ君の事を此処で待っていたんだぁ、

やっと一緒に旅に出れるって考えるとぉ、凄くわくわくするねぇ!」

「ふっ、そうか、それは良かった。またよろしく頼むぞ」

再會とこれからの旅の事を含め手を差し出し握手を求める。

「うん、よろしくねぇ……それにしても隨分と小さくなったねぇ、

々な呪いが掛かっている様だけどぉ、長の呪いだけでも解除してあげようかぁ?」

「何!?」

予想もしていなかったノイの発言に目を見開き勢いよく肩を摑む。

數百年かけて長していくしかないと諦めかけていたが、それが解決するかもしれないのだ。

落ち著いては居られない。エキサラにはし申し訳ないが、長の呪いを解除できるならばしてほしい。

「お、落ち著いてよぉ、なんか々と掛かっててぇ、わけわからないけどぉ、

長の呪いならぁ、僕も使えるからぁ解除出來るよぉ、他のは怖いかららないけどねぇ」

「やってくれ!頼む、一生のお願いと言っても過言ではない!」

「う、うん。勿論良いけどぉ、こんなことに一生の願いを使うのはぁ駄目だよぉ」

「本當か!!ありがとう!!俺からしてみれば本當に一生モノの悩みだったんだよ!」

「そうなのぉ?まぁ、此処に座っててねぇ」

「ああ!」

どのようにして解除するのかは知らないが、そんなことは気にならない程嬉しい。

わくわくしながらその場に正座をする。ノイの手が頭の上に置かれる。

「この呪いはねぇ、掛けた時點の容姿を固定するっていうモノなんだけどぉ、

理解さえしてしまえば意外と簡単な仕組みなんだよねぇ……あれぇ?」

「ん?どうかしたのか?」

「ん~簡単に出來ると思ったんだけどぉ……ちょっとボクが知ってる呪いとは違うみたいぃ……

でもぉ、手を加えて変更することは出來るよぉ、例えばぁ、固定される容姿を今から10年経った時の姿とかぁ」

「それでも全然かまないぞ!という事は10年間は普通の人間と同じ様に長していくってことだよな?」

解除できないのはし殘念だが、もし今から10年間も長できると言うのならば十分すぎるものだ。

10年もあればそこそこ目標に近付けるだろう。

「そうなるねぇ、10年間は普通に長してぇ、10年後のソラ君の姿で長が止まるじかなぁ。

それでも良いなら出來るよぉ?10年でもぉ20年でもぉ、どうするぅ?」

「そうだな……」

10年、20年と決められる事が出來てし迷いが生じる。

正直に言って自分の誕生日と今の日時を知らない為、10年後何歳になっているのかは不明だ。

恐らく15~17歳の間だとは思うが……そう考えるとやはり10年が丁度良いのかもしれない。

「やはり10年で頼みたい。それで長が目標まで行かなければそれが運命なのだと認めるさ」

「そっかぁ、じゃあ10年後になるように弄るねぇ~」

呪いを弄ると言う恐ろしい行だが、今はそれがとても嬉しくて仕方がない。

これで明日からチビと言われても直ぐに大きくなるさと言う気持ちになれる。

もう、何にも負ける気がしない。そんな気持ちを強く抱く。

「はぁい、終わったよぉ」

「おお、本當か!凄く助かる。流石だな……さて、そろそろあいつ等の方に戻らないとな」

「そうだねぇ、ボクも一緒にいくよぉ~」

二人で仲良く橫に並び、先ほどから放置していた後方にいる二人の下に向かうのであった。

「お帰りなさい、お二人ともお疲れ様です」

戻るとスラがニッコリと笑みを浮かべ、冷えたタオルを渡してきてくれた。

本當にいつの間に、用意しているのか、気が利くスライムになってしまって……俺は嬉しいよ。

「なかなか面白い戦いだったぞ。ソラが今まで以上にいきいきとしていたな」

「ん、そうだな、久々に廚二を前面に出して戦ってみたが、なかなか良いモノだ。

久々の所為であまり全盛期の様な廚二は出せなかったが、まぁ、良いだろう」

魔眼さんに言われるがまま廚二全開の姿でやってみたのだが、やはり気分が良いものだ。

これからもこのスタイルでやっていこうか、まだまだ本調子ではないが、

そのうち全盛期並みに廚二が戻ってくることを願おう。

「スラの事は分かるけどぉ、コレは何ぃ?」

ポチの事を人とは言わずにコレ呼ばわりをする。

人ではない事は分かっているが、その正が摑めていない様だ。

敵意を向けてはいないが、明らかに不振がっているのは見ているだけでわかる。

