《勇者になれなかった俺は異世界で》大天使

あれからマシンガンの如く説教され、たった數分の出來事だったが、

時間は何時間に及ぶ程のものだった。勿論神はボロボロだ。

魔眼さん曰く、次、敵が有利になったりする報を渡せば俺のは暫くの間乗っ取られるらしい。

乗っ取った後は勿論、大魔王殺しをする様だ。

今の力と魔眼さんの力があれば大魔王殺しは容易いらしい。

出來ればそんな恐ろしい事したくは無いため、今後は発言に気を付けていきたいところだ。

「あっちはどうなったんだろう」

崩壊した家から抜け出し、先ほどまで戦っていた場所に向かう。

は完全に回復しているがメンタル面がボロボロの為、トボトボと歩いて向かう。

最近になって口が非常に悪くなっている魔眼さんの説教は兇悪すぎる。

「おろ?」

戦地に戻ると、そこには雙子とミノタウロスの姿はあったが、

大魔王デーグの姿が綺麗さっぱりと消えていた。

説教中に戦闘音など一切聞こえて來ていなかったが、一なにがあったのだろうか。

音もたてずに一瞬にして葬り去った……と言うのは考え難いな。

この場合逃げたと言うのが一番しっくりくる答えだ。

「デーグはどこ行ったんだ?」

「オヌブ様のところに飛ばしといた」

「倒そうと思ったけど、オヌブ様が待ってって」

「だからオヌブ様の所に飛ばした」

「……」

「なるほど、逃げた訳ではなかったのか」

Advertisement

雙子に聲を掛けると小の様にテクテクと此方に寄ってきて

大魔王デーグの行方を話してくれた。ミノタウロスは相変わらず無口だ。

大魔王オヌブか……デーグを一どうするつもりなのだろうか……

まさか手を組んで復讐とかないよな……恐ろしい。

「ところで、なんで戦ってたの?」

「お菓子もってる?」

先ほどまで上手い事お互いに言葉を繋いでいたが、

突然別々の事を言い始めた。よっぽどお菓子が好きな様だ。

魔王ならばお菓子ぐらい簡単に手にるだろうに……

「ん~まぁ、々あるが、あまり詳しく言うと怒られるからな……

り行きで戦ってたみたいなじかなぁ、あとお菓子は持ってないぞ」

「詳しく教えてはくれないんだ……あと、お菓子ないんだ……」

「お菓子ないんだ……」

あからさまにしゅんとなる雙子。

報を教えない所為で落ち込んだのかと思ったのだが、

どうやらお菓子を持っていない為落ち込んだと言うのが主な理由の様だ。

「その、大魔王オヌブ様とやらはデーグをどうするつもりなんだろうな」

「わかんない」

「オヌブ様は好戦的じゃないから、多分話し合い?」

「話し合いか……ちなみに、手を組んで復讐に來たりしないよな?」

「「ないね」」

「そ、そうか、なら安心だな」

若干食い気味に揃って強く否定され若干驚く。

何だか予想よりもデーグとオヌブの中は悪いとみた。

Advertisement

過去に何があったのだろうか、し気になるが、あまり大魔王同士の過去にはれないでおこう。

何が逆鱗にれるかわかったもんじゃない。

魔眼さんは殺る気満々の様だが、出來るだけ戦いは避けたい。

魔眼さんが急に大魔王に対して殺意剝き出しになった理由も気になるな。

エリルス以外の大魔王は必要ないという事らしいが、今まではそんな素振り微塵も無かったのに、何故急に……

ーー簡単な事です。今のソラ様の力を使えば確実に倒せる。

今まではその力が無かった。ですが、今は力がある。非常に簡単なことです。

エリルス様以外の大魔王は必要ありません。私がこの手でーーいえ、ソラ様を使って滅ぼします。

「うへぇ……」

さらっと俺の事を利用してとんでもない殺人を起こそうとしている事を暴

此方も魔眼さんのことは良いように使っている為文句は言えない。

