《転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒~》第九話 カイン突撃

驚くタマニスを宥め、起き上がらせ隣に座らせる。

「タマニスさん、僕のほうでも全力で探します。だから……待っていてください。絶対に見つけますから」

安心するように伝えるカインの拳は強く握られていた。必ず見つけるという決意の表れのように。

「リル、ありがとう。僕のほうでもくことにする。あとは任せて」

「カイン、私にも手伝うことは……?」

拐されたのが、パルマであったことや、カインの助けになるたいことからリルターナは提案するが、カインは首を橫に振る。

「リル、その気持ちだけで十分だよ。ありがとう。僕はそろそろ……」

カインが帰宅を促していることを察したリルターナは、ニギートに視線を送る。ニギートは察したように部屋を後にし馬車の用意に向かった。

「カイン、何かあったら私にも手伝わせて」

力強く言うリルターナにカインは笑顔で頷く。

「リルターナ様、馬車の用意が出來ております」

「わかったわ。カイン、今日はごちそうさま。今度『ハンバーグ』のレシピ教えてね」

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「うん、わかった。用意しておくよ」

タマニスには部屋で待つように伝え、リルターナを見送るために屋敷から出た。

「じゃぁ、明日學園でね」

「うん、おやすみ、今日はありがとう」

リルターナは馬車の小窓から顔を出し挨拶をすると、ニギートの合図で馬車は進みはじめた。

見送ったカインは部屋に戻ると、タマニスが待っている部屋に戻らずに自分の執務室へとった。

「召喚サモン”ダルメシア”」

召喚魔法を唱えると、魔法陣が現れそこからダルメシアが出てくる。

「これはカイン様、何かございましたか」

「ダルメシア、悪いけど頼み事がある。知り合いが拐された。王都の中には確実にいると思う。探せるか?」

真剣な表をするカインに気を引き締めたダルメシアは手を顎に當て悩み始める。

「探すのはできますが、探す相手がわからないとどうにも……」

さすがにダルメシアも全く知らない相手を見つけるのは不可能であった。

「顔がわかれば大丈夫か? なら……」

カインは脳裏にパルマのイメージを作ると片手に魔力を練りダルメシアに送るように魔力を放つ。

ダルメシアは脳裏にってくるイメージに、し驚きながらも笑みを浮かべて頷いた。

「ほう……こんなことまで……さすがカイン様。わかりました。これなら探せるでしょう」

満足したような表をするダルメシアにカインは言葉を続ける。

「どれくらいで探せる?」

「王都でしたら本日中に見つけられるでしょう。私の能力を使えば……」

カインは以前、目の前で能力を使おうとしたダルメシアを止めたことがあった。蟲使いであるダルメシアの能力は、普通の人にはとても神的に耐えきれるものではない。

苦笑しながらもカインは「頼んだ」と一言だけ殘し、タマニスの下へと戻る。

応接室には焦燥しきったタマニスをシルビアがめていた。

「タマニスさん、カイン様が本気を出せば必ず、パルマさんは無事に助け出してくれます。だから私たちは待つことだけです」

「はい……。でも、こうしている間にもパルマは……」

カインが部屋にると、タマニスは席から立ち上がり深々と頭を下げる。

「カイン様、よろしくお願いいたします」

その言葉を聞いたカインは一度頷き、タマニスを座るように促した。

「パルマを探すように手配しました。今日中には見つけますから」

「今日中!?」

「えぇ、今日中には助け出してみせます」

カインの想定外の言葉に信じられないタマニスは、驚きの表をする。

「カイン様は一……」

いつも予想外の提案をして、商品についてもこの世のとは思えない蕓品を生み出す。そんなカインにタマニスは尊敬の念を抱いていた。

サラカーン商會もカインのおで王都でも屈指の商會として長をし、ガラス細工は國で獨占しており、リバーシにおいては國外にまで輸出するまでになっていた。

“シルフォード商會”と言われてもおかしくないほど、カインに依存している商會になっていることをタマニスは理解している。ただ、昔からの付き合いを大事にしていたタマニスは、各村々を行商で回ることは続けるようにしていた。原點である生活雑貨から始めた商會であったからだ。

タマニスに自宅で待っているように伝えたカインは、部屋にると貴族服をぎ捨て冒険者の恰好をしていく。

腰から剣をぶら下げ戦闘準備を済ませていく。

二時間後――

「カイン様、見つかりました。とある商會の地下に捕らえられていました。現在は三人で見張られている狀態です」

いきなり部屋に現れたダルメシアが告げると、その言葉にカインは満足そうに頷く。

ただ、説明しているダルメシアの表は固い。

「実は……そこの商會ですが……。先ほど一臺の馬車が乗り付けて……が怒鳴り込んで行ったのですが――」

カインはその言葉を聞くと、誰が怒鳴り込んだのか検討がつき苦笑する。

「すぐに案してくれ! 何かあったら王國としてまずい!」

「わかりました。近くまでは転移しましょう」

カインとダルメシアは二人で転移し屋敷から消えていく。

「「…………」」

ただ、その部屋にはカイン一人だけではなかった。

部屋にはコラン、そしてシルビアがいた。

「ねぇ、シルビア……、ドリントルにいるはずのダルメシアさんがいきなり現れて、カイン様と一緒に消えていったよね……。あれ、僕の目、おかしくなったかな?」

理解できないコランに、シルビアはし苦笑しながらも微笑んだ。

「カイン様は特別ですから。きっと何かあるんでしょう。気にしたらだめですよ」

シルビアは新しく淹れた紅茶のカップをコランの前に置く。

「……そうですね。気にしていたらこれから先、胃にがあいてしまいますね……」

カップを手に取り一口飲むとコランはため息をついた。

◇◇◇

「ここがそうか……」

カインは目の前に立つ石造りの三階建ての建がある。

は派手な外観をしており、いかにも金をイメージさせるような建であった。

”ナルニス商會”と描かれた看板に目をやり「やはり……」と思いつつり口の扉に手を置いた。

しかしカインは両開きの扉を開こうとするが、鍵が閉まっていた。

カインは気にした様子もなく、腕に魔力を込めるとバキバキと蝶番が壊れて倒れていく。

ズシーーン

扉が側に倒れ、カインは建の中にると――。

そこには抑えつけられたリルターナと、手を挙げて降參のポーズをしているニギート、そして剣を構えた男たちが唖然とした表をしていた。

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