《勇者になれなかった俺は異世界で》魔の國
日付が変わり、俺たちは魔の國を目指し只管歩き続けていた。
殘念なことにエリルスの記憶にはその魔の國とやらは乗っていない為、
完全に報だけを頼りにして足を進める。
森を超え渓谷を超え、砂漠地帯を抜け、火山を抜け……
兎に角事前にスラが用意してくれていた報を頼りに歩き続ける。
結構人里から離れている為、既に人間の姿から魔の姿になっている。
ポチはフェンリル、スラはスライム、ノイは半明な霊の形に、そして俺はゴブリンだ。
現在、ゴブリン、スライム、霊はフェンリルの上に乗りながらかなりの速度で移中だ。
醜い姿になってしまったが、ポチのもふもふをじている間は幸せな気分になり
そんな事はどうでもよくなってしまっている。
「なぁ、ノイのその姿ってどうなんだ?」
「ん~なにがだいぃ?」
「その魔とは言い難い姿の事だ」
現在のノイの姿は半明な霊。そもそも霊は魔に分類されないのだが、
その事を全く気にしていない様だ。
「えぇ、この僕がぁ魔にぃならないといけないのぉ?」
「當たり前だ……」
何故自分だけ特別だと思ったのか。思わず肩をすくめてしまう。
「そうだ、お前もゴブリンになるのはどうだ?ゴブリンは良いぞ?
見た目は醜いかも知れないがが結構敏になってポチの並みを全でできるぞ」
「なぁに言ってるのぉ?あくまで姿を変えてるだけだからぁ、
それは気のせいだよぉ。それにぃ、このぉ霊王がぁそんな醜い姿になる訳ないじゃぁん」
次は心底呆れたと言わんばかりにノイが肩をすくめる。
非常に腹立たしいが、確かにノイは霊王だ。霊としてのプライドがあるのだろう。
本當は無理やりにでもゴブリンにしてやりたいが、此処で彼の機嫌を損ねてしまえば
俺の姿がゴブリン以上にひどいモノになってしまう危険がある為、此処は我慢だ。
「はぁ、ノイ、極力問題を起こさないようにって言いましたよね?
その姿で行くと確実に問題が起きると思わないんですか?
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霊王ともあろう者がそんな簡単な事すらも分からないんですか?」
「でもぉ……」
「でもじゃないです。迷掛けるなら置いていきますよ」
「うぅ……わかったよぉ……」
俺に代わってスラがノイにガツンと言ってくれた。
スラに対して何も言い返せなくなってる所を見るだけでこの五年間で
スラには非常に迷を掛けてしまったのだと反省する。
自由人のノイを言葉だけで大人しくさせるまで行くには相當苦労したはずだ。
「良いですか?ノイもソラと同じようにゴブリンになりなさい」
「えぇ、でもぉ……」
「でもじゃないです!早くしてください。誰に見られているかもわからないんです。
面倒ごとになる前に、さぁ、早く」
「うぅ……」
スラが放つ圧により、遂に変にプライドが高いノイがゴブリンにを墮とした。
先ほどまではルンルンとこいつに悩みでもあるのかと言う程楽しそうな表をしていたが、
今はゴブリンの顔と言う事もあり、非常に落ち込んでしまっている様だ。
「ごめんねぇ……ゴブリンってぇこんなにも醜いんだねぇ……ごめんねぇ……」
自らゴブリンになったことでやっと此方の気持ちがわかったのだろう。
小さな聲で何度も謝罪の言葉を口にしていた。
姿が変わるだけで此処まで弱々しくなってしまうモノなのか……
そんな小さくなってしまった彼の方にポンと手を置く。
「こんな見た目になってしまったが、俺たちは仲間だからな二人で頑張ろうな」
「うん……」
同じゴブリンになったもの同士仲良くしようと二人寄り添う。
こんなことになってしまった原因は俺にある。
俺がゴブリンで良いなんて言わなければきっと今頃……
「ごめんな……」
「ごめんねぇ……」
「なんですか二人して……早く切り替えてください」
『おい、ふざけるのも良いが、そろそろやめて置け』
「ん?」