今後俺はどうなっていくのやら……

そんな事を思いながら遠い目をしていると、雙子が面白そうにこちらにやってきた。

「ねえ、ねぇ」

「お菓子さんって何者なの」

「お、お菓子さんって俺の事かよ……」

遂にはお菓子くれる人とかではなく、名前そのものがお菓子になってしまった。

これはおかしいぞ。お菓子上げただけなのにどうしてこうなったんだ。

まるで俺がお菓子以外取り柄がない奴みたいじゃあないか……

「私たちが大魔王オヌブ様の配下だと言っても」

Advertisement

「全然驚かないし」

「大魔王デーグの事、ボコボコにしてたし」

「私たちにお菓子くれるし……」

「……でも此処は魔の國のはず」

「お菓子さんは魔なの」

二人で悩んだ結果俺はお菓子の魔になってしまったようだ。

確かにこの國に居る以上は魔だと認定されてしまっても不思議ではない。

此処は軽く自己紹介をしてお菓子魔から普通のお兄さんにランクを上げてもらおう。

魔眼さんの事や別世界で力を手にれた……とか説明しても恐らく納得してもらえないだろう。

此処は簡単に説明出來て納得できる答えを――

「えーと、俺はなんて言うか……勇者になれなかった者だ。

そんでエリルスに拾ってもらって々とあって強くなった……ってじだ。

人間とは言い難くなっているが、心には人間だ。名前はソラだ。よろしくな」

「え、エリルス、様って……大魔王エリルス様?」

「勇者になれなかった者でエリルス様のお菓子のソラ……」

エリルスの名前を出した途端に、先ほどまで元気の良かった茶い目の方がたどたどしくなった。

赤っぽい目の方の子は良く分からないことを言っている。混しているのだろうか。

要點はしっかりと捉えている様だが、々とおかしい。

「大魔王エリルスで間違いないな。銀髪で紫眼でスタイルが良くて尾が生えてて

喋り方が何だか気が抜けそうになって數年前まで封印されていた大魔王エリルスだ」

「……本みたいだね、うん、なるほど……」

「なるほど、なるほど」

「何か問題か?」

「ん~問題はないよ、ただ、大魔王エリルス様は……」

「かなり特殊な位置にいる大魔王様だよ」

い目の方が言い難そうにしていると、赤っぽい目の方がズバリと言い放った。

し、ではなくかなり特殊な位置にいるようだ。

「特殊な位置か」

「あまりしらない?」

「ああ、正直最近の事は全く知らないんだ」

エリルスの過去については本人並みに知っているが、そこには大魔王に関する報はかなりない。

名前程度しかない。あと大魔王の一人を殺した事ぐらいか……ん、待てよ。

それがその特殊な位置にいる原因なのではないか?封印前の出來事とは言え、かなりの事だぞ。

最近の出來事じゃなくて、かなり前から今の位置にいるのだろうか……

「今大魔王は全員で10人いるんだけど、」

「大魔王の一人がエリルス様によって殺されたー」

「それに言がね、結構自分勝手らしくて」

「大魔王の殆どが敵対しているんだよー」

「でも手は出せないらしい」

「すごくつよいみたい、それに配下もつよい!」

「でもでも、オヌブ様は中立だから」

「私たちとお菓子のソラも大丈夫のはず」

「うん……多分」

若干不安そうな表を浮かべる雙子。

やはりと言うか、當たり前だが、エリルスが大魔王の一人をぶち殺したことが大きな原因の様だ。

殆どの大魔王から敵視されているのならば今回の件はかなり危ないのではないだろうか。

エリルスの事は口にはだしていないが……

デーグは俺の事をどこかで見た様な事をいっていたのが気がかりだ。

まぁ、中立であるオヌブが回収した所から、なんとか穏便に解決してくれるのではないだろうか。

そんな期待を抱きながら會話を進める。