「俺がこの數年間世話になったポチさんだ。仲間だから仲良くするんだぞ」

「ふ~ん、そうなんだぁ。そういうことだったらぁ、仲良くするよぉ。

ボクはぁ、霊王のノイって言うんだぁ。よろしくねぇ~」

もうし駄々をこねたりするのかと思ったが、そんなことは無くすんなりと認め、

ポチに手を差し出し握手を求めた。

これは長とみて良いのか、それとも単にノイの事を子どもとばかり見ていただけなのだろうか。

「ふむ、我はポチだ。強い者は嫌いではない。よろしく頼む」

ポチさんも珍しく無駄口を叩かずに握手をわした。

強者同士は惹かれ合うモノなのだろうか。何はともあれ良いことだ。

スラからもらったタオルで何となく顔を拭う。

汚れなど一切ついては居ないが、何となくだ。

「それにしてもソラの戦い方は何だか昨日とは違いましたね」

「ん、そう見えたか?」

「確かにそうだな。見ていて面白い戦いだったが、何時ものソラではないじがした」

「僕はあまり分からなかったけどぉ、なんか変わったのかいぃ?」

三人から指摘され、魔眼さんに主導権を譲っただけで気付かれるモノなのだなと心する。

あまり意識はしていなかったが、ノイを除きこの二人は良く俺の事を見ているらしい。

「まぁ、今日はし戦い方を変えたと言うか、一部スキルに任せて戦ってみたんだが、

俺としてはなかなかうまく戦えていたと思うのだが、どうだった?」

初めて魔眼さんに主導権を渡した割には上手く連攜を取れていたと思う。

実際どうだったかと魔眼さんに聞くとぼろくそに言われしまうので魔眼さんには聞きはしない。

「ボクの攻撃がぁ全然當たらなくてぇ凄くイライラしたなぁ、

この數年間で結構強くなったつもりだったんだけどぉ、自信がなくなるよぉ」

「ふっ、確かにお前も強くなったが、俺もこの數年間死ぬ気で努力してきたからな。

でもまぁ、正直に言ってスキルに頼らなかったら俺は負けていたかも知れん。

霊王ノイよ、お前は確実に強くなっている。それは誇ってよい事だぞ」

正直に言って今回の戦いは、魔眼さんと骸骨さんが居たから勝てた様なモノだ。

長期戦になれば死ぬことが出來ない此方が勝つことを考えなけば確実に負けていた。

迷宮事態が攻撃手段とか普通に考えて勝てる訳がないのだ。

昔の間を蹴り上げて泣いていた頃の霊王とは違う。

「えへへぇ、そうかなぁ」

褒められて嬉しいのか、デレデレしているノイに軽蔑の様な視線を向けてスラが口を開く。

「攻撃を全て読み切っていてとても人間業ではないと思いました。

最初からその場所にどのような攻撃が來るのか、全てを分かっているきをしていました。

もしかして未來予知的な何かを使えるのですか?」

「ああ、中々良い線だ。未來予知とまでは行かないが、攻撃の軌道が読み取れるとでも言って置こうか。

俺にはその軌道が見えている。だからノイの攻撃を全て避ける事が出來たのだ。

普段も使ってはいるのだが、し甘くてな、今日はそのスキルに眼を任せて戦ったんだ」

「そうなんですか、それは強力なスキルですね。でも大丈夫なんですか?スキルに眼を任せるなんて……」

もっともな事だ。眼、かなり重要な部分をスキルに任せて使わすなど正気とは思えない。

俺の場合は魔眼さんと付き合いが長く、コミュニケーションも取れ、

更にたとえ眼を損失したとしても回復する為、特に心配することは無かった。

「問題は無い。言っても信じ難いとは思うが、このスキルは魔眼と言ってな、

大魔王エリルスの部下、悪魔だ。しっかりコミュニケーションも取れるし、

付き合いもかなり長い。ずっと一緒にいるからな、信頼関係はかなり築けている」

魔眼さんとの出會いはスラとほぼ同じくらいだが、共に過ごした時間は斷トツ魔眼さんが一番だ。

改めてそう考えると付き合いが長いモノだ。

「ソラがそこまで言うなら安心ですね」

「その様な力があったとはな、何となくじ取ってはいたが、驚いたぞ。

今度その力を使ったソラと戦ってみたいものだ」

「ほう、良い度だ。魔眼さんの力を甘く見ない方が良いぞ。かなり怖い」

「……それはソラの気持ちだろ」

「……」

言うつもりなかった本音の言葉がポロリと零れてしまい、なんとも言えない気持ちになってしまった。

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