《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第二十八話 プロポーズは突然に?
「私はあなたと結婚する」
「「「「「えぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええ!!!!」」」」」
近衛騎士団一同が絶句した。もちろん一番驚いたのはカインだった。
皆がフリーズしている中、近衛騎士団長は頬を染めながら話し始める。
「私は領地から出るときに、私より強い人を探すために王都にきた。そして今、巡り會えた」
そう言いながらカインを抱き締める。
固まっていたカインが、ようやくき出す。
「いきなり結婚と言われても、僕はまだ五歳ですよ。騎士団長のことも何も知りません」
「たしかにそうだったな。私の名前はティファーナ・フォン・リーベルトという。北の森を治めるリーベルト公爵の娘だ。年齢は気にしなくていい。私はエルフだから三百年は生きる。容姿も當分は変わらない」
エルフだからといって公爵令嬢が一存で結婚を決めていいはずがない。
公表はしてないがすでにカインには婚約者が二人いるのだ。このままではまずい狀況となる。
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「公爵令嬢が一存で結婚を決めるのはいけないと思います。僕はまだ五歳ですし公爵様と相談してください」
「家から出るときに結婚相手が決まるまで戻らないと伝えてあるから平気だ」
「そうは言っても僕が困ります。父上にも、他にも相談しないといけない人がいるんです」
カインは副団長のダイムを見る。ダイムはカインが王殿下と公爵令嬢と婚約していることは知っていた。
なんとかしてくれるはずだと思っていたダイムだったが、首を振り諦めた顔をしている。
「そうだな。私だけの一存では決められぬな、まずは陛下に話すとしよう」
カインとしてはそれが一番困るのだ。先日陛下から「スケコマシ」と言われたばかりで、このことが明るみにでれば、また小言を言われるに違いないと小さく震えた。
「僕は今日は用事があるので、これにてしつれ……「大丈夫すぐに話をつける」え!?」
「ダイム、今すぐ陛下と謁見を出來るように手配してこい」
カインはすがる目でダイムを見たが、ダイムはため息をつき「わかりました」と言って王城へ向かった。
◇◇◇
し時間をおき、いつもの応接室に座っている。いつもの席だが隣に座っているのがいつもと違う。騎士団長が隣にいるからだ。
陛下と宰相が部屋にってきて、真ん中のいつもの席に座る。
「カインよ、さっきまで話したあとに近衛騎士団に素材を置きに行ったのではないのか?」
「はい……置いてきました」
力なく頷く。
騎士団長のティファーナが話し始めた。
「陛下、私はここにいるカイン男爵と結婚するつもりです」
いきなり弾投下しやがった。
「「!!!!」」
陛下も宰相も絶句だ。もちろん後ろに立っているダイムもため息をしている。
陛下はを引き締めカインを見つめる。
「なぜそうなった? カイン。言ってみろ」
カインは素材を置きに行ったこと、騎士と模擬戦をしたこと、三十人の騎士を相手に模擬戦を行う寸前で騎士団長がきたこと。そして騎士団長と模擬戦をしたことを伝えた。
「それで、騎士団長に勝ったと……そういうことだな。カイン、テレスやシルク嬢の事は話してないのか」
「それはまだの事でしたので話してません」
カインは正直に答える。
「騎士団長が自分より強い相手と結婚したいと言っていたのは知っていたが、まさかカインだとはな」
陛下もため息を付きながら答える。
「カインよ、騎士団長のティファーナが公爵令嬢なのは聞いたと思う。ただし、リーベルト領はな元々はエルフの國だったのじゃ。エルフは容姿端麗じゃろ? それで拐や奴隷にしようと戦爭を吹っかけられることが多かったのだ。このエスフォート王國は初代の言で元々種族に関しては差別がない。だからこの國のひとつの領としておるのだ。公爵と言っても自治領を與えているので獨立國家とほとんど変わらん」
陛下は続ける。