「まぁ、出會ってしまったもんは仕方ないんじゃあないか。

ちなみに、お前達二人の名前を聞いてもいいか?あとあっちの方も」

目の違いしか今の所見分ける手段がない。せめて名前と聲を一致させたいところだ。

ずっと無言なミノタウロスについても非常に気になる。

「うん、仕方ないね。お菓子くれるし大丈夫。

私はルル。茶い目が特徴だよ」

「お菓子くれる人は良い人、オヌブ様もきっとわかってくれる

私はソナ。赤い目が特徴だよ」

二人順番に目の前に來て指で目を指しアピールをしてくれる。

こうしてみると、本當に目以外違いがなくてびっくりだ。

「ルルとソナだな。よろしく。それであっちの方は?」

「み~くんだよ」

「み~くんはみ~くん。私たちと同じオヌブ様の配下だよ」

どうやらみ~くんと言う名前らしい。み~と言う名前なのか稱なのか。

深く考えずにみ~くんはみ~くんという事にしておこう。

「そうなのか……よ、よろしくな、み~くん」

ずっと無言だが話は聞いてくれている様で聲を掛けてみるとこくりと頷いてくれた。

見た目は怖く、無言も相まって非常に話しかけ難いが、良い子なのかもしれない。

「ちょっとソラー!!」

自己紹介を終え、丁度良いタイミングで遠方からスラの聲が聞こえて來た。

どうやら人間の姿になり未だに倒れているノイの事を背負って此方に向かってきている様だ。

合流してから三人の事とデーグの行方を話した。

一応遠方から此方の事を見ていた為、すんなりと話しが通じた。

「それにしてもどうなるんでしょうか。この國の人質はもういません。

あらゆる國から狙われるのでしょうか……」

どこか心配そうな表を浮かべそう呟く。

ほぼ人間の様な生活を送ってはいるが、スラは一応魔なのだ。

同族と言えば同族の國の行方が心配なのだろう。

「スラは優しいな。人間からは狙われ、天使にも狙われ……苦しいだろうな。

どの道、俺たちが來なくても天使共はやってきて人質の結末は同じだっただろうな

まぁ、大魔王が関わっているんだ。そう簡単には手を出しては來ないと思うがな」

「うん、大丈夫。デーグは知らないけど、他の大魔王様たちもこの國の事は知ってるから」

「多分まもってくれるよ」

「そうだと良いんですが……え~と、その……」

若干空気が暗くなってしまい、スラが何とか和ませようと話題を出そうとするが、

相手が魔王という事もあり、なかなか話題が出てこない様だ。

此処は俺から話題をだそう。そう頭を悩ませ出てきたのがポチの存在だった。

大魔王の話題の所為ですっかり抜けていた。

「あっ、そう言えばポチってどうなったんだ」

「あ、そうですね。迎えにいってみましょう」

任せておいて申し訳ないが、本當に頭から抜けていた。

ポチの事だから直ぐに済ませて此方にやってくると思っていたのだが、

何だか今回は非常に時間が掛かっている様だ。

「ちょっと仲間を迎えに行こうと思うのだが、お前達はどうする?」

「ん~とりあえずついてく」

「ついていこう」

二人の返事と、み~くんの頷きから三人ともついてくる様だ。

ノイの事を背負っているスラの事を考え、歩く速度を落としつつも

気持ちは急ぎつつポチがいる場所へと歩いてく。

道中、崩壊した家は幾つもあったが、気配は一切なかった所から

しっかりとポチによる避難活功している様だった。

「お、いたいた……ん?」

ポチを見つけ駆け寄ってみると、どうやら何者かと戦っている様だ。

見た目は天使だが、その長は人間サイズであり、鎧を付けておりまるで戦士の様だ。

手には長剣が握られている。獣姿のポチの狀態で戦っているのにも関わらず、

今だに決著がついていない様だ。苦戦中だろうか?