急にポチの聲が響き、一瞬にして気分を切り替える。
ポチの首辺りに移する。二人して寄り添っていた為、俺が移したことにより、
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支えを失ったノイがポゲぇと変な聲を発しながらもふもふのに倒れ込んで行った。
「確かにそれっぽいな、魔共の気配だらけだ」
遠方だが、うっすらと発展した國の様なモノを確認した。
數えきれないほどの魔の気配をじ取れることからあれは噂の國で間違いないだろう。
人間の國の様に周囲に壁があるわけではなく、普通に道が続いており、
どこからでも容易に侵できそうな造りになっている。
「此処からは気を引き締めて行きましょう」
「そうだねぇ」
慎重に進む、と言っても流石に慎重すぎるのも怪しまれる原因になりかねない。
程よく全を警戒しつつ進んでいく。
「ほう……これはし意外だな」
魔の國と言われ、想像したのは大して文明が発達しておらず、
その日を越すのが一杯で贅沢な生活は送っていない。そんな生活だった。
だが、目の前に広がるのは文明だ。
道はしっかりと整備されており、石煉瓦が敷き詰められている。
家の造りも藁とかではなくしっかりと木材や石を利用し、頑丈な造りになっている。
城はないモノの今まで行ったこのある國とさほど変わりはしない。
普通に人間たちが暮らしていると言われても何も疑わずに信じてしまう事だろう。
だが、実際はそのに住まうのは魔たちだ。
現に國に足を踏みれてから魔の姿しか見えない。
俺と同じ様にゴブリンの姿もあれば、ミノタウロスがいたり、オークまでもがいる。
それにエリルスの記憶にも存在しない魔も多數存在しているようだ。
「凄いねぇ……」
「ああ、此処までとは驚きだ」
「流石に此処まで発展しているとは知りませんでした。
ギルドにも一切流れて來ていない報です」
あの自分大好きで周りに特に関心を持たないノイでさえ、
この魔の國を評価している。
「だけどぉ、言語はバラバラだねぇ……」
「まぁ、それは仕方ない事だろ。まだ出來て間もないんだ
だが、そう遠くないに言語も統一されていくのだろうな」
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種族が多ければその分飛びう言語も多くなる。
エリルスのおで飛びう言語の殆どを理解出來てしまう為、
特に不憫さはじていないが、殆どの者が飛びっている言葉を理解していないのだろう。
と言っても世間話ばかりだ。特に気になる様な話題はない。
「取り敢えず、宿を探しましょう。お願いしますね」
ポチに乗ったまま宿を探す。これだけ栄えているのだ、宿ぐらいあるだろう。
逆に此処まで人間同様の暮らしをしていて宿が無かったら驚きだ。
知のある魔全員がこの國に留まっている訳ではない。
そういう者たち向けに宿は存在しているだろう。
『流石に魔の言語はわからんぞ』
「えっと、右の二軒目が多分宿屋だと思うぞ」
『うむ』
流石は魔の國だ。手が使えない魔も多數いるため、
ドアなどは設置されておらず玄関は常に空いている様だ。
セキュリティ面がし気になる。
普通の家に目をやればしっかりとドアが設置されている。
どうやら場所によるようだ。
「珍しいお客さんだ」
宿屋の中にるとカウンターにはオークが立っていた。
一瞬びっくりしてしまったが、そうだ、此処は魔の國なのだ。
店員が魔なのは當たり前なのだ。
さて、問題は此処からだ。
俺たちの今の姿は、フェンリル、ゴブリン、ゴブリン、スライムだ。
この中で一番知があるとすればフェンリルなのだが、
殘念なことにうちのポチさんは此方の魔の言葉は喋れない。
じゃあ、誰が喋るのか……あらゆる言語が理解出來て喋ることもできる。
そんなのはこの中に一人しかいない……
「言葉分かるか?」
「大丈夫だ。理解できる。取り敢えず三日此処に泊まりたいんだが、空いているか?
……そもそも、此処は宿屋と言う認識で間違ってはいないだろうか」
ゴブリンが余りにも流暢にオークの言葉を話したからだろう。
店員は呆気にとられ暫し沈黙が流れた。
「あ、ああ、此処は宿屋で間違っていない。
それにしても驚いたな。ゴブリンが俺たちの言葉を喋るとは……
大丈夫だ、何日でも泊っていくが良い、客はないんでな」
「有り難う。ちなみにこの國に來たのは初めてなんだが、
通貨はどのようなモノを使っているのだ?」
折角會話できる機會なのだ、出來るだけ気になることは聞いておきたい。
一番の問題點である通貨についてだ。
この國に居る以上はある程度この國の決まりに従わなければならない。
「ここでは魔力を通貨としているぞ。
珍しい客だ。一泊500魔力で構わない」
「なるほどな、では先に三泊分の魔力を支払うとしよう」
俺たち人間はお金でやり取りをするが、魔たちにそんなものは必要ない。
魔力が必要と言われた方がよっぽど合理的で納得が出來る。
「じゃあ、この水晶に魔力を送ってくれ」
「ああ、この魔力は一何に使われるんだ?」
「俺は普通に生活する為に取り引きしたりするが、
中には自らに魔力を取り込んで力にしている奴もいるようだ」
「なるほどな、面白い仕組みだ」
ポチの上に立ち水晶に魔力を込める。
三日で1500魔力、正直魔力の管理など気にしてやったことはないが、
しだけ送り込めば大それぐらいになるだろう。
「おいおいおい!三日分で良いんだぞ!軽く3萬はあるぞこれ!」
「あー……じゃあそれだけ支払うから、その分泊めてくれよ。
ずっと此処に居るとは限らないが、別に返さなくて良いからな」
「お、おおそうか……こちらとしては非常に助かるのだが、お前は大丈夫なのか?」
「ああ、結構魔力はある方なのでな、問題はない」
「そうか、なら良いんだが……まぁ、部屋に案する。
扉あり部屋でも問題はないよな」
「ああ、扉在りの方が助かる」
案された部屋は此処もまた人間の宿と変わりはなかった。
と言ってもベッドははなく、床に布団が敷いてある形だ。
それでも十分過ぎる設備だ。
「それにしても不思議な國ですね」
店員がいなくなり、それぞれが寛いでいる中、スラがそう発言した。
「そうだねぇ、魔の國のくせにぃ……」
「人間の國にしかないモノが多すぎます。
人間の國をよく観察して作ったのか、それとも人間が関わっているのか
どちらにせよ、裏に何かしらありそうですね」
スラの言う通り、あまりにも俺たちの國に近いのだ。
確実に人間が関わっているのは間違いないとみて良いだろう。
「一番気になるのはこの國を統率しているのが何者なのかという事ですね。
これだけの魔をまとめているからにはかなりの力の持ち主でしょう」
「この國に手を貸している何者かがいる……ね、
まぁ、そっちも面白そうだけどそれは後々だな、取り敢えず今はこの國の観察が優先だ。
早めに理解して一日の流れを作っておきたい」
この國について々と気になることがあるが、それを調べるのは今ではない。
此処で報収集をするならばまずこの國を観察する必要がある。
最優先で知りたいのは酒場の位置と出口。この二つだ。
前者は此処に來た目的でもある報収集を行うためだ。
後者は萬が一に備えてスムーズに出できるようにだ。
最悪の場合はスキル等を使用する為、そこまで優先度は高くはない。
「そうですね、食料の確保もしたいですし、外出しましょう」
「通貨が魔力ならぁ、僕たちぃ困ることはなさそうだよねぇ」
「そうだな。だが、無駄遣いはあまりするなよ。
いざと言うときに魔力が無いなんてことは許されんぞ」
「わかってるよぉだぁ」
今さっき宿代としてかなり魔力を無駄に支払った俺が言うのもなんだが、
無駄遣いは良くない。それにノイなら本當に余計なモノばかり買ってきそうだ。
「外出する際は二手に分かれてみませんか?