「公爵領と言ってもな、名前だけだ。一つの國の王だと思え。そしてその王に求婚されているのだ。わかるか? カイン」
素直にカインは頷く。
「ティファーナ嬢よ、まだな話だが、そなたには話しておく。ここにいるカインはな、うちのテレスティアとエリック公爵の娘のシルク嬢とすでに婚約が決まっておる。それを聞いて、おぬしはどうするのだ?」
陛下が正直に言った。カインは下を向いている。
王と公爵令嬢をすでに婚約者にしていると知り、ティファーナはし驚いた顔をした。すぐに顔を引き締め、斜め上の発言をしはじめた。
「陛下とエリック公爵がお認めになるほどの逸材ということですね。なら、ますます私は結婚したいと思っております」
その言葉に、今度はカインが絶句した。
「ちょっ……」
カインは止めてもらおうと思ったのに、陛下が先に話し始めた。
「わかったわかった。おぬしの気持ちは認めよう。まずはレーサン公爵殿に手紙を書け。許可がもらえてからの話じゃ。わかったな」
「わかりました。さっそく手紙を書きたいと思います。それでは失禮いたします」
そう言ってティファーナ騎士団長とダイム副騎士団長は応接を出て行った。
「では、僕もそろそろしつれ「まぁ待て」……はい、やっぱりそうですよね」
一緒に出ようと思ったら、陛下に止められた。
「ちょっと話す必要があるよな?カイン。そのまま帰るつもりだったりはしないよな」
陛下と宰相から無言の圧力がカインに伝わってきた。
「私もいきなりだったので、どうしていいか今でもわかりません」
カインは素直に答えた。
「それにしてもまさか剣聖の稱號持ちの騎士団長にまで勝つとはな、あれは剣Lv.5と武神の加護Lv.5の最高値を持っていたはずだ。うちの國の騎士で単純に一番強いから騎士団長をやっているのだ。言いたいことはわかるな?」
「……ティファーナ騎士団長の調がすぐれなかったとか……」
カインは誤魔化したが、陛下も宰相にも流された。
「カイン、おぬし何者じゃ?」
陛下がストレートに聞いてきた。
「ガルムの三男ですが?」
気持ちを落ち著かせつつ、カインは答える。
「ふむ。今は良い。カインよ、おぬしはこの國に対して害になることをするつもりはあるか?」
陛下が真剣な目を向けている。
「そんなつもりはありません。陛下から男爵の位をもらい、テレスティア王とシルク嬢を婚約者として認めてもらいました。この國に盡くすつもりはありますが害する気持ちはありません」
カインは真剣な目を陛下に向けて答えた。
その瞬間に陛下の顔が緩む。
「うむ。わかった。テレスとシルク嬢にはわしのほうから伝えておこう。まだ婚約は確定ではないしな」
「わかりました。よろしくお願いします。それでは失禮します」
カインは一禮したあと、部屋を後にした。
馬車に乗り、自宅に帰ろうと思ったがガルムに報告しないとあとでまた大変なことになると思い、行き先をガルム別邸に向けた。
屋敷につくなり、ガルムの書斎に向かった。
「なにぃ!!!!!!! ティファーナ騎士団長に求婚されただと!?」
屋敷にはガルムの驚きの聲が響いた。
「……はい。模擬戦をやっただけでそうなりました。陛下も宰相もすでに知っております」
ガルムは頭を抱えるしかなかった。
ただでさえカインには王殿下と公爵令嬢の婚約が決まっているのだ。
さらにエルフ領のトップでもある公爵の令嬢で、さらに言えばこの國最強の剣士がカインの妻になりたいと言っている。
もうガルムの手に負えるものではなかった。たしかにガルムも上級貴族と言われる辺境伯ではある。
だが、王家である王殿下や公爵家はシルフォード家より格上なのだ。
さらに言えばカインは獨立し、今は下級貴族である男爵である。
「もう頭が痛い。今日のところはこれくらいにしてくれ」
ガルムが折れた。
「では失禮します。またなにかありましたら報告に來ますね」
そう言い殘しカインは部屋を退出した。
「まったくうちのカインはどうしてそうなったんだろう」
一人呟くガルムであった。
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