「ポチ、大丈夫か?」

『ん、ああ、問題ない。だが、何故だか攻撃が全く通らないんだ

攻撃をしても最初は覚があるのだが、直ぐに消えてしまうのだ』

「消える?」

問題は無いらしいだが、苦戦を強いられている様だ。

最初は攻撃が當たるがその後が消えると言うが、よく分からない。

「すまん、もうし詳しく頼めるか?」

「ふむ、実際に見た方がはやいだろう」

そう言ってポチは軽くジャブする程度の速度で攻撃を仕掛ける。

大した速度でも威力でもないのに関わらずポチの攻撃は天使の橫っ腹を斬り裂いた。

天使はそのきが見えていなかった様に対応が遅れていた。

単純に追えてないだけなのか、それとも余裕を見せているのだろうか。

攻撃は確かに當たっていた。だが、が出るわけでも切り裂かれる訳でもなく。

それらの代わりにその箇所が粒子となり、再結合し何事も無かったかのように無傷の元通りのになる。

ポチが言っていたのはこういう事か。

「なるほどな、これは厄介そうだ」

『何をやっても同じだ。一瞬で消し去っても結果は変わらない。

あいつはどうなっているんだ?腹が立つぞ』

「何度やっても無駄だと言っているでしょう。仲間が増えた所で無駄です。

貴方を倒すことは私の力では無理です。ですが、貴方も私を倒せない。

大人しく降參してはどうでしょうか?」

天使の口振りから先ほどから同じような事を繰り替えしている様だ。

相手もポチの事は倒せないと分かっている様だ。互いに倒せない狀況の中、

一方的に降參しろと中々強くな発言だ。せめて引き分けにしろよと思ってしまう。

「……それにしても、どういう原理だ?」

――大天使ですね。數はないですが結構厄介な奴らです。

まぁ、大した力は持っていませんが。

「確かに力は大したことはなさそうだが、あの粒子化はなんだ?

一見俺と同じ能力の様にも思えるが……」

――簡単ですよ。先ほどあのデーグがやっていたことをやれば倒せます。

要するにアレこそが本當に魔力を消費して回復しているんですよ。

わかりましたか?愚か者

「な、なるほどな」

魔眼さんがデーグとの戦闘の前に説明していたのは大天使の仕組みだったわけか。

そもそも疑問なんだが、エリルスよりも何故こいつはこんなにも知りなんだ?

この報はどこから持ってきているのだろうか……気になる。

そのうち直接聞いてみることにしよう。今は目の前のこの大天使を処理する方が優先だ。

「ルル、ちょっと良い?」

「どうしたの?」

「わたしもきく~」

ルルとソナに耳打ちで先ほど俺にやったように大天使に結界をって部攻撃を喰わてしいという旨を伝えた。

い笑みを浮かべて快く了承し、み~くんにもその作戦を伝えてくれた。

何故、今回は耳打ちで作戦を伝えているのかって?

そんなのは決まっているじゃないか、下手な事をして魔眼さんに叱られたくないからだ。

「それじゃあ、大天使さんよ。出會っ手間もないがお別れだ」

「突然現れたかと思えば何をいっているのでしょうか?」

『ソラよ、何かわかったのか?』

「ああ、簡単な事だ……三人とも頼んだぞっ!」

「うん~」「やるよ~」「……」

「っ!?」

魔王三人がかりによる結果が一瞬にして生され、大天使の顔がみるみるうちに変わっていく。

結界を側から何度も何度も切りつけたり當たりをするがビクともしない。

「さようなら」「ばいばい」

雙子のその聲を最期に大量の魔法が結果に破裂する。

俺も地味に創で武を結界に生して援護をしておく。

數分間に及ぶ魔法の攻撃の果てに大天使の姿は跡形もなくなっていた。

『消滅したか。結局どういう仕組みだったのだ?火力の問題ではないのだろう?』

「魔力の遮斷した狀態で殺せば良い様だな。厄介な敵だが対処方さえわかってしまえば楽だ。

ポチよ、お前に掛かれば結界で閉じ込め殺すことなど容易だろ?」

『ふむ、魔力による治癒か……なるほどな。

ふっ、分かればもう簡単だ。次は一瞬で屠る』

「三人ともありがとうな。助かったよ」

「こんどおかし」「お菓子ね」

再びお菓子を要求されたが、まぁ良いだろう。お菓子だけで協力してくれるなら幾らでも上げよう。

あのみ~くんもお菓子好きなのだろうか……そんなことを考えていると

し遅れているノイを背負ったスラがやってきて、一度周りを見渡し口を開く。

「……先ほどから置いて行かれてばかりで結構不満が溜まってますが、

取り敢えず、これからについて話あった方が良さそうですね。もう周囲に敵の気配はありませんし」

「ん、そうだな。流石にこのまま去るっていうのもアレだしな。」

    人が読んでいる<勇者になれなかった俺は異世界で>
      クローズメッセージ
      つづく...
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください