《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第二十一話 婚約お披目パーティー1

レーサン公爵との會談は上手くいき、その後も和やかに話は進んだ。

「明日のお披目楽しみにしておるぞ」

最後にそう言い部屋を退出していった。

そして次の日。婚約お披目パーティー當日となった。

カイン邸では従者達が忙しそうに屋敷を奔走している中、カインはシルビアに淹れてもらった紅茶を楽しみながらのんびりとしていた。

お披目のために著る服は全て國王から手配されており、カインは一つで王城へと向かうだけとなっていた。

対面に座るコランと、今後の打ち合わせをしながら出発の時を待った。

「カイン様、今日は王國中から貴族の當主がお見えになられております。王族、公爵家と婚姻を結ぶことになったカイン様には、これから々と言い寄られることも多くなるかと思います。十分にお気をつけください」

「だよね……気をつけるようにするよ」

コランの言葉に頷いたカインは、夕刻より始まる婚約披パーティーに気を重くしながら紅茶に口をつける。

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晝食を済ませた後、夕刻より行われるパーティーのためにカインは馬車で王城へと向かった。

まだ始まるのには時間はかなりあるが、他方よりきた貴族が國王への挨拶を行っているため、すでに々な紋章をつけた馬車が並んでいる。

王城への場をするための手続きが行われている中、カインはその橫を通り抜け待機していた執事のところに向かった。

カインを見たことがない貴族の當主は、自分が子爵であるにも関わらず、まだい貴族服を著た子供が通り抜けていくのに不機嫌になる。

「そこの。皆並んでおるのだ。子供だからといって一人だけそういう訳にもいかぬであろう。親はどこだ」

どこかの貴族の子供だと思われたカインは、その聲を掛けてきた子爵に軽く頭を下げる。

「これは申し訳ありません。並びたいのですが、お披目の準備がありますので先に通させていただきます」

丁寧に答えるカインに、毒気を抜かれた子爵はカインに続けて尋ねる。

「家名を聞いても良いかな? どこのご子息なのだ」

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「カイン・フォン・シルフォード・ドリントル伯爵です」

名前を聞いた子爵は、まさか今回の婚約者だとは思っていなかった。

「シ、シルフォード伯爵であったか。これは失禮した。わしはラングドシャ子爵です。本日はおめでとうございます。準備がおありでしょう、気にせずにどうぞ」

ラングドシャ子爵は、上級貴族であるカインに頭を下げた。

「申し訳ありませんが、お先にらせていただきますね」

カインは頭を軽く下げ、王城へとっていった。

王城にって早々にメイド達に服を剝ぎ取られカインは正裝に著替えを行った。

すでに疲れ果てたカインを余所にメイド達は満足そうな顔をしている。

「カイン様、これで誰が見ても文句の言いようがありません。とてもお似合いですよ……王様でなかったら私も……」

うっとりしているメイド達にカインは顔を引きつらせた。

その瞬間に部屋がノックされ、扉が開かれた。

「カイン、準備は終わったか」

部屋にってきたのはガルムだった。サラにレイネも一緒だ。

カインの裝にサラもレイネもうっとりとしている。

「カインくん! 私も一緒に婚約する!」

いきなり弾発言をするレイネにサラのゲンコツが降ってきた。

「あなたは、姉でしょう。何言っているの」

頭を痛そうに抑えたレイネが涙目になりながらも反論する。

「だって、今日のカインくん可いんだもん!」

「まぁ、それは言えているわね……」

二人で納得している橫でガルムは苦笑しながらも、カインの姿をみて満足そうに頷いた。

「カイン、ここまで見違えるとはな。どこに出しても問題ない出來栄えだ。私も満足だよ」

その後、家族だけでしの間雑談をした。

久々の家族だけの時間に、話は盛り上がり時間が過ぎていく。

どれだけ話しただろうか、部屋がノックされ、メイドが迎えにきた。

ガルム達は先に會場で待つことになっており、席を立ち部屋を出ることになった。

「カインくん、楽しみにしているね!」

笑顔で手を振り、レイネが最後に部屋を出て行った。

部屋で一人になったカインは大きなため息をついた。

「まさかこの歳で婚約者が決まるなんてな……。前世じゃ想像つかないや……。――二人はどうしているかな……」

脳裏に浮かんだ、沙織との顔を思い出しながら紅茶に口をつけた。

「カイン様、そろそろ始まります」

呼びに來たメイドに促されるようにカインは立ち上がり席を立つ。

「わかった。今いくよ」

メイドにホールへと案され、扉の前に立った。

「扉が開かれたらお進みください」

扉の橫で控えている執事から聲がかかる。

そして時がきた。

ホールの中から聞こえる音楽に合わせて扉が開かれた。

一直線に玉座まで通路が空いており、両側には貴族當主やその家族達がテーブルを囲みながら、カインに視線を向ける。

百を優に超える視線が突き刺さる中、カインは一呼吸置いてから進み始めた。

堂々と進むその姿は様になっており、カインと歳の近い令嬢はうっとりとその姿に見惚れていた。

カインは張しながらも一歩一歩前へと進み、國王の隣に立った。

一段高い場所から參加している貴族たちの顔を見渡すと、ガルムやレーサン公爵を含め上級貴族が玉座に近いところにおり、その次に下級貴族へと移っていく。

カインの姿を確認し、頷いた國王は參加している貴族達に向けて口を開く。

「紹介しよう、テレスティアと今回婚姻を結ぶことになったカイン・フォン・シルフォード・ドリントル伯爵だ。歳は若いが武に関しても、この國の近衛騎士団長よりも強い。そして政についても話を聞いているであろう。あのドリントルを立て直し、今では大都市と言われるほどにしておる」

その後もしの間、國王からの説明が続けられた。カインはその説明に照れくささをじながらも表を崩さないように気を引き締めながら聞いていた。

そして國王の言葉は続いていく。

「今回は、このお披目のためにマリンフォード教國より聖様がお殘りになられており、この場に立ち會ってもらっておる」

王族が並んだ席の隣にヒナタも座っており、國王の言葉に一度立ち上がり軽く頭を下げた。

さすが聖と言われるだけあり、真っ白なローブに金糸の刺繍が施され、優雅に立ち上がり禮をするヒナタは聖と言われるに値するだけあった。

その姿に貴族たちからは羨の聲があがる。

そしていよいよ婚約者たちの場となった。

「今回、このカイン伯爵には婚約者が三人おる。紹介しよう! って參れ」

國王の言葉で、緩やかな音楽が再開され、そのあとにまた扉が開かれた。

開かれた扉からは、三人が橫並びに立っていた。

テレスティアは薄い緑のドレス、シルクは薄い桃のドレス、ティファーナは――騎士服だった。それでもいつも著ているとは違い豪華に彩られた騎士服ではあったが。

三人はゆっくりと玉座に向かって歩幅を合わせて進みだした。

その姿は三人ともとても綺麗で、周りで見惚れている貴族たちと一緒にカインも同じ表をしていた。

そんなカインを國王が後ろからし押した。

「三人を迎えてやれ」

國王の言葉に頷いたカインは、一歩前に出て三人が來るのを待った。

ゆっくりと進んできた三人はカインの前に立つと、軽く腰を落とし挨拶をし、そのままカインの橫に並んだ。

「それでは紹介しよう、我が娘、三テレスティアだ。そしてサンタナ公爵家次、シルク嬢。最後にリーベルト公爵家長ティファーナ嬢じゃ」

王家だけでなく、公爵家からも二人も婚約者になるのだ。普通ではありえない。しかも三人とも誰もが羨むほどのなのだ。

參列した貴族の子息達にとっては嫉妬しか芽生えない。

そんな中、婚約披パーティーが始まった。

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