悪く思わないでしいんですが、ポチさんのその姿はし目立ってしまっている様です。
國してから結構な視線がポチさんに向けられていましたからね」
「そうだな……正直ポチを一人にするのは怖いから俺と一緒に行してもらう。
俺たちは報収集する場を探す。
ノイとスラは二人でこの國の出り口を確認してくれないか?
勿論、買いとかもしてもらっては構わない」
どうせ二手に分かれるなら最優先目的である二つを達してしまいたい。
目立たないスラとノイに出り口を確認してもらおう。
流石に目立っているポチが出り口をうろうろしていたら怪しまれてしまう。
「はい、わかりました。出り口を確認しながら食料を確保してきますね」
「ああ、そっちは任せたぞ。ノイ、お前もしっかりな」
「わかってるよぉ!僕だってやるときはやるんだよぉ」
ゴブリン姿のノイはを張ってそう発言する。
まぁ、スラが一緒の為サボることはできないと思うが……
そんなことを想っている間にささっと支度を済ませ、
スライムとゴブリンが部屋から出て行き、部屋の中にゴブリンとフェンリルが殘された。
『何だか我の事を一人にすると怖いとか言っていた気がするのだが、
それは一どういう意味で言ったのか説明してもらおうか』
「……今まで黙っていたかと思えば初っ端からそれか。まぁ、その、アレだ……
ポチのその立派な並みを見たら良からぬ考えをした輩が寄って來るかもだろ?
正直、俺や仲間以外がポチのモフモフを堪能するのは耐えがたいからな」
ポチの機嫌が悪くならないように理由を即座に創り上げる。
本當は一人にしたら暴れそうで怖いなんてことは心の奧底にしまっておこう。
『ほう、本當にそうなのか非常に怪しいが……まぁ、そう言う事にしておいてやろう』
ふんっとゴブリン姿の俺の小さな顔をポチの鼻先で弾かれる。
っている鼻がれしヒンヤリとして気持ちが良い。
『ほれ、乗れ。さっさと行くぞ』
「ああ、そうだな、よろしくな」
モフンとポチの上に乗り宿屋を後にする。
外に出た瞬間、道行く魔たちの視線が一斉に此方に向くが、直ぐに視線を逸らす。
やはりポチの姿は目立ちすぎてしまっているのだろうか。
それともこうして俺がポチの上に乗っているのが原因なのだろうか。
何はともあれ極力怪しまれるような行は控えた方が良い。
「ポチ、あまり怪しまれそうな行は控えてくれよ」
『わかっている、初日で暴れたりはしないさ。
取り敢えず適當に歩くから気になるところがあれば言ってくれ』
「はいよ」
姿は違えど周囲からの視線と言うものは慣れている。
特に気にすることは無くポチと俺は歩き続ける。
しっかりと整備されており、魔の姿を視界にれなければ何の違和もない國だ。
建築もかなり多い、店も幾つかあるようだが家の様な建が非常に多くみられる。
中に本當に住んでいるのかは分からないが、建築の數以上魔が居ると考えて良いだろう。
『ソラよ、酒の匂いが強いぞ。あそこはどうだ?』
「ん~良くわかるな。酒場かも知れないな行ってみようか」
ポチが言う酒の匂いはじることはできなかったが、
ドアがない建造をひょっこりと覗いてみると、そこには沢山の魔の姿があった。
樽の様なモノを椅子にして木製の機の上に料理や飲みが置かれている。
食なども木製の様だ。飲みは何かはわからないが、料理は見ただけでわかる。
あれはゲテモノだ。恐らく魚料理だろう。
だが、その見た目がもう俺たちが良く口にするものとは離れているのだ。
あれは魚の皮のなのだろうか、それともなのだろうか、が紫なのだ。
頭も付いており、鋭い牙が生え、目玉は大きく飛び出ている。
今は調理されて眼玉は白くなっているが、あんなのが泳いでいて出會ってしまったら
恐らく一瞬で逃げだすか、反的に倒してしまっているだろう。
間違っても食べてみようだなんて思わない。
「酒場で間違いなさそうだな」
『どうするるか?』
「そうだな、結構早めに見つけたことだし、しだけってみるか
もし絡まれても今回は耐えてくれよ」
『場合によるな』
そんな不安な返事をけ、ゆっくりと酒場に足を踏みれる。
皆良いじに酒がり気持ちが良くなっているのだろう。
楽しそうな話聲が飛びがう。外の様に此方に視線を向けてくる者は非常にない。
空席にたどり著き、ポチは地面にお座りする形になり、俺は樽の上に腰を下ろした。
すると店員がすぐさまやってきた。
控えめの図のサイクロプスさんだ。
大きな眼で俺とポチの事をジロリとみてからゴブリンの方を見て口を開く
「注文は?」
様々な魔が居るのにどうやって注文とかをするのかと思っていたが、
どうやらこのサイクロプスさんはかなりの知能を持っている様だ。
今こうしてゴブリンの言葉で話しかけている様に言語を使い分けているのだろう。
「初めてだから、店員さんのおすすめの飲みを二つ」
「分かった」
非常にドライなじだが、店員と客の関係はこれが一番かもしれない。
深くは関わらない。互いに平等な関係。問題を起きないようにするのにはこれが一番賢い。
飲みだけの注文の為直ぐにやってきた。
木製のコップにった青の、ポチの方は低めの容に同じものがっていた。
「200だ」
そう言って掌を向けて來た。
「ん、ああ、魔力か……はいよ」
「け取った」
急に掌を向けられ200と言われ一瞬だけ迷ったが、直ぐにそれを理解して魔力を支払う。
流石に先ほどミスしたことをまたミスする程愚かではない。
しっかりと200魔力を支払うと、店員は直ぐに消えて行った。
「ポチ、先に飲んで良いぞ」
『……我に毒見をしろと言うのか?ソラよ、萬が一これが毒でもお前には効かないのだろう?』
「それを言うならお前もだろ、ポチさんやい……同時に飲むか」
『そうだな』
二人で一度顔を見て頷き、同時に飲みをに流し込む。
「強炭酸の柑橘系の味……」
『我は嫌いではないぞ』
鼻からアルコールの匂いが抜ける、やはりお酒の様だ。
一口飲んだだけでもう満足してしまったが、ポチは気にった様だ。
ペロペロと何度も何度も口に運んでいる。
「俺はちょっと苦手だ。これも飲んでおくれ」
『そうか、任せろ』QW
ポチの容に飲みを注ぎ、俺は周囲の會話に耳を傾ける。
流石に酒場となればんな會話が飛びっており暇することはない。
だが、これと言って気になる容は無く、ポチの飲みも無くなって來た為、
かなり早いが今日はもう帰ろうかと思っていたのだが――
『ソラよ、右後ろ、二番目の席、殺気を向けられているぞ。どうする?』
先ほどから気になってはいたが、なぜか此方に向けて殺気を飛ばしてきている者がいるのだ。
「どうするって言われてもなぁ、問題事は起こしたくないしさっさと帰りますよ」
『わかった……しだけ悪戯していこう』
「……全くお前ってやつは……絶対バレるなよ」
まだポチが飲みを飲んでいるが背中によじ登るようにしてくっ付く。
そして最後の一滴と飲み干した瞬間、ポチのは一瞬にしてき出す。
出口に向かうついでに殺気を向けて來ていた魔の飲みを倒してから外に出る。
怒聲の様な悲鳴が聞こえたがポチがやったとは誰も思うことはない。
やることが小さいが、まぁこれぐらいなら問題にならないだろう。
「ドレイクか、初めて見たな……さ、戻ろうか」
『そうだな、追跡されても面倒だ。さっさと行くか』
宿に帰ると既にスラとノイは帰宅済みだったようで買ってきた食料品の整理をしていた。
あの小さな図でどうやって大量の食料品を持って帰ってきた思ったのだが、
どうやらスラのに収納していたみたいだ。
「おかえりなさい」
「ただいま。そっちは上手くいったか?」
「はい、出口として利用されてるのは全部で三ヵ所ありました。
あとで地図を描いてお渡ししますね。後は々なお店を回ったのですが、
上手いように言語の壁を乗り越えている様でした。
まぁ、と言っても振り手振りでやり取りをしていましたね」
「なるほどな、言語を統一するのには時間が掛かるからな。
簡単で手っ取り早く殆どの魔に通用する。今はそれが正解だ」
酒場の店員の様に努力をして客にあわせて言語を使用する者の方が數なのだろう。
大半の人間は振り手振りでやりくりをしている。
俺もエリルスがいなければ後者の方を選んで々とやり取りをしていただろう。
「ああ、それと、何だか敵意がある視線を幾つかじました。
姿までは確認していませんが、なくても3人はいたと思いますね。
しっかりと撒いたので尾行はされていませんので安心してください」
「なるほどな。ちなみに俺たちもそのような輩に出會ったぞ」
スラやノイにも敵意が向けられていたのならば、原因はポチではない様だ。
単に新參者の顔が珍しくてちょっかいを出してきているだけなのか、
それとも俺たちが知らない何かしらの理由があるのか。
スラ達の方の相手もドレイクだったのだろうか、々と気になることはあるが、
警戒する程度で十分だろう。
「一応これからも警戒は怠るなよ。それと俺たちの方は酒場を見つけたぞ。
だが、當然と言えばそうなんだが言語がぐちゃぐちゃだ。
あそこで報収集を行えるのは俺しかいないだろう
今後、俺はあの酒場を中心に活したいと考えている」
この中であらゆる言語を理解できるのは俺ぐらいだ。
その次にノイ、スラと言うじだ。
「そうですね、それはソラが一番適任でしょう。
では、私たちは何をすれば良いでしょうか」
「そうだな……報収集は言語の壁がある此処では難しいだろうから……」
正直に言って言語の壁がある以上この國での活はかなり制限されてしまう。
俺が報収集している間留守番と言うのも可哀そうだ。
何か良い案はないだろうか……そう考えていると何やらソワソワしているノイの姿が目にった。
何かを言い多いのだろう。こちらの様子を伺っては口をもごもごさせていた。
「ノイ、何か言いたいことがあるのか?」
「んとねぇ、面白い報を耳にしたんだけどぉ、聞きたいぃ?」
良くぞ聞いてくれました言わんばかりにニンマリと笑みを浮かべる。
非常に憎たらしく、ゴブリンの顔も相まってぶん毆ってやりたい気持ちになる。
だが、ノイから憎たらしさを奪ってしまったら何も殘らないので
此処はグッと抑え殺してノイの話を大人しく聞いてみることにした。
「なんだ、言ってみろ」
「ハーピー族の子が言ってたんだけどぉ、この國にぃ魔王ぅ?大魔王ぅ?
がいるらしんだよねぇ。これってかなり面白いと思わないぃ?」
「お前な、魔王と大魔王だと大きな差があるんだぞ?」
「だってぇ、よく聞き取れなかったんだもん~」
魔王か大魔王とでは戦力的にも影響力的にも大きな差がある。
此処は魔の國なのからその王が居ても不思議ではない。
問題とするならば、それがどの魔王、または大魔王なのかと言う點だ。
もしエリルス側の魔王ならば良いのだが、その可能は低いだろう。
魔王レベルになれば幾ら上手く魔に化けようがバレる可能が高い。
極力會うのは避けて通りたい。
「極力目を付けられないように行をしてくれ。
近頃は新魔王軍だとか言う良く分からない魔王もいるようだからな。
萬が一戦闘になったとしてもお前たちなら負けることはないと思うが、
一応そうなったとしても全力で逃げてくれ」
「えぇ~逃げないといけないのぉ?倒しちゃってもいいじゃん~」
「……もし新魔王軍ならば出來れば生かしてしておいて報を手にれたい。
手加減出來るならば別に戦っても良いが長引かせるなよ?
出來るだけ穏便に周りに気付かれて騒ぎになる前に
終わらせることが出來るならば、戦っても良いぞ」
ブーブーと文句を垂れるノイに呆れた眼を向けるスラ。
その気持ち非常に分かるが、正直ノイの気持ちもわかってしまうのだ。
魔王が目の前に居て、尚且つ相手から攻撃を仕掛けてきたら戦うなと言う方が無理だ。
ノイならば魔王程度が相手なら長引くこともないだろう。
問題は相手が大魔王だった時の場合だ。
大魔王の強さは未知數だ。エリルスの強さでさえ分からないと言うのに、
その他の大魔王の力など知る由もない。
記憶にも一応あるといえばあるのだが、よっぽど興味がないのか、
魔の報よりもない。
「ちなみに、大魔王だった時は絶対に一人では手を出すな」
「大丈夫だよぉ~いざって時は即席迷宮を創って逃げちゃうからねぇ~」
「……」
即席迷宮とか言う良く分からないが、兎に角そんなことをしてしまえば目立つ。
本當に大魔王との爭いは極力控えてしいものだ。
エリルスにも迷が掛かってしまいそうだしな。
「スラ、ノイの事頼んだぞ」
「はい、お任せください。いざと言うときはぶん毆ってでも止めますから」
「ちょっとぉ~僕も仲間だよぉ?ひどく無いぃ?」
「もうし大人になったらどうですか?」
「何ぃ?」
ノイの事はスラに任せるとして先ほどから暇そうに地面にびているポチに視線を向ける。
大きなあくびをしている所悪いが、モフモフのに背中を預けて地面に座る。
大きな尾がわさわさとき心地の良い風が送られてくる。
「ポチはどうする?俺と著てもかなり退屈になると思うから
スラ達と一緒に行するか?」
これまでもそうだったように、ポチにとっては報収集は退屈なものだ。
『萬が一、ソラに危害を及ぼそうとしてくる輩が出てきたらどうするつもりだ?
この國には我等に殺意を向けて來る輩も複數いるのだぞ』
「いや、流石にあの程度の奴なら――」
『報収集と戦い、ソラは前者を我は後者をこれが一番良い。
反論は認めないぞ。我はソラを護る。ソラは我に護られる。それで良い』
「そ、そうか、という事は俺と一緒に來るってことだな」
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ロンバルド王國の第三王子アスルは、自身の研究結果をもとに超古代文明の遺物が『死の大地』にあると主張する……。 しかし、父王たちはそれを「気が觸れている」と一蹴し、そんなに欲しいならばと手切れ金代わりにかの大地を領地として與え、彼を追放してしまう。 だが……アスルは諦めなかった! それから五年……執念で遺物を発見し、そのマスターとなったのである! かつて銀河系を支配していた文明のテクノロジーを駆使し、彼は『死の大地』を緑豊かな土地として蘇らせ、さらには隣國の被差別種族たる獣人たちも受け入れていく……。 後に大陸最大の版図を持つことになる國家が、ここに産聲を上げた!
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